審議会等情報
審議会等情報
council

審議会等情報

  • 令和2年7月21日開催 中環審・産構審プラスチック資源循環戦略合同会議第4回

    「プラスチック資源循環戦略」の第4回合同会議が7月21日Web形式で開催され、「今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性(案)」が示された。家庭から排出されるプラスチック類はすべて(容リ制度対象プラ+製品プラ)分別収集してリサイクルすることになる。事業系プラも回収リサイクルしていく――というのが方向性(案)の大筋だが、今回の方向性(案)はいわば「下書き」に近い。具体化するには法的な課題など様々あり細部の詰め、制度設計はこれからになる。

    「環境・経済・社会の三方よし」目指す

    「方向性(案)」は大項目として、「Ⅰ.考え方」「Ⅱ.主な施策の方向性」――の2つから構成されている。「Ⅱ.主な施策の方向性」が肝になる。「Ⅰ.考え方」は、昨年5月に策定した「プラスチック資源循環戦略」の取組みを進めることで、環境・経済・社会の三方よしを目指すとしている。具体的には、①環境=プラスチック資源循環の高度化に向けた環境整備の具体化を通じて、資源・廃棄物制約、海洋プラごみ問題、気候変動問題等の同時解決に貢献する。②経済=プラスチック資源循環への貢献を我が国の成長分野と位置付けて投資ができる環境整備を進める。③社会=少子高齢化への対応や消費者のライフスタイルの変化を促す。

    家庭から排出の容リプラとプラ製品、事業所からのプラも対象

    「Ⅱ.主な施策の方向性」は、次の4つの項目を立てた。1.リデュースの徹底、2.持続的なリサイクル、3.バイオプラなど代替素材の利用促進、4.分野横断的な促進策。中でも2.持続的なリサイクルに記述の多くを割いており、そこでは(1)家庭から排出されるプラスチック資源の回収・リサイクル。(2)事業者から排出されるプラスチック資源の回収・リサイクル。(3)効果的な回収・リサイクルの基盤整備――の3つに分けて整理している。
    (1)家庭から排出されるプラの回収・リサイクルについては、プラス容器包装とプラ製品は、市町村での分別収集及び事業者による自主回収を一体的に進め、最新技術で効率的に選別・リサイクルする体制を確保するとしている。また、市町村とリサイクル事業者で重複している選別等の中間処理を一体的に実施することが可能となる環境を整備する。さらに事業者による自主回収ということでは、食品トレーやPETボトルをはじめとして、店頭回収や拠点回収等の自主回収が進められてきたが、課題も指摘されていることから、プラ容器包装・製品を円滑に自主回収・リサイクルできる環境を整備する。
    (2)の事業者から排出されるプラ資源については、各業種の実態を踏まえ、排出事業者が自らのプラ資源を高度リサイクルする取組みが円滑に進むよう環境を整備するとともに、事業者から排出されるプラ資源を市町村が回収する場合には、家庭から排出されたものとまとめてリサイクルできる環境を整備するとしている。
    また(3)の回収・リサイクルの基盤整備としては、プラ資源の性状に応じた最適な手法の選択が可能となるよう、必要なリサイクル・熱回収の技術開発と社会実装に向けたインフラの整備を支援する。

    プラ資源循環の法的基盤求める意見も

    「方向性(案)」について委員からは次のような意見が出された。「一体的回収は大切だが、市町村によって容リをやっているところとやっていないところがある。また圏外にしかリサイクル施設がなければ積み替え保管施設が必要になる。そういう自治体にあった経済的支援をお願いしたい」「やみくもに集めればいいというものではない。高度なプラが大切。まず、集めてきて考えるではダメ。消費者にもわかりやすい回収が必要。店頭回収で質のいいものを集める。容器包装だけでなくその他も。一括回収が本当にいいのか、慎重に考えた方がいい」
    法律に関しても意見が出された。「(プラという)素材に着目して資源循環を進めるというのは今までなかった。それを法としてやるのか、自主的にするのか。レジ袋有料化は容リ法の判断基準省令を利用したが、あまり負担にならずにワンウエイが削減されている。あまり頑なでなく、ソフトの取組みで出来ると思うし、今の環境では適しているのではないか」「どういう法的基盤をつくるのか。プラスチックを包括的に一体的に(資源循環を)実施できる法的基盤をつくってもらいたい」

    秋口から本格的な検討に

    これらの質問に対して環境省、経産省がそれぞれコメントした。経産省は「事業者が取り組むべき意義とか、なぜ取り組まなくてはならないのかをもっと打ち出すと、事業者にとってもビジネスにつながるのではないかと理解しました。法的基盤はどういう制度が必要なのか、議論していきたい。一括回収に対応できないリサイクラーの支援はもっともだと思う。地域の再生事業者との連携は確かに必要。検討していきたい」

    また環境省は「法的基盤は今後の話し。法制度の議論は秋口以降になると思う。リデュース、排出抑制が進むよう秋口の議論でしっかり考えていきたい。一括回収は地域横断で進める。廃掃法のスキームあるがこれも重要な観点と思っている」

    続きを読む: 令和2年7月21日開催 中環審・産構審プラスチック資源循環戦略合同会議第4回
  • 令和2年6月23日開催 中環審・産構審プラスチック資源循環戦略合同会議第3回

    環境省中環審と経産省産構審による「プラスチック資源循環戦略」の第3回合同会議は6月23日Web形式で開催。前回に続き今回も関係者のヒアリングが行われた。ヒアリングは自治体として名古屋市、日野市、企業からはライオン、パナソニック、すかいらーくHDなど8団体が取組みや課題などを説明したが、なかでも名古屋市と日野市は容リプラに加えて製品プラも分別収集している(名古屋市は実証事業のみ)のが特徴的で、これについて委員からも多くの質問が出された。

