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令和2年9月8日開催 中央環境審議会循環型社会部会 第35回
環境省の中環審循環型社会部会(座長・酒井伸一京都大学環境科学センター長)は 9月8日、Web形式で会議を開催した。会議の議題は、①第四次循環計画の第1回点検報告と、②地域循環共生圏を踏まえた将来の一般廃棄物処理のあり方――の2つについて。第四次循環計画ではその中に「廃棄物分野における新型コロナウイルス感染症への対応」という項目を新たに追加し書き加えた。会議ではもっぱら新型コロナに関することと、人口減・高齢化が進む中での地域循環共生圏を踏まえた一廃の処理について意見が集まった。
処理業者はエッセンシャルワーカー
第四次循環計画の中に新たに加えられた「廃棄物分野における新型コロナウイルス感染症への対応」では、まず、感染症が確認されてから今日に至るまでの経緯と政府の対応を時系列で説明。次いで廃棄物分野における対応として、(1)緊急事態宣言前、(2)緊急事態宣言期、(3)緊急事態宣言解除後、(4)対応のポイントの4つに分けてそれぞれの時期に環境省としてどのような対応をしてきたかを記している。また最後の「今後の対応」では、『廃棄物処理は、いつ何時も欠かさざる基幹的な社会インフラであり、実務を担う自治体及び事業者は、いわゆる「エッセンシャルワーカー」である』と、自治体、処理業者が生活維持に欠かせない仕事を担うエッセンシャルワーカーであると改めて強調している。
こうした環境省の説明に対して委員からは、「事業系ごみが減っている。処理業者さんは厳しい立場に追い込まれている。環境省として支援策は考えているのか」といった質問や、新たに新型コロナ対応を書き加えたのは「迅速な対応で、内容も安全にかかわる部分も十分書き込んでもらった」と評価する声も。また、「市民一人一人が廃棄物処理業者をエッセンシャルワーカーと認識して、日々の行動を変えることが処理業者の生活を向上させて、廃棄物処理事業を支えることにつながると思う。メディアを使った発信を工夫して国民の意識を高めるような施策をお願いしたい」といった注文も出された。
環境省からは事業系ごみの減少について「処理業者の経営が状況も悪化しているという話も聞いている。政府全体で支援策設けているので周知に努めたい」と言うに留めた。また、エッセンシャルワーカーとしての認識については「今後どうやっていくか考えたい」とした。将来の一般廃棄物処理、地域産業との連携想定
議題の2つ目、地域循環共生圏を踏まえた将来の一般廃棄物処理のあり方では、人口減少と高齢化が急速に進み、一般廃棄物の減少に伴って自治体の焼却施設も将来は減っていくことなどをデータ示しながら環境省が説明。こうしたことをもとに、資料の中には地域循環圏を踏まえた一廃処理のあり方のイメージ(たたき台)を出してある。イメージでは地域産業と一般廃棄物処理の連携・組み合わせを想定している。「議論してもらいブラッシュアップを図りたい」(環境省)。
委員からは「今後の人口減による財政難を考えたら、効率的に事業を行えることができる事業主体の参画が必要。民間事業主による処理の活用が必要では」といった民間活用の必要性を指摘する意見や、地域循環圏を踏まえて進めていくには「人材が大きなポイントになる」との意見も多かった。さらに「人口減少と高齢化が急速に進んでいる。この場合、廃棄物を出さないことが大事。人的な負担や費用の負担も減らさないと。人口減少の中での廃棄物問題。全体を考えないといけない時代になった。他のインフラとの統合含めて、どういう国土形成にしていくかを考える必要がある」との指摘もあった。
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令和2年9月1日開催 中環審・産構審プラスチック資源循環戦略合同会議第5回
「プラスチック資源循環戦略」の第5回合同会議は9月1日、Web形式で開催された。今回は、前回の合同会議(7月21日)で出された「基本的方向性(案)」について委員から指摘された箇所を改めて修正し示した。「基本的方向性(案)」は今施策の『総論』にあたる部分。システムや制度設計など法的問題を含めた具体的な施策についての『各論』は次回以降から検討に入る。
冒頭の「考え方」の部分を修正
「基本的方向性(案)」は、大項目として「Ⅰ考え方」と「Ⅱ主な施策の方向性」(家庭や事業者から排出されるプラスチック資源の分別・回収・リサイクルやバイオプラなどの代替素材、分野横断的な促進策……等々)の2つで構成されている。大きく修正が加えられたのは主に「Ⅰ考え方」で、冒頭に出てくるセンテンスの7行はそっくり新たな言葉に書き変えられた。それは次の通り(『』の部分)。
プラスチック資源循環戦略(令和元年5月31日・以下戦略)『では、その展開を通じて、国内でプラスチックを巡る資源・環境両面の課題を解決するとともに、日本モデルとして我が国の技術・イノベーション、環境インフラを世界全体に広げ、SDGsでも求められている地球規模の資源・廃棄物制約、海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題等の同時解決に貢献し、資源循環関連産業の発展を通じた経済成長・雇用創出など、新たな成長の源泉としていくこととしている。』
また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、衛生目的を中心としたプラスチックの果たす役割が認識されているとともに、『エッセンシャルユースの増加などプラスチックの排出実態の変化等も生じている。このような状況を踏まえれば、回避可能なプラスチックのリデュースの徹底をはじめとする”3R+Renewable”の基本に沿った対応がこれまでにも増して重要となる。』と加筆修正した。
さらに環境面としては、『大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に向けても取り組む必要がある』と加えた。回収・リサイクルも一部追加や修正
