審議会等情報
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  • 令和3年12月9日開催 中央環境審議会循環型社会部会 第39回

    環境省の中環審循環型社会部会は12月9日、Web形式で会議を開催した。会議の議題は、「第四次循環基本計画の第2回点検」と「循環経済工程表の策定」について。「循環経済工程表の作成」は今年10月22日に閣議決定された温対計画の改定で、循環経済への移行を加速するための工程表作成についての具体的検討が盛り込まれた。9日の部会では、環境省から検討の進め方として工程表の検討の前段階から広く国民の意見を募集する「パブリックコンサルテーション」(パブリックコメント)の実施という、初の試みが提案された。

    資源循環に基づき脱炭素化推進

    循環基本計画は2年に1回程度、施策の進ちょく状況の評価・点検を行うことが定められている。今回の第2回点検では、7つの柱のひとつである「ライフサイクル全体での徹底的な資源循環」を点検重点分野と設定するとともに、これと密接に関連する4つの分野、たとえば「適正処理の更なる推進と環境再生」などについても評価・点検を行う。この評価・点検結果について環境省は、温対法の記載も踏まえ、循環経済工程表として取りまとめ、ライフサイクル全般での資源循環に基づく脱炭素化の推進を図る、としてはどうかと提案、出席委員も概ね了承した。

    検討の前段階で意見を募集

    具体的な検討の進め方としては、工程表案の検討の段階から国民の意見を反映させるため、事前の意見募集を行うという「パブリックコンサルテーション」の実施を提案した。これは意見募集という意味ではパブリックコメント(パブコメ)と同じ意味合いだが、従来からのパブコメは審議が終わって形が決まった時点で意見募集を掛けていた。今回の提案はまだ検討前の段階の意見募集で、これまでなかった初の試み。委員からは「こうした形は時代に合っている」などほとんどが賛同。酒井部会長(京都大学名誉教授)は「これまでにない、経験していない手法なので、今後必要な検討、調整をお願いしたい」と環境省に向けた。

    「循環資源」という言葉の意味は?

    「点検・評価の視点」として上げられた項目については、「循環経済」という言葉そのものに2名の委員から意見が出された。「人によって循環資源という言葉からイメージしているのが違うというのも見受けられる。概念としてなのか、それとも今日のように全体のことを言うのかとか、その辺を整理した方がいい」という意見。またある委員は「循環経済という言葉は同床異夢だなあと思う。いろんな見方があると思うので、もう少し分かりやすくできないか」と求めた。

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  • 令和2年9月8日開催 中央環境審議会循環型社会部会 第35回

    環境省の中環審循環型社会部会(座長・酒井伸一京都大学環境科学センター長)は 9月8日、Web形式で会議を開催した。会議の議題は、①第四次循環計画の第1回点検報告と、②地域循環共生圏を踏まえた将来の一般廃棄物処理のあり方――の2つについて。第四次循環計画ではその中に「廃棄物分野における新型コロナウイルス感染症への対応」という項目を新たに追加し書き加えた。会議ではもっぱら新型コロナに関することと、人口減・高齢化が進む中での地域循環共生圏を踏まえた一廃の処理について意見が集まった。

    処理業者はエッセンシャルワーカー

    第四次循環計画の中に新たに加えられた「廃棄物分野における新型コロナウイルス感染症への対応」では、まず、感染症が確認されてから今日に至るまでの経緯と政府の対応を時系列で説明。次いで廃棄物分野における対応として、(1)緊急事態宣言前、(2)緊急事態宣言期、(3)緊急事態宣言解除後、(4)対応のポイントの4つに分けてそれぞれの時期に環境省としてどのような対応をしてきたかを記している。また最後の「今後の対応」では、『廃棄物処理は、いつ何時も欠かさざる基幹的な社会インフラであり、実務を担う自治体及び事業者は、いわゆる「エッセンシャルワーカー」である』と、自治体、処理業者が生活維持に欠かせない仕事を担うエッセンシャルワーカーであると改めて強調している。
    こうした環境省の説明に対して委員からは、「事業系ごみが減っている。処理業者さんは厳しい立場に追い込まれている。環境省として支援策は考えているのか」といった質問や、新たに新型コロナ対応を書き加えたのは「迅速な対応で、内容も安全にかかわる部分も十分書き込んでもらった」と評価する声も。また、「市民一人一人が廃棄物処理業者をエッセンシャルワーカーと認識して、日々の行動を変えることが処理業者の生活を向上させて、廃棄物処理事業を支えることにつながると思う。メディアを使った発信を工夫して国民の意識を高めるような施策をお願いしたい」といった注文も出された。
    環境省からは事業系ごみの減少について「処理業者の経営が状況も悪化しているという話も聞いている。政府全体で支援策設けているので周知に努めたい」と言うに留めた。また、エッセンシャルワーカーとしての認識については「今後どうやっていくか考えたい」とした。

