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令和元年12月20日開催 中央環境審議会循環型社会部会 第33回
中央環境審議会循環型社会部会(部会長・酒井伸一京都大学教授)は12月20日、部会を開催し第四次循環型社会形成推進基本計画(循環基本計画)の点検や重点分野以外の分野における施策の進捗状況などを議論した。委員からは「食品ロスの削減」「ごみ処理広域化」「高齢者ごみ出し支援」「地域循環共生圏の構築」などに関する意見が比較的多かった。
高齢化対応など重点点検以外の分野の進捗状況を説明
環境省から第四次循環基本計画の重点点検以外の分野における進捗状況が説明された。高齢化社会に対応した廃棄物処理体制としては、「家庭からの日々のごみ出しについての支援事業」「紙おむつリサイクルの概要」などを説明。ごみ出し支援については「ガイドラインを作成し、市町村等に広く周知する」とした。また食品ロス削減については「SDGsと呼応して2019年7月に事業系食品ロスを2000年度比で2030年度までに半減する目標を設定した」と述べた。プラスチックに関わる取組みでは「プラスチック資源循環資源戦略の第一弾としてレジ袋有料化を実施する方針で、今年度中に容リ法の政令改正を行う。さらに中国の廃プラ禁輸を受けて、国内廃プラリサイクルの高度化事業を支援している」とした。
「ごみ処理の広域化、ごみ処理施設の集約化」については、「2019年3月に考え方を打ち出した。2019年度から循環社会推進交付金の交付要件としてごみ処理の広域化、施設の集約化の検討を追加した」などと説明。このほか東日本災害の関係、IoT・ICTなどについても触れた。高齢者のごみ出し支援は福祉行政も絡む
出席した委員からは高齢化のごみ出し支援について「ガイドラインで示すというが、具体的にはどういうことを考えているのか」「高齢化対応は重要。家庭ごみ有料化は66%あたりで止まっている。有料化と高齢化の連携をして進めたらどうか」「ごみ出しの調査をしたのなら結果出ていたら教えてもらいたい。ごみを出せないとなるとどのくらい踏み込んでいくのか。環境省の方向性は」「高齢者問題は福祉分野といえる。行政サービスの連携が必要では。これは単なる廃棄物処理だけでは難しいと思う」などの意見が出された。またごみ処理広域化・施設の集約化については「熱リカバリーが進んでいない。重要と思う」との意見も聞かれた。
これらにつて環境省は「高齢者のごみ出しについては2019年3月にアンケートを実施した。387市町村は何らかの支援をしている。ごみ収集運搬のときにというのが85%、NPO支援によるものが11%、社会福祉委託もあった。どういうのがいいのか……。委託もあるし、ガイドラインで示したい。また6市町村で実証モデル事業やっている。有料化のところもプラスアルファで(料金を)もらっている。料金変えた時にどうなるのかということも実証的にやっている。ただ、この問題はごみ行政だけでは難しい。ごみ出しが廃棄物行政か福祉行政なのかという面もあるが、一緒にやっていきたい。総務省も関心をもっており、2019年度から補助金を出している」と答えた。またごみ処理については「熱リカバリーは施設の規模に応じて電気か熱か、中規模などモデルをつくっていかなければいけないのかなと思っている」とした。知名度低い地域循環共生圏、横展開は困難
次に「重点点検分野」に関する評価の方向性(案)の説明に入った。「地域循環共生圏形成による地域活性化」と「万全な災害廃棄物処理体制の構築」の2つだが、進捗評価としては、地域循環共生圏形成に取り組む地方公共団体数は少なく、地域循環共生圏についての認知度も低いことから、まずは地域循環共生圏の認知度を引き上げることが重要としている。そのうえで今後取り組む方向性としては、各地域における事例構築を促進しつつ、好事例の横展開などの普及を行う」としている。
しかし委員からはこんな厳しい意見が。「地方自治体は(地域循環共生圏形成に)関心がない。SDGsを積極的に発信してほしい。横展開というが、地域によって違うので様々な視点を入れた方がいい」「地方の自治体はこの分野は得意だが、これはダメというのが結構多い。とてもじゃないが横展開にならない。トップランナー方式ではできない。そこまでたどり着いていないというところが多くなる。こういう場合もあるんだという事例を提案した方がいいんじゃないか」。また「SDGsをやっていくうちにわからなくなったりする。指標つくったほうがいいのでは。到達点を目標として書くのは大切と思う」との意見も聞かれた。
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令和元年12月10日開催 産構審・中環審合同会合 小型電気電子機器リサイクル制度
小型家電リサイクル制度に関する「報告書(案)」が示された。前回の会合(11月8日)では、制度開始の5年前とは取り巻く状況が大きく変化しており多くの新たな課題が出現しているため現行のシステムでは対応が困難との意見が多く聞かれ、制度修正の空気が流れていた。が、今回出された「報告書(案)」は、制度修正というよりは現行のシステムを強化することで回収量を伸ばそうという内容だった。その施策に対して委員からは「誰が行うのか」などといった意見も出され、やや抽象的との見方もされた。
市町村の取組みに差、認定事業者に新たな課題
小型家電の回収量は平成30年度で約10万トンに達した。制度の回収量目標は平成30年度に14万トンとしていたがこれには届かなかったものの平成27年度、28年度の実績6万7000~8000トンに比べるとかなり増えた。その背景には平成29年度からはじまった東京オリンピックに向けての「みんなのメダルプロジェクト」の成果との見方がされている。
この制度には全市町村の93%にあたる1620市町村(人口ベースで97%)が参加しているが、回収量の目標数値である14万トン達成に向けた1人1㎏以上を達成しているのは25%の市町村に留まる。一方、0.1㎏未満が42%の市町村となっており、市町村間の取り組み状況の差が大きいようだ。また認定事業者にとっての新たな課題として、①中国の廃プラ禁輸措置による国内廃プラ処理費の高騰、②リチウムイオン電池の増加と発火事故のおそれの増加、③資源価格の変動――などが現れその結果逆有償が増加傾向にあるといったことがわかった。誰がやるのかわかりにくい抽象的