「Ⅱ主な施策の方向性」の修正部分は、2.効果的・効率的で持続可能なリサイクルの(2)に示したプラスチック資源の回収・リサイクルの拡大と高度化の中で、各主体の連携協働と全体最適化を通じて、費用最小化と資源有効利用率の最大化を社会全体で実現する、持続的な回収・リサイクルシステムを進めることとしており、『これらを通じて、リサイクルの質と量を向上させることが重要である。』と追加。
また、4分野横断的な促進策の(1)に示す消費者の理解・協力の促進では、リデュース・リユース、分別リサイクル、代替素材利用の一層の促進にあたっては、消費者の理解・協力が不可欠であり、『我が国のプラスチック資源循環の現状や各主体の取組み状況等のファクトを消費者はもとより国際社会に対して幅広く発信するとともに、リサイクルの見える化等の』普及啓発・広報や環境教育を『NGO等とも連携しつつ世代を問わず』進め、エシカル消費をはじめとする消費者のライフスタイル変革を促す。と新たな文言を差し込んだ。
さらに、(3)のESG金融による取組みの後押しについては、投資家及び企業双方に向けたプラスチック資源循環分野のESGガイダンスを策定し、プラスチック資源循環に率先して取り組む企業がESG金融に取り組む投資家等に適切に評価され、『企業価値向上と国際競争力につながる』共通基盤を整備する。と追加した。法的な議論は避けて通れない
修正された「基本的方向性(案)」について各委員からは「政府の取組みが十分でないのでは」「利用拡大は、業界ごとの利用の目標値をつくるとか、業界団体として利用率の目標値がわかればいいと思う」などの意見のほか、「法律を変えて担保していくことが必要」「今後、具体的な施策に入っていくが、これまでのアプローチはなじまない。課題も多くある。法的基盤をどうするかは大きい」とする法的な指摘もあった。「コロナで新しい流れができてきた。どういう素材にするかとか知恵を出していきたい。自治体もかなり変わる。地域循環共生圏もある。早く例示を示してもらいたい」というリクエストも。また「どういう形でリサイクルされるのか見える化が大事だ」という指摘も。
これらの意見に対して環境省は「具体的な施策の中で議論していきたいと考えている。法的なことも今後の議論になる。SDGsを入れたのはみんなで取り組んでいくんだということで出してある。自治体に関しては現場なので(地域循環共生圏など)そういうこと考えて議論したい」。経産省も「多様性認めながら包括的な仕組みを考えていきたい」とそれぞれコメント。「基本的方向性(案)」は酒井委員長に一任され、環境省・経産省と共に修文してまとめていく。
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令和2年7月21日開催 中環審・産構審プラスチック資源循環戦略合同会議第4回
「プラスチック資源循環戦略」の第4回合同会議が7月21日Web形式で開催され、「今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性(案)」が示された。家庭から排出されるプラスチック類はすべて(容リ制度対象プラ+製品プラ)分別収集してリサイクルすることになる。事業系プラも回収リサイクルしていく――というのが方向性(案)の大筋だが、今回の方向性(案)はいわば「下書き」に近い。具体化するには法的な課題など様々あり細部の詰め、制度設計はこれからになる。
「環境・経済・社会の三方よし」目指す
「方向性(案)」は大項目として、「Ⅰ.考え方」「Ⅱ.主な施策の方向性」――の2つから構成されている。「Ⅱ.主な施策の方向性」が肝になる。「Ⅰ.考え方」は、昨年5月に策定した「プラスチック資源循環戦略」の取組みを進めることで、環境・経済・社会の三方よしを目指すとしている。具体的には、①環境=プラスチック資源循環の高度化に向けた環境整備の具体化を通じて、資源・廃棄物制約、海洋プラごみ問題、気候変動問題等の同時解決に貢献する。②経済=プラスチック資源循環への貢献を我が国の成長分野と位置付けて投資ができる環境整備を進める。③社会=少子高齢化への対応や消費者のライフスタイルの変化を促す。
家庭から排出の容リプラとプラ製品、事業所からのプラも対象
「Ⅱ.主な施策の方向性」は、次の4つの項目を立てた。1.リデュースの徹底、2.持続的なリサイクル、3.バイオプラなど代替素材の利用促進、4.分野横断的な促進策。中でも2.持続的なリサイクルに記述の多くを割いており、そこでは(1)家庭から排出されるプラスチック資源の回収・リサイクル。(2)事業者から排出されるプラスチック資源の回収・リサイクル。(3)効果的な回収・リサイクルの基盤整備――の3つに分けて整理している。
(1)家庭から排出されるプラの回収・リサイクルについては、プラス容器包装とプラ製品は、市町村での分別収集及び事業者による自主回収を一体的に進め、最新技術で効率的に選別・リサイクルする体制を確保するとしている。また、市町村とリサイクル事業者で重複している選別等の中間処理を一体的に実施することが可能となる環境を整備する。さらに事業者による自主回収ということでは、食品トレーやPETボトルをはじめとして、店頭回収や拠点回収等の自主回収が進められてきたが、課題も指摘されていることから、プラ容器包装・製品を円滑に自主回収・リサイクルできる環境を整備する。
(2)の事業者から排出されるプラ資源については、各業種の実態を踏まえ、排出事業者が自らのプラ資源を高度リサイクルする取組みが円滑に進むよう環境を整備するとともに、事業者から排出されるプラ資源を市町村が回収する場合には、家庭から排出されたものとまとめてリサイクルできる環境を整備するとしている。
また(3)の回収・リサイクルの基盤整備としては、プラ資源の性状に応じた最適な手法の選択が可能となるよう、必要なリサイクル・熱回収の技術開発と社会実装に向けたインフラの整備を支援する。プラ資源循環の法的基盤求める意見も
「方向性(案)」について委員からは次のような意見が出された。「一体的回収は大切だが、市町村によって容リをやっているところとやっていないところがある。また圏外にしかリサイクル施設がなければ積み替え保管施設が必要になる。そういう自治体にあった経済的支援をお願いしたい」「やみくもに集めればいいというものではない。高度なプラが大切。まず、集めてきて考えるではダメ。消費者にもわかりやすい回収が必要。店頭回収で質のいいものを集める。容器包装だけでなくその他も。一括回収が本当にいいのか、慎重に考えた方がいい」
