活動報告
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活動報告

  • 令和6年度の総会の報告

    (一社)全国清掃事業連合会(三井弘樹会長)は4月24日、東京・一ツ橋の如水会館で第15回定時社員総会を開催した。全4議案を審議・承認し、令和6年度事業計画には気候変動対策、GX、持続可能性等の要請を踏まえ、事業継続性確保に係る取組み、プラスチック資源循環促進法など資源循環事業への挑戦、災害廃棄物処理支援活動など重要4事業と、継続の9事業を盛り込んだ。総会後は懇親会を開き、地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長をはじめ多数の来賓が出席した。
    詳しくは、全清連ニュース112号をご覧ください。

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  • 輪島市、穴水町の避難所、仮置き場から約171トン運搬

    災害廃棄物処理支援ネットワークの一員として能登半島地震で4週間の無償支援活動展開

    令和6年1月1日、元日。新たな年の幕開けは北陸地方、特に能登地方の人々にとっては苦難の年明けとなった。よりにもよって元日、帰省者も迎えながら多くの人々が家で過ごしていた午後4時10分、令和5年奥能登地震を大幅に上回るマグニチュード7・6(震源深さ16キロメートル)、最大震度七の「令和6年能登半島地震」が発生した。被害は石川県だけでなく、新潟県、富山県、福井県など九府県に及び、死者は244名、さらに11万1,572戸もの住家被害(3月26日時点)が生じた。
    全清連は、環境省・災害廃棄物処理支援ネットワーク初動・応急対応グループの一員として発災後、直ちに無償支援出動に向けた準備を開始。石川県および環境省との協議等を経て、輪島市、穴水町の避難所ごみの収集運搬、仮置場から処理施設への転送支援を実施した。期間は1月22日〜2月17日までの4週間にわたり、収集運搬量は約171トンに達した。

    インフラが破壊し尽された市街地で適正処理に尽力

    全清連は一般廃棄物収集運搬のプロフェッショナルとして、災害時においても適正処理を通じた地域環境の保全と公衆衛生を確保し、社会の期待にも応えるため、過去の大規模災害時には無償支援活動を実施してきた。
    今回の震災においても発災翌日の1月2日、全清連が初動・応急対応グループとして参加する環境省・災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste―Net)事務局に支援活動の準備に入ることを伝達。それと同時に震災に係るメディア情報の収集と、全清連災害対応委員会の片野宣之委員長に支援活動の出動準備を要請した。
    環境省からは同5日、今後の支援活動に関する打ち合わせについての打診があり、これを受け同11〜12日、全清連災害対応委員会の片野委員長、松浪俊博副委員長、野村俊明委員、橋本祥委員、さらに(株)富山環境整備の石田敦史次長の5名が石川県庁での打ち合わせの上で、輪島市、穴水町における状況確認を行い、再び石川県庁にてどのような支援が必要とされているか協議を行った。その後、災害対応委員会は支援計画を策定し、1月16日の第7回理事会で計画の承認を受け、1月22日〜2月17日までにわたる活動を実行に移した。
    全清連の地震被害に関連する支援活動は、過去にも東日本大震災、熊本地震などで行ってきたが、今回は半ば陸の孤島と化した被災地でまた異なる困難に直面することとなった。

    高速道路損壊し片道4時間の大渋滞に

    令和6年能登半島地震の支援活動で最大の障壁となったのは半島特有の地理的条件から来る道路事情の悪さだ。能登半島の背骨と言える自動車道「のと里山海道」が使用不能となり、奥能登方面にアクセスする道は一般道のみとなった。
    しかしその一般道も崖崩れ、路面崩落が多数発生し、かろうじて通行可能というような状況で、迂回しようにも迂回路は全て極端な遠回りになるか、山中を通過する狭い道路で通行はあまりに危険だった。そのため余震でいつ再び崩れるか分からないような脆弱な道路にあらゆる支援車両、被災者の車両が集中して、金沢市から輪島市まで片道約4時間という大渋滞を引き起こす結果となった。

    奥能登の被害は甚大で復旧進まず

    また奥能登地方の被害は同じ石川県でも金沢市のそれとは比べものにならないほど深刻だった。比較的穏やかな金沢市内を出て奥能登方面に向かうと、七尾市から被害が目立ちはじめ、穴水町に入ると景色が一変した。半壊した家屋や道路陥没などが目立ちはじめ、町内中心部に入ると多くの家屋が被災し、信号機は折れ曲がり、道路は注意を要するほどうねり始める。これが輪島市に至ると道路からマンホールが突き出し、車を飲み込むほどの大きな地割れがあちこちに生じ、上下水道は当然のこと、停電した地域も多く、建物に至ってはもはや無事な建物を探す方が難しいという目を覆いたくなるような惨状となった。
    倒壊した建物ばかりの市街地には人気も少なく、全体として復旧が進んでいる気配はない。
    震災被害の場合、通常は発災直後から片付けごみなどの災害廃棄物の排出が始まる。被災者にとってそれが途方もない作業であっても、その行為自体が復旧につながる一歩であり、明日に向けた希望でもある。しかし今回は、あらゆる建物に応急危険度判定で立入危険を示す、いわゆる「赤紙」が貼られて手が付けられず、確認されるのは片付けごみでなく、主に生活ごみ、避難に関連して排出される毛布等の物品が主だった。
    発災後、「見捨てられたのではないか」と感じる被災者もいたそうだが、輪島市だけでも人口2.8万人、一万世帯という規模に対して半壊・全壊は日時点)で、社会インフラに関わる全ての関係者が全力を尽くしても全く追いついていないというのが実態だった。
    自らも現場作業に携わった全清連・三井弘樹会長は、後に「我々にはやれることしかできない」とコメントするが、これは被災地を見てなんとかしたいという思いと、各員が自らのプロフェッショナルの分野で全力を尽くすしかないという思いから来ている。いたずらに支援規模を拡大しても被災地の負担が増すだけで、支援に携わった会員らも皆一様に「放っておけない」「できることをしなければ」などの言葉があった。