こうした状況に対応し、小型家電回収量を増加させていくための具体的方策を事務局は報告書の中まとめた。「市町村」「消費者」「認定事業者」それぞれの取組みなどについて書き分けており、たとえば市町村については「収集運搬コストの低減に向けた優良事例の横展開を図る」など5項目。消費者に関しては「小型家電リサイクルの更なる普及活動を進める「アフターメダルプロジェクト」を推進する」としている。また認定事業者に対しては「認定事業者、市町村、製造事業者その他の各主体は、再資源化の効率化に向けたコミュニケーションに努める」など2項目を記した。
この具体的方策について委員からは厳しい意見が出された。「この報告書では自治体がベースになってみんな頑張ろうと。で、誰がやるのかがわからない」 (白鳥委員・日本鉱業協会)。「これ(報告書)をみて消費者は何を、小売店は何をすればいいの? となる。消費者は不燃ごみとして(小電を)出せばこのシステムに寄与するのか。それによっては回収量も違ってくるのではないか」(花村委員・日本消費生活アドバイザー)。「これは消費者がどのルートに出すのが正しいというのがポイント。いくら自治体が頑張っても……。消費者も協力者であるということをもっとアピールしてもいい。リチウムの発火を認識といっても難しい」(西尾委員・筑波大教授)。「コミュニケーションは大切だが、誰が推進するのか」(佐藤委員・弁護士)など。回収量目標値14万トンを令和6年度まで継続
委員の質問に事務局が答えたあと、今後の目標についても説明した。回収量の目標値は変更せず、14万トンを5年後の令和6年度まで継続していくこととした。最後に細田委員長が、「この法の当初の状況と(今は)すごく違ってきている。想定外のこともあり(現制度では)対応できないし、し切れていない。リチウムに表示といってもいくつもあるとユーザーが分からなくなる。逆有償の話しもある。(製品の)生産者が特定できない部分や輸入品もあって難しい。広がりが大きくなってきている。将来的にはもっと違った角度から見る必要があるかもしれない」とコメントした。「報告書(案)」はこのあとパブリックコメントにかけられる。
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令和元年11月8日開催 産構審・中環審合同会合 小型電気電子機器リサイクル制度
小型家電リサイクル制度は5年ごとの見直しとなっており、今年がその5年目を迎える。11月8日に開催された経産省と環境省による表記の合同会合は、見直しに向けてのもの。小型家電のリサイクルは制度開始の5年前とは取り巻く状況が大きく変化している。現在のシステムでは対応が難しい。会合では制度を修正する必要があるのではといった空気が流れた。
メダルプロジェクトが弾みをつけた
平成30年度の小型家電の回収量は10万0513トンとはじめて10万トンの大台に乗った。前年度比で2万2203トンの増加だ。内訳は市町村の回収量が6万1495トンで6471トンの増加。認定事業者による小売店等からの回収は3万9018トンで1万5732トン増えた。
増加の要因は、オリンピック・パラリンピックと連携して平成29年度から実施した「みんなのメダルプロジェクト」の効果によるものだろう。それを裏付けるように、「メダルプロジェクト」が開始された平成29年度から小型家電の回収量が伸びはじめている。オリパラで使用するメダルを小型家電リサイクルでつくる――。自治体、企業、市民を巻き込んでのプロジェクトだ。宣伝効果もあって国民のモチベーションは高まり回収量が増加した。リサイクル制度に弾みがついたといえるだろう。ただ、合同会合では「オリパラが終わったら小電回収をやめる自治体が出てくるかもしれない」(桂川委員・全国市長会)といった厳しい意見も聞かれた。市町村の回収量増加に向けて
課題のひとつに市町村の回収量が伸びないとの指摘がある。しかし市町村の参加は、平成住居人ベースでは97%(平成30年6月時点)にまで達しており、これ以上の参加増はほとんどない。その一方で、平均1㎏以上の年間回収量/人を達成している市町村は25%にとどまっている。つまり回収量が伸びないのは「回収方式」にあると見られている。回収量0.1㎏未満という市町村の集め方は「ボックス回収のみ」が比較的多い。それに対して回収量が1㎏以上の市町村は「ステーション回収」や「ピックアップ回収」を含めて複数回収実施しているところがほとんど。環境省は市町村にステーション回収やピックアップ回収の実施を勧めるが、実施スペースや人員不足、コストの問題などがあり導入できない。さらに環境省はコストについて、収集運搬の効率化を提案する。「広域化」ともいえるものだが、いくつかの市町村が同じ認定事業者と契約して、収集日を同じ日に設定する。あるいはいくつかの市町村のうち、ひとつの市町村に回収した小型を集積して、それを認定事業者に取りに来てもらう。量が集まれば逆有償も回避できやすい。
新たな問題が生起、逆有償化が拡大
こうした提案は示されたのだが、小型家電リサイクルの現状はかなり厳しいものがある。回収量もそうだが、資源化で発生する廃プラ処理の問題や発火の危険性が高い内蔵されているリチウムイオン電池の問題、人手不足、資源価格の低下などによって「逆有償」になるケースが増大しつつあるということだ。これについては認定事業者の張田委員が次のよう説明している。「来年度から完全逆有償化のお願いを(市町村に)文書で通知した。2年間ぐらいかけて説明してきた。5年前の制度と違うものが出てきた。ドライバー不足、電池の問題、埋立て費の高騰など。市町村は検討して議会にかけることになる。そのため2年間かけた。来年4月からスタートするということを皆さんに理解してもらった。中には逆有償になると継続が難しいというところもあった。新しい価値として、安心・安全のコストがかかるなら考えたいというところもある。もし逆有償でも取り組んでいくということなら、しっかり検証して横展開していければいいと思う」。日本鉱業協会の白鳥委員は、「この法律を作った時はムチャクチャ資源価格が高かった。資源がもったいない。これだけ集めよとなった。14万トンを変えないのはわかるが、もう無理というのがある」と意見。
最後にコメントを求められた中村委員長は「この法律で来た時、なぜ逆有償を認めたか。有価だけで回るのなら逆有償はなかった。セーフティーネットとして考えている。家電が先に制度がはじまった。小電は有償、逆有償があってはじまった。1人1㎏の回収で14万トンになるということで。しかし(今後)排出は減っていくだろう。このシステムがこのまま行くとは考えられない」と制度変更を示唆した。