法律に関しても意見が出された。「(プラという)素材に着目して資源循環を進めるというのは今までなかった。それを法としてやるのか、自主的にするのか。レジ袋有料化は容リ法の判断基準省令を利用したが、あまり負担にならずにワンウエイが削減されている。あまり頑なでなく、ソフトの取組みで出来ると思うし、今の環境では適しているのではないか」「どういう法的基盤をつくるのか。プラスチックを包括的に一体的に(資源循環を)実施できる法的基盤をつくってもらいたい」秋口から本格的な検討に
これらの質問に対して環境省、経産省がそれぞれコメントした。経産省は「事業者が取り組むべき意義とか、なぜ取り組まなくてはならないのかをもっと打ち出すと、事業者にとってもビジネスにつながるのではないかと理解しました。法的基盤はどういう制度が必要なのか、議論していきたい。一括回収に対応できないリサイクラーの支援はもっともだと思う。地域の再生事業者との連携は確かに必要。検討していきたい」
また環境省は「法的基盤は今後の話し。法制度の議論は秋口以降になると思う。リデュース、排出抑制が進むよう秋口の議論でしっかり考えていきたい。一括回収は地域横断で進める。廃掃法のスキームあるがこれも重要な観点と思っている」
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令和2年7月8日開催 廃プラの輸出に係るバーゼル法該非判断基準策定検討会第2回
環境省の第2回「廃プラスチックの輸出にかかるバーゼル法該非判断基準策定のための検討会」が7月8日、ウェブ会議で開催された。2019年スイスジュネーブで開催されたバーゼル条約の第14回締結国会議において「特別な配慮が必要な廃プラ」の輸出を規制対象とすることが規定された。「特別な配慮が必要な廃プラ」とは、ようするに「汚れた廃プラ」を指す。環境省は当該廃プラが規制対象に該当するか否かを判断するため、国内における判断基準を策定することとした。第1回目(6月10日開催)に続き、今回の第2回検討会ですでに判断基準はほぼ固まった。判断基準(案)では、たとえばPETボトルの輸出の場合、規制対象外とするのは「裁断され、フレーク状になっていること」などいくつかの条件を挙げている。この夏に判断基準(案)をパブリックコメントにかけ、修正した後に公布、公表される。バーゼル条約の発効は来年1月で、バーゼル法もこれに合わせる形だ。
前回会議での委員の指摘、厳しすぎるという空気感
前回の検討会(6月10日)で出席委員からは環境省の示す判断基準案に対して様々な意見が出された。以下に少し記すが、全体として厳しすぎるという受け止め方ができる。
・臭気や見た目等、事例紹介された条件で、原案 に入っていないものについても検討すべき。
・単一樹脂の条件について、選別の現場ではPEに若干のPPが混ざることやその逆もある。物性 は若干落ちるが、リサイクルは可能。「単一」の意味が、純度100%となるとリサイクルを 阻害する可能性もある。
・ベール品を輸出不可とする案では輸出が成り立たなくなる懸念がある。
・キャップやラベルは若干でも混ざると色付きのフレークになる。無色透明が規制対象外の条件になると、ラベルやキャップの混在は許容されないことになる。規制対象外の廃プラは基本、製造工程から排出だが
このような指摘を受けて今回の検討会では、部分的に加筆・修正した判断基準(案)を提示し環境省が説明。その判断基準案は、対象となる廃プラを大きく2つに分けて示している。(1)「複数のプラスチック樹脂の混合がないものの該非判断基準」。もうひとつはPETボトルを念頭に置いた(2)「複数のプラスチック樹脂(PE,PP,PET)の混合があるものの該非判断基準。
(1)については規制対象外とするものとして、「単一のプラスチックで構成されていること」など4つの条件を満たすことが外部から確認できることとしており、規制対象外の例としてペレット、フレークを挙げている。またベール品については前回の判断基準案では認めていなかったが、修正を加えた今回の判断基準案では規制対象外のベール品として「製品の製造工程から排出され、汚れの付着、異物がなく、内容物が均質であり、輸送の途中で汚れが付かないよう外側が透明なフィルム等で覆われているもの」と追記している。
こうした説明に対して複数の委員は「製造工程から排出された」という書きぶりが引っかかるようで、佐々木委員(中央大学教授)は「製造工程からなのか、使用済みのものなのか混乱しないか」と質問。永井委員(全国産廃連)も「生産工程、産廃というのがわかりにくい」と注文をつけた。プラ協の犬飼委員は「再生事業者さんがどうなのかなと。プラパレットを洗浄・破砕して出しているところがある。製造工程から出ているのと同じ。こういうのは(規制対象外に)入れてほしい」と要望。
質問に対して環境省は「(バーゼル法の)輸出の相談の中で、どこから(廃プラが)出たのか確認があります。相談を受けた情報を税関の職員で共有するようになっている。製造工程で出たとなればOKで、そうでなければ……という仕組みになっている。運用の面で処理できると思う」「製品の製造工程のところの判断基準については、運用する中で現場が混乱しないように検討していきたい」とした。PETボトルは裁断、フレークなどが条件
「該非判断基準案」の2つ目はPETボトルについてだ。容リ制度の引取り品質ガイドラインなども参考にしている。規制対象外とするには「ボトル、ラベル、キャップ以外のプラスチック樹脂は含まないこと、裁断されフレーク状になっていること」などA~Cの条件を満たすことが求められる。ラベルはポリスチレン(PS)が使用されていることが多い。バーゼル条約上、PSが入っていると規制対象になるので、ラベルも含まないことが必要とした。ただし、わずかなラベルの混入は避けがたく、またわずかなら環境上適正な方法でリサイクル可能なため、わずかな混合なら規制対象外とするとしている。前回の基準案よりも緩和されているものの、ボトルのプレス品は規制対象になるといえる。
