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令和5年8月18日開催 地域脱炭素を推進するための地方公共団体実行計画制度等に関する検討会
本年4月27日に初会合を開いた「地域脱炭素を推進するための地方公共団体実行計画制度等に関する検討会」は、8月18日の第5回開催で事務局から示された「取りまとめ(案)」を議論して事実上終了した。2050年CNをめざし、GX実現に向けた基本方針では、温対法を活用した地域主導の再エネ導入などが位置付けられた。検討会では地域の脱炭素施策を加速させるための議論が行われてきたが多くの課題がある。今回の「取りまとめ」(案)では制度の変更も視野に入れているようだ。
4カ月足らずで「まとめ案」
検討会はスタートから5回の開催、4カ月足らずで「取りまとめ(案)」が作成され、終了を迎えようとしている。かなりのスピードだ。この制度は一言でいうと温対法により地方自治体が太陽光発電や風力発電などの再エネ施設を導入することで、CO2が削減され地域活性化、地域共生圏などに裨益するので、推進して行こうということだ。温対法の施行により自治体は(再エネ施設の)促進区域の設定など計画策定が義務付けられた。しかし1年を経過するが進ちょく状況は芳しくない。そこで検討会で議論し、改めて実効性ある施策を打ち出そうとしたのだろうかとする見方もできようか。
再エネ設定進まずが問題
7ページからなる(案)は、(1)地域脱炭素化促進事業制度、(2)地方公共団体実行計画の策定・実施、(3)中長期的な検討課題、といった大きく3項目に分かれている。(案)に対して委員から意見や感想が出されたのは、(1)と(2)の項目についてだった。 西南学院大教授の勢一委員は、「自治体が行う再エネの促進区域の設定の進ちょく状況があまりよろしくないということが問題としてあったんだと思います」と勢一委員は全体をとらえて述べ、「都道府県の基準が出そろっていないのが市町村としても悩ましいと思うので、この辺の支援をする必要があると思っています」。そして「その他の市町村は(設定することが)努力義務となっている。取り組みたいが取組みができない市町村をどうやって支援していくのか。そういう観点は今後も外していただきたくない」と注文した。まさらに加えて「事業者提案型」の設定について、地域の合意形成との関係での懸念を示した。
中心になる都市との広域連携必要
丸山委員(名古屋大教授)は、「実際にやるのであったら、中心都市みたいなどこか中心になったところが広域にやるという。中心になる自治体へのインセンティブを付与するのが大事だと思う。複数になれば補助率上げるとか、考えられる」と、中心都市を軸にしての広域連携がポイントではないかと述べる。
実行計画マニュアル変更の可能性も
事務局は大きなポイントとなる地域の合意形成について、「我々の実行計画のマニュアル、計画策定支援のあり方も、よく考えないといけないタイミングなのかなと思っている。具体的に事業の実行をする。そのためには当然地域の合意形成が必要になる。今までの計画策定でどういう負担が多いのかとか調べながら実行につながるような計画策定、支援について考えていきたい」と変更の可能性を匂わした。 最後に大塚座長が、今回の「取りまとめ案」の文言等修正を座長に一任してほしいと委員に要請し承諾を得た。修正したものは環境省ホームページに掲載する。
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令和5年6月23日開催 環境省「全国廃棄物・リサイクル行政主管課長会議」
環境省による「全国廃棄物・リサイクル行政主管課長会議」が6月23日、Web形式で開催された。国の環境再生・資源循環に関する課題や動向、各施策の方針などを説明し、自治体に対応や協力などを求めるもの。循環型社会推進室、リサイクル推進室、廃棄物適正処理推進課……等々計9つの課・室から時間制限により駆け足での説明がなされた。
循環型社会推進室およびリサイクル推進室
循環型社会推進室・来年に第五次循環計画の閣議決定循環型社会形成推進基本計画(循環基本計画)はおおむね5年ごとに見直すこととされている。現在の第四次循環基本計画は平成30年(2018)6月に閣議決定されていることから、次の第五次基本計画の閣議決定は令和6年(2024)に予定される。そのため中央環境審議会では現在、第五次循環基本計画策定に向けての作業を進めているところ。本年9~10月に具体的指針を、来年2月に基本原案を取りまとめるというスケジュール。 現在の第四次循環計画の構成は、①持続可能な社会づくりとの統合的取組、②地域循環共生圏形成による地域活性化、③ライフサイクル全体での徹底的な資源循環、④適正処理の更なる推進と環境再生など7項目に基づき策定した。 循環計画は、2年に1回のペースで施策の進ちょく状況の評価・点検を中環審で行っている。その結果、現在の循環計画の第2回点検により「循環経済工程表」が令和4年9月に作成・公表された。工程表では、循環経済(サーキュラエコノミー:CE)の実現と2050年カーボンニュートラル(CN)への移行を同時達成することが重要であるとし、2050年までに廃棄物分野における温室効果ガス排出をゼロにすることを目指す。 加えて工程表では、プラや金属等の素材ごと、太陽光パネルや衣類等の製品ごとなど循環経済関連ビジネス等の各分野における2030年に向けた施策の方向性を示した。2030 年までにプラ資源の回収量と廃電子機器等の処理量を倍増させる。2030 年までに循環経済関連ビジネスの市場規模を80兆円以上にする、といった目標を掲げている。
リサイクル推進室・プラ新法施行から1年