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令和元年10月11日開催 第2回産構審・中環審合同会合 レジ袋有料化義務化制度検討会議
「プラスチック製買物袋の有料化義務化」に向けた経産省と環境省による合同検討会議の第2回目は、前回同様関係団体のヒアリングが行われた。前回の第1回は7団体がヒアリングを受けた。今回は新たに自治体からは富山県、産業界からは百貨店協会、ショッピングセンター協会、フードサービス協会やレジ袋を製造するポリオレフィンフィルム工業組合、バイオプラスチック協会など合計9団体がヒアリングに立った。各団体からの要望は有料化の実施時期。国は来年4月1日からの導入の意向だが、今回のヒアリングでも国のこうした予定に異論が相次いだ。課題への議論が深まってきた。次回からは中間のまとめに向けた整理に入る。
軌道に乗るレジ袋削減、富山県の例
富山県のレジ袋削減への取組みは、その効果が非常に高いことからよく知られている。レジ袋削減に取り組むきっかけとなったのは「CO2排出量が5%近く増えてしまったから」(富山県)。1990年比で2010年に6%のCO2削減目標を打ち出したが、2005年に5%増えてしまった。レジ袋は県内で年間約3億枚が使われていると推定。この量は3万7000台のエアコンの年間CO2排出量(1万8000t-CO2)に匹敵する。「(レジ袋)有料化ではなく、無料配布禁止という言い方をしている。マイバックは目で見てわかる。広がりがあり、エコライフのシンボルと言える」(富山県)。2007年6月に消費者・事業者・行政の3者で「レジ袋削減推進協議会」を設立。連携協力して進めた結果、2018年にはマイバッグ持参率が95%にまでなった。レジ袋削減枚数は11年間で15億7000万枚に達する。課題として富山県は「コンビニはまだ浸透していない」などをあげた。
券売機の変更などで悩む外食産業
全国の外食産業(ファーストフード、ファミリーレストラン、居酒屋、パブ等々)の1割の店舗(約7万4000店)が加盟する「日本フードサービス協会」は、「業種、業態、提供メニューが多彩で、チェーン企業から個人店舗まで様々な事業者が存在する。販売するのが揚げ物や焼き物、汁物などの「料理品」であるので、消費者は外食店にマイバッグを持参する習慣がない」といった外食産業の特質をあげ、外食店がレジ袋を取り扱うのはハンバーガー、牛丼や持ち帰り弁当、宅配食など限られていると説明した。
その上で、レジ袋有料化実施について以下の課題、要望をあげた。外食の場合は中小業者が多いことから、事業者の準備期間の前に相応の周知期間が必要であること。また事業者にとっては、消費者が利用理品をマイバッグに入れるための台の作成などの期間が想定される。レジ袋を紙袋へ変更するなど包材の仕様変更には「見積り・検討」から「発注・製造」までは半年ぐらいはかかり、「テスト期間」も2カ月は必要などと説明。さらにこれが最も大きな課題なのだが、現在、牛丼店などの券売機には1円玉、5円玉を判別するものはなく、レジ袋有料化が実施されると、このレジ袋は代金をもらわなければならず、さらに消費増税も加わり消費者・事業者ともに混乱が予想される。「外食産業はこの問題ですごく悩んでいる。使用費者の混乱を避けたい。1年程度の周知期間は必要と思う」と述べた。有料化によってどのくらい減ったかが重要
様々な団体のヒアリングから見えてきた課題や要望を整理すると、①レジ袋有料化の実施時期、②有料とした場合のレジ袋の値段、③対象となる有料レジ袋の範囲、④バイオプラなどに特例(無料)を設けるのか、 ⑤レジ袋売上金の使途、 ⑥中小零細企業への配慮を、⑦消費者の混乱をきたさないように広報周知をしっかりとやってほしい――といったところか。①の実施時期については、どの団体も「4月1日からは困難」というものだった。経団連の池田委員も「オリンピック開始のギリギリのところで実施、ということで考えてもらいたい」と要望した。また有料化の例外については、制度の概要(案)ではバイオプラを例外とするような記載もあるが、委員からは「消費者にとってなぜ例外なのかという判断が難しい」との意見が聞かれるなど、どちらかというと否定的な空気に傾いていた。ただし、何回も使える厚手のものについては例外としてもいいのではという意見が多数だった。
石川委員(神戸大教授)は「(レジ袋有料化は)プラ資源循環戦略の一環と思っている。この努力によって何トン減ったかというのが重要。次のステップとしてこういうものが減らせるとか……。その結果、プラはどのくらい減ったか追いかける必要がある。それぞれ特有の困難があるのはわかる。すべて4月1日(実施に)こだわる必要はない。プラを減らすことの消費者理解を進める。これは国の役割。年に1回ぐらいフォローアップしてほしい」と述べた。次回会合から中間のまとめに向けた整理に入る。
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令和元年9月26日開催 産構審・中環審合同会合 レジ袋有料化義務化制度検討会議
経産省と環境省による「プラスチック製買物袋の有料化義務化」に向けた合同検討会議が9月26日開催された。有料化の対象はレジ袋が主体となる。国のスケジュールとしては来年夏のオリンピック開催を見据えて、4月1日から有料化を実施したい意向で、そのため容器包装リサイクル法(容リ法)の省令改正により迅速に制度化したいとしている。ただ、今回の合同会議でヒアリングに立った複数の業界団体からは4月からの導入は準備の関係からして困難との意見が大半を占めた。有料化実施の「時期」「価格」「対象範囲」「例外」などが論点として整理された。
プラ製買物袋有料化の義務付け骨子案
制度見直しの骨子(案)を経産省が説明した。それによるとプラスチック製買物袋の有料化の義務づけについては、容リ法の第7条の4第1項に、小売事業を行う際に容器包装の合理化が義務付けられており、具体的には、①容器包装の有料化や、②容器包装を利用しない場合のポイント還元など4項目が位置付けられている。今回は省令の中で①について義務付けていく考え。有料化義務付けの対象となる買物袋は、消費者が商品の購入に際し商品を持ち運ぶために用いるプラスチック製の袋とし、例えば衛生管理の観点から極めて薄手の袋(鮮魚や精肉を入れるいわゆるロール袋等)は対象外とする。また、海洋生分解性プラスチック袋、バイオマスプラスチックを用いた袋、一定以上厚みがあり繰り返し使用可能な袋――などは有料化を実施しているEUの例などを参考としつつ義務付け対象外とする考えを示している。
