審議会等情報
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審議会等情報

  • 令和4年度3月24日開催 災害廃棄物対策推進検討会(令和4年度第2回)

    環境省は2月14日、第30回中央環境審議会(中環審)総会を対面とWebの両方式で開催した。中環審の委員の任期は2年と定められており、30名の委員の改選が行われるとともに、会長に高村ゆかり氏(東京大学未来ビジョン研究センター教授)を選出したほか、各部会長が指名された。議事では「当面の諸課題について」質疑応答が行われた。議案審議の最後で和田事務次官は、今後環境省はどういう心構えで臨むかについて、考え方のコンセプトは狭い環境にとらわれず、未来像の提示とか希望ある社会像などを提示していきたいと述べた。

    環境政策の価値が改めて認識されている

    総会では会長の互選や部会長指名が行われ、新たな陣容で当面の諸課題を審議した。議事に先立ち西村環境大臣があいさつ。「環境省は我が国が直面する数々の社会課題に対して、カーボンニュートラル(CN)、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブ(自然を優先させる施策)等々、これらの同時達成を通じて持続可能な新たな成長を実現して、将来にわたって質の高い生活を確保していくことを目指している。皆様のご協力を賜りたい」。 次いで新たな委員の紹介が行われ、互選により会長に高村ゆかり氏が選出され、各部会長が指名された。高村氏は会長就任にあたり、「2年前にCNを軸に国内外の政策、企業、地域も動き出したが、昨年2から続いているロシアのウクライナ侵攻が国際平和や国際協力に影を投げかけている。そうした中でこそ、エネルギーの自給率を高め、資源の循環を促し、食料の自給を向上させていく、効果をもった環境政策の価値というものが改めて認識されるようになっていると思う」とあいさつを述べた。

    動静脈協働による循環経済

    環境省は当面の諸課題として「気候変動関連」「循環経済・福島復興関連」など4項目を示した。 気候変動対策では昨年12月のGX会議において脱炭素と産業競争力を同時に実現するロードマップが提示された。今後10年間で150兆円超の官民投資を行う。こうした中で環境省の取組みとしてはGX、脱炭素の取組みを推進するための支援措置として、地域脱炭素そして暮らしの分野、自動車、資源循環など支援していく。具体的には「脱炭素先行地域」を25年までに100カ所つくっていく。既に46カ所を選定しており、第3回の公募を行なっているところだ。 また「循環経済」では、「静脈のみならず動脈とも協働しながら資源の確保、安定供給を行い、その中でCN(カーボンニュートラル)にもしっかり取り組んでいくとともに、国外の廃棄物からの資源についても循環型を進めていこうと」(環境省)。

    環境省の役割とは希望ある未来像の提示

    委員からは様々な意見が出されたが、最後に環境省を代表して和田次官が今後の環境省の役割について、「私自身の思いも込めて」とことわりつつ次のように語った。 2050年CNが非常に強調されたあと、産業界はじめとして新聞にもCNが載らない日はないというぐらいになった。一方、GXというキーワードが出て、カーボンニュートラルだけという具合になりすぎて、サーキュラーエコノミーとかネイチャーポジティブの部分について環境省は少しパンチが効かなくなっているのかなというところは大いに反省すべきと思う。 環境省は法律に書かれている環境という分野にとらわれた環境だけでなく、考え方のコンセプトはSDGsをベースにした市民社会とか、一人ひとりの人たちがどんなことを未来に期待するのか、というところを念頭に置きながら政策展開すべきと思っている。未来像の提示、希望ある社会像とか提示していきたい。

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  • 令和4年度年12月12日開催 災害廃棄物対策推進検討会(令和4年度第1回)

    環境省は12月12日、令和4年度としては第1回目になる「災害廃棄物対策推進検討会」をオンラインで開催した。今年度の検討会の検討内容および報告内容としては、今年度発生した自然災害における対策や対応に関して振り返り、問題点や改善点などを整理。災害廃棄物対策に関する総務省からの行政評価・勧告への対応・取組みを報告。大規模地震に備えた技術的な検討。各ワーキンググループ(WG)の予定。などを上げている。また第2回目の開催を来年3月上旬としている。