リサイクル推進室の説明のトップは、令和4年(2022)4月に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラ新法)に関すること。海洋プラスチックごみ問題や気候変動問題などからプラスチック資源循環の促進の重要性が高まっており、プラ新法の施行に至った。プラ新法では、プラスチック使用製品の設計から廃棄物の処理に至るまでのライフサイクル全般にわたって、3R+Renewable の原則に則り、あらゆる主体のプラスチックに係る資源循環の取組を進めることとしている。 中でも市区町村は、「容器包装リサイクル法」(容リ法)に基づくプラ容器包装のみならず、それ以外のプラスチック使用製品廃棄物(プラ製品)も含めた分別収集・再商品化に必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしている。市町村が分別収集したプラ製品は、①容リ法に規定する指定法人に委託する方法、または②再商品化計画を作成し、国の認定を受ける方法がある。市町村が実施するプラ製品の分別収集・再商品化に要する経費については令和4年度から「特別交付税措置」(措置率0.5)を講じている。①の容リ協会へ委託するケース、さらに②の再商品化計画を策定して国の認定を受ける方法ともに特別交付税が講じられる。なお、再商品化計画はこれまで、「宮城県仙台市」「愛知県安城市」「神奈川県横須賀市」が認定されている。
廃棄物適正処理推進課
一般廃棄物の適正処理の推進廃棄物処理法が目的とする生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る上では、廃棄物の適正処理が基本であり、一般廃棄物の処理に関しては、その処理全体について統括的な責任を有する市町村の役割が極めて重要になる。廃棄物処理法に基づき市町村は、当該市町村の区域内の一般廃棄物処理計画を定めなければならず、かつ、それに従って当該区域内における一般廃棄物の処理を行わなければならない。 また、市区町村の処理責任の性格については、市区町村自らが行う場合はもとより、市区町村以外の者に委託して行わせる場合や許可業者に行わせる 場合であっても、引き続き市区町村が有するものであり、平成 26 年1月 28 日の最高裁判決においてこの考え方が改めて示された。この判決が示されたこと、及び市区町村から一般廃棄物の処理委託を受けた業者による大規模な不適正処理事案が解決しないまま長期化していることを踏まえ、環境省では、平成26年10月8日付けで「一般廃棄物処理計画を踏まえた廃棄物の処理及び清掃に関する法律の適正な運用の徹底について」を通知しており、都道府県におかれては貴管内市区町村に対し、改めて廃棄物処理法の適正な運用のため周知徹底をお願いしたい。
地域循環共生圏の構築
令和5年に2023 年度から2027 年度の5年間の廃棄物処理施設整備事業の目標及び概要を定める「廃棄物処理施設整備計画」の策定を予定している。廃棄物処理施設整備計画では、従来から取り組んでいる3R・適正処理の推進や気候変動対策、災害対策の強化、地域循環共生圏の構築に向けた取組に加えて、重要な方向性として「循環型社会の実現に向けた資源循環の強化」および「2050 年カーボンニュートラルにむけた脱炭素化」を掲げている。具体的には、Renewable の取組や循環経済への移行の重要性も踏まえ、リサイクルの高度化や地域における循環システムの構築、再生材の供給等により、資源循環の取組を強化し、熱回収やメタン発酵等の取組により温室効果ガス排出量の削減に貢献することなどを新たに記載し、脱炭素化と資源循環の一体的推進に向けた記載を強化している。 地方公共団体においても、施設整備のタイミング等を捉えて、地域の特性に応じた温室効果ガス排出削減対策を進めていただく取組をお願いしたい。
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令和5年3月28日開催 第六次環境基本計画に向けた基本的事項に関する検討会(第4回)
環境省は3月28日、今回で最後となる第4回「第六次環境基本計画に向けた基本的事項に関する検討会」(高村ゆかり座長)をWEB形式で開催。これまでの議論を踏まえた検討会として全5章で構成の「取りまとめ案」を提示し議論した。第六次環境基本計画の策定は、本年4月より中央環境審議会で議論されるが、その議論に今回の検討会の「取りまとめ」が活用される。取りまとめ案は、「環境面からの目指すべき持続可能な社会の姿と環境政策の基本原則」「地域・国際を中心に目指すべき持続可能な社会の姿を実現するための方向性」などが記されている。
激変する内外情勢を踏まえつつ検討
環境基本計画は6年ごとの改定だが、2018年に閣議決定された「第五次環境基本計画」から以降、国内外で大きな社会変化が起きている。2019年に世界的にまん延した新型コロナ感染、2020年の菅元総理による2050年CN宣言、2022年にはロシアによるウクライナ侵略がはじまり国際情勢は激しく変化、動揺している。検討会では、こうした国内外の情勢の変化を踏まえつつ、目指すべき持続的な社会をいかに構築していくか議論された。
気候変動問題など総合的に解決の必要性
第1章の「環境・経済・社会の現状と課題」では、日本は2008年に人口のピークを迎え、本格的な人口減少社会に突入するとともに、東京一極集中と地方の人口減少が加速した。経済は「失われた30年」と言われるように長期低迷が続いていると指摘。一方、環境面では世界的に見て人間の活動が、多くの分野で「地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)」を超過していることが判明しているとし、地球温暖化やエネルギー安全保障、資源循環などについても言及。そしてこれらの課題は総合的に解決する必要があると述べている。なぜなら気候変動など環境問題の解決は喫緊の課題だが、問題解決のためには経済・社会も含めた大改革が必要とされるからだとした。
環境は人類存続の基盤、環境と共生