    容リ包装プラと製品プラの一括収集、名古屋市が実証事業

    名古屋市(人口:約232万人)は環境局の竹内環境局長が、同市のプラスチックごみの現状と課題について説明した。平成30年度のプラスチック(PETボトルを除く)の総排出量は11.2万トンとなっている。内訳は「家庭系プラ」が6.6万トン、「事業系プラ」は4.6万トン。このうち資源化されたプラは2.6万トン(家庭系の容リプラが2.2万トン、事業系プラ0.4万トン)。残る8.6万トンのプラはごみ処理されている。
    プラスチック資源循環に向けた課題として、①同じプラスチックでも容器包装は資源、製品プラは可燃ごみに区分され、市民にとってわかりにくい。②製品プラは可燃ごみに区分され、リサイクルされない。③事業所から出るプラ容器包装はリサイクルの対象外(可燃ごみ)で、家庭の分別ルールと異なることが分別意欲低下の一因――などを挙げている。こうしたことから、プラスチック全般のリサイクルを促進する環境整備が必要とした。
    市では平成30年2月の1カ月間、市内4000世帯を対象に環境省の「プラ製容器包装と製品プラの一括回収・リサイクル実証事業」を行った。一括回収したプラは資源化施設で選別・リサイクルへ向けられる。実証事業の結果はプラスチック資源回収量が15%増加し、「分別方法が分かりやすかった」(77%の市民)、79%の市民から「一括回収を望む」との意見が出されたという。

    東京日野市は本年1月からプラごみ全般を分別収集

    東京日野市(人口:約18万7000人)は、環境共生部の福田参事がプラごみの資源化について説明した。同市は本年1月から対象をプラスチックごみ全般(容器包装プラと製品プラ)とする分別収集をスタートさせた。「資源化率の低迷」(34%、多摩地域30市町村中21位)、「激増するプラごみ」(家庭系不燃ごみの約6割近くがプラ)、本年4月から本格稼働する可燃ごみの共同処理施設(日野市、国分寺市、小金井市)では地元から規模の縮小要望があがっている――ことなどが実施の理由。
    容器包装プラと製品プラの両方を「プラごみ」で収集する。製品プラは、ハンガー、おもちゃ、バケツ、洗面器、歯ブラシ、コップ、文具など様々。収集されたものは資源化施設に搬入、プラ容器包装は容リルートへ、製品プラは資源化業者に渡される。リサイクル率は市によると容器包装プラのみを分別収集していたら22%だが、製品プラを含めると49%に達すると試算している。

    製品プラの資源化はRPF(固形燃料)に

    名古屋市と日野市のプラごみ収集・資源化について、委員から質問が相次ぐ。「名古屋市さんに。製品プラはたぶんRPFに回しているのだろうが、再商品化に適した回収はあると思うがどうか」(森口委員・国立環境研究所)、「名古屋市と日野市に。製品プラも一緒に集めると回収量増えるがコスト増にもなる。が、ごみが減るということでいいのか」(崎田委員・環境カウンセラー)、「名古屋市と日野市に。どのように資源化しているのか。RPFかその他か」(佐藤委員。弁護士)、「日野市さんに。不燃ごみからプラを分けた後の処理は」(青野委員・大阪市)等々。
    質問に対して名古屋市は「プラ容器包装と製品プラの一括収集は(1カ月間の)実証事業しかやっていない。通常、製品プラは可燃ごみとして処理している。プラ容器包装は容リルートに回している」との答え。
    日野市は「製品プラを集めているのは、ごみ減・資源化ということで進めている。容器包装プラは容リ協会へ、製品プラはRPFになる。今後、ひとつの(種類の)プラだけ集めて資源化できないか検討する。製品プラも収集するとコストは1億7000万円ぐらい。収集については今までトレイを集めていたが一括になったので収集費用増にはなっていない」と述べた。

    ライオンの取組み容器の小型化、詰め替え用品など

    また、洗剤などで知られるライオンは、生産技術本部の岡野本部長が「台所用洗剤」や「衣料用洗剤」のプラ容器について説明。洗剤の濃縮化によりボトル容器が小さくなっている。リデュースだ。これによりプラスチックの使用量が削減されている。台所用洗剤容器は43g⇒32gと26%減や、衣料用洗剤容器は116g⇒71gで39%減という例を示した。また容器の再使用ということでは「つめ替え」用品を増やした。プラスチックの使用量削減につながっている。
    さらに、台所用洗剤の容器は再生PET樹脂を使用(リサイクル)や、バイオマスプラを衣料用洗剤容器に活用(リニューアブル)し石油由来のプラ使用量を減らすなどの取組みを示した。
    委員からは「こうした取組みは、業界間の連携が進めばいいと思うがどうか」といった質問が出された。ライオンの岡野氏は「その通り。具体的になっていないが、健全な競争と協業を進めていきたい。個人的には詰め替え製品は、安かったから(需要があった)と思う。お客との向き合い方とおもう」と語った。

    次回の合同会議は、方向性についての取りまとめが議論される。

    続きを読む: 令和2年6月23日開催 中環審・産構審プラスチック資源循環戦略合同会議第3回
  • 令和2年5月26日開催 中環審・産構審プラスチック資源循環戦略合同会議第2回

    境省中環審と経産省産構審の「プラスチック資源循環戦略」の第2回合同会議が5月26日に開催された。新型コロナの影響で今回もWeb形式によるもの。今回と次回は関係者のヒアリングを行う予定。今回は、持続可能な社会をつくる元気ネット、CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)、日本フランチャイズチェーン協会、日本プラスチック工業連盟など7団体が取組みや意見を述べた。コンビニに設置されているPETボトル自動回収機のシステム評価や新型コロナの影響によるプラスチックの状況などについて意見や質疑が交わされた。

    コンビニでのPET回収は新たな回収拠点

    アリングのトップは「持続可能な社会をつくる元気ネット」。事務局長の鬼沢氏はコンビニのセブン-イレブン東大和市(東京都)の市内14店舗が、PETボトル回収機を設置していることについて触れ、「市民の資源回収拠点として活かせる」と説明。
    このあとの日本フランチャイズチェーン協会もセブン-イレブンが設置を進めているPETボトル回収機について述べた。全体で820台の回収機を設置しており、2019年度は9800トン、約3.6億本のPETボトルを回収し、ボトルtoボトルに資源循環させた。ポイ捨て防止にも一役買っているとした。
    ただ、課題もある。回収機によるPETボトルの資源化は行政による周知・広報なども必要で連携が求められるが、「市町村によってPETボトルに対する温度差があり、産廃だから都道府県政令市(の管轄)なのでと言われることもある。するとマニフェストが必要になるなどコストが増える。見解をひとつにしてほしい」(フランチャイズチェーン協会)と要望した。