    令和4年の災害による被災状況と対応

    検討会は(公財)京都高度技術研究所の酒井伸一副所長を座長に推薦してスタートした。環境省が令和4年に発生した主な災害における被害状況と対応について資料に沿って説明した。3月の福島県沖地震、8月の大雨がもたらした石川県、新潟県などの被害、9月の台風14号による九州地区を中心とした被害、9月の台風15号が静岡県に大雨災害をもたらした件、それぞれに地方環境事務所などから職員数十名を派遣し現地支援を行ったほか、台風14号による被害では人材バンクから20名を派遣し現地支援を行ったほかD.Waste-Netから延べ8名が支援のため現地に入った。

    被害大きい静岡県、自衛隊も支援に

    なかでも被害が大きかったのは台風15号による大雨災害が発生した静岡県のケースだった。住居被害が全壊、半壊、一部損壊、床上・床下浸水を合わせて約1万3000戸に上った。環境省は現地支援として静岡県内7市町村に地方環境事務所などから述べ73名を派遣し、名古屋市、横浜市、川崎市など他自治体からも収集運搬支援が入った。また自衛隊も隊員約130名が車両7台の態勢で災害廃棄物の撤去支援を実施した。

    事災廃対策の振り返り、計画の実効性など課題

    災害廃棄物対策に関する振り返りでは、自治体の対策強化として災害廃棄物処理計画が未策定の自治体もあり、苦労した部分もあった。なかでも中小規模自治体の策定率はいまだ低いので支援を行っていくとしている。また処理計画は策定済みだったが、速やかな仮置場開設ができなかった事例があるなど、計画の実効性の向上が課題となった。これについてはグッドプラクティス・バッドプラクティスを整理し、自治体向けに周知していく。

    静岡の災害、他からのごみ持込も

    出席委員からは、台風15号による静岡県の被害状況と対応についての質問が多かった。 「静岡を中心とした台風15号の報告ありましたが、報道などで他からのごみの持込みが言われていたが、その辺、今後の議論につながるような情報を頂ければ」「今回の災害では仮置場が早急に開設されなかった例があると聞く。それはなぜなのか」。 これら質問に対して環境省は次のように答えた。「ごみの持込みがあったというのは否定できない。早期に集積所から仮置場に搬出することが必要になってくると思うので、自衛隊や各自治体の収集車含めてご協力いただきながら進めていきたい」「仮置場の設置が遅れた理由ですけど、静岡市の方でも仮置場の選定は進めていました。ただ民間地だったので交渉が必要で設置が遅くなったのが原因と考えている」 また捕捉として「衛星の活用とかドローンの活用はいま検討を進めているところです。ドローンについては1カ所、写真撮影をしていますので今後も検討していきたい」と付け加えた。

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  • 令和4年3月9日開催 災害廃棄物対策推進検討会(令和3年度第3回)

    環境省は3月9日、令和3年度としては最後になる「第3回災害廃棄物対策推進検討会」をリモート形式で開催した。過去5年間の検討会の成果や課題を総括するとともに、2つのWG(ワーキンググループ)からの報告が行われた。技術・システムWGからは南海トラフ地震が起きた場合、災害廃棄物発生量は東日本大震災の約10倍に相当する2億2000万トンになるとの推計が出された。また今回の検討会では務台環境副大臣が出席。あいさつの中で副大臣は、「この検討会の議論は政治の場の議論に結びつく」と述べ、開始から終了までの2時間にわたり説明や議論に熱心に耳を傾けていた。

    務台環境副大臣「議論は政治の場に結びつく」

    モデル事業の実施では、関東・中部・近畿の地方事務所いずれもが域内の自治体と共に図上演習を実施しているが、中部環境事務所がこうしたこととは別に連携に係る検討として行った「関係機関との意見交換」は特徴的だった。 意見交換会は、同環境事務所と中部ブロック管内の人材バンク登録者と行なったのと、同環境事務所・自衛隊・県を交えての意見交換も実施している。これらは「顔の見える関係の構築を目的としている」(同事務所)。 被災自治体のニーズを踏まえ、適材適所の人材派遣を行い、支援を効果的なものにするためには人材バンク登録者の特徴等を熟知しておく必要があるという。 また、自衛隊や県(環境部局・防災部局)との意見交換も情報共有、演習等を通じての連携強化が必要との考えから。次年度には自衛隊との図上演習を計画している。