    金沢市に拠点設置、作業員のみ週交代

    こうした状況で支援活動は、地元業者で対応ができない輪島市内に設置された避難所九カ所のごみ収集、輪島・穴水クリーンセンターおよび穴水町ふれあい広場(仮置場)から金沢市東部環境エネルギーセンターへの転送業務が主体となった。
    拠点は金沢市(ホテルルートイン金沢)で、少しでも効率的な支援を行う観点から、岐阜県清掃事業協同組合から4トンパッカー車2台の提供を受け、運転作業員のみ一週間ごとに交代する方式とした。また支援期間全体を通じて、全清連特別会員の(株)富山環境整備からも4トンパッカー車1台と運転作業員の派遣を受けた。
    会員以外からも、支援活動における車両の運行管理の必要性から(株)アクシスのGPS車両管理システム「KITARO」について問い合わせたところ、震災支援であるならば、と快く無償貸与をいただいた。
    こうした形で支援体制を整え、第一陣は広島県連から7名で1月22〜27日、第2陣は三重県連から5名が1月29日〜2月3日、第3陣は大阪府連から6名が2月5〜10日、第4陣は愛知県連から8名が2月12〜17日までを担当した。
    道路関係者の尽力により、日に日に交通事情は改善していったが、各隊とも長時間続く大渋滞には最後まで悩ませられた。朝は五時頃に起床し、6時半までには金沢市を出発。七尾市付近から渋滞が始まり、そこから輪島市の収集所にたどり着く頃には午前10時過ぎとなっている。道中には休憩場所もなく、作業を終えて金沢市の拠点に戻る頃には午後5〜6時頃となっていた。

    被災者からの言葉が活動の励みに

    活動のほとんどを移動時間に取られるという非効率な支援とならざるを得なかったが、それでも避難所では心労がたまっているはずの被災者から「ごみ処理に本当に困っていた」など感謝の言葉があり、現場においてはそれが活動の意義の再確認と、何よりも作業員自体の励みになったという。
    途中、降雪によって支援を一時中断せざるを得ないこともあったが、期間中の収集回数は92回、収集運搬量は約171トンに達した。これ以降は地元業者に 作業を引き継ぐこととなったが、全清連としては建物の解体が進み、片付けごみの排出が増え、要請があった際には改めて第2回支援について協議を重ねていく方針としている。

    現場より・・・
    令和6年能登半島地震災害支援活動に参加して

    野村俊明 (一社)広島県清掃事業連合会

    今回の能登半島地震で、私は先遣調査から携わり、事前準備等させていただきました。個人的に大変貴重な経験をさせていただいたと思っております。
    現地調査に行った当初は、平穏な金沢市内から七尾市、穴水町と渋滞の中を進んでいくと、徐々に町の状況が変化していきました。木造の古い建物は倒壊し、道路はガタガタで段差やひび割れが多くなり、電柱や信号機は斜めに傾き、町の景色は激変していったのが印象に残っています。
    穴水町から輪島市への道のりは険しく、山裾は崩れ落ち、余震があれば帰れなくなるような倒木等も多数発生し、二車線あったであろう道は一車線になっていたりと危険を伴う移動となりました。道中では山崩れによって巻き込まれた方の捜索活動も行われていました。
    約5時間程度かけて輪島市内に到着したときには言葉もありませんでした。建物はほぼ階部分が押しつぶれ、マンホールは一メートルほど飛び出し、ビルは傾き、まるで戦場に来たかのような感じでもありました。言語に絶する町並みでした。1月1日、団らんとしていた時間が一瞬で吹き飛ばされ、被災された皆さんの気持ちを思うと、何か、少しでも何か力になれればとの思いで携わらせていただきました。
    支援活動は生活ごみの回収ということで、仮置き場からの転送業務や、避難所の生活ごみの回収でしたが、そのごみを見たら丁寧に分別されており、ペットボトルはキャップを外し、ラベルもきれいに取られている状態のものや、段ボールもたたんで束にされている状態のものが多くありました。大変な状況の中での分別は、被災者の方々には大きな負担になっていただろうと感じました。
    また避難所のごみ回収 を行った初日は、避難所にごみはほとんどない状況で、確認したところ、環境省と輪島市との調整ミスで我々の支援が伝わっておらず、地元の業者が対応されていました。
    避難所のごみは丁寧に分別されており、回収されているのは指定袋に入った可燃ごみだけで、その他の布団や段ボールは回収されず、狭い避難所に山積みにされていました。我々はそれらも回収しました。
    状況確認のため輪島市役所へ松浪副委員長と訪問してみると、担当職員の方は疲れ果てて、必死に災害対応をしておられる感じでした。ですのでこういった連絡ミスや指示不足などは結構頻繁にあったのだろうと思います。職員の大変な状況、現場に必ずしも慣れていない環境省の方々だけでは限界があるのではないかと感じました。今後も、こうしたソフト面でのサポートや助言などできれば、全清連の初動対応も一層スムーズに、また被災者の方々の負担軽減にも役立てるのではないかと思いました。

    伊藤進相 (一社)三重県清掃事業連合会

    今回の支援場所では雪や路面凍結の心配もしていたのですけれども、事故・怪我なく活動を終えることができました。輪島市内は特に道路の陥没、家屋倒壊がひどく、支援1日目では通れていた道が5日目にはかなり狭くなっていたりと、支援期間中にも余震等で被害が広がっている事も感じました。メンバーは私を含めて五名でした。片野委員長の指示のもと、今回GPS機能、LINEグループ、Googleマップを使い分けて支援に活用できたことは、今後のスムーズな活動にもつながりますので良かったと思います。
    避難場所の中は暖房が使用できない所もありました。ご年配の方は何枚も毛布に身を包んで寒さをしのいでいましたし、段ボール一枚で区切られた横には、おそらく名前も知らない同じ地域内の被災者の方が横で生活をし、廊下に置いてあるストーブに皆が集まり温まっている様子や、当たり前に生活できていた事が一瞬にして変わっていて、たくさんのストレスがあったかと思います。
    避難所の中にはたくさんの方々が避難をされていましたけれども、収集運搬に来た私たちに感謝の言葉をかけていただけて感動しました。ごみの処理が本当に困っていた等の言葉をいただいたときは、この仕事の重要性を改めて強く感じ、平時においても決して止めてはならない業務だと実感しました。
    今回被災地支援が決まった際もたくさんの余震等様々なリスクがあるにも関わらず、自ら私が行きますと手を挙げた社員には感謝しています。一般廃棄物の収集業務に携わっている者として被災地支援ができる事を誇りに思うと前を向く社員の姿にも大変、勇気をもらいました。
    また三重県は月を挟む形で支援に当たりましたけれども、2月に入ると自衛隊、警察、医療関係以外の事業者も一層増えたかなと思いました。そういう意味では、1月中旬にすでに現場で動き出していた全清連の初期対応の早さも非常に重要なことと実感しました。