    将来の一般廃棄物処理、地域産業との連携想定

    議題の2つ目、地域循環共生圏を踏まえた将来の一般廃棄物処理のあり方では、人口減少と高齢化が急速に進み、一般廃棄物の減少に伴って自治体の焼却施設も将来は減っていくことなどをデータ示しながら環境省が説明。こうしたことをもとに、資料の中には地域循環圏を踏まえた一廃処理のあり方のイメージ(たたき台)を出してある。イメージでは地域産業と一般廃棄物処理の連携・組み合わせを想定している。「議論してもらいブラッシュアップを図りたい」(環境省)。

    委員からは「今後の人口減による財政難を考えたら、効率的に事業を行えることができる事業主体の参画が必要。民間事業主による処理の活用が必要では」といった民間活用の必要性を指摘する意見や、地域循環圏を踏まえて進めていくには「人材が大きなポイントになる」との意見も多かった。さらに「人口減少と高齢化が急速に進んでいる。この場合、廃棄物を出さないことが大事。人的な負担や費用の負担も減らさないと。人口減少の中での廃棄物問題。全体を考えないといけない時代になった。他のインフラとの統合含めて、どういう国土形成にしていくかを考える必要がある」との指摘もあった。

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  • 令和元年12月20日開催 中央環境審議会循環型社会部会 第33回

    中央環境審議会循環型社会部会(部会長・酒井伸一京都大学教授)は12月20日、部会を開催し第四次循環型社会形成推進基本計画(循環基本計画)の点検や重点分野以外の分野における施策の進捗状況などを議論した。委員からは「食品ロスの削減」「ごみ処理広域化」「高齢者ごみ出し支援」「地域循環共生圏の構築」などに関する意見が比較的多かった。

    高齢化対応など重点点検以外の分野の進捗状況を説明

    環境省から第四次循環基本計画の重点点検以外の分野における進捗状況が説明された。高齢化社会に対応した廃棄物処理体制としては、「家庭からの日々のごみ出しについての支援事業」「紙おむつリサイクルの概要」などを説明。ごみ出し支援については「ガイドラインを作成し、市町村等に広く周知する」とした。また食品ロス削減については「SDGsと呼応して2019年7月に事業系食品ロスを2000年度比で2030年度までに半減する目標を設定した」と述べた。プラスチックに関わる取組みでは「プラスチック資源循環資源戦略の第一弾としてレジ袋有料化を実施する方針で、今年度中に容リ法の政令改正を行う。さらに中国の廃プラ禁輸を受けて、国内廃プラリサイクルの高度化事業を支援している」とした。
    「ごみ処理の広域化、ごみ処理施設の集約化」については、「2019年3月に考え方を打ち出した。2019年度から循環社会推進交付金の交付要件としてごみ処理の広域化、施設の集約化の検討を追加した」などと説明。このほか東日本災害の関係、IoT・ICTなどについても触れた。

    高齢者のごみ出し支援は福祉行政も絡む

    出席した委員からは高齢化のごみ出し支援について「ガイドラインで示すというが、具体的にはどういうことを考えているのか」「高齢化対応は重要。家庭ごみ有料化は66%あたりで止まっている。有料化と高齢化の連携をして進めたらどうか」「ごみ出しの調査をしたのなら結果出ていたら教えてもらいたい。ごみを出せないとなるとどのくらい踏み込んでいくのか。環境省の方向性は」「高齢者問題は福祉分野といえる。行政サービスの連携が必要では。これは単なる廃棄物処理だけでは難しいと思う」などの意見が出された。またごみ処理広域化・施設の集約化については「熱リカバリーが進んでいない。重要と思う」との意見も聞かれた。
    これらにつて環境省は「高齢者のごみ出しについては2019年3月にアンケートを実施した。387市町村は何らかの支援をしている。ごみ収集運搬のときにというのが85%、NPO支援によるものが11%、社会福祉委託もあった。どういうのがいいのか……。委託もあるし、ガイドラインで示したい。また6市町村で実証モデル事業やっている。有料化のところもプラスアルファで(料金を)もらっている。料金変えた時にどうなるのかということも実証的にやっている。ただ、この問題はごみ行政だけでは難しい。ごみ出しが廃棄物行政か福祉行政なのかという面もあるが、一緒にやっていきたい。総務省も関心をもっており、2019年度から補助金を出している」と答えた。またごみ処理については「熱リカバリーは施設の規模に応じて電気か熱か、中規模などモデルをつくっていかなければいけないのかなと思っている」とした。