有料化のあり方については、プラスチック買物袋の価格設定を各事業者自ら設定するものとし、有料袋の売り上げの使途についても各事業者が自ら設定すべきものとしている。また、対象業種は競争上の不公平を生じないよう、あらゆる業種や規模にかかわらず一律に対象とすることが適切とする一方で、中小・小規模事業者への必要な措置を講じるべきとしている。実施時期については早ければ来年4月1日の施行を目指す。
実効性の確保にあたっては、法に基づく定期報告、勧告、命令、罰則に加え、各業界における取組み状況の自主的な情報発信も推奨すべきとしている。事業者への周知、国民の理解の促進に向けて、プラスチック製買物袋の有料化にあたってのガイドラインの策定、各業界・自治体への説明会、経産省・環境省・農水省などに問い合わせの窓口の設置も予定している。4月1日実施は困難との意見が大半
経産省の説明に続いて、日本スーパーマーケット協会や日本チェーンストア協会、フランチャイズチェーン協会、プラスチック工業連盟など関係する7団体からのヒアリングが行われた。このうちセブンイレブンやローソンといったコンビニを主体とする日本フランチャイズチェーン協会は、レジ袋有料化が業界で進まなかった理由として「急な立ち寄り客が多くマイバッグの用意がない。おでんなど汁物や冷凍・冷蔵商品の購入がありマイバッグでの代用が困難。客が袋詰めできるスペースの問題」などを上げ、有料化された場合の懸念材として客が有料化を知らずに、コンビニ従業員とトラブルになることが心配されるとした。その上で、有料化に伴うレジ袋の規格見直しや数量確保や在庫調整、レジのシステム変更およびマイバッグへの詰め替え可能なカウンターレイアウトの変更など準備に相当な時間を要するとし、「4月1日施行はどうやっても不可能。大手ほど時間がかかる」と実施時期について配慮を求めた。
4月1日からの実施時期については他の団体からも「困難」とする声が聞かれた。また出席委員からも「実施時期が一番懸念される」(池田委員。経団連)、「実施時期をオリパラのところまで延ばすのもあり得るのかなと思う」(大塚委員・早稲田大学法学部教授)などの意見が相次いだ。また6月、あるいは7月実施という声も聞かれた。全国一律で実施、バイオプラは例外か
団体のヒアリングで多かった要望は実施期間の配慮のほか主に、「事業者間に不公平が生じないように全国一律で実施してもらいたい」(大手スーパーなどが加盟するチェーンストア協会)、「有料化の対象は、いわゆるレジ袋に限定すべき。レジ袋が減少することでとくに中小の製袋業界は大きな打撃を受け、社会的混乱を招くことが予想されるため義務化の対象は広げるべきでない」(プラ工連)、「バイオマスや生分解性プラは有料化義務化から外してもらいたい」(チェーンストア協会)、「レジ袋の販売価格が競争原理にならないように願いたい」(スーパーマーケット協会)など。
高村委員(東京大学未来ビジョン研究センター教授)はこれらの課題を整理する形で次のように述べた。「有料化の価格は最低の部分は決めるべきかと。たとえば0.1円でもいいということになるとおかしな具合になる。消費者に混乱を起こさないようにすることは大切。禁止ではなく有料化であることを周知した方がいいのでは。また生分解プラなど(有料化の)例外は少なくする。混乱が起きないように。必要なら有料化にしてもいいかと。実施時期は一定の配慮が必要と思う。また有料化で得た売上はプラの削減の使途とするとか条件を設けるべきと思う」。
中村委員長は「バイオマスプラスチックをどうするか。例外にするには裏付けが必要になる。かなり時間がかかる。時間的制約を考えると別な委員会なりで議論すべきか」とコメント。バイオプラについては委員の中からも「数%入っていてもバイオというのか。隠れ蓑になりかねない」と危惧する意見が出された。第2回目は10月11日に開催の予定で、引き続き関係団体のヒアリングが行われる。
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令和元年9月12日開催 中央環境審議会循環型社会部会 第30回
中央環境審議会循環型社会部会(部会長・酒井伸一京都大学教授)は9月12日、今年度2回目となる会合を開催した。議題は第五次環境基本計画の点検の進め方と、第四次循環基本計画の中の重点分野の柱のひとつである「万全な災害廃棄物処理体制の構築」。最近、災害が頻発していることもあり今回の会合では災害廃棄物処理体制の構築について絞り込んで審議が行われた。自治体の災害廃棄物処理計画策定率は、中小の市町村で低い。計画策定率を高めるにはどうするかが課題として取り上げられた。
自然災害が多発している
部会開催に先立ち山本昌宏環境再生・資源循環局長があいさつを述べた。山本局長は本日の部会の審議のテーマは、第四次循環基本計画の中で重点分野の柱のひとつになっている万全な災害廃棄物の処理計画の構築であると述べ、さらに新大臣就任について触れ、「昨日、新大臣として小泉進次郎大臣が着任されました。非常に若くて発信力がある大臣ということでありますので、環境行政、一段も二段も頑張ってまいりたいと思っております。そういう視点からも本日は忌憚のないご意見を賜ればと思っております」と語った。
令和元年度は自然災害が頻発している。6月18日の「山形沖を震源とする地震」を皮切りに、6月28日?7月5日にかけては九州南部を中心とする「6月下旬からの大雨」、8月26日~29日の「前線による九州北部の大雨」、佐賀県大町町において鉄工場からの油の流出により、油の回収や油混じりの廃棄物処理が課題になった8月26日~29日の「前線による九州北部の大雨」は記憶新しい。9月3日、4日には「岡山県と三重県で局所的な短時間大雨」。そして9月9日には非常に強い勢力の「台風15号」が首都圏を直撃。千葉県では地域によっては屋根の破損が多く見られ、広範囲に停電が長期化するなど甚大な被害が生じた。これら自然災害による家屋の全壊や半壊、一部破損、床上浸水、床下浸水などの被害はかなりの数に上る。廃棄物処理計画策定、中小の市区町村に遅れ