    橋本 祥 (一社)大阪府清掃事業連合会

    2月4日の日曜日に金沢市に入り、5日の月曜日から支援活動を行いました。
    第一陣・二陣の方々からLINE等での引継ぎがスムーズだったので慌てることなく現場入りできましたし、作業初日にも片野委員長はじめ山田専務理事までもが連絡を下さりとても励みになりました。
    私自身、災害支援は広 島豪雨災害の時から参加させて頂いていて今回で3回目の災害支援でした。現地の状況は、倒壊している家屋の屋根が地面についてしまうほど崩落しており、道路に亀裂が入りマンホールがかなりの高さで隆起しているなど、このような現場を目の当たりにするのは初めてでした。
    1月中旬の視察から一カ月の期間があって輪島市に現地入りしましたが、状況にはさほど変化がなく改めて甚大な被害であると身をもって実感し改めて私が参加させて頂いた支援の中で一番ひどい状況だと感じました。
    そんな中でも、支援活動によって少しずつ避難所生活から戻られて元の生活を取り戻そうとされている方々が家の前に家電や家具を並べられているなど道を塞いでいた瓦礫などの撤去作業を行われている状況でした。
    今回の支援活動では、避難所の生活ごみの収集を行いました。初めに比べてごみの量も落ち着いてきており、避難所のごみに関しては2日に1回の収集でも間に合いそうに感じましたが、避難所収集場で高齢者の方に「可燃ごみ以外の収集は可能ですか?」と質問され、収集を行った際に「本当に困っていたので助かりました。ありがとうございます」と感謝の言葉をいただき、少しでも支援活動が力になっているのだと感じました。
    作業における中で苦労した点は、交通部分についてです。
    道路の補修工事が進んではいるものの、そのために渋滞する場所が日々変化するなど違いがあり、行き帰りの道中がなによりも大変だと感じました。
    ただ、今回の支援活動 には森山委員の提案により、メーカーに交渉して無償提供された「KITARO」というGPSを活用し他の車両の現在地を把握できたので作業中は勿論、渋滞状況等なども共有でき日々の支援活動に役立てることが出来ました。
    また、今回は連絡係として参加させて頂きました。今まで経験していなかった点としては、環境省との打ち合わせ・毎日の数量報告・悪天候時の収集を行うかの判断などです。
    いかに効率よく支援活動を進めるべきか、また作業メンバーで困っていることはないかなどに重点を置き作業を行っておりました。
    今までは、参加しているだけでしたが、今回の災害支援で少し責任感を持ち、とても良い経験をさせていただきました。また、なによりも第三陣の六人全員が無事大阪へ揃って帰ることを第一目標に災害支援を行い達成できたことに安堵しております。これからも今後の活動に生かし片野委員長、松浪副委員長のもと災害対応委員として活動していきたいと思います。

    新實勝二 (一社)愛知県清掃事業連合会

    第4班は2月11〜18日まで支援に入りました。第三班までの皆さんが活動のベースを作っていただき、またLINEグループにて常々報告をいただいていましたので作業自体は滞りなくスムーズに進んだと思います。
    しかし、支援の中で想定外のリクエストをされることもあり、やはり現場は常に変わっているのだということを改めて感じました。我々が回収するのは家庭ごみ(可燃ごみ)と聞いていましたので、その予定で収集作業を行ってたのですが、避難所のスタッフから突然、布団や毛布、座布団、プラスチック類も回収してほしいと言われ、現場でどうしたものか迷ってしまいました。実際にこれらのごみが避難所のスペースを取ってしまっており、環境省に確認をして対応しました。
    また支援の初日では、輪島市の収集場所が一カ所閉鎖しており、その連絡を受けていなかったために現場で作業員が「声のかけ方が違うのか、受付が違うのか」とうろたえてしまいました。こちらも環境省に確認をして、閉鎖中とのことで回収場所から除外しました。
    こういうこともありましたけれども、穴水町のあすなろ広場では、たまたま年配者の方が冷蔵庫とテレビを軽トラックから降ろしていたのを手伝ったところ、「ありがとう」と何度も感謝してくれたことがとても嬉しく印象に残りました。被災者は年配の方が多く、重量物をトラックに積んだり降ろしたりするのがとても大変ということでした。
    お礼のために来ているわけではないのですけれども、やはりこのような言葉を直接いただけると、自分たちの支援が役に立っているのだなと確認できて嬉しくなります。
    また私は2019年の長野県豪雨災害の時も参加しました。その時と比べて、ごみがとても良く分別できているのが印象的でした。
    洪水被害なので泥と一緒に家財が押し流され、その結果、町のあちこちに分別のされていない片付けごみが積み上げられてしまっていました。やはり分別ができていると片付けも早く進むのではないかと感じました。
    最後に、輪島市の防災計画を確認してみたのですけれども、マグニチュード7で建物の倒壊数は115棟を想定したものでした。それが今回は2,800棟とものすごい乖離があります。
    それだけ想定外のことが起きたのかなということを考えながら、愛知県でも南海トラフ地震の発生が危惧されていますので、この経験を持ち帰り、どう地元に反映し、活かしていくかということが大切か今回改めて感じました。

    石田敦史 (株)富山環境整備 環境事業部 次長

    富山県は地震には大丈夫だということが、慣例になっていましたが、令和6年1月1日、富山で経験したことのない揺れを感じる地震が発生しました。
    能登半島では、多くの命が失われ、大きな被害が出て、被災した方々は、どれほどの苦しみ、悲しみを抱かれたのか、私たちには想像もつきません。
    今回、(一社)全国清掃事業連合会の無償復興支援に携わらせていただくこととなり、生活ごみ、避難所ごみの収集運搬の支援ということで被災地に入り、支援隊として活動を始めました。
    家屋の倒壊、道路の寸断や、上水道の断水などのライフラインがない状態での避難生活、下水道の寸断でゴミ袋の中に汚物という衛生面に苦慮されながら、必死に頑張っておられる被災された方の姿を目の当たりにし、改めて被害の大きさを痛感しました。
    そのような状態の中で、被災された方から活動に対し、「ありがとう」「ご苦労様」とお声かけいただきました。こちらから元気な言葉で話しかけないといけないのに、逆にお礼や元気をいただいたことが一番印象に残っています。
    当社は、穴水町穴水港あすなろ広場横災害廃棄物仮置場で、生活ごみと、片付けごみの仮置場の運営管理もさせていただいております。
    生活ごみ仮置場が、当初は常に仮置場が満杯状態で、地元の業者さんへ、ご迷惑をおかけしておりましたが、全国清掃事業連合会の支援隊による支援活動が始まってから、常に生活ごみ仮置場が空に近い状態で、地元の業者さんから毎日、笑顔で感謝の言葉をいただけるようになり、雑談もできるようになったことが嬉しい限りでした。
    地元の業者さんによる生活ごみの収集や、地元の焼却施設が復旧し始め、生活ごみの搬入を待つ時間があった際は、被災された方が片付けごみ仮置場に持ち込まれる、片付けごみの荷降ろし作業をしていました。
    その時に、被災された方によって持ち込まれる片付けごみを、仮置場の作業員として、被災された方が、荷降ろしのお手伝いをしておられ、避難生活の大変さを目の当たりにし、心が痛くなりました。
    今回、全国清掃事業連合会の復興支援活動に携わらせていただき、一般廃棄物の行き場がなくなることで、被災地の公衆衛生や環境保全そのものが脅かされることに直結しているということを改めて実感しました。
    このことから、多く学び、災害は起きないことが一番良いのですが、緊急時における大切なことや重要なことを、本当に教えられた支援活動でした。