    新型コロナによりワンウエイプラ増加

    日本プラスチック工業連盟(プラ工連)は、新型コロナ感染拡大による「新しい日常生活様式」によって、ワンウエイプラ容器が増えていることから「ワンウエイ製品の機能や役割を再評価すべき」と述べる。スーパーマーケットではウィルス感染を防ぐため、パンや総菜をラップで包んだり個別包装して販売するケースが増加。また在宅勤務のためのテイクアウトや宅配でも個別包装の需要は伸びている。こうした傾向は今後も続くとし、ワンウエイプラを一律規制するのではなく、用途に応じた目標設定、使用後の回収・資源化をセットで考える必要があると訴えた。
    新型コロナの影響に関して高村委員(東京大学教授)は、「ワンウエイプラを使わざるを得ない。どういう新素材のものをつくっていくか。戦略を進める中で重要な視点だと思う」と意見を述べた。

    アクションプランを提示、産業界全体で取り組む

    海洋プラスチックごみ問題解決に向けて経済界全体として取組み、持続可能な発展を推進する母体となることを目的に、経産省が音頭をとって昨年1月に設立した「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」は、同団体が作成したアクションプランを説明した。アクションプランは1~5まである。同団体の柳田氏は「新規ビジネスモデルをつくっていきたい」と意気込む。


    アクションプランでは2050年にプラ製品の100%リサイクルを掲げている。これについて酒井委員(京都大学教授)は「サーマルを含めないということだが、感染の問題が出たときはどうするか」と質問。柳田氏は「サーマルは(リサイクルには)入れていない。目標なので新しい技術が出てくるかもしれない。一方で、(感染の問題などでは)サーマルは必要とは思うが、ミニマム化してリサイクル目標を達成したい」と語った。

    続きを読む: 令和2年5月26日開催 中環審・産構審プラスチック資源循環戦略合同会議第2回
  • 令和2年5月12日開催 中環審・産構審プラスチック資源循環戦略合同会議第1回

    昨年5月に策定された「プラスチック資源循環戦略」の具体化に向けて国が動きはじめた。5月12日に開催された環境省と経産省の第1回合同会議は、新型コロナウイルス拡大防止のため委員同士がインターネットを通じて映像や音声のやり取りを行うWeb会議方式で行われた。循環戦略で示された「マイルストーン」を達成するには容リプラだけでなく、製品プラや事業系プラなどすべてのプラスチックが対象になる。ただ、システム構築には課題が多い。委員からは既存の法律では限界がある。新法を制定して実施したほうがいいと思うとの意見も出された。

    リサイクル量が増えると自治体財政を圧迫

    合同会議は環境省・経産省それぞれの幹部のあいさつに続き、事務局の環境省がプラスチック資源循環戦略の重点戦略や「マイルストーン」などについて述べ、プラスチックを取り巻く国内外の状況について触れた。説明の後はフリーディスカッションとなった。各委員がそれぞれインターネットを通じて意見を述べたが、機器の設定のせいなのか時に発言者の声が反響したり二重に聞こえるハウリング現象が起きる。また数名の発言者からは「(自分の声が)聞こえますか」と確認する場面もみられ、パソコン画面を見ている傍聴者からすると分かりにくい部分もあった。
    全都清の大熊委員は、「すべてのプラを対象にするとなるとリサイクル量が増えてくる。全国の市町村は人口減になっていく。プラの分別収集を進めると(市町村の)財政負担が大きくなる可能性がある。100トン未満の焼却施設でも発電可能になっている」と厳しい財政事情を語り、それを緩和するためにサーマルリサイクルを推進してはどうかというような発言。またPETボトルについては「集団回収で集めるとか、分別収集の多様化によって(市町村の)負担を少なくすることも考えられるのではないか」と市町村の負担軽減を訴える。

    既存法は限界、新法で取り組むべき

    また、高村委員(東京大学教授)は、新型コロナ汚染を含めていくつかのポイントを上げた。「大きな変化がある。コロナによってワンウエイプラでないと使えない。廃棄物処理業者が公共事業をしているという認識を持たないといけない。社会としてどう全体の(プラの)投入削減をするか、腰を据えて取り組む必要がある。また、これはレジ袋有料化の議論でもそうだったが、既存の法では限界があると思う。適用範囲が素材ですから、新法でやったほうがいいのではないか。それとバイオプラですが、期待が強いだけにきちんとした指針を示す必要がある」。
    このほか森口委員(国環研)からは、「プラスチックにかかる基礎的データがまだ足りない。どういうプラがどこに使われてどこから出てくるのか、資料に基づいて議論していく必要がある。それと将来のシナリオも描いていかないと。コロナの後は社会が変わっていく。社会情勢の変化によってプラの生産、排出が変わってくる。すると戦略も変わっていく」とする意見が出された。

    実施に向けて課題は多い

    家庭から出される容器包装以外の製品プラは硬質系のものが多い。何らかの条件をつけて市町村が分別収集するにしても、これをリサイクルするのは誰なのか。たぶん容リプラを手掛けている再商品化事業者になるだろう。硬質系プラの中には金属が付着しているものもある。再商品化するには破砕などして金属を取り除く前処理をしなくてはならない。新たな設備投資が必要だ。それよりも容リプラのようなフラフ系プラと硬質プラを一緒に再商品化できるのか。再生ペレットの物性に狂いが生じるのでは。いずれにせよ再商品化ラインを追加するなど何らかの資本投下が求められる。また、市町村がこうした製品プラを分別収集したあとの再商品化は、容リと同じ入札制度になるとしたら再商品化事業者の参加はごく少数になりかねない。落札価格が抑えられ、落札できなかったら設備投資が無駄になるからだ。
    課題はまだまだある。家庭から排出される掃除機やプリンターなどのプラ主体の製品はどうなる。粗大ごみとなっている衣装ケースの扱いは。さらに事業系プラも対象にするようだが、これは誰が集めてどこに運ぶのか。こうした課題の中で最も大きいのは再商品化のコスト負担だろう。プラの製造・販売事業者が負担することになるのか。対象の事業者数は膨大だ。捕捉するのは大変な作業になる。システム構築は簡単ではない。慎重にやらないと、ぐちゃぐちゃになってしまう。