自然災害が頻発している一方で、自治体の災害廃棄物処理計画の策定は、とくに中小規模の市区町村に災害廃棄物処理計画策定の遅れが見える。1741区市町村のうち処理計画を策定しているのは平成29年度末で475件。27%の実績だ。人口規模別でみても人口の少ない市町村ほど策定率は低い。
「小さな市町村は人が足りない。都道府県の担当者が指導すべき」
「なぜ計画できていないのかとか、絞って(審議)したらどうか。九州の大雨では油の問題が出てきた。自分たちの地域にはどういう化学物質があるのか把握しておく必要があるのでは」「策定できない理由を。どの程度の計画内容を要求するのか。行政が計画立てようとすると緻密にとなってくる。全体の方針みたいなものがないよりは、あったほうがいい」などといった意見が出席した委員から出された。処理計画策定に向け国、都道府県が支援
環境省は「計画内容ですが、どんな災害が起きても対応できる計画と考えている。どこに仮置き場をつくって、搬入出、業者と協定ということも求められる。実効性のあるもの。まずつくってもらう。中小規模の市町村については国や都道府県がサポートするよう進めている。一つの市町村では収まらない。ブロック同士でどうかということを国が入って進めている」とした。
計画策定の課題について環境省が自治体にアンケート調査した結果によると、市町村(1741自治体)では「専門的な情報や知見が不足」(71.7%)、「作成にあたる職員や時間が確保できない」(63.3%)の2つが最も多く、「職員の異動等によって計画の維持管理が難しい」(31.4%)、「職員の教育・訓練が継続できない」(15.6%)などとなっている。環境省は処理計画策定のための標準ワークシートを作成するなどして進めていく方針だ。 -
令和元年8月9日開催 産構審・中環審合同会合 小型電気電子機器リサイクル制度
今年度第2回目となる経産省と環境省による小型家電リサイクル制度の合同会合が8月9日開催された。今回は関係者13団体からの取組みに関するヒアリングが行われた。なかでも自治体およびリサイクル認定事業者の取組み状況からは、小型家電リサイクルを進める上で採算が非常に厳しい状況に陥っていることや、とくに認定事業者からは採算面に加えて廃プラの処理、リチウム電池による火災の発生などが報告されるなど、改めて課題が浮き彫りとなった。
名古屋市は平成28年度から逆有償に
合同会合でのヒアリング対象団体は、自治体から名古屋市、小金井市、リサイクル認定事業者は金城産業(愛媛県松山市)、ニッコー・ファインメック(岩手県一関市)、さらに大手家電流通協会やメーカー関係の電子情報技術産業協会など13団体。
名古屋市(人口230万人)は、小型家電リサイクル法施行後すぐに環境省へ実証事業の公募申請を行い、採択されたことで平成26年2月から回収を開始した。回収方法は「ボックス回収」を導入。区役所や支所、総合スーパー、ホームセンターなど計58カ所にボックスを設置した。広報宣伝として市の広報紙はもちろんのこと、テレビ・ラジオの媒体を使ったり、地下鉄主要駅のホームや地下鉄・市バスでの車内広告、新聞折込みチラシなどでも周知した。対象の小型家電は、パソコン、携帯電話、デジカメ、ヘアドライヤー、音響機器などボックスの投入口に入るもの。ボックス費用、広告関係の費用は環境省の補助金で賄われており、4000万円ほどかかったようだ。
スタートした平成26年度は約111トンの回収実績だったが、平成30年度は約166トンと増加。しかし、契約単価は平成28年度から「逆有償」になっており、今では逆有償額が㎏56円と市のごみ総処理原価(㎏58円)と同額近くになっている。またリチウムイオン電池が原因と考えられる発火事故が平成30年度は43件も発生している。「事業を継続していくには自治体の負担軽減が必要。製造・販売事業者がコスト負担する制度が望ましい。小型充電式電池は事業者による回収・処理体制が必要ではないか」(名古屋市)と述べた。小金井市は売却費㎏0.1円も今年度から逆有償に
東京小金井市(人口12万1000人)の場合は平成27年度からの開始で、「ピックアップ方式」をとっている。燃やさないごみ+粗大ごみを収集し、中間処理施設で小型家電を含めた家電類を選別して認定事業者に引き渡す。拠点回収にすると人員の配置などが必要になる。同市の場合は有料袋による戸別回収のため現在の形になった。
平成30年度に選別して引き渡した家電類は約211トン。売却単価は㎏あたり0.1円。トンにすると100円だから売上総額は2万1000円あまり。この単価、認定事業者との取り決めで平成27年度から固定されている。ただ「今年度からは逆有償になった」(小金井市)という。また、㎏0.1円という売却単価については、「収集の委託費はない。選別は古い工場で狭いので、委託の人員を1名増やした。0.1円であっても費用削減できていると思う」とした。今後の取組みについては「宅配便を活用した回収」を本年6月から実施するとしている。認定事業者と協定を締結する市民が、指定の段ボール箱に入れて送るというもので、宅配費用は市民に負担してもらう。「市は逆有償になる部分を削減できる」(小金井市)。四国での地産地消を目指す。プラのマテリアルが課題
リサイクル認定事業者の金城産業(松山市)が報告に立った。「四国は人口340万人しかいない。毎年人口が減っている。破砕選別技術もあるので小電リサイクルをやろうと。四国の中で地産地消をしていこうと思った」。小電を手掛けた背景について同社金城正信氏は説明する。同社は金属スクラップを中心とした総合リサイクル業。創業は1927年だから90年にもなる歴史を積む。小電リサイクルは2013年に認定事業者になり、ここから取組みがはじまる。回収先割合は2014年と比較して2018年は「量販店回収」が13%から19%に増えた。量販店の量は2倍になったという。「自治体からの回収」は87%から80%に低下した。回収や持込まれた小型家電は、事前選別・手分解でリチウム電池などを取り外す。このあと機械による破砕・選別が2段階で行われるという処理フロー。
処理にあたっての課題は発生する「廃プラ」と「電池」。「廃プラは55%を占める。マテリアルをやりたいが困難を極める。木くずや繊維くずを使っているものが多い。高純度のプラにしないとコンパウンドメーカーは使ってくれない。今後これに取り組んでいく。ただプラを高度に選別しても使ってくれなければ何にもならない」と金城氏。また「リチウム電池が原因と思われる火災が今年度発生し、市民に迷惑かけた」と述べた。採算については「単独では採算とれていない。6年目で利益出そうと思ったが、8年でトントンにしようと。沢山集めないと。精錬所にも交渉しやすくなる。ただ品目の絞り込みは考えていない。いいとこ取りはできない。地産地消でやりたい」。貴金属含有量は少量。電池による火災のリスク大