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  • 令和5年度の総会の報告

    第14回定時社員総会で三井弘樹会長を再任

    (一社)全国清掃事業連合会(三井弘樹会長)は4月26日、東京・一ツ橋の如水会館で第14回定時社員総会を開催した。全5議案を審議・承認し、令和5年度事業計画には市町村との関係強化を通じた行政側における業務継続計画構築とプラスチック等の資源循環事業への挑戦、一般廃棄物を取り巻く規制緩和への対応、災害廃棄物処理支援活動など重要4事業、継続9事業を掲げた。また任期満了に伴う役員の選任では、新任1名のほか、三井弘樹会長をはじめ全役員の再任を決めた。

    再任を受け三井弘樹会長は「4年前に会長職を引き継がせていただきました。非常に不安な心境でありましたが、その当時から今日まで、身の丈を考えつつ自分に出来ることは全力で取り組むというつもりで会長職を務めてきました。皆様からすると至らないところもあると思いますが、私自身、新体制の中で一生懸命、皆様と共に目的を達成できるよう共に歩んでまいりたい」と所信表明した。

    総会後には記念講演、懇親会が開かれた。記念講演は環境省廃棄物適正処理推進課の工藤喜史総括課長補佐による「縦割り110番で受け付けた環境省所管の規制緩和要求に対する回答について」の解説。また4年ぶりとなる懇親会では、地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長、寺田稔事務局長をはじめ多数の国会議員が出席したほか、環境省、経済産業省、農林水産省からも多数の幹部が来賓として出席、盛大に開催した。

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  • 令和4年7月28日開催 全清連研修会in京都

    全国清掃事業連合会(三井弘樹会長)は7月28日、京都市内のホテルで「八代裁判について考える」第2回研修会を開催した。八代裁判に関してはかねてより全清連が支援活動を展開しており、平成元年6月10日にはそれについての研修会を開いた。今回は第2回目となるわけだが同事件はいまだ係争中ということもあり、簡単な経過報告にとどめた。研修会では講師の阿部弁護士が「一般廃棄物処理を巡る裁判の現状」と題していくつかの事件について講演し、また湯川弁護士は自身が原告代理人弁護士として担当した小浜事件最高裁判決(1.28判決)とそれに続く環境省10.8通知の意義についてポイントを整理してわかりやすく解説した。なお、研修会は新型コロナウイルス感染防止対策上、会員の参加数を制限して行われた。

    法律論と業務の内容の両立が大事

    研修会は冒頭、全清連を代表して三井会長が次のようにあいさつを述べた。 今回の研修会の目的について会長は「ひとつには環境省の6.19通知、10.8通知、それと1.28最高裁判決を改めて深く理解していくこと。もうひとつは八代裁判のこれから。結果はどうあれ、地元の皆さんが市町村とどう協議していくのかということも含めての研修会であると理解していただきたい」と述べ、しかしながらこうした通知や判決の効力は絶対的なものではなく、これにプラスして自分たちの業務の内容が大事だと説く。「日々の業務がどうであるか、私たちの仕事内容は行政からどう見られているか業務の品質が第1点、もう1点はこの業者にしか任せられませんよねと言っていただけるように、いろんな意味での付加価値をつけていって、それを行政に提案し、チャレンジしていくという行動の積み重ねを今からしていくということが大事だと私は思っています。法律論と業務の内容とが相まって、この両立あってこそ私たちの地位は守られると理解していただければ思います」。

    最高裁判決平成26年1月28日(小浜事件)の意義

    講演では、「一般廃棄物処理を巡る裁判の現状」と題して講師の阿部泰隆弁護士がいくつかの事件について述べた。その中には「し尿」処理に関する事件もあり、また法律用語も頻繁に出てくる。ここに記すとかなりのボリュームになるので割愛するが、ただひとつ阿部弁護士が裁判というものについて「よい裁判官に当たるかどうかによる」という指摘が裁判という仕組みの全体を物語っているといえようか。 今回は湯川二朗弁護士の講演「最高裁判決平成26年1月28日(小浜事件)の意義」の概略を取り上げることにする。 小浜事件の最高裁判決の要旨はこうだ。市町村長から一定の区域につき既に一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の許可又はその更新を受けている者は、当該区域を対象として他の者に対してされた一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の許可処分又は更新処分について、その取り消し訴訟の原告適格を有する。 湯川弁護士は「直接的には、既存業者には新規許可の取り消しを求める法律上の利益があることを明示したものであるが、その結論を導くにあたって、(最高裁判決で示された中でも)以下の①~③が大切といえる」と述べた。
    許可における審査の考慮事項を明らかにした
    法は、市町村長は既存業者の営業上の利益を保護すべき義務を負うことを明示した。
    市町村は既存許可業者の営業上の利益に配慮しこれを保護すべき義務を負い、違法に 新規許可をしたときはこれにより既存業者が受けた損害を賠償すべき場合があることを 認めた

    「原告適格」とは土俵にあげてやるということ

    これは既存業者さんが新規の許可の取り消しを求める「原告適格」があるという。この「法律上の利益」と書いてありますが、そういうことを(判決では)言いました。 直接的には既存業者には新規許可の取り消しを求める「法律上の利益」があることを明示したものであるということです。これは法律用語が入っているのでなかなか分かりにくいところがあると思います。何が分かりにくいかというと、「法律上の利益」あるいは「原告適格」というのはですね、つまりこれは「土俵に上げてやる」というだけの話しなんですね。で、土俵に上がってこちらの勝かというと、とんでもない行司がいるというのが裁判の世界なんですね。