PETボトルに関してはほとんど意見が聞かれなかった。「該非判断基準案」は座長(小島道一東アジア・ASEAN経済研究センター)に一任され必要な修正が加えられ、今夏にパブリックコメントにかけられる。そのあと公布、発表になる。
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令和2年6月23日開催 中環審・産構審プラスチック資源循環戦略合同会議第3回
環境省中環審と経産省産構審による「プラスチック資源循環戦略」の第3回合同会議は6月23日Web形式で開催。前回に続き今回も関係者のヒアリングが行われた。ヒアリングは自治体として名古屋市、日野市、企業からはライオン、パナソニック、すかいらーくHDなど8団体が取組みや課題などを説明したが、なかでも名古屋市と日野市は容リプラに加えて製品プラも分別収集している(名古屋市は実証事業のみ)のが特徴的で、これについて委員からも多くの質問が出された。
容リ包装プラと製品プラの一括収集、名古屋市が実証事業
名古屋市(人口:約232万人)は環境局の竹内環境局長が、同市のプラスチックごみの現状と課題について説明した。平成30年度のプラスチック(PETボトルを除く)の総排出量は11.2万トンとなっている。内訳は「家庭系プラ」が6.6万トン、「事業系プラ」は4.6万トン。このうち資源化されたプラは2.6万トン(家庭系の容リプラが2.2万トン、事業系プラ0.4万トン)。残る8.6万トンのプラはごみ処理されている。
プラスチック資源循環に向けた課題として、①同じプラスチックでも容器包装は資源、製品プラは可燃ごみに区分され、市民にとってわかりにくい。②製品プラは可燃ごみに区分され、リサイクルされない。③事業所から出るプラ容器包装はリサイクルの対象外(可燃ごみ)で、家庭の分別ルールと異なることが分別意欲低下の一因――などを挙げている。こうしたことから、プラスチック全般のリサイクルを促進する環境整備が必要とした。
市では平成30年2月の1カ月間、市内4000世帯を対象に環境省の「プラ製容器包装と製品プラの一括回収・リサイクル実証事業」を行った。一括回収したプラは資源化施設で選別・リサイクルへ向けられる。実証事業の結果はプラスチック資源回収量が15%増加し、「分別方法が分かりやすかった」(77%の市民)、79%の市民から「一括回収を望む」との意見が出されたという。東京日野市は本年1月からプラごみ全般を分別収集
東京日野市(人口:約18万7000人)は、環境共生部の福田参事がプラごみの資源化について説明した。同市は本年1月から対象をプラスチックごみ全般(容器包装プラと製品プラ)とする分別収集をスタートさせた。「資源化率の低迷」(34%、多摩地域30市町村中21位)、「激増するプラごみ」(家庭系不燃ごみの約6割近くがプラ)、本年4月から本格稼働する可燃ごみの共同処理施設(日野市、国分寺市、小金井市)では地元から規模の縮小要望があがっている――ことなどが実施の理由。
容器包装プラと製品プラの両方を「プラごみ」で収集する。製品プラは、ハンガー、おもちゃ、バケツ、洗面器、歯ブラシ、コップ、文具など様々。収集されたものは資源化施設に搬入、プラ容器包装は容リルートへ、製品プラは資源化業者に渡される。リサイクル率は市によると容器包装プラのみを分別収集していたら22%だが、製品プラを含めると49%に達すると試算している。製品プラの資源化はRPF(固形燃料)に
名古屋市と日野市のプラごみ収集・資源化について、委員から質問が相次ぐ。「名古屋市さんに。製品プラはたぶんRPFに回しているのだろうが、再商品化に適した回収はあると思うがどうか」(森口委員・国立環境研究所)、「名古屋市と日野市に。製品プラも一緒に集めると回収量増えるがコスト増にもなる。が、ごみが減るということでいいのか」(崎田委員・環境カウンセラー)、「名古屋市と日野市に。どのように資源化しているのか。RPFかその他か」(佐藤委員。弁護士)、「日野市さんに。不燃ごみからプラを分けた後の処理は」(青野委員・大阪市)等々。
質問に対して名古屋市は「プラ容器包装と製品プラの一括収集は(1カ月間の)実証事業しかやっていない。通常、製品プラは可燃ごみとして処理している。プラ容器包装は容リルートに回している」との答え。
日野市は「製品プラを集めているのは、ごみ減・資源化ということで進めている。容器包装プラは容リ協会へ、製品プラはRPFになる。今後、ひとつの(種類の)プラだけ集めて資源化できないか検討する。製品プラも収集するとコストは1億7000万円ぐらい。収集については今までトレイを集めていたが一括になったので収集費用増にはなっていない」と述べた。ライオンの取組み容器の小型化、詰め替え用品など
また、洗剤などで知られるライオンは、生産技術本部の岡野本部長が「台所用洗剤」や「衣料用洗剤」のプラ容器について説明。洗剤の濃縮化によりボトル容器が小さくなっている。リデュースだ。これによりプラスチックの使用量が削減されている。台所用洗剤容器は43g⇒32gと26%減や、衣料用洗剤容器は116g⇒71gで39%減という例を示した。また容器の再使用ということでは「つめ替え」用品を増やした。プラスチックの使用量削減につながっている。
さらに、台所用洗剤の容器は再生PET樹脂を使用(リサイクル)や、バイオマスプラを衣料用洗剤容器に活用(リニューアブル)し石油由来のプラ使用量を減らすなどの取組みを示した。
委員からは「こうした取組みは、業界間の連携が進めばいいと思うがどうか」といった質問が出された。ライオンの岡野氏は「その通り。具体的になっていないが、健全な競争と協業を進めていきたい。個人的には詰め替え製品は、安かったから(需要があった)と思う。お客との向き合い方とおもう」と語った。次回の合同会議は、方向性についての取りまとめが議論される。
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令和2年5月26日開催 中環審・産構審プラスチック資源循環戦略合同会議第2回