    損壊家屋の解体廃棄物、新耐震基準の前後で違い

    「災害廃棄物発生量の推計精度向上のための方策検討」について島岡委員長(九州大学教授)が報告した。地震や水害などで被害を受けた家屋(木造・RC造)全壊、半壊、床上・床下浸水など20棟について実際にモデル解体を行い、解体により排出される廃棄物発生量や組成を調査した。 その結果、昭和56年に施行された新耐震基準より前の木造家屋からはコンがら(コンクリートがら)の発生が46.7%であるのに対し、新耐震基準導入後の木造家屋の場合では59.1%だった。コンがらの発生量の違いは、家屋の土台にコンクリートを使用しているか否かによるところが大きいことがわかった。非木材家屋(RC造)では、コンがらの割合が94.1%を占めた。 「仮置場の必要面積算定のための片付けごみ発生量の検討」も行った。人口規模1万人の場合だと1世帯あたり0.5トンの片付けごみが出てくるだろうと。ごみの比重などを計算すると1万2500立法メートル となり、仮置場で2mに積むとしたら(仮置場面積は)0.625万㎡が必要になると試算。

    南海トラフの発生量、約2億2000万トン

    「技術・システム検討WG」は、牧WG座長(京都大学教授)が説明した。大きな検討テーマは南海トラフ地震における災害廃棄物発生量の見直しと処理のシナリオ。南海トラフ地震による災害廃棄物発生量は、建物耐震化が進み以前の推計より発生量が1割以上減少することを確認、2億1000万トンの発生量と推計された。これに片付けごみを加えると東日本大震災の約10倍にあたる約2億2000万トンと推計されるとした。 南海トラフでは「中部」「四国」の災害ごみを関東や九州で受け入れる広域処理になるが、3年で処理をするとしたら船舶による搬送のほか10トントラックが約5400台必要になるとの試算を示した。また、柱角材の受け入れが十分でないなどの課題も報告した。

    簡単なリーフレット作成

    「地域間協調WGの検討」は、座長の京都大学の・利准教授が報告。災害廃棄物処理計画の策定について4割の市町村が未策定となっているが、これらは小規模自治体が多数。そのため「災害廃棄物処理体制と業務」という簡単なリーフレットを作成し、処理計画策定につなげていくとしている。

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  • 令和4年1月19日開催 災害廃棄物対策推進検討会(令和3年度第2回)

    環境省は1月19日、「令和3年度第2回災害廃棄物対策推進検討会」をWeb形式で開催した。議題は、①各地方事務所のモデル事業実施状況。②災害廃棄物処理支援員(人材バンク)の支援報告の2点。モデル事業の実施では、環境省の関東、中部、近畿の3つの地方事務所からそれぞれ報告がされた。参考になる部分も多い。また人材バンク関係では熱海市と北広島町への支援・受援状況が報告された。災害廃棄物処理体制の強化に向けて様々な取り組みがされている。

    自衛隊などと意見交換(中部環境事務所) 

    モデル事業の実施では、関東・中部・近畿の地方事務所いずれもが域内の自治体と共に図上演習を実施しているが、中部環境事務所がこうしたこととは別に連携に係る検討として行った「関係機関との意見交換」は特徴的だった。 意見交換会は、同環境事務所と中部ブロック管内の人材バンク登録者と行なったのと、同環境事務所・自衛隊・県を交えての意見交換も実施している。これらは「顔の見える関係の構築を目的としている」(同事務所)。 被災自治体のニーズを踏まえ、適材適所の人材派遣を行い、支援を効果的なものにするためには人材バンク登録者の特徴等を熟知しておく必要があるという。 また、自衛隊や県(環境部局・防災部局)との意見交換も情報共有、演習等を通じての連携強化が必要との考えから。次年度には自衛隊との図上演習を計画している。

    住民啓発モデル事業(近畿環境事務所)

    近畿環境事務所は、「最近は市町村の6割以上で処理計画策定が済んでいるので、昨年度から住民啓発モデル事業を実施している」(同事務所)。「災害の現場を見ますと、実際にごみ出し行なっているのは住民でありボランティア。そこのところの取組みが弱い。災害廃棄物への対応ができていない部分があると思う」。 そこで住民啓発モデル事業を実施した。その内容は、①災害に伴う廃棄物の「住民用搬出マニュアル」の作成。②防災部局と連携した災害廃棄物排出の実践訓練実施支援。③家庭内退蔵品の集積所排出模擬実験の実施。 災害時における廃棄物処理についての住民用パンフレット作成のため、長岡京市(京都府)、京田辺市(京都府)、寝屋川市(大阪府)など合同のワークショップを開催し、住民の方の要望やマニュアルに載せる情報などについて、住民にも参加してもらい情報交換しながらそれを踏まえて作り上げた。「このハンドブック1冊あれば災害時のごみの出し方に困らない」(同)。また、集積所の場所なども写真で掲載。昨年11月には住民用仮置場搬入模擬訓練をした。