    既存業者を大切にしろは画期的

    ①が皆さん重要と思われているところですね。「許可における審査の考慮事項を明らかにした」という書き方をしています。わかりにくい言葉ですけど、つまり「一般廃棄物処理業務の適正運営が継続的かつ安定的確保」が一番大事ですよと。それにあたって「需給の均衡がとれていること」と「需給の変動があるときは」、つまり新規参入があれば需給の変動があるにきまっていますから、「変動による既存業者の事業への影響について適正に配慮しているか」これが重要だと言っています。既存業者の事業への影響を配慮しろ、これを考えろと言ってくれた、これは非常に画期的です。ただこれ、どこまでのことをしないといけないのか。配慮しろとは言っていますけど、何をしたら配慮したことになり、何をしなかったら配慮しなかったことになるのか。配慮しなかったとしてもだからどうなんだ、というところは実は最高裁判決は言ってくれていません。

    自治体は既存業者の営業上の利益を保護する義務を負う

    ②ではそれは市町村の義務であるという形で裁判所は言いました。法は「市町村長は既存業者の営業上の利益を保護する義務を負うんだ」と。だから既存業者は潰れてもいいということは絶対行政としては言えないことで保護義務があるんだと。その地域の衛生や環境を保護する上で既存業者さんの営業上の利益というのは非常に大切なことなんですよということを真正面から認めています。だからそれをちゃんと適切に考慮しなさいとい、こういう話になるんですね。

    次の③です。②で市町村は既存業者の営業上の利益を保護する義務がありますから、それに違反したらそれによって「既存業者が受けた損害を賠償すべき場合がある」ということを言いました。ここまでが非常に画期的なところです。

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  • 令和4年度の総会の報告

    第13回定時社員総会を3年ぶり対面開催

    (一社)全国清掃事業連合会(三井弘樹会長)は4月27日午後2時より、東京・一ツ橋の如水会館で第13回定時社員総会を開催した。Web会議システムとの併用方式で、対面での開催は令和元年度から3年ぶり。会場には多くの会員に加え、地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長、寺田稔事務局長、また環境省、経済産業省、農林水産省の幹部が来賓出席した。総会では全4議案を審議・承認し、令和4年度事業計画は混迷を深める国内外の政治経済リスクを踏まえ提案。許可・委託業者の事業継続やプラスチック資源循環促進法への対応、災害廃棄物処理支援活動など、ローカルSDGsチャレンジに向けた重要4事業、継続10事業を盛り込んだ。 総会は全清連を代表して三井弘樹会長があいさつ。続いて来賓出席した地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長、寺田稔事務局長、環境省、経済産業省、農林水産省の幹部から祝辞が述べられた。続いての議案審議では、第1号議案~第4号議案の全議案を原案通り承認可決。休憩を挟んでの講演会は環境省廃棄物適正処理推進課の山田浩司課長補佐による「一般廃棄物の適正処理の推進および今後のあり方について」が開催され、総会は滞りなく終了した 。
    詳しくは、全清連ニュース103号をご確認ください。

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  • 令和3年度の総会の報告

    持続可能な地域社会へ令和3年度事業計画承認
    =コロナ禍、災害時の事業継続等、SDGsチャレンジを推進=
    WEBで第12回定時社員総会、全役員再任

    (一社)全国清掃事業連合会は4月21日、WEB会議システムを用いて第12回定時社員総会を遠隔開催し、全5議案を審議・承認した。このうち令和2年度事業報告では、コロナ禍の感染対策などについて報告したほか、令和2年7月豪雨で被災した岐阜県、熊本県における災害廃棄物処理支援活動について報告。令和3年度事業計画にはコロナ禍や脱炭素、循環経済への移行など固形一般廃棄物処理を取り巻く国内外の動向を捉え、委託・許可業者を組み込んだ行政側の事業継続計画構築への取組み、パートナーシップ活性化、プラスチック資源循環促進法案への対応など、地域ライフラインの維持、ローカルSDGsチャレンジに向けた重要事項4項目、継続事業10項目を盛り込んだ。また任期満了に伴う役員改選では、三井弘樹会長ら全役員の留任を承認した。来賓には地域廃棄物適正処理推進議員連盟・石破茂会長、斉藤鉄夫幹事長、寺田稔事務局長、環境省、経済産業省、農林水産省の幹部が祝辞を述べたほか、サプライズゲストとして全清連の三井崇裕名誉会長が急きょ広島県清掃事業連合会事務局まで駆けつけ、コロナ禍の中にあっても1日も休まず地域環境保全事業に尽力する全清連会員に、敬意と激励のメッセージを贈る一幕も配信された。

    三井弘樹会長あいさつ(要旨)

    いつまでも必要とされる存在に〝成る″ために

    「来年はCOVID-19(新型コロナウイルス)を乗り越えて、全国の会員の皆様と顔を合わせて定時社員総会を開催したい」
    昨年度の定時社員総会が非対面の書面による開催となった時、私はそう願いました。残念ながらCOVID-19の猛威は未だ収まりません。「まん延防止等重点措置」が適用された東京に全国の会員の皆様が集まることは大きな危険を伴います。このために令和3年度の第12回定時社員総会も感染防止を最優先し、非対面でのWEB形式による開催といたしました。
    全世界がCOVID-19という目に見えない脅威に覆われた令和2年度の全清連は、会員の事業継続を最優先し、感染予防のため全国研修大会も地方の研修会も行いませんでした。事務局もリモートワークにより営業日数を減らしたため、皆様にもご不便をおかけしました。
    その中でも、環境省、内閣府コロナ対策室から随時発出される感染防止の基本情報や最新情報、事業継続支援等の関連情報も全国の会員に伝達し、また全清連と会員各社が工夫しながら行った作業中や休憩中の3密回避のルール作りや手洗い、うがい、消毒の徹底、体調管理の事例も随時共有していくことで会員の感染防止対策に取り組みました。また、議員連盟の先生方に相談し、行政、各企業との交渉を重ねるなどして、数十万枚のマスクを確保し、全国会員に発送するなどCOVID-19との静かな戦いをしてまいりました。
    また、コロナ禍の中でも「触れずに収集」や「広域認定」などの規制緩和や、一般廃棄物の区分変更を要請する動きが各方面から出てきました。そのたびに全清連では、感染対策に細心の注意を払いながら、東京で、またはWEB会議で、関係省庁や議員連盟の皆様との協議を重ねながら、これらの課題を解決し、また有意義な制度となるよう取組みを続けてまいりました。