第2章の「持続的な社会に向けた環境政策の展開についての基本的考え方」としては、まず確認すべきは、「環境は人類存続の基盤」(環境基本法第3条)であり、経済・社会の基盤でもあるとし、まずは環境という確固たる基盤があり、その上に社会、経済が成り立っていることを再認識すべき――と記した。 そして、環境問題の解決、持続可能性に関する様々な課題を統合的に捉える観点からは、基本的には、炭素等の元素を含む自然界の健全な物質循環を確保すること(循環)、生態系の健全な一員となること(共生)が必要であり、この「循環」と「共生」を個別の環境政策の共通の目的としつつ、統合的に運用し、環境負荷の総量を減らしていくことが重要であるとし、「循環」と「共生」について触れている。
地域循環共生圏に対する期待と課題
「持続可能な地域」では、地域循環共生圏について記している。検討会の意見として、地域循環共生圏の発展と向上は、究極的には地域を自立させ、都市と地方の関係を改善することにつながり、ひいては出生率の上昇にも繋がる可能性があるとの声が聞かれた。 その一方、課題として地域の現場では、地域の主体性、域内・域外におけるパートナーシップが不足しているということに加え、地域循環共生圏の取組や考え方が脱炭素の取組と比べ全国の地域に十分に認識されていない。また相互に支え合うための広域なネットワーク、特に社会・経済的つながり(人、資金等))の構築も必要であるといった課題も出されている。
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令和5年2月13日開催 第六次環境基本計画に向けた基本的事項に関する検討会(第3回)
環境省は2月13日、「第六次環境基本計画に向けた基本的事項に関する検討会」(高村ゆかり座長)の第3回会合をリモート形式で開催した。今回の議事は「目指すべき持続可能な社会の姿を実現するための方向性(地域循環共生圏・国際関係を中心に)」。地域循環共生圏について、実現に向けた課題を踏まえつつ今後の政策展開、実現のための方策などを検討した。 廃棄物処理や資源循環などにも大きな影響を持つ環境基本計画は6年ごとに見直しが行われ、次の第六次基本計画に関してはこの4月から実質審議が行われる。検討会ではその前に課題や方向性などを整理しておく。
「地域循環共生圏」の進め方、課題と実現方法など
議事として上げた「目指すべき持続可能な社会の姿を実現するための方向性」は、地域編と国際編の2つに分けられており、地域編では「地域共生型社会」を地域で具体化するものとして「地域循環共生圏」の実現に向けた課題を踏まえつつ、今後の政策展開や実現方法などが議論された。 地域循環共生圏の課題として環境省は、「地域が主体的かつ継続的に地域の課題解決をするようなローカルSDGs事業を生み出していく必要がある」「地域によっては、地域経済が衰退していたり、情報や資金、人材といった資源が不足している場合がある」「地域資源・地上資源の持続可能な活用を促進し、自然資本を守り、維持・回復していく必要がある」「広域的なネット ワークや社会・経済的つながりの構築の必要」などを挙げた。 また実現方法としては、「地域の主体性(オーナーシップ)と域内・域外の多様な主体による協働(パートナーシップ)」「成果の分析手法の改良・開発、地域の主体的な取組を可能にするためのプラットフォームの整備」などを示した。
大都市での地域循環共生圏は難しい
委員から「大都市圏、地方都市、農山村の3つに分けている。地域循環共生圏のイメージがどうしても農山村に近い、あるいは小規模都市といったことのようだが、都市のあり方についてもう少し踏み込んでもいいのではないか。ウクライナ問題があって、できるだけ地域で食料やエネルギーを循環していくことが重要だという認識が高まっている局面があるので、さらに一押しするステップに入ってきていると思います」との意見が聞かれた。 しかし別の委員は「大都市。地方都市、農山村それぞれにスポットあてるのは大事。ただ地方都市や農山村はイメージができていると思うが、大都市、それも脱炭素型で地域循環共生圏をどう構想するかはかなり難しい。私が知るっている限りでは横浜市が東北地方の農山村と連携して再生エネをそこから供給してもらう。その代わり横浜市の資源をそこに供給するという話がありますが、果たして国内だけでやっていけるのか。日本の国内だけで再エネを賄うのは難しいのでは。再エネを輸入することは十分考えられるので、マクロに分析するのも必要と思う」との意見も出された。
地域の環境、社会問題の解決に環境政策の貢献は
高村座長は、「都市圏、地方都市、農山村という3つにもいろんな形態がある中で、どういう環境問題に我々は直面し、あるいは解決しなければいけないのか。また、環境問題だけでなく様々な社会問題と統合して地域の問題として解決していこうという場合、環境政策はどういう形で貢献できるのか、環境政策の課題は何なのか、という点を皆さんからいただけたらありがたい」と委員に問いかけた。 それについて「現段階で国土利用という点で致命的というか、非常によくないのはエネルギー問題についても再生エネを地域で広げていくことを考えたとき、ゾーニング(区域割)すらできてこなかった。致命的です。今現状、自治体でゾーニングできているところはありません。何が重要かというとエネルギーもそうですが、食料、そしてプラスチック、レアメタル、金属類の循環。とくにエネルギーと食料の循環は大事と思っているとのコメントを出す委員も。同検討会は次回3月の第4回開催で取りまとめを行う予定 。
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令和4年6月24日開催 環境省「全国廃棄物・リサイクル行政主管課長会議」
環境省による「全国廃棄物・リサイクル行政主管課長会議」が6月24日、Web形式で開催された。環境関連全般に関する課題や各政策の動向や方針などを説明し、自治体に対応や協力などを求めるもの。今回の特色は、カーボンニュートラル(CN)を踏まえた廃棄物処理・資源循環の方向性を示し、その対応を求めたものといえる。個別政策の説明では今年4月から施行された「プラスチック資源循環法」に比重をかけていた。以下、主な政策についての説明のあらまし。