    人材バンクからの支援を報告

    人材バンク(災害廃棄物処理支援制度)への登録状況は、令和3年12月末時点で260名となっている。前年度から21名増えた。内訳は都道府県69名、市町村191名となっている。 この人材バンクから熱海市と北広島町に支援が行われた。 令和3年7月3日に大雨による土砂災害が発生した熱海市に、千葉県館山市から2名が支援に向かったのは8月31日のことだった。被災市が多忙なためメールでの連絡が行われた。支援内容は、「被災家屋の解体撤去、費用償還に関する制度設計、運用時用の留意点」「補助金申請事務」など。今後の課題に向けて今回感じたことは「被災市の状況に適した特性の支援員を、適した人数、安定的に確保できるか」(館山市)。 平成30年7月豪雨で被災した北広島町には、広島県坂町から9月~12月にかけて6日間支援活動を実施した。「財務会計事務」「公費解体・費用償還受付事務」「仮置場の原形復旧」等が支援内容。同規模自治体だったため好意的だったという。今後の人材バンクについて坂町の支援員は、「人材バンク登録者の資質の見極め」「知識のアップデートが必要」「発災時の段階で人材のピックアップ」などが必要ではとしている。

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  • 令和3年12月13日開催 災害廃棄物対策推進検討会(令和3年度第1回)

    環境省は12月13日、令和3年度「第1回災害廃棄物対策推進検討会」をWeb形式で開催した。会議では近年の自然災害における災害廃棄物対策として、特に本年7、8月の豪雨災害による被災状況と災害廃棄物対策について検討したほか、環境本省および地方環境事務所の取組みなどが報告された。7、8月の豪雨災害では初めて人材バンク(災害廃棄物処理支援員)から派遣が行われた。検討会では委員から人材バンクの派遣に関しての質問が多く出された。

    熱海市など7、8月の豪雨被害

    検討会は環境省が、「近年は豪雨による災害が多くなっている。今年の場合、全国各地で水害が発生している状態」と災害の特徴を述べつつ、本年7、8月に発生した豪雨災害とその対応について報告した。 7月の豪雨は、6月末から梅雨前線が北上し、7月1日から3日にかけて西日本から東日本に停滞。前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだため大気の状態が非常に不安定となったため、東海地方から関東地方南部を中心に記録的な大雨となった。静岡県の複数の地点で72時間降水量の観測史上1位の値を更新するなど、記録的な大雨となった。この大雨により静岡県熱海市で土石流が発生したほか、河川の増水、低地の浸水が発生した。 8月も11日から19日にかけて前線の影響で、西日本から東日本の広範囲で大雨となり、降水量が多いところで1200ミリを超える記録的な大雨となった。

    熱海市や北広島町へ人材バンクから派遣

    7月豪雨による熱海市の災害の場合、土砂流の被害が大きかった。熱海市・静岡県・国交省・環境省による関係者会議を開き連携して対応。廃棄物・土砂一括撤去スキームを推進した。3カ所の仮置場に、がれき混じり土砂を搬入し、流木・がれき・土砂等に分別処理する方法をとった。本省及び地方環境事務所職員延べ54人が現地入りし、仮置場の適切な運用に向け助言を行った。熱海市からの要請があり、はじめて災害廃棄物処理支援制度(人材バンク)を活用して館山市の職員2名を派遣した。また人材バンクは豪雨被害を受けた広島県北広島町にも派遣した。

    現地からは人材バンクの評価高い

    委員からは人材バンクに関する質問が多かった。「初めて人材バンクからの派遣だったですが、どのように人を決めて派遣したのか。派遣した結果の検証を聞きたい」「人材バンクが機能したかどうか、その辺の評価感想を教えてほしい」など。また「被害を受けた自治体は災害廃棄物処理計画を策定していたのか」とか、「コロナ下によるボランティアは県内だけに限って行ったのかどうか」などの質問も。 これらについて環境省は「人材バンクは、熱海市は地方事務所から推薦があって、台風被害があった千葉県館山市から派遣してもらいました。広島県の場合はリストを渡してあり、その中から決まりました。人材バンクの派遣が有効だったのかという点ですが、派遣で行く方にメールなどで先に情報を伝えてあったのですが、やはり現地に行くと対応が違ってくる。熱海市では(人材バンクが来てくれて)よかったという意見をいただいている」「広島県の場合は主に災害報告書の作成に携わったのですが、支援によつて災害報告書の完成度がぐっと上がった。現地からは良かったと言われている。有効だったとのお話をいただいている」と人材バンクの評価が高いと述べた。 また「処理計画は、被災地はほぼ策定済み。ただこうしたことに慣れている自治体もあれば、初めて被災したところは処理計画通りにはいかなかったのかなというふうに感じています」 「ボランティアは基本には県内ボランティアをお願いしていたようですが、県外からも多少来ていたのかなと思う」とした。 なお、人材バンクへの登録状況は令和3年度が9月末時点で260名(都道府県69名・市町村191名)となっており、前年度より21名の増加となっている。