境省中環審と経産省産構審の「プラスチック資源循環戦略」の第2回合同会議が5月26日に開催された。新型コロナの影響で今回もWeb形式によるもの。今回と次回は関係者のヒアリングを行う予定。今回は、持続可能な社会をつくる元気ネット、CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)、日本フランチャイズチェーン協会、日本プラスチック工業連盟など7団体が取組みや意見を述べた。コンビニに設置されているPETボトル自動回収機のシステム評価や新型コロナの影響によるプラスチックの状況などについて意見や質疑が交わされた。
コンビニでのPET回収は新たな回収拠点
アリングのトップは「持続可能な社会をつくる元気ネット」。事務局長の鬼沢氏はコンビニのセブン-イレブン東大和市(東京都)の市内14店舗が、PETボトル回収機を設置していることについて触れ、「市民の資源回収拠点として活かせる」と説明。
このあとの日本フランチャイズチェーン協会もセブン-イレブンが設置を進めているPETボトル回収機について述べた。全体で820台の回収機を設置しており、2019年度は9800トン、約3.6億本のPETボトルを回収し、ボトルtoボトルに資源循環させた。ポイ捨て防止にも一役買っているとした。
ただ、課題もある。回収機によるPETボトルの資源化は行政による周知・広報なども必要で連携が求められるが、「市町村によってPETボトルに対する温度差があり、産廃だから都道府県政令市(の管轄)なのでと言われることもある。するとマニフェストが必要になるなどコストが増える。見解をひとつにしてほしい」(フランチャイズチェーン協会)と要望した。新型コロナによりワンウエイプラ増加
日本プラスチック工業連盟(プラ工連)は、新型コロナ感染拡大による「新しい日常生活様式」によって、ワンウエイプラ容器が増えていることから「ワンウエイ製品の機能や役割を再評価すべき」と述べる。スーパーマーケットではウィルス感染を防ぐため、パンや総菜をラップで包んだり個別包装して販売するケースが増加。また在宅勤務のためのテイクアウトや宅配でも個別包装の需要は伸びている。こうした傾向は今後も続くとし、ワンウエイプラを一律規制するのではなく、用途に応じた目標設定、使用後の回収・資源化をセットで考える必要があると訴えた。
新型コロナの影響に関して高村委員(東京大学教授)は、「ワンウエイプラを使わざるを得ない。どういう新素材のものをつくっていくか。戦略を進める中で重要な視点だと思う」と意見を述べた。アクションプランを提示、産業界全体で取り組む
海洋プラスチックごみ問題解決に向けて経済界全体として取組み、持続可能な発展を推進する母体となることを目的に、経産省が音頭をとって昨年1月に設立した「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」は、同団体が作成したアクションプランを説明した。アクションプランは1~5まである。同団体の柳田氏は「新規ビジネスモデルをつくっていきたい」と意気込む。
アクションプランでは2050年にプラ製品の100%リサイクルを掲げている。これについて酒井委員(京都大学教授)は「サーマルを含めないということだが、感染の問題が出たときはどうするか」と質問。柳田氏は「サーマルは(リサイクルには)入れていない。目標なので新しい技術が出てくるかもしれない。一方で、(感染の問題などでは)サーマルは必要とは思うが、ミニマム化してリサイクル目標を達成したい」と語った。 -
令和2年5月12日開催 中環審・産構審プラスチック資源循環戦略合同会議第1回
昨年5月に策定された「プラスチック資源循環戦略」の具体化に向けて国が動きはじめた。5月12日に開催された環境省と経産省の第1回合同会議は、新型コロナウイルス拡大防止のため委員同士がインターネットを通じて映像や音声のやり取りを行うWeb会議方式で行われた。循環戦略で示された「マイルストーン」を達成するには容リプラだけでなく、製品プラや事業系プラなどすべてのプラスチックが対象になる。ただ、システム構築には課題が多い。委員からは既存の法律では限界がある。新法を制定して実施したほうがいいと思うとの意見も出された。
リサイクル量が増えると自治体財政を圧迫
合同会議は環境省・経産省それぞれの幹部のあいさつに続き、事務局の環境省がプラスチック資源循環戦略の重点戦略や「マイルストーン」などについて述べ、プラスチックを取り巻く国内外の状況について触れた。説明の後はフリーディスカッションとなった。各委員がそれぞれインターネットを通じて意見を述べたが、機器の設定のせいなのか時に発言者の声が反響したり二重に聞こえるハウリング現象が起きる。また数名の発言者からは「(自分の声が)聞こえますか」と確認する場面もみられ、パソコン画面を見ている傍聴者からすると分かりにくい部分もあった。
全都清の大熊委員は、「すべてのプラを対象にするとなるとリサイクル量が増えてくる。全国の市町村は人口減になっていく。プラの分別収集を進めると(市町村の)財政負担が大きくなる可能性がある。100トン未満の焼却施設でも発電可能になっている」と厳しい財政事情を語り、それを緩和するためにサーマルリサイクルを推進してはどうかというような発言。またPETボトルについては「集団回収で集めるとか、分別収集の多様化によって(市町村の)負担を少なくすることも考えられるのではないか」と市町村の負担軽減を訴える。既存法は限界、新法で取り組むべき
また、高村委員(東京大学教授)は、新型コロナ汚染を含めていくつかのポイントを上げた。「大きな変化がある。コロナによってワンウエイプラでないと使えない。廃棄物処理業者が公共事業をしているという認識を持たないといけない。社会としてどう全体の(プラの)投入削減をするか、腰を据えて取り組む必要がある。また、これはレジ袋有料化の議論でもそうだったが、既存の法では限界があると思う。適用範囲が素材ですから、新法でやったほうがいいのではないか。それとバイオプラですが、期待が強いだけにきちんとした指針を示す必要がある」。
このほか森口委員(国環研)からは、「プラスチックにかかる基礎的データがまだ足りない。どういうプラがどこに使われてどこから出てくるのか、資料に基づいて議論していく必要がある。それと将来のシナリオも描いていかないと。コロナの後は社会が変わっていく。社会情勢の変化によってプラの生産、排出が変わってくる。すると戦略も変わっていく」とする意見が出された。実施に向けて課題は多い