総務課・資源循環室:プラ関係で人員を強化、脱炭素を意識
総務課は奥山総務課長が、手短に局全体の総括的な話をした。 今年度、組織の関係でポイントに置いているのはプラスチックの関係。プラ法の施行ということで人員を強化している。リサイクル推進室はもちろんのこと、関東、中部中国の地方環境事務所において人員の強化をしている。残りの地域についても順次強化していくが、今年度はこの3地域という形。地域でいろいろ取組みされている際には、こうした地方事務所の人たちと連携を取っていただきたい。資源循環分野においても脱炭素の取組みをしっかりやっていかなければならない。そういう方向性を強く意識している。方向性としてはサーキュラーエコノミーへの移行ということで、そのときに脱炭素を強く意識しながら取組みを前に進めていくという観点での様々な事業が重点施策として並んでいる。
廃棄物適正処理推進課:処理計画の策定、事業系廃棄物
①一般廃棄物の処理計画の策定及び実施 廃棄物適正処理推進課は筒井課長が説明した。 「一般廃棄物の適正処理の推進」は、大原則で一般廃棄物処理の一番大事なところ。毎年申し上げていますが「一般廃棄物の処理計画の適正な策定と運用の徹底」ということでお願いしたい。廃掃法に基づく基本方針それから3つのガイドライン、それと循環基本法に基づく循環基本計画という中で、循環型社会の形成にあたっては、環境保全を前提とした循環型社会の形成が主唱されているということです。 このことを踏まえて環境省としては、平成20年6月19日に課長通知(6.19通知)で「ごみ処理基本計画の策定にあたっての指針について」を出させていただいた。さらに、ごみ処理基本計画の策定指針につきましては平成28年9月に改定・通知を行なっています。 都道府県の皆様におかれましては市区町村の一般廃棄物の処理責任、一般廃棄物の処理計画の重要性を改めて認識したうえで、一般廃棄物処理計画の適正な策定、運用が行われるよう貴管内市区町村に対して周知徹底、助言をお願いしたい。 また、市区町村の処理責任の性格について改めて申し上げておきますが、市区町村が自ら行う場合はもとより、市区町村以外の者に委託して行わせる場合や許可業者に行なわせる場合であっても、引き続き市町村が処理責任を有するというものでありますので、これは平成26年1月28日の最高裁判決でもこういう考え方が示されているところです。その旨、平成26年10月8日に通知(10.8通知)をしておりますので、これについても引き続き徹底、ご指導をお願いしたい
②事業活動に伴って生じた廃棄物の適正な処理 事業活動に伴って生じた廃棄物につきましては、その性状とか排出量、処理困難性の問題から市町村の処理責任の下で円滑に処理されているとは言い難いもの、以外については市町村の処理責任の下に整理されているというものです。 事業者から排出される廃棄物のうち、市町村による処理が可能なものについては事業系一般廃棄物として、市町村による統括的処理責任の下、一般廃棄物処理計画によって処理がなされる。
リサイクル推進室:プラ法の資源化2つの方法
リサイクル推進室は平尾室長が説明。「プラ法」「容リ法」「家電リ法」「食品廃棄物対策」「太陽光パネル関係の処理」……等々、その対象は多岐にわたるが、なかでもプラ法についての説明に比重をかけていたので、その部分を取り上げる。
プラスチック資源循環法
プラ法の話をしたいと思います。プラ法のエッセンスはライフサイクル全体ということです。プラスチックのライフサイクル全体という話と3R+Renewableという話です。そしてあらゆる主体でやりますというのが重要です。 地方自治体の責務規定のようなものがありまして、市町村の域内での分別収集・リサイクルといったところ。それから都道府県さんにあっては技術的援助に努めていただくというようなことが書いてあります。で、今年度も先進的なモデル形成に取り組む地方公共団体を対象に、モデル形成支援事業を実施していくこととしております。まあ、一緒に考えて行こうということです。で、都道府県さんにあっては、管下の市町村さんがどういうふうにしようかなと、かなり迷われているところもあるかと思います。国としても一緒に考えるという姿勢でやってきたと思っておりますが、都道府県さんにあっては市町村さんが積極的に動けるよう格段のご配慮をお願いしたい。 市区町村の分別収集・リサイクルですが、ご案内の内容かと思いますが努力義務がかかることになっています。今までプラ容器包装リサイクルということでしたので、容器包装のところだけでしたけれども、容器包装含めた製品プラについても分別収集とリサイクルについて努力義務がかかるということになっています。方法は2つあります。容リ協に委託する方法と、再商品化計画を策定して国の認定を受けるという方法になります。
容リ法の指定法人に委託する方法
容リ協会に委託する方法は分別収集物の基準というものがあります。これについては「手引き」を出していますので、ぜひご覧になってください。157品目ほど細かく解説しておりますし、これに則らずにプラ100%のものにするというような方法もありますけれど、入れてはいけないというものも書いてありますので是非「手引き」をご覧になってください。別途、市町村さんとの個別の説明会というものをさせていただいておりますが、その中でも紹介申し上げるところです。 『特別交付税措置』についてです。プラ法では容リ法での責任分担は変わっておりませんので、容リの部分は容リ法に基づく事業者がリサイクルの責任を負担する。一方で、市町村さんの負担は製品部分となっております。で、そうはいっても市町村さんの負担が増えるという部分について特別交付税(特交)が出ますということになっています。総務省からも通知があったところです。で「特別交付税がどれくらい出ますか」ということですが、個別に普及させるのではなくて、一律の単価(円/トン)を設定しましょうということで法務省と調整しておりまして、すでに製品プラを分別収集・リサイクルしている市町村にアンケート調査いたしまして算定しようと考えています。 留意事項です。容器包装プラと製品プラの比率はベール調査などして重量を分担して処理費用を掛けていくことになる。