    知名度低い地域循環共生圏、横展開は困難

    次に「重点点検分野」に関する評価の方向性(案)の説明に入った。「地域循環共生圏形成による地域活性化」と「万全な災害廃棄物処理体制の構築」の2つだが、進捗評価としては、地域循環共生圏形成に取り組む地方公共団体数は少なく、地域循環共生圏についての認知度も低いことから、まずは地域循環共生圏の認知度を引き上げることが重要としている。そのうえで今後取り組む方向性としては、各地域における事例構築を促進しつつ、好事例の横展開などの普及を行う」としている。

    しかし委員からはこんな厳しい意見が。「地方自治体は(地域循環共生圏形成に)関心がない。SDGsを積極的に発信してほしい。横展開というが、地域によって違うので様々な視点を入れた方がいい」「地方の自治体はこの分野は得意だが、これはダメというのが結構多い。とてもじゃないが横展開にならない。トップランナー方式ではできない。そこまでたどり着いていないというところが多くなる。こういう場合もあるんだという事例を提案した方がいいんじゃないか」。また「SDGsをやっていくうちにわからなくなったりする。指標つくったほうがいいのでは。到達点を目標として書くのは大切と思う」との意見も聞かれた。

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  • 令和元年9月12日開催 中央環境審議会循環型社会部会 第30回

    中央環境審議会循環型社会部会(部会長・酒井伸一京都大学教授)は9月12日、今年度2回目となる会合を開催した。議題は第五次環境基本計画の点検の進め方と、第四次循環基本計画の中の重点分野の柱のひとつである「万全な災害廃棄物処理体制の構築」。最近、災害が頻発していることもあり今回の会合では災害廃棄物処理体制の構築について絞り込んで審議が行われた。自治体の災害廃棄物処理計画策定率は、中小の市町村で低い。計画策定率を高めるにはどうするかが課題として取り上げられた。

    自然災害が多発している

    部会開催に先立ち山本昌宏環境再生・資源循環局長があいさつを述べた。山本局長は本日の部会の審議のテーマは、第四次循環基本計画の中で重点分野の柱のひとつになっている万全な災害廃棄物の処理計画の構築であると述べ、さらに新大臣就任について触れ、「昨日、新大臣として小泉進次郎大臣が着任されました。非常に若くて発信力がある大臣ということでありますので、環境行政、一段も二段も頑張ってまいりたいと思っております。そういう視点からも本日は忌憚のないご意見を賜ればと思っております」と語った。
    令和元年度は自然災害が頻発している。6月18日の「山形沖を震源とする地震」を皮切りに、6月28日?7月5日にかけては九州南部を中心とする「6月下旬からの大雨」、8月26日~29日の「前線による九州北部の大雨」、佐賀県大町町において鉄工場からの油の流出により、油の回収や油混じりの廃棄物処理が課題になった8月26日~29日の「前線による九州北部の大雨」は記憶新しい。9月3日、4日には「岡山県と三重県で局所的な短時間大雨」。そして9月9日には非常に強い勢力の「台風15号」が首都圏を直撃。千葉県では地域によっては屋根の破損が多く見られ、広範囲に停電が長期化するなど甚大な被害が生じた。これら自然災害による家屋の全壊や半壊、一部破損、床上浸水、床下浸水などの被害はかなりの数に上る。

    廃棄物処理計画策定、中小の市区町村に遅れ

    自然災害が頻発している一方で、自治体の災害廃棄物処理計画の策定は、とくに中小規模の市区町村に災害廃棄物処理計画策定の遅れが見える。1741区市町村のうち処理計画を策定しているのは平成29年度末で475件。27%の実績だ。人口規模別でみても人口の少ない市町村ほど策定率は低い。
    「小さな市町村は人が足りない。都道府県の担当者が指導すべき」
    「なぜ計画できていないのかとか、絞って(審議)したらどうか。九州の大雨では油の問題が出てきた。自分たちの地域にはどういう化学物質があるのか把握しておく必要があるのでは」「策定できない理由を。どの程度の計画内容を要求するのか。行政が計画立てようとすると緻密にとなってくる。全体の方針みたいなものがないよりは、あったほうがいい」などといった意見が出席した委員から出された。