    続きを読む: 令和2年5月12日開催 中環審・産構審プラスチック資源循環戦略合同会議第1回
  • 令和元年12月25日開催 第4回産構審・中環審合同会合 レジ袋有料化義務化制度検討会議

    経産省と環境省によるレジ袋有料化合同検討会議(委員長:酒井伸一京都大学環境科学センター教授)の第4回目が暮れも押し詰まった12月25日に開催された。第3回合同検討会議(11月1日開催)で「有料化のあり方について(案)」が示され、その後すぐにこれをパブリックコメント(パブコメ)にかけられた。今回はこのパブコメに寄せられた意見や提示されたガイドラインをもとに議論が交わされた。最後の取りまとめといえる。

    パブコメで168件の意見が寄せられた

    今回の合同会合は、過去第3回までの議論で出された結果を整理し確認するとともに、それを追認した形だ。新たな施策は出されなかった。パブコメは11月6日から12月6日までの1カ月間実施され、寄せられた意見数は168件に達した。意見はレジ袋の規制の意義に関するものや現行案(有料化のあり方案)に賛成、またはもっと踏み込んだ対策が必要など様々。実効性の確保・効果の検証に関することや有料化の対象外となる「バイオプラの買物袋」「厚さ0.05㎜以上のプラ買物袋」などについての賛否も多く寄せられた。
    パブコメの意見を環境省が簡単に説明。レジ袋の規制の意義については、「レジ袋のプラごみに占める割合は2%程度。仮にレジ袋がゼロになったとしても海洋ごみや地球温暖化問題とは程遠い」とする意見の一方、「海洋ごみや地球温暖化対策としてプラ買物袋は禁止すべき」との意見もある。また有料化による負担が増えるとのことから「有料化は事業者の負担増になる。外食事業者の券売機は1円玉、5円玉を判別できるものがなく、従業員の労務負担を増やすことになる」との意見。省令の対象となる買物袋に対象外(つまり無料)を設けることについては、「例外を世の中の企業が全て採用すると、結局全部無料になってしまう可能性があり、それでは省令改正の意味がない」「対象外かどうか、消費者にわかりにくい」などの意見。海洋生分解性プラ袋を対象外とすることについては「まだ研究段階であり、不確定要素が多い段階で有料対象外とするのは非常に危険と思われる」といった意見も。バイオプラ買物袋もバイオ配合率25%以上のものについては対象外とされているがこれについては「バイオマスを含んだレジ袋をどのように確認するのか」といった質問や、「グリーン購入法では環境負荷低減効果が10%以上としている。なぜグリーン購入法よりバイオ配合率を高く設定したのか。矛盾している」との指摘も。
    パブコメの概要では、寄せられた意見に対する環境省、経産省の考え方も記載しているが、とりたてて意見によって方針を手直しするところはなかった。

    有料化のあり方などガイドラインに記載

    次いで「有料化ガイドライン」の説明に移った。ガイドラインでは、「対象となる事業者・買物袋」「有料化のあり方について」「制度の実効性の確保」などが記されているが、有料化のあり方については「プラ買物袋1枚当たりの価格が1円未満になるような価格設定をすることは、有料化にあたらない」と釘を刺している。また実効性の確保については定期報告義務を課した。これは容リ法に定める多量利用事業者に課せられている報告義務に、プラ買物袋の有料化にともなって発生抑制の取組みに関しての欄を追加するもの。
    こうした説明に対する委員の意見としては、経団連環境エネルギー本部長の池田委員が「消費者のライフスタイルを変革する。それぞれの立場で汗をかくということ。政府は柔らかな頭でやってほしい」と評価。「自治体についても市民から問い合わせがあると思うので、各自治体のブロック説明会などよろしくお願いしたい」(大熊委員・全都清)。杏林大学の斉藤委員は「フォローアップはどういう意見があったのかが大事。量だけでなく反応が大切」とコメント。高村委員(東京大学未来ビジョン研究センター教授)は「消費者が意識を変えていく意義ある制度」とし、「25年、30年をマイルストーンとした取組み。国はこの買物袋有料化の次のロードマップをつくって進めるべきと思う」と自説を展開。こうした中で富山県生活環境部長の須河委員は、同県が全国に先行してレジ袋有料化を実施してきたことを踏まえ「例外の袋を設定することに反対してきた。本県ではこれまで通りやっていく。先行してきた県の足を引っ張ることがないようにと県知事が合同会議で言ってこいと(笑)。国民への啓発が書いてあるが、これまでのようなムード作りではうまくいかない。我々は強い拘束のもとにやってきた。レジ袋をもらわないということはエコライフの入り口だと思う」と述べた。

    委員の意見に環境省、経産省がそれぞれ答え、最後に酒井委員長が「本日の意見、合同会合として遡っての修正はなかったと思う。2020年7月1日施行の方針で臨んでいく。ガイドラインについはここで議論したことも踏まえて政府として作成していく」とまとめた。中村座長(東北大学名誉教授)は「短い間にパブコメもらいしかもガイドラインまで示したのは素晴らしかった。形はできた。中身をどう詰めるかだ。9月26日に第1回が開催された。年内に議論を取りまとめることができた」と安どの表情を浮かべた。

    続きを読む: 令和元年12月25日開催 第4回産構審・中環審合同会合 レジ袋有料化義務化制度検討会議
  • 令和元年12月10日開催 産構審・中環審合同会合 小型電気電子機器リサイクル制度

    小型家電リサイクル制度に関する「報告書(案)」が示された。前回の会合(11月8日)では、制度開始の5年前とは取り巻く状況が大きく変化しており多くの新たな課題が出現しているため現行のシステムでは対応が困難との意見が多く聞かれ、制度修正の空気が流れていた。が、今回出された「報告書(案)」は、制度修正というよりは現行のシステムを強化することで回収量を伸ばそうという内容だった。その施策に対して委員からは「誰が行うのか」などといった意見も出され、やや抽象的との見方もされた。