    私たちは、このパンデミックで多くのものを失いながらも、多くの教訓も得ました。そのひとつが、私たち清掃事業者のように、社会の基盤を支えている「エッセンシャルワーカー」の重要性と意義が、ようやく政府や一般市民の皆様に理解される第一歩が築かれたということです。
    医療機関や福祉施設のような人の生命を預かる業務や、警察、消防、自衛隊等の危機管理の業務、そして私たち清掃事業や電力、水道、食料等のライフラインを担う人々が、今回のような危機の際にも各自の業務を確実に遂行することがいかに重要であるかということを、多くの方々が感じたものと思います。しかし、非常時に確実に使命を果たすには平時においてもその生活基盤、経済基盤が安定し、事業が継続できることが不可欠です。経済合理性最優先、コスト削減優先の考えでは非常時に使命を果たす責任感と能力をもった人材や企業は決して育ちません。全清連は設立以来一貫してそれを主張し、6.19通知や10.8部長通知でも私たちの事業の位置づけが法的にも明らかにされてきました。
    この先コロナの脅威が去れば財政健全化の名目で、競争入札などの声が出るかもしれません。その時、国民の生活基盤を守り抜いた私たちは、はっきり「NO!」と言わなければなりませんし、その資格があると強く断言できます。そしてそれは持続可能で「誰一人取り残されない」社会をつくるSDGsの理念の実現でもあります。
    現状維持ではなく、成長のため新しくできることは何か。これを全員で考え、市町村や取引先にも積極的に提案をし、一歩ずつ前に進んでいく。そして市民からいつまでも必要とされる存在であり続け、次世代へバトンをつなげていく。令和3年度はそれを確かなものとしていく一年とする所存です

    総会開催にあたり議連、関係省から祝辞

    地域廃棄物適正処理推進議員連盟・石破茂会長、斉藤鉄夫幹事長、寺田稔事務局長、環境省、経済産業省、農林水産省幹部。

    令和3年度事業計画

    (1)固形一般廃棄物業界を取り巻く情勢、(2)廃棄物・リサイクル分野における動向、(3)全国の市町村の廃棄物・リサイクル行政の動向、ほか

    災害廃棄物処理支援活動報告

    =環境大臣賞を受賞して=
    熊本県清掃事業協同組合事務局 原口真治

    (詳細については全清連ニュース第100号をご覧ください)

    続きを読む: 令和3年度の総会の報告
  • 令和2年10月7日 新型コロナウイルスに有効なワクチン接種など4項目を要望

    議員連盟と要望懇談会開催

    「新型コロナウイルスに有効なワクチン接種」など4項目を要望

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井弘樹会長)は5月22日、衆議院第二議員会館において地域廃棄物適正処理推進議員連盟(会長・石破茂衆議院議員)と要望懇談会を開催した。議連からは石破茂会長、野田聖子副会長、竹本直一副会長、斉藤鉄夫幹事長、寺田稔事務局長をはじめ多数の先生方のほか、環境省、厚生労働省からも幹部が出席。全清連から提出された4つの要望事項について意見交換を行った。なかでも年少者のごみ収集作業を不可とする昭和22年に制定された労働基準法(労基法)の規定は、働き方改革を推進する上で問題があるとして是正を求めた。これについて厚労省の石垣健彦監督課長は「環境省、全清連の皆様から実情やご意見をうかがいながら、どういう見直しをするのが適切なのか検討したい」と見直しに前向きな意向を示した。

    議連・石破会長あいさつ。「業界と行政の信頼関係によって円滑に遂行」

    寺田稔事務局長の司会で進められた懇談会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため全員がフェイスシールドをつけて臨んだ。今回の懇談会の要望事項は、①COVID-19(新型コロナウイルス感染症)に有効なワクチン接種について、②今後のプラスチック資源循環の基本的方向性について、③将来の一般廃棄物処理のあり方について、④家庭ごみ触らず収集・ごみ収集のありかたについて――の4項目。
    冒頭、議連を代表して石破茂会長が次のようにあいさつを述べた。「地域において欠くべからざる仕事に日々邁進している方々と行政の間でどうやって信頼関係があって、どうやってこの事業というものが円滑に遂行され、従事されている方の幸せが確保され、従業員の幸せが確保され、そして廃掃法の趣旨、あるいはいろんな通達をきちんと順守してやっていくということの目的はみんなひとつのはずなので、このコロナの世の中においてどういうふうにしてやっていくべきなのだろうかみたいなお話がこれから先あるのだろうというふうに思っております。最近、収集ステーションなんかに行きますと、「本当に皆さん、ありがとう」といった張り紙がしてあるところがあって、やっぱり住民の方々も心から感謝をしておられるんだろうと思います。ぜひぜひ行政官の皆さま方も同じ思いでこの問題に取り組んでいただきたい」。

    全清連・三井会長あいさつ。「コロナ禍でも1日も休めない収集業務」

    次いで全清連を代表して三井会長があいさつ。「コロナ禍にあるなかで、人が集まって懇談会を開催するということ自体、私自身、躊躇しましたし悩みました。いろいろな方と相談をしましたけれども、大事な案件がたくさん出てきてまいりまして、ぜひお会いして直接ご要望を申し上げ、議論させていただきたいという思いで本日の開催に至ったということをお許し願いたいと思いますし、ご理解いただきたいと思います。
    まず報告ですが、今年の九州を襲っています豪雨災害において、地元熊本の熊清連のメンバーが7月12日から芦北町、球磨村で支援活動を続けております。だいぶ落ち着いたようでありますが、まだ支援活動を行っておりますこと、ご報告申し上げたいと思います。
    今回、コロナという初めての経験でした。2月の後半から3月の頭にかけて感染者が増加しそれまでとは状況が一変しました。現場においては新型インフルエンザのガイドラインをもとに、またその後のいろんな通知に基づいて、現場の社員と向き合い、どうやって感染しないで済むのか。あるいは濃厚接触者をいかに減らすのか。業務を滞りなくストップすることがないようにするにはどうしたらいいのかということに、3月、4月は、マスクの手配、消毒液の問題等々も含めて、それ一色というか、と言っても過言ではないぐらい対応してきたつもりです。全清連会員の皆さんも同じく現場において、1日たりとも休んではいかんと、社員もそういう意識を持って、そんな不安と向き合いながら、どうしていくべきかということを毎日毎日考える日々でありました。
    これからも私たちのやるべき仕事というのは変わりのない仕事だと思います。そういったなかで今日、どうあるべきかということをご要望させていただいて、議論していただければと思います」。
    引き続き全清連山田専務理事より要望事項が説明された。