認定計画に基づく再商品化の方法
これも「手引き」を出しています。説明会もやっております。どいうふうに申請するかとかも、(手引書を)ご参照いただければと思います。ただ1点だけ。先ほどの容リルートと若干違うのは市町村が自分でリサイクル事業者さんを見つけてくるということになりますので、この部分の責任、大変重要になるということを強調させていただきたいと思います。選定なので市町村さんの責任重くなりますけれど、率直に言って顔の見える連携が構築できるというメリットが大きいんじゃないかと思っております。私たちが分別したプラがこうなっておりますという市民への説明も大きいんじゃないかと考えております。そういった主旨も踏まえた認定再商品化計画というふうにご理解いただきたい。 『あわせ産廃処理』というのがあります。必ずしも注目されていないかもしれませんが、プラの場合「あわせ産廃」でやっているという場合に、プラ法のルートに乗せることが可能になっています。具体的なやり方、いろいろありますので今後ご相談願えればと思っています。 『循環型社会形成推進交付金』についてです。プラ法施行前から説明させていただいておりますが、交付金については今後、容リプラと製品プラの分別収集・再商品化を行っているということが交付対象として要件化されていますので十分ご留意いただきたい。
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令和2年7月8日開催 廃プラの輸出に係るバーゼル法該非判断基準策定検討会第2回
環境省の第2回「廃プラスチックの輸出にかかるバーゼル法該非判断基準策定のための検討会」が7月8日、ウェブ会議で開催された。2019年スイスジュネーブで開催されたバーゼル条約の第14回締結国会議において「特別な配慮が必要な廃プラ」の輸出を規制対象とすることが規定された。「特別な配慮が必要な廃プラ」とは、ようするに「汚れた廃プラ」を指す。環境省は当該廃プラが規制対象に該当するか否かを判断するため、国内における判断基準を策定することとした。第1回目(6月10日開催)に続き、今回の第2回検討会ですでに判断基準はほぼ固まった。判断基準(案)では、たとえばPETボトルの輸出の場合、規制対象外とするのは「裁断され、フレーク状になっていること」などいくつかの条件を挙げている。この夏に判断基準(案)をパブリックコメントにかけ、修正した後に公布、公表される。バーゼル条約の発効は来年1月で、バーゼル法もこれに合わせる形だ。
前回会議での委員の指摘、厳しすぎるという空気感
前回の検討会(6月10日)で出席委員からは環境省の示す判断基準案に対して様々な意見が出された。以下に少し記すが、全体として厳しすぎるという受け止め方ができる。
・臭気や見た目等、事例紹介された条件で、原案 に入っていないものについても検討すべき。
・単一樹脂の条件について、選別の現場ではPEに若干のPPが混ざることやその逆もある。物性 は若干落ちるが、リサイクルは可能。「単一」の意味が、純度100%となるとリサイクルを 阻害する可能性もある。
・ベール品を輸出不可とする案では輸出が成り立たなくなる懸念がある。
・キャップやラベルは若干でも混ざると色付きのフレークになる。無色透明が規制対象外の条件になると、ラベルやキャップの混在は許容されないことになる。規制対象外の廃プラは基本、製造工程から排出だが
このような指摘を受けて今回の検討会では、部分的に加筆・修正した判断基準(案)を提示し環境省が説明。その判断基準案は、対象となる廃プラを大きく2つに分けて示している。(1)「複数のプラスチック樹脂の混合がないものの該非判断基準」。もうひとつはPETボトルを念頭に置いた(2)「複数のプラスチック樹脂(PE,PP,PET)の混合があるものの該非判断基準。
(1)については規制対象外とするものとして、「単一のプラスチックで構成されていること」など4つの条件を満たすことが外部から確認できることとしており、規制対象外の例としてペレット、フレークを挙げている。またベール品については前回の判断基準案では認めていなかったが、修正を加えた今回の判断基準案では規制対象外のベール品として「製品の製造工程から排出され、汚れの付着、異物がなく、内容物が均質であり、輸送の途中で汚れが付かないよう外側が透明なフィルム等で覆われているもの」と追記している。
こうした説明に対して複数の委員は「製造工程から排出された」という書きぶりが引っかかるようで、佐々木委員(中央大学教授)は「製造工程からなのか、使用済みのものなのか混乱しないか」と質問。永井委員(全国産廃連)も「生産工程、産廃というのがわかりにくい」と注文をつけた。プラ協の犬飼委員は「再生事業者さんがどうなのかなと。プラパレットを洗浄・破砕して出しているところがある。製造工程から出ているのと同じ。こういうのは(規制対象外に)入れてほしい」と要望。
質問に対して環境省は「(バーゼル法の)輸出の相談の中で、どこから(廃プラが)出たのか確認があります。相談を受けた情報を税関の職員で共有するようになっている。製造工程で出たとなればOKで、そうでなければ……という仕組みになっている。運用の面で処理できると思う」「製品の製造工程のところの判断基準については、運用する中で現場が混乱しないように検討していきたい」とした。PETボトルは裁断、フレークなどが条件