家庭から出される容器包装以外の製品プラは硬質系のものが多い。何らかの条件をつけて市町村が分別収集するにしても、これをリサイクルするのは誰なのか。たぶん容リプラを手掛けている再商品化事業者になるだろう。硬質系プラの中には金属が付着しているものもある。再商品化するには破砕などして金属を取り除く前処理をしなくてはならない。新たな設備投資が必要だ。それよりも容リプラのようなフラフ系プラと硬質プラを一緒に再商品化できるのか。再生ペレットの物性に狂いが生じるのでは。いずれにせよ再商品化ラインを追加するなど何らかの資本投下が求められる。また、市町村がこうした製品プラを分別収集したあとの再商品化は、容リと同じ入札制度になるとしたら再商品化事業者の参加はごく少数になりかねない。落札価格が抑えられ、落札できなかったら設備投資が無駄になるからだ。
課題はまだまだある。家庭から排出される掃除機やプリンターなどのプラ主体の製品はどうなる。粗大ごみとなっている衣装ケースの扱いは。さらに事業系プラも対象にするようだが、これは誰が集めてどこに運ぶのか。こうした課題の中で最も大きいのは再商品化のコスト負担だろう。プラの製造・販売事業者が負担することになるのか。対象の事業者数は膨大だ。捕捉するのは大変な作業になる。システム構築は簡単ではない。慎重にやらないと、ぐちゃぐちゃになってしまう。 -
令和2年1月24日開催 全国都道府県及び政令指定都市等環境担当部局長会議
環境省による「全国都道府県及び政令指定都市等環境担当部局長会議」が1月24日、霞が関の中央合同庁舎講堂で開催された。毎年恒例となっているこの会議は、地球環境、水・大気など環境に関する国の施策の状況や方針などを説明し、自治体に対応や協力などを求めるもの。「環境再生・資源循環局」の施策説明は午後3時過ぎからの約40分間。「循環型社会形成の推進」「循環産業の国際展開支援」「リサイクルの推進」「食品ロスの削減」「一般廃棄物の適正処理・3Rの推進」「災害廃棄物対策」「産業廃棄物処理」などについて各担当者が駆け足で説明した。なかでも本年7月から「レジ袋有料化」が実施されることもあり、「プラスチックの資源循環」の説明に比較的多くの時間を割いた。
地域循環圏・循環産業の国際展開
『循環型社会形成の推進』については、「平成30年6月に第四次循環基本計画を閣議決定した」。構成としては、①多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化、②適正処理の更なる推進と環境再生、③ライフサイクル全体での徹底的な資源循環など7項目に基づき策定した。「地方公共団体におかれても、第四次循環基本計画および本文に記載した『各主体の役割』のうち『地方公共団体に期待される役割』等を踏まえた施策展開をお願いしたい」(環境省)。また、「地域循環共生圏の形成推進」については、来年度以降も「地域の循環資源を活用した地域の脱炭素化を推進する事業の実現可能性調査支援」の公募を行うと説明。
『循環産業の国際展開支援』では、3Rイニシアティブの国際的な展開として平成28年のG7富山環境大臣会合やアジア太平洋地域における3Rイニシアティブなどこれまで開催したフォーラムなどをざっと示した。このうち「アフリカにおける3Rイニシアティブ」については「平成29年に我が国のほかアフリカ24カ国や国際機関から150名以上が集まり『アフリカのきれいな街プラットフォーム』を設立したと述べ、「アフリカ各国における廃棄物管理の政策優先順位を上げることで、SDGsの目標年である2030年に『きれいな街と健康な暮らし』がアフリカで実現することを目指している」。さらに『廃棄物・リサイクル分野における国際協力の取組み』として、「アジアが中心になるが、我が国の優れた廃棄物処理・リサイクル技術と制度のパッケージとしての提供を進めている」。リサイクル関係。プラ資源循環戦略、来年度から具体化に向け議論
リサイクル推進室の説明は、「プラスチック資源循環」に関することが大半。政府は令和元年5月31日、『プラスチック資源循環戦略』を策定したこと。戦略は3R+Renewable(再生可能)を基本原則としており、重点戦略として「リデュース」「リサイクル」「再生材・バイオプラ」「海洋プラ対策」「国際展開」「基盤整備」などがあるとした。また2030年までにワンウェイプラを累積25%排出抑制するなどの中間目標、『マイルストーン』を設定したことなどを簡単に説明。「プラスチック資源循環戦略はあくまで”戦略”ですから。どう具体化していくかということになる。来年度から具体化に向けて議論していく」(リサイクル推進室)。
プラ資源循環戦略に示されている『プラスチック製買物袋の有料化』が本年7月1日から実施される。有料化のポイントをざっと説明し、「昨年12月27日に判断基準の改定を行った。同時にガイドラインを出させてもらった。参考にしてほしい」。また「前倒しで(有料化を)実施している事業者がいたら我々も応援したい」と述べた。
さらにプラスチック資源循環と脱炭素の絡みでは、『バイオプラ等への転換・実証事業』『プラ等のリサイクル・省CO2化実証事業』に対して令和2年度は、36億円の予算を計上していることにも触れた。
議員立法で成立した『食品ロスの削減の推進に関する法律』について若干説明した。基本方針の骨子(案)は既に示されている。「こういうことを政府が考えている」(リサイクル推進室)というものだが、今後のスケジュールとしては、令和2年3月末に基本方針を閣議決定する予定で、基本方針の案は食品ロス削減推進会議(内閣府に関係大臣や有識者で構成)において作成する。一般廃棄物の処理の推進
『一般廃棄物の適正処理』では、「許可なく一般廃棄物が収集運搬された事案」(平成28年1月に判明)や、市区町村の規制権限の及ばない第三者が、一般廃棄物の排出事業者と処理業者との間の契約に介在して、あっせん、仲介、代理等の行為を行うことは、市町村の処理責任の原則の下での適正な処理の確保に支障を生じさせるおそれがある旨、すでに通知を発出しているが、改めて周知徹底をお願いしたい、とした。