    ワクチン接種優先対象を要望

    「COVID-19に有効なワクチンの接種について」は、全清連は7月27日付けで小泉環境大臣に要望書を提出している。COVID-19が付着した可能性のある一般廃棄物を毎日収集する業務の性質上、従事者は常に高いリスクにさらされ不安の中で業務を続けているのが実情で、ソーシャルワーカーとして地域社会のインフラを支える事業従事者についても接種優先対象にしていただきたいという内容だ。これについては先に環境省から回答があったが、新しい内閣も発足したことから改めて要望した。
    ワクチンについては内閣官房コロナ対策推進室の吉田室長が述べた。吉田室長は率直にいうと、コロナに効くワクチンはまだまだ確立しておらず、今の開発が十分進んで、安全性、有効性が確立されるであろうことを念頭に置きながら、令和3年前半までに全国民に提供できる数量を確保する。そして住民の方々にまずきちんと、ハイリスクの方からやらせていただくとの考えが政府の基本方針であると前振りしつつ、その上で接種優先順位については、「現時点で整理できているものとして、(コロナ感染症患者に直接医療を提供する)医療従事者方、救急隊員の方、高齢者及び基礎疾患を有する方、つまり、罹ったときに非常にリスクが高くなる方に優先してワクチンは打とうということを基本とさせていただいている」とした。また、高齢者などその範囲については今後検討していくという。
    環境省からは「皆さんの業界を特定業種に、特定接種の対象業種に加えていただくように、厚生労働省、それから吉田審議官・室長のところにお願いをしていきたいと思います」とのコメントがあった

    中小企業が地域の担い手となるプラスチック資源循環施策を

    要望の2点目である「今後のプラスチック資源循環の方向性」に関しては、9月1日の産構審・中環審の合同会合において「今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性」が取りまとめられた。これについて要望書では、「環境整備の具体化にあたっては、地域の中小企業の置かれている状況・実態を十分に把握、理解した上で、これらの中小企業がプラスチック資源循環の地域の担い手として事業の継続・拡大を図るための安定的な事業環境を適切に整備するよう強く要望する」と求めた。
    環境省は、「中小企業にとっての投資判断は大変厳しいということはよくわかっています。事業の継続とかリサイクル事業の拡大、こういったところに投資していくのは容易ではないと肝に銘じたいと思います」とし、その上で「予算を含めてどんなサポート方策、あるいは環境整備ができるのか、きちんと手を打ってまいりたい」と述べ、今後は容リプラに加え製品プラ、産廃プラも加えてプラスチックリサイクルの対象量を増やしていくという大きな方針が政府内で固まっていると語る。
    続けて「マテリアルリサイクル、それからケミカルリサイクル、それぞれ適材適所で役割があると思います。プラスチック製品へリサイクルするということが大事で、その部分を支えていただいている皆さんが、今後も前向きに事業に取り組めるよう私ども、しっかり手を打って行きたいと思っています」「また、リサイクル費用を負担する容器包装のメーカー、中身のメーカーとか、この人たちがコスト負担を名目にリサイクル拡大が停滞しないように、プラスチックはリサイクルを目指すんだと、素材も例えばバイオマスのものに変えるとか、再生プラからプラ製品をつくるとか、こういったことをやるために製品素材の設計もしっかり考えていこうという、大きな流れがしっかり進むよう経産省と環境省の合同審議会でいろいろ手段を練っているところです」と答えた。
    全清連理事からは、材料リサイクル事業者がどんどん追い込まれている現状についての発言があった。ピーク時には70社以上いたリサイクラーは今や30数社に激減。理由としては材料リサイクルの落札単価が一貫して下落し続けていること。異物混入に伴っての発火事故による施設のダメージで廃業に追い込まれたケースが見られること。中国の廃プラ輸入規制による残さ処理費の高騰などがあげられる。こうしたことから「リサイクラーだけに偏った負担にならないように公平な費用負担を考えてもらいたい」ことや、「リサイクルしやすい製品設計」「市町村への財政支援」などいくつかの注文を出した。
    環境省からは「公平な費用負担は非常に大事なこと」とし、「リサイクル全体がサステイナブルに続く必要がある」との認識を示した。
    経産省は異物混入の件について、製品プラの一括回収を進めていくと異物混入の可能性が膨らんでくると思われる。では、どういうプラなら一括回収できるのか。どういう形で異物を除去してリサイクラーに渡せるのか、そういった細かな制度、ルールも今後検討していくとした。

    将来の一般廃棄物処理のあり方についての懸念

    要望の3点目、「将来の一般廃棄物処理のあり方について」は、9月8日開催の中環審循環社会部会に環境省は「地域循環共生圏を踏まえた将来のあり方」のレポートを提出した。この中で「地域に新たな価値を生み出す廃棄物処理」などといった文言は見えるものの、現在の固形一般廃棄物処理事業者の将来についての直接的な問題提起は見当たらない。さらに加えて、環境省トップのOBが、今年1月の業界誌の巻頭言で「廃棄物処理法は規制色が強い法律であることから、結果的に循環型社会の形成には足を引っ張っているということもかねてから指摘されてきた」という、廃棄物処理法の根幹にかかわる意見を寄稿している。この意見にあるように、環境省の方々は廃棄物処理法の第1条(目的)、第2条(定義・区分)を変えてしまおうと考えているのではないかとの見方も浮上する。環境省の見解を聞きたいというもの。
    これに対して環境省は、中央環境審議会の検討の中では、廃棄物処理法の目的、廃棄物の定義、廃棄物の区分、こういったことを見直すことは全く考えていないと述べ、検討の目的については、「新型コロナウイルス感染症の拡大、それから、今後の社会の変化を見据えて、一般廃棄物処理における市町村の統括処理責任、統括的処理責任を踏まえて、地域循環共生圏とか、SDGsの考え方に沿って、今後の一般廃棄物処理のあり方、将来像をどう設定すべきかということを検討するというものです」と答え、今後検討を深めるにあたっては、プレーヤーである一般廃棄物処理業の皆さんにどう活躍していただくのかということも併せて考えていきたい。その際には全清連の皆さんとよく意見交換をさせていただきたいとした。また、環境省OBの発言に関しては、「私どもと考え方が異なっておりますので、この場で明確にさせて頂きたい」と語った。