認定事業者の2人目はニッコー・ファインメック㈱(一関市)の小野寺真澄氏が報告。同社の特徴のひとつに「回収」がある。東北6県の産廃収集運搬ルートで同社のドライバーが回収。発生量が少ないので「ついで回収」で十分対応が可能としている。契約品目を4分類してどこまで取り組むかを自治体と相談して進めている。メニューは「有償」「無償」「逆有償」とある。「いまは無償なら何とかなるというのが増えつつあるが、費用がかかる逆有償ならやらない、というのが現実」と小野寺氏。無償でやるのも難しくなっているが、これが課題のひとつのようだ。
また同社では貴金属の回収と精錬を行っており、高品位の部材は工場でインゴットに仕上げて売却している。しかし「希少金属の含有量はごく少量。小型家電は貴金属というイメージを植え付けてしまった。儲かるという。失敗だったと思う」。電池が原因と思われる火災にも言及した。「火災が前提で電池を外している。火災のリスクと隣り合わせ。外すのは難しい。プロの人員でも見落としがち。それにコストもかかっているのを理解してもらいたい。解体コストを負担してもらうのがいい」。前出の金城産業と同様、小電の場合は「廃プラ処理が大きくのしかかっている」という。採算面では「トントンか若干のプラス。地域回収しかしない。イベント回収はしていない。量は少ない。今後小電の場合、貴金属の使用が減っていく。今後は厳しくなるだろう」。
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令和元年8月1日開催 環境省「全国廃棄物・リサイクル行政主管課長会議」
環境省は8月1日、都内で「全国廃棄物・リサイクル行政主管課長会議」を開催した。廃棄物・リサイクル対策の現状や国の施策、方向性などについて全国の都道府県及び政令市の担当者に説明するとともに協力を要請するもの。午後2時から約2時間半にわたって行われた会議では、循環型社会、リサイクル、一般廃棄物、災害廃棄物、浄化槽、産業廃棄物などについてそれぞれの担当者が駆け足でポイントを説明した。項目は多岐にわたるが、なかでも環境再生・資源循環局の山本局長が冒頭のあいさつの中で述べた災害廃棄物、廃プラスチック、施設整備関係の3点が今回の要点といえそう。
循環産業の国際展開支援
「3Rイニシアチブ推進と循環産業の国際展開支援」については総務課・循環型社会推進室の土居課長が説明に立った。平成27年(2015年)の国連サミットにおいて、2030アジェンダが採択された。アジェンダ(計画)では持続可能な開発目標(SDGs)が掲げられ17のGoalが設定された。そのうちのGoal 12(持続可能な消費と生産)では、その細目として「12.2天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用の達成」、「12.3小売・消費レベルにおける世界全体の一人あたりの食料の廃棄を半減させ、生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」、「12.5廃棄部の発生抑制、削減、再生利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」ことが掲げられている。日本としても循環社会を形成することで、2030年度までにこれらの目標を達成していく必要がある。「SDGsの17の目標のうち、どのような内容を達成していくのかで予算が決まってくる」(土居課長)。
また「廃棄物・リサイクル分野における国際協力の取組み」ということでは、平成30年2月にフィリピンの「ダバオ市エネルギー回収型廃棄物処理施設整備計画」が無償資金協力案件として閣議決定され、「施設整備が加速する」(土居課長)。このほか、ヤンゴン(ミャンマー)においては、JCM資金支援事業による廃棄物発電施設の設計・建設が進み、焼却炉が平成29年4月に竣工している。「施設建設という日本の技術もそうだが、施設管理も必要になってくる。サポートしていく」(同)。循環型社会形成の推進
循環型社会推進とリサイクル推進については冨安室長が説明した。「第四次循環型社会形成推進基本計画」が平成30年(2018年)6月19日に閣議決定された。基本計画の構成としては、①持続可能な社会づくりとの総合的取組み~⑦循環分野における技術開発、人材育成、情報発信等の7項目に基づき策定した。これらの方向性の実現に向けて、おおむね2025年における数値目標を設定するとともに、国が講ずべき施策を示している。「この7つの項目のうち今年度は次の3つについて施策展開を考えている。②の多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化、⑤の万全な災害廃棄物処理体制の構築、⑥の項目である適正な国際資源循環体制の構築と循環産業の海外展開の推進」。
リサイクル関係はプラスチック対策が中心
リサイクルの推進は昨今話題になっている「廃プラスチック」が中心。令和元年5月31日に政府が策定した「プラスチック資源循環戦略」では、「基本原則として3R+Renewableとした。Renewable(再生可能)を入れたのがポイント。戦略ではマイルストーンとして6項目を掲げている」(冨安室長)。プラスチック資源循環戦略を柱に、「海洋プラスチックごみ対策」「省CO2型リサイクル高度化設備導入促進事業」「プラスチックスマートキャンペーン」とプラスチック対策に関する事柄は多く、最近では「G20大阪サミット」において、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロを目標にする「大阪・ブルー・オーシャン・ビジョン」が合意されている。
「家電リ法」については、回収率を平成30年度までに56%以上とする目標を達成するため、平成28年3月に各主体のアクションプランを作成し、取り組みを行った。その効果もあって平成29年度の回収率は53.4%と上昇し、目標達成にかなり近づいた。
一方、「小型家電リ法」による使用済み小型家電の回収量については、法に基づく基本方針における回収目標を「平成30年度までに年間回収量14万トン」とされているが、「達成は厳しい状況」(冨安室長)。