    処理計画策定に向け国、都道府県が支援

    環境省は「計画内容ですが、どんな災害が起きても対応できる計画と考えている。どこに仮置き場をつくって、搬入出、業者と協定ということも求められる。実効性のあるもの。まずつくってもらう。中小規模の市町村については国や都道府県がサポートするよう進めている。一つの市町村では収まらない。ブロック同士でどうかということを国が入って進めている」とした。
    計画策定の課題について環境省が自治体にアンケート調査した結果によると、市町村(1741自治体)では「専門的な情報や知見が不足」(71.7%)、「作成にあたる職員や時間が確保できない」(63.3%)の2つが最も多く、「職員の異動等によって計画の維持管理が難しい」(31.4%)、「職員の教育・訓練が継続できない」(15.6%)などとなっている。環境省は処理計画策定のための標準ワークシートを作成するなどして進めていく方針だ。

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  • 令和元年5月29日開催 中央環境審議会循環型社会部会 第29回

    中央環境審議会循環型社会部会(部会長・酒井伸一京都大学教授)は5月29日、約1年ぶりとなる部会を開催。食品循環資源の再利用促進に関する基本方針(答申)や第四次循環基本計画の評価・点検の進め方、さらに廃プラの処理などについて審議した。食品循環資源の再利用基本方針については市町村の受入れなどについての意見が多く聞かれた。また行き詰まりがあるとされている廃プラの処理については、環境省が市町村での受け入れ協力要請を通知したが、これらを含めて様々な質疑が出された。

    食リの基本方針案答申に向け原案了承

    環境省から「食リの基本方針答申案」が説明された。第四次循環計画で事業系の食品ロス削減が示されたこと、市町村は食品廃棄物の発生抑制や再生利用について一般廃棄物処理計画に位置付けること、また民間の食リ事業が推進されるよう事業系一廃の料金を原価相当にすることなどが述べられた。
    大迫委員(国立環境研究所)は「(市町村の)一廃の処理計画、国としてどのように支援していくのか。処理料金は原価相当という、それなりの価格はあると思う。自治体に考えてもらうが、国のほうも適切な技術指針の支援してほしい」と述べた。また中島委員(日本商工会議所)は中小への配慮をということで「市町村は事業系一廃を原価相当の料金徴収にという件ですが、中小企業は安い処理業者を選定しないと厳しい。激変緩和措置をお願いしたい」と要請。
    こうした質問や意見に対する環境省の応答は「原価相当の料金は事業系、家庭系のバランスの中で議論を深めていくことになると思う。市町村対応は指針で触れていくと思う。会計基準の手引きは今年度今年度改正、有料化の手引きは来年度以降となるかと」。
    質疑応答がほぼ済んだことから酒井部会長が「答申案は変更するまでの意見がなかったと思う。事務局が示した案でどうか」と諮り、出席委員から了承を取り付け原案通りとなった。

    循環計画の点検結果、今年度末に中間報告書

    循環部会の今年度(令和元年度)は、「第四次循環計画」と「第五次環境基本計画」の2つの計画について、評価や点検を実施することになる。循環計画の点検は本年の夏ごろに各主体、関係府省のヒアリングを実施し、秋ごろに点検の中間報告をまとめ、来年冬ごろから春にかけて中間報告書を決定するとしている。

    廃プラの焼却要請、市町村は困惑

    報告事項としてプラスチック関係のことが説明された。「プラスチック循環資源戦略は、マイルストーンを大阪で開催されるG20に入れるべく調整している」(環境省)。ものの、中国の禁輸によって国内で廃プラの処理が行き詰まりを見せている。環境省は緊急措置として市町村に廃プラ焼却処理の協力要請を通知した。部会ではこれについて様々な意見が出された。
    全都清の大熊委員は「自治体は困惑している」という。「市民に対して分別してくれとこれまで言ってきた。産廃プラを燃やすことを住民にどう説明すればいいのか。どの程度(処理が)ひっ迫しているのか。地域の中の産廃業者が困っているのならわかるが、地域外から持ってくるというのは難しい。どのくらいひっ迫しているのか、環境省から情報提供をお願いしたい」と述べた。

    全産廃連から情報得たい。あくまで緊急措置

    「プラはリサイクル目標が出ている。将来的なことも考えてくれ」「どのくらい(自治体の)協力得られる見込みなのか。緊急避難的なものか、それとも……」「処理料金は民間の指標歪めることに気を付けないと」などの意見が出された。

    環境省は「この件は全産廃連からの要望踏まえて要請した。自治体への情報はなるべく出す。ひっ迫の度合いは連合会から情報得たい。協力見込はこれからなので現時点ではわからない。あくまで緊急措置と考えている」とした。

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