環境・経済・社会課題の同時解決へ
日本は第二次世界大戦後、高度経済成長期に突入し、昭和後期にかけて著しい発展を遂げてきました。経済は上向き、人口も増加し、個人も企業も自らの幸せや利益を追求するだけで成立する社会だったと言えます。
また環境面でも、地域ごとに見れば公害等をはじめとした環境問題が発生し、人々の生活を脅かす状況が発生していましたが、それは人類の生存、あるいは社会の存続を脅かすほどの脅威までには至らず、あくまで経済と社会問題は別という捉え方がされていました。
しかし現在、日本はかつての右肩上がりの時代から一転し、少子高齢化・人口減少社会に突入しています。また災害の激甚化・頻発化という現実の危機を前に、脱炭素の取り組みは喫緊の課題となり、温室効果ガスの排出削減とともに循環経済の構築が社会的に求められ始めました。
一方で人口減少、景気の低迷から地域経済は疲弊しつつあり、行政力も低下する中で公共サービスの低下、各種インフラの老朽化、里山の荒廃、生物多様性の喪失という新たな問題を引き起こしています。
これらの問題は相互に連関・複雑化しているため、従来のような個別の対策では解決になり得ず、私たちが今後の時代を持続可能に生きるには、今挙げたような環境・経済・社会の問題を統合的に解決していく必要があります。
そのためには人や企業が各々の意識や行動に付加価値を生み出して協働し、支え合うことで解決を図る。それが環境・経済・社会の統合的向上を目指す「ローカルSDGs(地域循環共生圏)」というものです。
一般廃棄物処理業における付加価値創出
全清連は平成10年の設立以来、一般廃棄物の適正処理を通じて地域の生活基盤、経済基盤の確保に努めてきましたが、地域に根ざす私たち一般廃棄物処理事業者が、従来の適正処理に加え、地域に対して何らかの付加価値を創出・提供して、地域社会の持続可能性に寄与する存在になる必要があるとの考えから、このローカルSDGsへの挑戦を重要事業として推進しています。
改めて一般廃棄物処理業を取り巻く状況を見ると、人口減少によりごみの排出量が減少する中、2050年カーボンニュートラルに向けた対応、プラスチック問題への対応、高齢化社会への移行に伴うごみ出し支援や生前整理の取り組み、空き家対策など、解決すべきさまざまな課題が存在しています。また働き方改革への対応や、災害の激甚化に対応した業務体制の強化といった課題も存在します。
自らの持続性を確保するためにも、社会の要請に応え、地域から頼りにされる業者へと進化する必要があり、それには行政と連携して事業継続計画を策定するなど、従来の一般廃棄物処理業務を確実に実行する体制を構築するだけでなく、さまざまな主体と関わりながら先に挙げたような地域の課題解決に積極的に取り組む必要があると考えています。
私たちが取り組むことができる事業で社会課題の解決に貢献する、これが私たちのローカルSDGsへの挑戦であり、さまざまな機会を通じて一般廃棄物処理業における付加価値創出、会員企業の価値向上へ取り組んでまいります。