    市町村の取組みに差、認定事業者に新たな課題

    小型家電の回収量は平成30年度で約10万トンに達した。制度の回収量目標は平成30年度に14万トンとしていたがこれには届かなかったものの平成27年度、28年度の実績6万7000~8000トンに比べるとかなり増えた。その背景には平成29年度からはじまった東京オリンピックに向けての「みんなのメダルプロジェクト」の成果との見方がされている。
    この制度には全市町村の93%にあたる1620市町村(人口ベースで97%)が参加しているが、回収量の目標数値である14万トン達成に向けた1人1㎏以上を達成しているのは25%の市町村に留まる。一方、0.1㎏未満が42%の市町村となっており、市町村間の取り組み状況の差が大きいようだ。また認定事業者にとっての新たな課題として、①中国の廃プラ禁輸措置による国内廃プラ処理費の高騰、②リチウムイオン電池の増加と発火事故のおそれの増加、③資源価格の変動――などが現れその結果逆有償が増加傾向にあるといったことがわかった。

    誰がやるのかわかりにくい抽象的

    こうした状況に対応し、小型家電回収量を増加させていくための具体的方策を事務局は報告書の中まとめた。「市町村」「消費者」「認定事業者」それぞれの取組みなどについて書き分けており、たとえば市町村については「収集運搬コストの低減に向けた優良事例の横展開を図る」など5項目。消費者に関しては「小型家電リサイクルの更なる普及活動を進める「アフターメダルプロジェクト」を推進する」としている。また認定事業者に対しては「認定事業者、市町村、製造事業者その他の各主体は、再資源化の効率化に向けたコミュニケーションに努める」など2項目を記した。
    この具体的方策について委員からは厳しい意見が出された。「この報告書では自治体がベースになってみんな頑張ろうと。で、誰がやるのかがわからない」 (白鳥委員・日本鉱業協会)。「これ(報告書)をみて消費者は何を、小売店は何をすればいいの? となる。消費者は不燃ごみとして(小電を)出せばこのシステムに寄与するのか。それによっては回収量も違ってくるのではないか」(花村委員・日本消費生活アドバイザー)。「これは消費者がどのルートに出すのが正しいというのがポイント。いくら自治体が頑張っても……。消費者も協力者であるということをもっとアピールしてもいい。リチウムの発火を認識といっても難しい」(西尾委員・筑波大教授)。「コミュニケーションは大切だが、誰が推進するのか」(佐藤委員・弁護士)など。

    回収量目標値14万トンを令和6年度まで継続

    委員の質問に事務局が答えたあと、今後の目標についても説明した。回収量の目標値は変更せず、14万トンを5年後の令和6年度まで継続していくこととした。最後に細田委員長が、「この法の当初の状況と(今は)すごく違ってきている。想定外のこともあり(現制度では)対応できないし、し切れていない。リチウムに表示といってもいくつもあるとユーザーが分からなくなる。逆有償の話しもある。(製品の)生産者が特定できない部分や輸入品もあって難しい。広がりが大きくなってきている。将来的にはもっと違った角度から見る必要があるかもしれない」とコメントした。「報告書(案)」はこのあとパブリックコメントにかけられる。

    続きを読む: 令和元年12月10日開催 産構審・中環審合同会合 小型電気電子機器リサイクル制度
  • 令和元年11月8日開催 産構審・中環審合同会合 小型電気電子機器リサイクル制度

    小型家電リサイクル制度は5年ごとの見直しとなっており、今年がその5年目を迎える。11月8日に開催された経産省と環境省による表記の合同会合は、見直しに向けてのもの。小型家電のリサイクルは制度開始の5年前とは取り巻く状況が大きく変化している。現在のシステムでは対応が難しい。会合では制度を修正する必要があるのではといった空気が流れた。

    メダルプロジェクトが弾みをつけた

    平成30年度の小型家電の回収量は10万0513トンとはじめて10万トンの大台に乗った。前年度比で2万2203トンの増加だ。内訳は市町村の回収量が6万1495トンで6471トンの増加。認定事業者による小売店等からの回収は3万9018トンで1万5732トン増えた。
    増加の要因は、オリンピック・パラリンピックと連携して平成29年度から実施した「みんなのメダルプロジェクト」の効果によるものだろう。それを裏付けるように、「メダルプロジェクト」が開始された平成29年度から小型家電の回収量が伸びはじめている。オリパラで使用するメダルを小型家電リサイクルでつくる――。自治体、企業、市民を巻き込んでのプロジェクトだ。宣伝効果もあって国民のモチベーションは高まり回収量が増加した。リサイクル制度に弾みがついたといえるだろう。ただ、合同会合では「オリパラが終わったら小電回収をやめる自治体が出てくるかもしれない」(桂川委員・全国市長会)といった厳しい意見も聞かれた。

    市町村の回収量増加に向けて

    課題のひとつに市町村の回収量が伸びないとの指摘がある。しかし市町村の参加は、平成住居人ベースでは97%(平成30年6月時点)にまで達しており、これ以上の参加増はほとんどない。その一方で、平均1㎏以上の年間回収量/人を達成している市町村は25%にとどまっている。つまり回収量が伸びないのは「回収方式」にあると見られている。回収量0.1㎏未満という市町村の集め方は「ボックス回収のみ」が比較的多い。それに対して回収量が1㎏以上の市町村は「ステーション回収」や「ピックアップ回収」を含めて複数回収実施しているところがほとんど。環境省は市町村にステーション回収やピックアップ回収の実施を勧めるが、実施スペースや人員不足、コストの問題などがあり導入できない。さらに環境省はコストについて、収集運搬の効率化を提案する。「広域化」ともいえるものだが、いくつかの市町村が同じ認定事業者と契約して、収集日を同じ日に設定する。あるいはいくつかの市町村のうち、ひとつの市町村に回収した小型を集積して、それを認定事業者に取りに来てもらう。量が集まれば逆有償も回避できやすい。