また「食リ法に基づく定期報告データの都道府県別集計」については、「市町村別にやっていくことをご承知おき願いたい」(同)と注意喚起した。一般廃棄物の適正処理の推進
一般廃棄物関係と災害廃棄物対策については名倉課長が説明に立った。一般廃棄物関係ではまず、「成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づく廃棄物処理法の改正」について触れた。成年後見人及び被保佐人であることを理由に不当に差別されないよう、各法律において定められており、欠格条項その他の権利に係る措置の適正化を図るための関係法律の整備に関する法律が令和元年6月7日に国会において成立し、同月14日に公布された。これを受けて廃掃法も一部改正する。「パブコメを実施の上、施行規則改正になる予定」(名倉課長)。
また、民泊に関して「住宅宿泊事業廃棄物の取扱い」について触れ、「規制改革会議で取り上げられたということもありまして事務連絡させていただきましたが、廃棄物処理法に基づき住宅宿泊事業主管局と連携の上、適切に対応していただきたい」と述べた。
「処理困難物」では、「エアゾール製品」と「リチウムイオン電池」について説明。とくにリチウムイオン電池関係は、火災など「最近色々事故が起きている」とし、市町村においては処理体制を検討していただきたい。それから排出者に排出の周知をしていただく。そしてリチウム電池を含む小型充電式電池の広域処理の認定を取得しているメーカー団体(一社)JBRCに出してもらうことを含めて検討をお願いしている」と説明。さらに今後も様々な調査を予定しており「例えばいろんな物への混入がどれくらいされているのかとか、今年度、来年度調査して事故のないよう対応していただくので調査に協力お願いしたい」と要請した。循環型社会形成推進交付金と地域循環共生圏
環境省は市町村の廃棄物処理施設への交付金予算として1085億円を計上している。ごみ焼却施設を新設する場合は、本年度から新たな交付要件が追加された。その要件とは、「施設の広域化・集約化」「PFI等の民間活用」「一般廃棄物会計基準の導入」「廃棄物処理の有料化の検討」を挙げている。広域化・集約化については平成31年3月29日の課長通知に基づき、各都道府県は計画を策定し、市町村はごみ処理の広域化・集約化について検討を行うこと。新たにごみ焼却施設の整備計画を進めるにあたっては、広域化・集約化の検討結果について循環型社会形成推進地域計画に記載して提出することとしている。
「廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏構築事業」では、廃棄物処理施設が地域のエネルギーセンターとしての役割を最大限発揮するような市町村の取組みに対しては、「やりやすいように補助金を整えていく」(名倉課長)。
「廃プラの処理の円滑化」について説明があった。中国が廃プラを禁輸したことから日本国内に廃プラが増大。産廃プラの処理に支障が出はじめていることを受けて環境省は、市町村施設での廃プラ受け入れに協力要請を通知(令和元年5月20日付け)した件だ。「少し誤解があるのは、この通知はあくまで緊急避難的なもの。産廃プラがダブついて処理が追い付いていない。仮に不適正処理されるのなら、余裕のある市町村に協力してくれないかということです。焼却に限らずリサイクル含めて、あくまで余裕のある範囲でということです」(同)。災害廃棄物対策は平時の備えを強化
「災害廃棄物対策」としては、平成27年に災害対策基本法を改正して平時からの備えを強化している。そのために関連規定と非常災害時における廃棄物処理施設の新設又は活用に係る特例措置を整備した。非常災害時の廃棄物処理の特例措置の適用には、市町村による条例が必要であるため、あらかじめ条例の制定について検討しておくことが重要になる。条例を制定している市町村としては、熊本市・広島市・堺市・浜松市・静岡市。藤沢市などとなっているが全体的に少ない。「施設に持って行こうとしてもその市町村が条例を制定していないので持って行けないという事例もある。こういう制度面でも条例制定をお願いする」と述べた。「自治体による災害廃棄物の処理に関する計画の策定」は、平成30年3月末現在で、都道府県85%、市町村27%となっており、市町村レベルがまだ低い。
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令和元年5月29日開催 中央環境審議会循環型社会部会 第29回
中央環境審議会循環型社会部会(部会長・酒井伸一京都大学教授)は5月29日、約1年ぶりとなる部会を開催。食品循環資源の再利用促進に関する基本方針(答申)や第四次循環基本計画の評価・点検の進め方、さらに廃プラの処理などについて審議した。食品循環資源の再利用基本方針については市町村の受入れなどについての意見が多く聞かれた。また行き詰まりがあるとされている廃プラの処理については、環境省が市町村での受け入れ協力要請を通知したが、これらを含めて様々な質疑が出された。
食リの基本方針案答申に向け原案了承
環境省から「食リの基本方針答申案」が説明された。第四次循環計画で事業系の食品ロス削減が示されたこと、市町村は食品廃棄物の発生抑制や再生利用について一般廃棄物処理計画に位置付けること、また民間の食リ事業が推進されるよう事業系一廃の料金を原価相当にすることなどが述べられた。
大迫委員(国立環境研究所)は「(市町村の)一廃の処理計画、国としてどのように支援していくのか。処理料金は原価相当という、それなりの価格はあると思う。自治体に考えてもらうが、国のほうも適切な技術指針の支援してほしい」と述べた。また中島委員(日本商工会議所)は中小への配慮をということで「市町村は事業系一廃を原価相当の料金徴収にという件ですが、中小企業は安い処理業者を選定しないと厳しい。激変緩和措置をお願いしたい」と要請。
こうした質問や意見に対する環境省の応答は「原価相当の料金は事業系、家庭系のバランスの中で議論を深めていくことになると思う。市町村対応は指針で触れていくと思う。会計基準の手引きは今年度今年度改正、有料化の手引きは来年度以降となるかと」。
質疑応答がほぼ済んだことから酒井部会長が「答申案は変更するまでの意見がなかったと思う。事務局が示した案でどうか」と諮り、出席委員から了承を取り付け原案通りとなった。循環計画の点検結果、今年度末に中間報告書