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  • 令和2年1月12日開催 災害廃棄物対策推進検討会(令和2年度第2回)

    環境省は1月12日、令和2年度の「第2回災害廃棄物対策推進検討会」(委員長:酒井伸一京都大学環境科学センター長)をWeb形式で開催した。会議では3つの地方環境事務所から「令和2年7月豪雨」で甚大な被害を受けた熊本県人吉市や球磨村に対する支援活動の報告、環境省からは「災害廃棄物処理支援員(人材バンク)」の登録状況の説明などがされた。

    関東環境事務所からの報告

    「令和2年7月豪雨」は、熊本、大分、福岡県など主に九州地区を中心に甚大な被害をもたらした。当日の検討会では地方環境事務所の対応として、熊本県人吉市や球磨村、芦北町、八代市などへ支援に入った「関東地方環境事務所」など3つの地方事務所から報告が行われた。
    関東地方環境事務所は7月9日から8月31日の54日間、熊本県球磨村役場、人吉市及び芦北町役場に延べ120人日を派遣。主に球磨村を対象に支援活動を展開した。支援活動の内容は、仮置き場確保、仮置場管理事業者の手配、仮置場からの搬出先調整、自衛隊対応、収集・焼却支援の九州管内の自治体への依頼等など。また新型コロナウイルス感染症拡大防止にできうる限りの対策を講じたことも報告書に記し説明した。「発災当初から村と県が迅速に実施できたのは、2016年の熊本地震の経験が生きていたから」と同環境事務所の岡野資源循環課長。

    行動計画の教訓と課題

    関東ブロック協議会の行動計画の教訓として岡野課長は、関東事務所職員の早期派遣による支援要否の見極め。協議会事務局として会員に対して、迅速に職員派遣の検討依頼を発出、行動計画に「自衛隊連携マニュアル」を位置づけることで、平素から顔の見える関係及び災害時の円滑な連携が確保されたなどのポイントを説明した。
    また7月20日~8月9日の21日間にわたり人吉市に延べ23日・人を派遣し、片付けごみの収集運搬の調整や災害ごみ搬出困難な家屋からの土砂・支援パッケージの調整などを実施した中部地方環境事務所は、課題として、①ブロック間の支援・受援の調整・判断。②災害発生時に事務所内で調整し、人員確保ができるよう、事務所内BCPを高めていく視点も必要。③環境省職員のみならず関係機関のパートナーシップの下で現地支援チームを構築し、メンバーの多様性を発揮させることが重要――などをあげた。

    代行支援で環境省と混乱も

    災廃対策検討会の大熊委員は「(自治体は)代行支援で入っている状況であり、環境省との間で混乱する場合が見られたとも聞いている。連携はどのようにしているのか」と質問。これについて環境省からは「正直、これからの課題と思っている。現地でどういうところにどういう支援が入っているのかをきちんと把握して調整、連携したい」と述べた。
    酒井座長は「事情が落ち着いたら地元やボランティア団体からも話が聞けるようにお願いしたい」と環境省に求めると環境省は、「受け入れる側の考えとかよくわかったので話を聞いて課題等を共有していきたい」とした。

    人材バンクへの登録223名

    災害廃棄物処理支援員制度(人材バンク)の説明に移った。人材バンクは「被災した自治体から環境省へ支援要請があった時、登録していただいている被災経験のある(また、支援に行ったことがある)自治体職員をマッチングして支援する」(環境省)という制度。2020年12月28日時点で223名が登録されている。内訳は都道府県からが61名、市町村が162名の割合。ブロック協議会としては関東ブロックが最も多く56名、次いで中部38名、九州33名の順となっている。また、被災経験がある支援員が148名、被災経験はないが支援に行ったことがあるが75名となっている。被災経験者では水害が84名と最も多い。