    新たな問題が生起、逆有償化が拡大

    こうした提案は示されたのだが、小型家電リサイクルの現状はかなり厳しいものがある。回収量もそうだが、資源化で発生する廃プラ処理の問題や発火の危険性が高い内蔵されているリチウムイオン電池の問題、人手不足、資源価格の低下などによって「逆有償」になるケースが増大しつつあるということだ。これについては認定事業者の張田委員が次のよう説明している。「来年度から完全逆有償化のお願いを(市町村に)文書で通知した。2年間ぐらいかけて説明してきた。5年前の制度と違うものが出てきた。ドライバー不足、電池の問題、埋立て費の高騰など。市町村は検討して議会にかけることになる。そのため2年間かけた。来年4月からスタートするということを皆さんに理解してもらった。中には逆有償になると継続が難しいというところもあった。新しい価値として、安心・安全のコストがかかるなら考えたいというところもある。もし逆有償でも取り組んでいくということなら、しっかり検証して横展開していければいいと思う」。日本鉱業協会の白鳥委員は、「この法律を作った時はムチャクチャ資源価格が高かった。資源がもったいない。これだけ集めよとなった。14万トンを変えないのはわかるが、もう無理というのがある」と意見。

    最後にコメントを求められた中村委員長は「この法律で来た時、なぜ逆有償を認めたか。有価だけで回るのなら逆有償はなかった。セーフティーネットとして考えている。家電が先に制度がはじまった。小電は有償、逆有償があってはじまった。1人1㎏の回収で14万トンになるということで。しかし(今後)排出は減っていくだろう。このシステムがこのまま行くとは考えられない」と制度変更を示唆した。

    続きを読む: 令和元年11月8日開催 産構審・中環審合同会合 小型電気電子機器リサイクル制度
  • 令和元年10月11日開催 第2回産構審・中環審合同会合 レジ袋有料化義務化制度検討会議

    「プラスチック製買物袋の有料化義務化」に向けた経産省と環境省による合同検討会議の第2回目は、前回同様関係団体のヒアリングが行われた。前回の第1回は7団体がヒアリングを受けた。今回は新たに自治体からは富山県、産業界からは百貨店協会、ショッピングセンター協会、フードサービス協会やレジ袋を製造するポリオレフィンフィルム工業組合、バイオプラスチック協会など合計9団体がヒアリングに立った。各団体からの要望は有料化の実施時期。国は来年4月1日からの導入の意向だが、今回のヒアリングでも国のこうした予定に異論が相次いだ。課題への議論が深まってきた。次回からは中間のまとめに向けた整理に入る。

    軌道に乗るレジ袋削減、富山県の例

    富山県のレジ袋削減への取組みは、その効果が非常に高いことからよく知られている。レジ袋削減に取り組むきっかけとなったのは「CO2排出量が5%近く増えてしまったから」(富山県)。1990年比で2010年に6%のCO2削減目標を打ち出したが、2005年に5%増えてしまった。レジ袋は県内で年間約3億枚が使われていると推定。この量は3万7000台のエアコンの年間CO2排出量(1万8000t-CO2)に匹敵する。「(レジ袋)有料化ではなく、無料配布禁止という言い方をしている。マイバックは目で見てわかる。広がりがあり、エコライフのシンボルと言える」(富山県)。2007年6月に消費者・事業者・行政の3者で「レジ袋削減推進協議会」を設立。連携協力して進めた結果、2018年にはマイバッグ持参率が95%にまでなった。レジ袋削減枚数は11年間で15億7000万枚に達する。課題として富山県は「コンビニはまだ浸透していない」などをあげた。

    券売機の変更などで悩む外食産業

    全国の外食産業(ファーストフード、ファミリーレストラン、居酒屋、パブ等々)の1割の店舗(約7万4000店)が加盟する「日本フードサービス協会」は、「業種、業態、提供メニューが多彩で、チェーン企業から個人店舗まで様々な事業者が存在する。販売するのが揚げ物や焼き物、汁物などの「料理品」であるので、消費者は外食店にマイバッグを持参する習慣がない」といった外食産業の特質をあげ、外食店がレジ袋を取り扱うのはハンバーガー、牛丼や持ち帰り弁当、宅配食など限られていると説明した。
    その上で、レジ袋有料化実施について以下の課題、要望をあげた。外食の場合は中小業者が多いことから、事業者の準備期間の前に相応の周知期間が必要であること。また事業者にとっては、消費者が利用理品をマイバッグに入れるための台の作成などの期間が想定される。レジ袋を紙袋へ変更するなど包材の仕様変更には「見積り・検討」から「発注・製造」までは半年ぐらいはかかり、「テスト期間」も2カ月は必要などと説明。さらにこれが最も大きな課題なのだが、現在、牛丼店などの券売機には1円玉、5円玉を判別するものはなく、レジ袋有料化が実施されると、このレジ袋は代金をもらわなければならず、さらに消費増税も加わり消費者・事業者ともに混乱が予想される。「外食産業はこの問題ですごく悩んでいる。使用費者の混乱を避けたい。1年程度の周知期間は必要と思う」と述べた。

    有料化によってどのくらい減ったかが重要

    様々な団体のヒアリングから見えてきた課題や要望を整理すると、①レジ袋有料化の実施時期、②有料とした場合のレジ袋の値段、③対象となる有料レジ袋の範囲、④バイオプラなどに特例(無料)を設けるのか、 ⑤レジ袋売上金の使途、 ⑥中小零細企業への配慮を、⑦消費者の混乱をきたさないように広報周知をしっかりとやってほしい――といったところか。①の実施時期については、どの団体も「4月1日からは困難」というものだった。経団連の池田委員も「オリンピック開始のギリギリのところで実施、ということで考えてもらいたい」と要望した。また有料化の例外については、制度の概要(案)ではバイオプラを例外とするような記載もあるが、委員からは「消費者にとってなぜ例外なのかという判断が難しい」との意見が聞かれるなど、どちらかというと否定的な空気に傾いていた。ただし、何回も使える厚手のものについては例外としてもいいのではという意見が多数だった。
    石川委員(神戸大教授)は「(レジ袋有料化は)プラ資源循環戦略の一環と思っている。この努力によって何トン減ったかというのが重要。次のステップとしてこういうものが減らせるとか……。その結果、プラはどのくらい減ったか追いかける必要がある。それぞれ特有の困難があるのはわかる。すべて4月1日(実施に)こだわる必要はない。プラを減らすことの消費者理解を進める。これは国の役割。年に1回ぐらいフォローアップしてほしい」と述べた。