「該非判断基準案」の2つ目はPETボトルについてだ。容リ制度の引取り品質ガイドラインなども参考にしている。規制対象外とするには「ボトル、ラベル、キャップ以外のプラスチック樹脂は含まないこと、裁断されフレーク状になっていること」などA~Cの条件を満たすことが求められる。ラベルはポリスチレン(PS)が使用されていることが多い。バーゼル条約上、PSが入っていると規制対象になるので、ラベルも含まないことが必要とした。ただし、わずかなラベルの混入は避けがたく、またわずかなら環境上適正な方法でリサイクル可能なため、わずかな混合なら規制対象外とするとしている。前回の基準案よりも緩和されているものの、ボトルのプレス品は規制対象になるといえる。
PETボトルに関してはほとんど意見が聞かれなかった。「該非判断基準案」は座長(小島道一東アジア・ASEAN経済研究センター)に一任され必要な修正が加えられ、今夏にパブリックコメントにかけられる。そのあと公布、発表になる。
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令和2年1月24日開催 全国都道府県及び政令指定都市等環境担当部局長会議
環境省による「全国都道府県及び政令指定都市等環境担当部局長会議」が1月24日、霞が関の中央合同庁舎講堂で開催された。毎年恒例となっているこの会議は、地球環境、水・大気など環境に関する国の施策の状況や方針などを説明し、自治体に対応や協力などを求めるもの。「環境再生・資源循環局」の施策説明は午後3時過ぎからの約40分間。「循環型社会形成の推進」「循環産業の国際展開支援」「リサイクルの推進」「食品ロスの削減」「一般廃棄物の適正処理・3Rの推進」「災害廃棄物対策」「産業廃棄物処理」などについて各担当者が駆け足で説明した。なかでも本年7月から「レジ袋有料化」が実施されることもあり、「プラスチックの資源循環」の説明に比較的多くの時間を割いた。
地域循環圏・循環産業の国際展開
『循環型社会形成の推進』については、「平成30年6月に第四次循環基本計画を閣議決定した」。構成としては、①多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化、②適正処理の更なる推進と環境再生、③ライフサイクル全体での徹底的な資源循環など7項目に基づき策定した。「地方公共団体におかれても、第四次循環基本計画および本文に記載した『各主体の役割』のうち『地方公共団体に期待される役割』等を踏まえた施策展開をお願いしたい」(環境省)。また、「地域循環共生圏の形成推進」については、来年度以降も「地域の循環資源を活用した地域の脱炭素化を推進する事業の実現可能性調査支援」の公募を行うと説明。
『循環産業の国際展開支援』では、3Rイニシアティブの国際的な展開として平成28年のG7富山環境大臣会合やアジア太平洋地域における3Rイニシアティブなどこれまで開催したフォーラムなどをざっと示した。このうち「アフリカにおける3Rイニシアティブ」については「平成29年に我が国のほかアフリカ24カ国や国際機関から150名以上が集まり『アフリカのきれいな街プラットフォーム』を設立したと述べ、「アフリカ各国における廃棄物管理の政策優先順位を上げることで、SDGsの目標年である2030年に『きれいな街と健康な暮らし』がアフリカで実現することを目指している」。さらに『廃棄物・リサイクル分野における国際協力の取組み』として、「アジアが中心になるが、我が国の優れた廃棄物処理・リサイクル技術と制度のパッケージとしての提供を進めている」。リサイクル関係。プラ資源循環戦略、来年度から具体化に向け議論
リサイクル推進室の説明は、「プラスチック資源循環」に関することが大半。政府は令和元年5月31日、『プラスチック資源循環戦略』を策定したこと。戦略は3R+Renewable(再生可能)を基本原則としており、重点戦略として「リデュース」「リサイクル」「再生材・バイオプラ」「海洋プラ対策」「国際展開」「基盤整備」などがあるとした。また2030年までにワンウェイプラを累積25%排出抑制するなどの中間目標、『マイルストーン』を設定したことなどを簡単に説明。「プラスチック資源循環戦略はあくまで”戦略”ですから。どう具体化していくかということになる。来年度から具体化に向けて議論していく」(リサイクル推進室)。
プラ資源循環戦略に示されている『プラスチック製買物袋の有料化』が本年7月1日から実施される。有料化のポイントをざっと説明し、「昨年12月27日に判断基準の改定を行った。同時にガイドラインを出させてもらった。参考にしてほしい」。また「前倒しで(有料化を)実施している事業者がいたら我々も応援したい」と述べた。
さらにプラスチック資源循環と脱炭素の絡みでは、『バイオプラ等への転換・実証事業』『プラ等のリサイクル・省CO2化実証事業』に対して令和2年度は、36億円の予算を計上していることにも触れた。
議員立法で成立した『食品ロスの削減の推進に関する法律』について若干説明した。基本方針の骨子(案)は既に示されている。「こういうことを政府が考えている」(リサイクル推進室)というものだが、今後のスケジュールとしては、令和2年3月末に基本方針を閣議決定する予定で、基本方針の案は食品ロス削減推進会議(内閣府に関係大臣や有識者で構成)において作成する。一般廃棄物の処理の推進
『一般廃棄物の適正処理』では、「許可なく一般廃棄物が収集運搬された事案」(平成28年1月に判明)や、市区町村の規制権限の及ばない第三者が、一般廃棄物の排出事業者と処理業者との間の契約に介在して、あっせん、仲介、代理等の行為を行うことは、市町村の処理責任の原則の下での適正な処理の確保に支障を生じさせるおそれがある旨、すでに通知を発出しているが、改めて周知徹底をお願いしたい、とした。
また、『市町村の一般廃棄物処理システムの改革』ということでは、平成19年6月に、①一般廃棄物会計基準、②一般廃棄物処理有料化の手引き、③一般廃棄物処理システムの指針――を公表し、市町村担当者を対象とした説明会の開催やガイドラインの見直し等を行ってきた。「都道府県においては、引き続き管内市町村に対してガイドラインの周知、取り組みのへの支援をお願いしたい」と述べ、さらに「このうち一般廃棄物会計基準及び廃棄物処理の有料化の検討については、令和元年度から循環型社会形成推進交付金等により、ごみ焼却施設を新設する場合の交付案件として追加した」と説明。