また、『市町村の一般廃棄物処理システムの改革』ということでは、平成19年6月に、①一般廃棄物会計基準、②一般廃棄物処理有料化の手引き、③一般廃棄物処理システムの指針――を公表し、市町村担当者を対象とした説明会の開催やガイドラインの見直し等を行ってきた。「都道府県においては、引き続き管内市町村に対してガイドラインの周知、取り組みのへの支援をお願いしたい」と述べ、さらに「このうち一般廃棄物会計基準及び廃棄物処理の有料化の検討については、令和元年度から循環型社会形成推進交付金等により、ごみ焼却施設を新設する場合の交付案件として追加した」と説明。
『処理困難物の処理』について、廃エアゾール製品とリチウムイオン電池について触れた。廃エアゾール製品を排出する際に穴開けを不要としている市町村割合は、約40%となっている(平成31年4月に行った調査結果)。「市町村において、廃エアゾール製品等の充填物の使い切り及び適切な出し切り方法について、改めて住民への周知をお願いしたい」。ごみの中に紛れ込み火災の原因となっているリチウムイオン電池については、対策を取るよう令和元年8月に事務連絡をしたが、さらに「予算措置して調査・研究をする」とした。
『広域化・集約化の推進等』では、「インフラ長寿命化計画の策定」について取り上げた。各インフラの管理者は、個別施設ごとの対応方針を定める計画として、「個別施設毎の長寿命化計画」を令和2年度までに策定することとされており、本基本計画を踏まえ環境省では平成28年3月に「環境省インフラ長寿命化計画」を策定した。環境省が平成30年度に実施した一般廃棄物処理事業実態調査によると、平成29年9月末時点におけるインフラ長寿命化計画の策定状況は、都道府県で72.3%、市区町村で29.6%、一部事務組合・広域連合で31.3%となっている。「今回の資料には未達の市区町村を載せている」(環境省)と述べ、早急な策定を促した。災害廃棄物対策、早急に処理計画の策定を
『災害廃棄物対策』では、「非常災害時の廃棄物処理の特例」と「自治体による災害廃棄物の処理に関する計画の策定」について述べた。廃棄物の特例では「非常災害時における一般廃棄物処理施設の設置の特例」のことで、政省令改正も含め規定を整備している。そのひとつ「非常災害時において、市町村から災害廃棄物の処分の委託を受けた者が受託した廃棄物の処分のために設置する一般廃棄物処理施設については、都道府県知事への届け出のみでよいこと。」としている。この特例措置の適用には、施設の立地する市町村の条例が必要であるため「条例改定をお願いしたい」(環境省)と述べ、既に条例を制定している市町村名を挙げた。
「災廃処理の計画策定」については、市区町村及び都道府県の計画策定率は、都道府県96%、市区町村39%(平成31年3月末時点)と低い。「日本国内どの地域においても大規模災害が発生するおそれがあると認識し、各自治体において早急に対応していただきたい」と求め、「年度内に、いまだ(計画の策定を)していない市町村を公表する」と重ねた。
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令和2年1月12日開催 災害廃棄物対策推進検討会(令和2年度第2回)
環境省は1月12日、令和2年度の「第2回災害廃棄物対策推進検討会」(委員長:酒井伸一京都大学環境科学センター長)をWeb形式で開催した。会議では3つの地方環境事務所から「令和2年7月豪雨」で甚大な被害を受けた熊本県人吉市や球磨村に対する支援活動の報告、環境省からは「災害廃棄物処理支援員(人材バンク)」の登録状況の説明などがされた。
関東環境事務所からの報告
「令和2年7月豪雨」は、熊本、大分、福岡県など主に九州地区を中心に甚大な被害をもたらした。当日の検討会では地方環境事務所の対応として、熊本県人吉市や球磨村、芦北町、八代市などへ支援に入った「関東地方環境事務所」など3つの地方事務所から報告が行われた。
関東地方環境事務所は7月9日から8月31日の54日間、熊本県球磨村役場、人吉市及び芦北町役場に延べ120人日を派遣。主に球磨村を対象に支援活動を展開した。支援活動の内容は、仮置き場確保、仮置場管理事業者の手配、仮置場からの搬出先調整、自衛隊対応、収集・焼却支援の九州管内の自治体への依頼等など。また新型コロナウイルス感染症拡大防止にできうる限りの対策を講じたことも報告書に記し説明した。「発災当初から村と県が迅速に実施できたのは、2016年の熊本地震の経験が生きていたから」と同環境事務所の岡野資源循環課長。行動計画の教訓と課題
関東ブロック協議会の行動計画の教訓として岡野課長は、関東事務所職員の早期派遣による支援要否の見極め。協議会事務局として会員に対して、迅速に職員派遣の検討依頼を発出、行動計画に「自衛隊連携マニュアル」を位置づけることで、平素から顔の見える関係及び災害時の円滑な連携が確保されたなどのポイントを説明した。
また7月20日~8月9日の21日間にわたり人吉市に延べ23日・人を派遣し、片付けごみの収集運搬の調整や災害ごみ搬出困難な家屋からの土砂・支援パッケージの調整などを実施した中部地方環境事務所は、課題として、①ブロック間の支援・受援の調整・判断。②災害発生時に事務所内で調整し、人員確保ができるよう、事務所内BCPを高めていく視点も必要。③環境省職員のみならず関係機関のパートナーシップの下で現地支援チームを構築し、メンバーの多様性を発揮させることが重要――などをあげた。代行支援で環境省と混乱も
災廃対策検討会の大熊委員は「(自治体は)代行支援で入っている状況であり、環境省との間で混乱する場合が見られたとも聞いている。連携はどのようにしているのか」と質問。これについて環境省からは「正直、これからの課題と思っている。現地でどういうところにどういう支援が入っているのかをきちんと把握して調整、連携したい」と述べた。
酒井座長は「事情が落ち着いたら地元やボランティア団体からも話が聞けるようにお願いしたい」と環境省に求めると環境省は、「受け入れる側の考えとかよくわかったので話を聞いて課題等を共有していきたい」とした。人材バンクへの登録223名