    次回会合から中間のまとめに向けた整理に入る。

    続きを読む: 令和元年10月11日開催 第2回産構審・中環審合同会合 レジ袋有料化義務化制度検討会議
  • 令和元年9月26日開催 産構審・中環審合同会合 レジ袋有料化義務化制度検討会議

    経産省と環境省による「プラスチック製買物袋の有料化義務化」に向けた合同検討会議が9月26日開催された。有料化の対象はレジ袋が主体となる。国のスケジュールとしては来年夏のオリンピック開催を見据えて、4月1日から有料化を実施したい意向で、そのため容器包装リサイクル法(容リ法)の省令改正により迅速に制度化したいとしている。ただ、今回の合同会議でヒアリングに立った複数の業界団体からは4月からの導入は準備の関係からして困難との意見が大半を占めた。有料化実施の「時期」「価格」「対象範囲」「例外」などが論点として整理された。

    プラ製買物袋有料化の義務付け骨子案

    制度見直しの骨子(案)を経産省が説明した。それによるとプラスチック製買物袋の有料化の義務づけについては、容リ法の第7条の4第1項に、小売事業を行う際に容器包装の合理化が義務付けられており、具体的には、①容器包装の有料化や、②容器包装を利用しない場合のポイント還元など4項目が位置付けられている。今回は省令の中で①について義務付けていく考え。有料化義務付けの対象となる買物袋は、消費者が商品の購入に際し商品を持ち運ぶために用いるプラスチック製の袋とし、例えば衛生管理の観点から極めて薄手の袋(鮮魚や精肉を入れるいわゆるロール袋等)は対象外とする。また、海洋生分解性プラスチック袋、バイオマスプラスチックを用いた袋、一定以上厚みがあり繰り返し使用可能な袋――などは有料化を実施しているEUの例などを参考としつつ義務付け対象外とする考えを示している。
    有料化のあり方については、プラスチック買物袋の価格設定を各事業者自ら設定するものとし、有料袋の売り上げの使途についても各事業者が自ら設定すべきものとしている。また、対象業種は競争上の不公平を生じないよう、あらゆる業種や規模にかかわらず一律に対象とすることが適切とする一方で、中小・小規模事業者への必要な措置を講じるべきとしている。実施時期については早ければ来年4月1日の施行を目指す。
    実効性の確保にあたっては、法に基づく定期報告、勧告、命令、罰則に加え、各業界における取組み状況の自主的な情報発信も推奨すべきとしている。事業者への周知、国民の理解の促進に向けて、プラスチック製買物袋の有料化にあたってのガイドラインの策定、各業界・自治体への説明会、経産省・環境省・農水省などに問い合わせの窓口の設置も予定している。

    4月1日実施は困難との意見が大半

    経産省の説明に続いて、日本スーパーマーケット協会や日本チェーンストア協会、フランチャイズチェーン協会、プラスチック工業連盟など関係する7団体からのヒアリングが行われた。このうちセブンイレブンやローソンといったコンビニを主体とする日本フランチャイズチェーン協会は、レジ袋有料化が業界で進まなかった理由として「急な立ち寄り客が多くマイバッグの用意がない。おでんなど汁物や冷凍・冷蔵商品の購入がありマイバッグでの代用が困難。客が袋詰めできるスペースの問題」などを上げ、有料化された場合の懸念材として客が有料化を知らずに、コンビニ従業員とトラブルになることが心配されるとした。その上で、有料化に伴うレジ袋の規格見直しや数量確保や在庫調整、レジのシステム変更およびマイバッグへの詰め替え可能なカウンターレイアウトの変更など準備に相当な時間を要するとし、「4月1日施行はどうやっても不可能。大手ほど時間がかかる」と実施時期について配慮を求めた。
    4月1日からの実施時期については他の団体からも「困難」とする声が聞かれた。また出席委員からも「実施時期が一番懸念される」(池田委員。経団連)、「実施時期をオリパラのところまで延ばすのもあり得るのかなと思う」(大塚委員・早稲田大学法学部教授)などの意見が相次いだ。また6月、あるいは7月実施という声も聞かれた。

    全国一律で実施、バイオプラは例外か

    団体のヒアリングで多かった要望は実施期間の配慮のほか主に、「事業者間に不公平が生じないように全国一律で実施してもらいたい」(大手スーパーなどが加盟するチェーンストア協会)、「有料化の対象は、いわゆるレジ袋に限定すべき。レジ袋が減少することでとくに中小の製袋業界は大きな打撃を受け、社会的混乱を招くことが予想されるため義務化の対象は広げるべきでない」(プラ工連)、「バイオマスや生分解性プラは有料化義務化から外してもらいたい」(チェーンストア協会)、「レジ袋の販売価格が競争原理にならないように願いたい」(スーパーマーケット協会)など。
    高村委員(東京大学未来ビジョン研究センター教授)はこれらの課題を整理する形で次のように述べた。「有料化の価格は最低の部分は決めるべきかと。たとえば0.1円でもいいということになるとおかしな具合になる。消費者に混乱を起こさないようにすることは大切。禁止ではなく有料化であることを周知した方がいいのでは。また生分解プラなど(有料化の)例外は少なくする。混乱が起きないように。必要なら有料化にしてもいいかと。実施時期は一定の配慮が必要と思う。また有料化で得た売上はプラの削減の使途とするとか条件を設けるべきと思う」。
    中村委員長は「バイオマスプラスチックをどうするか。例外にするには裏付けが必要になる。かなり時間がかかる。時間的制約を考えると別な委員会なりで議論すべきか」とコメント。バイオプラについては委員の中からも「数%入っていてもバイオというのか。隠れ蓑になりかねない」と危惧する意見が出された。

    第2回目は10月11日に開催の予定で、引き続き関係団体のヒアリングが行われる。

    続きを読む: 令和元年9月26日開催 産構審・中環審合同会合 レジ袋有料化義務化制度検討会議
  • 令和元年8月9日開催 産構審・中環審合同会合 小型電気電子機器リサイクル制度

    今年度第2回目となる経産省と環境省による小型家電リサイクル制度の合同会合が8月9日開催された。今回は関係者13団体からの取組みに関するヒアリングが行われた。なかでも自治体およびリサイクル認定事業者の取組み状況からは、小型家電リサイクルを進める上で採算が非常に厳しい状況に陥っていることや、とくに認定事業者からは採算面に加えて廃プラの処理、リチウム電池による火災の発生などが報告されるなど、改めて課題が浮き彫りとなった。