    「予想以上に地震・津波経験者が少ない(登録8名)。東日本巨大地震の経験者がまだ登録されていないのだろうか。南海トラフへの対応もある。広域・巨大災害は地震と津波だと思うので、呼びかけてもいいのでは」とする委員の意見も聞かれた。

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  • 令和元年度年3月3日開催 災害廃棄物対策推進検討会(令和元年度第2回)

    環境省は3月3日、令和元年度「第2回災害廃棄物対策推進検討会」(座長・酒井伸一京都大学環境科学センター長)を開催した。昨年9月、10月と立て続けに日本に上陸して甚大な被害をもたらした台風15号および19号における災害廃棄物対応の検証をもとに、自衛隊との連携対応マニュアルの作成や、これまでの被災の災害廃棄物処理を経験し、知見がある自治体の人材を「災害廃棄物処理支援隊」として登録、被災自治体の災害廃棄物処理に関するマネジメント支援制度を設置する。一方、災害廃棄物処理計画の策定率が市町村の場合約半分に過ぎず、発災後の初動対応に問題が生じるケースも見られることから未策定自治体に対する策定促進事業を進める。

    災害対応力の向上が大きな課題

    新型コロナウイルスの感染者が拡大をみせつつある中での検討会は、一般傍聴(報道関係者は除く)をとりやめた形で開催された。開催にあたってあいさつを述べた環境再生・資源循環局の山本昌宏局長は「今回の説明は台風15号、19号をはじめとして多くの災害に見舞われ、その中で多くの課題が出てきましたので、そういった災害の対応、教訓をしっかり振り返るのが重要と考えまして、こういった時期でありますが、あえて開催をと判断させていただきました」と検討会開催は、いつ起きるともしれない災害への対応を急ぐ必要があるとの認識を示し、さらに「目の前の災害に加えて、中長期的にはさらに南海トラフのような巨大災害も想定されており、どうやって災害対応力を高めていくかが非常に大きな課題と思っております」と述べた。

    防衛省との連携マニュアル作成へ

    事務局より15号、19号の2つの台風による被害は15都府県に及び災害廃棄物発生量は約215万トンと推計され、処理完了目標時期で最も長いのは長野県の約2年間(令和3年9月)であることが示された。
    災害廃棄物処理の検証から対策能力の向上が見えてきた部分がある。たとえば長野県赤沼公園や茨城県水戸市、栃木県大平町など7県23市町村では現場において防衛省・自衛隊・環境省・自治体が連携、調整して宅地や路上から廃棄物の撤去を実施した。このことを踏まえて、「防衛省と連携し、今後の災害に備える連携マニュアルの作成を進めている。今年4月に防衛・環境両大臣から公表の予定」(環境省)。

    災害廃棄物処理支援員制度を導入

    また「災害廃棄物処理支援員制度」を立ち上げる。この制度は災害廃棄物処理を経験し、知見を有する地方公共団体の人材を災害廃棄物処理支援員として登録し、被災地方公共団体の災害廃棄物処理に関するマネジメントの支援等を想定している。支援員の活動は、災害廃棄物処理の方針に係る助言や個別課題の対応に係る助言・調整などのほか、災害発生時には被災地からの要請により派遣される。「運営主体は環境省が行う。令和2年度から試験運用していく」(環境省)としている。

    災害廃棄物処理計画、未策定自治体へ策定促進

    災害廃棄物処理計画の策定状況は、令和2年3月末の段階で都道府県が98%、市区町村は52%という実績。第4次循環計画では処理計画策定目標値を2025年度に都道府県100%、市区町村60%としている。災害廃棄物処理計画の策定は、発災時の初動対応に大きな影響を与える。事前に仮置場候補地を検討していなかったため、発災後も仮置場を設置することができず結局、すべての片付けごみを戸別収集することになってしまった。

    令和元年の災害においては被災した自治体の多くが処理計画を策定しておらず、上記のような初動対応の遅れが指摘された。処理計画が策定されていない自治体は中小規模のところが比較的多い。その理由として、自治体の人員不足、マンパワーが限られていること、策定に係る知見がない、そもそも危機感がないなどが挙げられている。つまりマンパワー不足の中小規模の自治体に対して、単独での処理計画策定を促すだけでは限界があるのが実情だ。環境省としては、都道府県のリーダーシップのもと、処理計画未策定の中小規模自治体を対象とした処理計画策定事業を進めていく。環境省がモデル事業として選定し、実施を支援していくほか、災害対応において処理計画が有効に活用された例なども示していくとしている。

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