『処理困難物の処理』について、廃エアゾール製品とリチウムイオン電池について触れた。廃エアゾール製品を排出する際に穴開けを不要としている市町村割合は、約40%となっている(平成31年4月に行った調査結果)。「市町村において、廃エアゾール製品等の充填物の使い切り及び適切な出し切り方法について、改めて住民への周知をお願いしたい」。ごみの中に紛れ込み火災の原因となっているリチウムイオン電池については、対策を取るよう令和元年8月に事務連絡をしたが、さらに「予算措置して調査・研究をする」とした。
『広域化・集約化の推進等』では、「インフラ長寿命化計画の策定」について取り上げた。各インフラの管理者は、個別施設ごとの対応方針を定める計画として、「個別施設毎の長寿命化計画」を令和2年度までに策定することとされており、本基本計画を踏まえ環境省では平成28年3月に「環境省インフラ長寿命化計画」を策定した。環境省が平成30年度に実施した一般廃棄物処理事業実態調査によると、平成29年9月末時点におけるインフラ長寿命化計画の策定状況は、都道府県で72.3%、市区町村で29.6%、一部事務組合・広域連合で31.3%となっている。「今回の資料には未達の市区町村を載せている」(環境省)と述べ、早急な策定を促した。災害廃棄物対策、早急に処理計画の策定を
『災害廃棄物対策』では、「非常災害時の廃棄物処理の特例」と「自治体による災害廃棄物の処理に関する計画の策定」について述べた。廃棄物の特例では「非常災害時における一般廃棄物処理施設の設置の特例」のことで、政省令改正も含め規定を整備している。そのひとつ「非常災害時において、市町村から災害廃棄物の処分の委託を受けた者が受託した廃棄物の処分のために設置する一般廃棄物処理施設については、都道府県知事への届け出のみでよいこと。」としている。この特例措置の適用には、施設の立地する市町村の条例が必要であるため「条例改定をお願いしたい」(環境省)と述べ、既に条例を制定している市町村名を挙げた。
「災廃処理の計画策定」については、市区町村及び都道府県の計画策定率は、都道府県96%、市区町村39%(平成31年3月末時点)と低い。「日本国内どの地域においても大規模災害が発生するおそれがあると認識し、各自治体において早急に対応していただきたい」と求め、「年度内に、いまだ(計画の策定を)していない市町村を公表する」と重ねた。
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令和元年8月1日開催 環境省「全国廃棄物・リサイクル行政主管課長会議」
環境省は8月1日、都内で「全国廃棄物・リサイクル行政主管課長会議」を開催した。廃棄物・リサイクル対策の現状や国の施策、方向性などについて全国の都道府県及び政令市の担当者に説明するとともに協力を要請するもの。午後2時から約2時間半にわたって行われた会議では、循環型社会、リサイクル、一般廃棄物、災害廃棄物、浄化槽、産業廃棄物などについてそれぞれの担当者が駆け足でポイントを説明した。項目は多岐にわたるが、なかでも環境再生・資源循環局の山本局長が冒頭のあいさつの中で述べた災害廃棄物、廃プラスチック、施設整備関係の3点が今回の要点といえそう。
循環産業の国際展開支援
「3Rイニシアチブ推進と循環産業の国際展開支援」については総務課・循環型社会推進室の土居課長が説明に立った。平成27年(2015年)の国連サミットにおいて、2030アジェンダが採択された。アジェンダ(計画)では持続可能な開発目標(SDGs)が掲げられ17のGoalが設定された。そのうちのGoal 12(持続可能な消費と生産)では、その細目として「12.2天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用の達成」、「12.3小売・消費レベルにおける世界全体の一人あたりの食料の廃棄を半減させ、生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」、「12.5廃棄部の発生抑制、削減、再生利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」ことが掲げられている。日本としても循環社会を形成することで、2030年度までにこれらの目標を達成していく必要がある。「SDGsの17の目標のうち、どのような内容を達成していくのかで予算が決まってくる」(土居課長)。
また「廃棄物・リサイクル分野における国際協力の取組み」ということでは、平成30年2月にフィリピンの「ダバオ市エネルギー回収型廃棄物処理施設整備計画」が無償資金協力案件として閣議決定され、「施設整備が加速する」(土居課長)。このほか、ヤンゴン(ミャンマー)においては、JCM資金支援事業による廃棄物発電施設の設計・建設が進み、焼却炉が平成29年4月に竣工している。「施設建設という日本の技術もそうだが、施設管理も必要になってくる。サポートしていく」(同)。循環型社会形成の推進
循環型社会推進とリサイクル推進については冨安室長が説明した。「第四次循環型社会形成推進基本計画」が平成30年(2018年)6月19日に閣議決定された。基本計画の構成としては、①持続可能な社会づくりとの総合的取組み~⑦循環分野における技術開発、人材育成、情報発信等の7項目に基づき策定した。これらの方向性の実現に向けて、おおむね2025年における数値目標を設定するとともに、国が講ずべき施策を示している。「この7つの項目のうち今年度は次の3つについて施策展開を考えている。②の多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化、⑤の万全な災害廃棄物処理体制の構築、⑥の項目である適正な国際資源循環体制の構築と循環産業の海外展開の推進」。