    名古屋市は平成28年度から逆有償に

    合同会合でのヒアリング対象団体は、自治体から名古屋市、小金井市、リサイクル認定事業者は金城産業(愛媛県松山市)、ニッコー・ファインメック(岩手県一関市)、さらに大手家電流通協会やメーカー関係の電子情報技術産業協会など13団体。
    名古屋市(人口230万人)は、小型家電リサイクル法施行後すぐに環境省へ実証事業の公募申請を行い、採択されたことで平成26年2月から回収を開始した。回収方法は「ボックス回収」を導入。区役所や支所、総合スーパー、ホームセンターなど計58カ所にボックスを設置した。広報宣伝として市の広報紙はもちろんのこと、テレビ・ラジオの媒体を使ったり、地下鉄主要駅のホームや地下鉄・市バスでの車内広告、新聞折込みチラシなどでも周知した。対象の小型家電は、パソコン、携帯電話、デジカメ、ヘアドライヤー、音響機器などボックスの投入口に入るもの。ボックス費用、広告関係の費用は環境省の補助金で賄われており、4000万円ほどかかったようだ。
    スタートした平成26年度は約111トンの回収実績だったが、平成30年度は約166トンと増加。しかし、契約単価は平成28年度から「逆有償」になっており、今では逆有償額が㎏56円と市のごみ総処理原価(㎏58円)と同額近くになっている。またリチウムイオン電池が原因と考えられる発火事故が平成30年度は43件も発生している。「事業を継続していくには自治体の負担軽減が必要。製造・販売事業者がコスト負担する制度が望ましい。小型充電式電池は事業者による回収・処理体制が必要ではないか」(名古屋市)と述べた。

    小金井市は売却費㎏0.1円も今年度から逆有償に

    東京小金井市(人口12万1000人)の場合は平成27年度からの開始で、「ピックアップ方式」をとっている。燃やさないごみ+粗大ごみを収集し、中間処理施設で小型家電を含めた家電類を選別して認定事業者に引き渡す。拠点回収にすると人員の配置などが必要になる。同市の場合は有料袋による戸別回収のため現在の形になった。
    平成30年度に選別して引き渡した家電類は約211トン。売却単価は㎏あたり0.1円。トンにすると100円だから売上総額は2万1000円あまり。この単価、認定事業者との取り決めで平成27年度から固定されている。ただ「今年度からは逆有償になった」(小金井市)という。また、㎏0.1円という売却単価については、「収集の委託費はない。選別は古い工場で狭いので、委託の人員を1名増やした。0.1円であっても費用削減できていると思う」とした。今後の取組みについては「宅配便を活用した回収」を本年6月から実施するとしている。認定事業者と協定を締結する市民が、指定の段ボール箱に入れて送るというもので、宅配費用は市民に負担してもらう。「市は逆有償になる部分を削減できる」(小金井市)。

    四国での地産地消を目指す。プラのマテリアルが課題

    リサイクル認定事業者の金城産業(松山市)が報告に立った。「四国は人口340万人しかいない。毎年人口が減っている。破砕選別技術もあるので小電リサイクルをやろうと。四国の中で地産地消をしていこうと思った」。小電を手掛けた背景について同社金城正信氏は説明する。同社は金属スクラップを中心とした総合リサイクル業。創業は1927年だから90年にもなる歴史を積む。小電リサイクルは2013年に認定事業者になり、ここから取組みがはじまる。回収先割合は2014年と比較して2018年は「量販店回収」が13%から19%に増えた。量販店の量は2倍になったという。「自治体からの回収」は87%から80%に低下した。回収や持込まれた小型家電は、事前選別・手分解でリチウム電池などを取り外す。このあと機械による破砕・選別が2段階で行われるという処理フロー。
    処理にあたっての課題は発生する「廃プラ」と「電池」。「廃プラは55%を占める。マテリアルをやりたいが困難を極める。木くずや繊維くずを使っているものが多い。高純度のプラにしないとコンパウンドメーカーは使ってくれない。今後これに取り組んでいく。ただプラを高度に選別しても使ってくれなければ何にもならない」と金城氏。また「リチウム電池が原因と思われる火災が今年度発生し、市民に迷惑かけた」と述べた。採算については「単独では採算とれていない。6年目で利益出そうと思ったが、8年でトントンにしようと。沢山集めないと。精錬所にも交渉しやすくなる。ただ品目の絞り込みは考えていない。いいとこ取りはできない。地産地消でやりたい」。

    貴金属含有量は少量。電池による火災のリスク大

    認定事業者の2人目はニッコー・ファインメック㈱(一関市)の小野寺真澄氏が報告。同社の特徴のひとつに「回収」がある。東北6県の産廃収集運搬ルートで同社のドライバーが回収。発生量が少ないので「ついで回収」で十分対応が可能としている。契約品目を4分類してどこまで取り組むかを自治体と相談して進めている。メニューは「有償」「無償」「逆有償」とある。「いまは無償なら何とかなるというのが増えつつあるが、費用がかかる逆有償ならやらない、というのが現実」と小野寺氏。無償でやるのも難しくなっているが、これが課題のひとつのようだ。

    また同社では貴金属の回収と精錬を行っており、高品位の部材は工場でインゴットに仕上げて売却している。しかし「希少金属の含有量はごく少量。小型家電は貴金属というイメージを植え付けてしまった。儲かるという。失敗だったと思う」。電池が原因と思われる火災にも言及した。「火災が前提で電池を外している。火災のリスクと隣り合わせ。外すのは難しい。プロの人員でも見落としがち。それにコストもかかっているのを理解してもらいたい。解体コストを負担してもらうのがいい」。前出の金城産業と同様、小電の場合は「廃プラ処理が大きくのしかかっている」という。採算面では「トントンか若干のプラス。地域回収しかしない。イベント回収はしていない。量は少ない。今後小電の場合、貴金属の使用が減っていく。今後は厳しくなるだろう」。

    続きを読む: 令和元年8月9日開催 産構審・中環審合同会合 小型電気電子機器リサイクル制度