災害廃棄物処理支援員制度(人材バンク)の説明に移った。人材バンクは「被災した自治体から環境省へ支援要請があった時、登録していただいている被災経験のある(また、支援に行ったことがある)自治体職員をマッチングして支援する」(環境省)という制度。2020年12月28日時点で223名が登録されている。内訳は都道府県からが61名、市町村が162名の割合。ブロック協議会としては関東ブロックが最も多く56名、次いで中部38名、九州33名の順となっている。また、被災経験がある支援員が148名、被災経験はないが支援に行ったことがあるが75名となっている。被災経験者では水害が84名と最も多い。
「予想以上に地震・津波経験者が少ない(登録8名)。東日本巨大地震の経験者がまだ登録されていないのだろうか。南海トラフへの対応もある。広域・巨大災害は地震と津波だと思うので、呼びかけてもいいのでは」とする委員の意見も聞かれた。
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令和元年12月25日開催 第4回産構審・中環審合同会合 レジ袋有料化義務化制度検討会議
経産省と環境省によるレジ袋有料化合同検討会議(委員長:酒井伸一京都大学環境科学センター教授)の第4回目が暮れも押し詰まった12月25日に開催された。第3回合同検討会議(11月1日開催)で「有料化のあり方について(案)」が示され、その後すぐにこれをパブリックコメント(パブコメ)にかけられた。今回はこのパブコメに寄せられた意見や提示されたガイドラインをもとに議論が交わされた。最後の取りまとめといえる。
パブコメで168件の意見が寄せられた
今回の合同会合は、過去第3回までの議論で出された結果を整理し確認するとともに、それを追認した形だ。新たな施策は出されなかった。パブコメは11月6日から12月6日までの1カ月間実施され、寄せられた意見数は168件に達した。意見はレジ袋の規制の意義に関するものや現行案(有料化のあり方案)に賛成、またはもっと踏み込んだ対策が必要など様々。実効性の確保・効果の検証に関することや有料化の対象外となる「バイオプラの買物袋」「厚さ0.05㎜以上のプラ買物袋」などについての賛否も多く寄せられた。
パブコメの意見を環境省が簡単に説明。レジ袋の規制の意義については、「レジ袋のプラごみに占める割合は2%程度。仮にレジ袋がゼロになったとしても海洋ごみや地球温暖化問題とは程遠い」とする意見の一方、「海洋ごみや地球温暖化対策としてプラ買物袋は禁止すべき」との意見もある。また有料化による負担が増えるとのことから「有料化は事業者の負担増になる。外食事業者の券売機は1円玉、5円玉を判別できるものがなく、従業員の労務負担を増やすことになる」との意見。省令の対象となる買物袋に対象外(つまり無料)を設けることについては、「例外を世の中の企業が全て採用すると、結局全部無料になってしまう可能性があり、それでは省令改正の意味がない」「対象外かどうか、消費者にわかりにくい」などの意見。海洋生分解性プラ袋を対象外とすることについては「まだ研究段階であり、不確定要素が多い段階で有料対象外とするのは非常に危険と思われる」といった意見も。バイオプラ買物袋もバイオ配合率25%以上のものについては対象外とされているがこれについては「バイオマスを含んだレジ袋をどのように確認するのか」といった質問や、「グリーン購入法では環境負荷低減効果が10%以上としている。なぜグリーン購入法よりバイオ配合率を高く設定したのか。矛盾している」との指摘も。
パブコメの概要では、寄せられた意見に対する環境省、経産省の考え方も記載しているが、とりたてて意見によって方針を手直しするところはなかった。有料化のあり方などガイドラインに記載
次いで「有料化ガイドライン」の説明に移った。ガイドラインでは、「対象となる事業者・買物袋」「有料化のあり方について」「制度の実効性の確保」などが記されているが、有料化のあり方については「プラ買物袋1枚当たりの価格が1円未満になるような価格設定をすることは、有料化にあたらない」と釘を刺している。また実効性の確保については定期報告義務を課した。これは容リ法に定める多量利用事業者に課せられている報告義務に、プラ買物袋の有料化にともなって発生抑制の取組みに関しての欄を追加するもの。
こうした説明に対する委員の意見としては、経団連環境エネルギー本部長の池田委員が「消費者のライフスタイルを変革する。それぞれの立場で汗をかくということ。政府は柔らかな頭でやってほしい」と評価。「自治体についても市民から問い合わせがあると思うので、各自治体のブロック説明会などよろしくお願いしたい」(大熊委員・全都清)。杏林大学の斉藤委員は「フォローアップはどういう意見があったのかが大事。量だけでなく反応が大切」とコメント。高村委員(東京大学未来ビジョン研究センター教授)は「消費者が意識を変えていく意義ある制度」とし、「25年、30年をマイルストーンとした取組み。国はこの買物袋有料化の次のロードマップをつくって進めるべきと思う」と自説を展開。こうした中で富山県生活環境部長の須河委員は、同県が全国に先行してレジ袋有料化を実施してきたことを踏まえ「例外の袋を設定することに反対してきた。本県ではこれまで通りやっていく。先行してきた県の足を引っ張ることがないようにと県知事が合同会議で言ってこいと(笑)。国民への啓発が書いてあるが、これまでのようなムード作りではうまくいかない。我々は強い拘束のもとにやってきた。レジ袋をもらわないということはエコライフの入り口だと思う」と述べた。委員の意見に環境省、経産省がそれぞれ答え、最後に酒井委員長が「本日の意見、合同会合として遡っての修正はなかったと思う。2020年7月1日施行の方針で臨んでいく。ガイドラインについはここで議論したことも踏まえて政府として作成していく」とまとめた。中村座長(東北大学名誉教授)は「短い間にパブコメもらいしかもガイドラインまで示したのは素晴らしかった。形はできた。中身をどう詰めるかだ。9月26日に第1回が開催された。年内に議論を取りまとめることができた」と安どの表情を浮かべた。
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