リサイクル関係はプラスチック対策が中心
リサイクルの推進は昨今話題になっている「廃プラスチック」が中心。令和元年5月31日に政府が策定した「プラスチック資源循環戦略」では、「基本原則として3R+Renewableとした。Renewable(再生可能)を入れたのがポイント。戦略ではマイルストーンとして6項目を掲げている」(冨安室長)。プラスチック資源循環戦略を柱に、「海洋プラスチックごみ対策」「省CO2型リサイクル高度化設備導入促進事業」「プラスチックスマートキャンペーン」とプラスチック対策に関する事柄は多く、最近では「G20大阪サミット」において、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロを目標にする「大阪・ブルー・オーシャン・ビジョン」が合意されている。
「家電リ法」については、回収率を平成30年度までに56%以上とする目標を達成するため、平成28年3月に各主体のアクションプランを作成し、取り組みを行った。その効果もあって平成29年度の回収率は53.4%と上昇し、目標達成にかなり近づいた。
一方、「小型家電リ法」による使用済み小型家電の回収量については、法に基づく基本方針における回収目標を「平成30年度までに年間回収量14万トン」とされているが、「達成は厳しい状況」(冨安室長)。
また「食リ法に基づく定期報告データの都道府県別集計」については、「市町村別にやっていくことをご承知おき願いたい」(同)と注意喚起した。一般廃棄物の適正処理の推進
一般廃棄物関係と災害廃棄物対策については名倉課長が説明に立った。一般廃棄物関係ではまず、「成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づく廃棄物処理法の改正」について触れた。成年後見人及び被保佐人であることを理由に不当に差別されないよう、各法律において定められており、欠格条項その他の権利に係る措置の適正化を図るための関係法律の整備に関する法律が令和元年6月7日に国会において成立し、同月14日に公布された。これを受けて廃掃法も一部改正する。「パブコメを実施の上、施行規則改正になる予定」(名倉課長)。
また、民泊に関して「住宅宿泊事業廃棄物の取扱い」について触れ、「規制改革会議で取り上げられたということもありまして事務連絡させていただきましたが、廃棄物処理法に基づき住宅宿泊事業主管局と連携の上、適切に対応していただきたい」と述べた。
「処理困難物」では、「エアゾール製品」と「リチウムイオン電池」について説明。とくにリチウムイオン電池関係は、火災など「最近色々事故が起きている」とし、市町村においては処理体制を検討していただきたい。それから排出者に排出の周知をしていただく。そしてリチウム電池を含む小型充電式電池の広域処理の認定を取得しているメーカー団体(一社)JBRCに出してもらうことを含めて検討をお願いしている」と説明。さらに今後も様々な調査を予定しており「例えばいろんな物への混入がどれくらいされているのかとか、今年度、来年度調査して事故のないよう対応していただくので調査に協力お願いしたい」と要請した。循環型社会形成推進交付金と地域循環共生圏
環境省は市町村の廃棄物処理施設への交付金予算として1085億円を計上している。ごみ焼却施設を新設する場合は、本年度から新たな交付要件が追加された。その要件とは、「施設の広域化・集約化」「PFI等の民間活用」「一般廃棄物会計基準の導入」「廃棄物処理の有料化の検討」を挙げている。広域化・集約化については平成31年3月29日の課長通知に基づき、各都道府県は計画を策定し、市町村はごみ処理の広域化・集約化について検討を行うこと。新たにごみ焼却施設の整備計画を進めるにあたっては、広域化・集約化の検討結果について循環型社会形成推進地域計画に記載して提出することとしている。
「廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏構築事業」では、廃棄物処理施設が地域のエネルギーセンターとしての役割を最大限発揮するような市町村の取組みに対しては、「やりやすいように補助金を整えていく」(名倉課長)。
「廃プラの処理の円滑化」について説明があった。中国が廃プラを禁輸したことから日本国内に廃プラが増大。産廃プラの処理に支障が出はじめていることを受けて環境省は、市町村施設での廃プラ受け入れに協力要請を通知(令和元年5月20日付け)した件だ。「少し誤解があるのは、この通知はあくまで緊急避難的なもの。産廃プラがダブついて処理が追い付いていない。仮に不適正処理されるのなら、余裕のある市町村に協力してくれないかということです。焼却に限らずリサイクル含めて、あくまで余裕のある範囲でということです」(同)。災害廃棄物対策は平時の備えを強化
「災害廃棄物対策」としては、平成27年に災害対策基本法を改正して平時からの備えを強化している。そのために関連規定と非常災害時における廃棄物処理施設の新設又は活用に係る特例措置を整備した。非常災害時の廃棄物処理の特例措置の適用には、市町村による条例が必要であるため、あらかじめ条例の制定について検討しておくことが重要になる。条例を制定している市町村としては、熊本市・広島市・堺市・浜松市・静岡市。藤沢市などとなっているが全体的に少ない。「施設に持って行こうとしてもその市町村が条例を制定していないので持って行けないという事例もある。こういう制度面でも条例制定をお願いする」と述べた。「自治体による災害廃棄物の処理に関する計画の策定」は、平成30年3月末現在で、都道府県85%、市町村27%となっており、市町村レベルがまだ低い。
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