循環部会の今年度(令和元年度)は、「第四次循環計画」と「第五次環境基本計画」の2つの計画について、評価や点検を実施することになる。循環計画の点検は本年の夏ごろに各主体、関係府省のヒアリングを実施し、秋ごろに点検の中間報告をまとめ、来年冬ごろから春にかけて中間報告書を決定するとしている。
廃プラの焼却要請、市町村は困惑
報告事項としてプラスチック関係のことが説明された。「プラスチック循環資源戦略は、マイルストーンを大阪で開催されるG20に入れるべく調整している」(環境省)。ものの、中国の禁輸によって国内で廃プラの処理が行き詰まりを見せている。環境省は緊急措置として市町村に廃プラ焼却処理の協力要請を通知した。部会ではこれについて様々な意見が出された。
全都清の大熊委員は「自治体は困惑している」という。「市民に対して分別してくれとこれまで言ってきた。産廃プラを燃やすことを住民にどう説明すればいいのか。どの程度(処理が)ひっ迫しているのか。地域の中の産廃業者が困っているのならわかるが、地域外から持ってくるというのは難しい。どのくらいひっ迫しているのか、環境省から情報提供をお願いしたい」と述べた。全産廃連から情報得たい。あくまで緊急措置
「プラはリサイクル目標が出ている。将来的なことも考えてくれ」「どのくらい(自治体の)協力得られる見込みなのか。緊急避難的なものか、それとも……」「処理料金は民間の指標歪めることに気を付けないと」などの意見が出された。
環境省は「この件は全産廃連からの要望踏まえて要請した。自治体への情報はなるべく出す。ひっ迫の度合いは連合会から情報得たい。協力見込はこれからなので現時点ではわからない。あくまで緊急措置と考えている」とした。
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平成31年4月4日開催 食料・農業・農村政策審議会食料産業部会食品リサイクル小委員会、中央環境審議会循環型社会部会食品リサイクル専門委員会(農水・環境省合同会合第21回
農水省と環境省の委員による食品リサイクル法制度に関する合同会合が4月4日に開催された。食リ法の基本方針(案)に対して実施したパブリックコメントの結果報告や、基本方針改正(案)などが議論された。今回の改正の大きなポイントは「食品ロス削減」。第4次循環基本計画において、家庭から発生する食品ロス削減目標は2000年度比で2030年度までに半減すると設定されたが、今回の食リ法制度の改正でもこれに合わせる形で、事業系の食品ロス削減についても2030年度を目標年次として2000年度比で半減とする目標を新たに設定。合同会合でも了解された。
事業系食品ロス削減目標は2030年度までに半減
1年前倒しで行われた今回の「食リ法制度の在り方」審議の大きなポイントは、本来食べられるのに捨てられている規格外品、返品、売れ残り、食べ残しといった「事業系の食品ロス削減」。2015年の国連サミットにおいて全会一致で可決したSDGs(持続可能な開発目標)という世界の流れを踏まえて、食リ法でも事業系の食品ロス削減目標を、基本方針で今回はじめて明記した。事業系食品ロス削減の具体的目標は、2000年の食品ロス量547万トンを2030年度までに273万トンへと半減させるというもの。家庭系の食品ロス削減目標についてはすでに第4次循環基本計画で示されおり(2000年度433万トンを2030年までに半減)これと合わせる形とした。
再生利用実施率の目標、外食産業は据え置き
再生利用実施率に関する目標も示された。目標年度は2024年度で、食品製造業が95%と2019年度目標に変らず。食品卸売業は75%に設定され2019年度比で5%アップ。同様に食品小売業は60%になり5%アップの目標。問題の外食産業の目標は50%と2019年度に据え置きとなった。外食産業はこれまで実施率と目標が乖離している状況にあることから機械的に目標を引き上げるのではなく、発生抑制の取組みをより促進するとしている。なお、直近の再生利用実施率は2017年度の段階で、食品製造業95%(19年度目標95%)、食品卸売業67%(同70%)、食品小売業55%(同51%)、外食産業32%(同50%)となっている。
多量発生事業者の報告は都道府県と市町村へも
また、再生利用の手法がひとつ増える。きのこ類の栽培に使用される固形状の培地(菌床)への活用が追加された。年間100トン以上の食品廃棄物が発生する食品関連事業者には、食品廃棄物の発生量や再生利用の量に関して定期報告する義務があり、従来は都道府県への報告だったが今回の改正では、市町村がリサイクル行政に活用することなどを考え、市町村へも報告することになった。報告は電子申請でも可能とする。
納品期限や賞味期限の商習慣の見直しも必要
委員から質問や意見が出された。日本フードサービス協会の田村委員は「(定期報告などの)データの活用方法は。どういった活用をするのか」と質問。また、2017年度の外食産業の再生利用率が32%と前年より9%も上昇したことについて神戸大学経済研究科教授で中環審側の座長を務める石川委員は、「意外であり驚きだ。理由を明らかにしてほしい。分析する必要がある」と質問。牛久保委員(日本有機資源協会会長)は、食品小売業者への納品期限や賞味期限に関する商習慣の見直しを求めるとともに、「これを食品ロス削減への関心が高い消費者とどうリンクさせるかだ」と述べた。
これらについて事務局の農水省は、データ活用につては「すぐに(市町村の)処理料金に反映されるものではないが、フィードバックしていきたい」。また、外食の再生利用率について、「外食の場合100トン以上の定期報告対象事業者は全体の3割。報告義務のない100トン未満が7割となっている。定期報告対象事業者は38%から48%に上昇している。また100トン未満の事業者は16%から18%に上がっている。こうしたことから外食全体が上がったと思う。定期報告に関する事業者の同意ということについては「半分ぐらいしか同意してもらっていない。もっと上げて行きたい」。商習慣の見直しについては、「セミナーを開催するのでそこで理解してもらう。トラックドライバーの不足で、配送に時間がかかる。オペレーションがきつくなっており、ムリ、ムダをなくすということにもつながる」と事業者に促していく方針。食リ法の基本方針改正案はこのあと、農水省、環境省それぞれの上部部会に報告され、公表していくことになる。
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