    家庭ごみ触らず収集は分別品質が低下する

    最後の議案である「家庭ごみ触らず収集」に移った。これは読売新聞が9月27日付けのトップ記事として報じたものがベースになっている。新聞記事ではコロナウイルス感染症の流行、ごみ収集作業員の高齢化が進み、人手も不足してくる。そのため、デジタル化によりごみに触らずに収集できるシステムを検討していると伝えている。この件については時間の都合で環境省が簡単な説明を行い、全清連の理事が少し意見を言うにとどめ後日、環境省と全清連の間で意見交換を行うこととなった。
    全清連の理事からは次のような意見が聞かれた。
    ――集積所へ大型のごみ箱を設置して、収集車から伸びるアームで積込みをするという案ですが、欧米でよくみられる方式です。ただ、日本と他国では、ごみ収集に関する品質に圧倒的な差があると思う。排出する国民の分別意識、収集する作業者の分別、安全、地域共生の意識を踏まえたサービスの品質について日本が圧倒的に上だと考えます。新しい生活様式として、それらを後退させて非接触を是とするのであれば、アーム方式もありだと思いますが。
    箱に排出して収集するとなれば、間違いなく排出者の分別品質は著しく落ちる。集積所で互いに見られる、作業者に見られて指摘される、このような意識もあって分別品質は担保されているのです。各種リサイクル法を担保してきた最大の要点は分別ですよ。分別品質の低下はリサイクル率の低下につながります。ごみ収集の自動化は分別が担保できるのか、その他品質や全体の面で失うものがあるのではないか、という疑問があります。誰にも触れることなく収集することで、分別レベルの低下、それに伴う火災や爆発のリスク等、感染予防策よりも大きな懸念があると感じます。
    ごみ収集の作業員負担、排出者の高齢化の問題、同時に感染症リスクの課題は理解できます。しかし失礼ながらあまりにも稚拙で、まるでゴールありきの物事の進め方をしているように思えます。日本の道路事情や生活様式にはマッチしないんじゃないですか。よほど限定的な場所でしか運用できないか、あるいはまちづくり全体を根本的かつトータルに見直すレベルでないと成立する気がしない。
    新型コロナが課題として浮き彫りとなって半年以上が経過しましたが、ごみ収集員が収集作業で感染したという事例を聞きません。あったとしてもごくわずかでしょう。ごみに関する感染リスクの度合い、日本国民の分別排出意識と収集員の作業品質の高さを表していると思います。
    生活ごみの処理はその国の文化や習慣、民度が表れます。世界で清潔な国のナンバーワンは日本だといっても過言ではありません。それは今までの方法や意識や習慣でやってきた結果です。これを今から地域循環共生という目的もつなげてさせて昇華させていっている状況です。この結果を生んできた方法を根本から覆すような検討をしようとしている気がしてならない――

    こうした意見に対して環境省は、「重く受け止めたい」とした。

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  • 令和2年度の総会の報告

    全清連・第11回定時社員総会 書面決議にて開催

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連)は、6月16日第11回定時社員総会を開催した。例年の総会はオブザーバーを含め300名近い出席者を得て行われるが、今回は新型コロナウイルス感染拡大防止対策により「書面決議」の形での総会になった。

    三井会長ご挨拶

    本来なら、全国からお集まりいただいた一般社団法人全国清掃事業連合会の社員の皆様とお互いに顔を合わせて、定時社員総会の開会ご挨拶を申し上げるべきところですが、ご存じの通り、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防ぐため、全清連の結成以来22年で初めての書面による総会となりました。 緊急事態宣言は5月に解除となりましたが、感染拡大の第二波が襲来する不安も消えていない状況下で、私たちの清掃事業が、国民の安定的な生活の確保のために、政府および環境省からも事業継続を強く求められている以上、感染リスクは少しでも減らさなければなりませんから、会員が全国から集まることは中止することと致しました。 非常事態宣言の発令中から今この時も、全国において、ウイルス感染の不安と戦いながら業務を継続し、地域の環境の保全と公衆衛生の向上を担っていらっしゃる会員・従業員の皆様の使命感、責任感、そして勇気には、最大限の敬意を表しますとともに、感謝を申し上げたいと思います。 全清連としましても環境省や厚生労働省等からの情報を会員に逐次提供し、感染防止対策を呼び掛けて参りましたが、幸いなことに、全清連会員からは現時点までに感染者の発生で事業継続が困難になったという報告は受けていません。 全清連会員の皆様のこれまでの新型コロナへの対策は、「COVID-19感染防止対策の取組み」として、いくつかの事例を取りまとめましたが、これは会員(経営者)の皆様一人一人が、危機感を持ち、従業員とその家族の健康と生活を守り抜き、一日たりとも清掃事業を停止させてはならないという強い責任感を持っていることの表れであり、このことにおいても、最大限の敬意を表したいと思います。

    令和元年度の全清連事業を振り返りますと、昨年の最大の事業は台風19号で大きな被害を受けた長野県での支援活動でした。 10月12日に中部地方に上陸した台風19号は、関東甲信越地方で90名以上の尊い人命を奪い、全壊・半壊家屋9千戸以上、床上浸水3万3千戸という甚大な被害を与えました。 全清連は10月15日、災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste-Net)の初期対応メンバーとして環境省からの支援要請を受け、長野市と千曲市での支援活動を行うことを決定しました。 今回の支援活動は、長野県での初めての活動であり、千曲川という大きな川の氾濫による水害は、これまで経験した被災地とは状況が違いましたが、支援活動メンバーは東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨災害と、災害廃棄物との戦いを続けてきた知識と経験を活かし、市内に山積みだった仮置場を効率的に片づけていきました。 13日間の全清連の支援活動は、内閣府、環境省、国交省、自衛隊、長野県、長野市等関係組織の合同会議でも、その対応能力を高く評価していただき、復旧への第一歩として大きな力になった、と作業の最終日には長野市長からの感謝状もいただきました。 支援活動に参加していただいたメンバーの皆様と、そのメンバーを送り出し、バックアップしていただいた会員の皆様に改めてお礼を申し上げます。

    令和元年度の事業計画の一つとして、新たに「SDGs・地域循環共生圏推進」への取組みを掲げました。 その理由は、平成30年4月に閣議決定された第五次環境基本計画でも、SDGsの重要性と「持続可能な地域づくり」のための地域循環共生圏の創造が言及されたこともありますが、我々の日々の業務そのものが、「SDGs」の取組みの一つであることの認識を得たと同時に、そのことだけで「持続可能な地域社会であるのか」「持続可能な会社であるのか」「持続可能な従業員及びその家族であるのか」が問われていることに気づかされたからです。 令和元年度には、外部講師を招いて3回の「SDGs・地域循環共生圏推進」への取組みについての勉強会を行いました。 その中でより深く「SDGs・地域循環共生圏」と、我々に出来ることは何かということがわかってきたように思います。 具体的に言いますと、「アウトサイド・イン」、つまり行政や取引先(イン)のニーズだけでなく、もう少し手を伸ばして、その外側(アウトサイド)にある「社会のニーズ」に応えられるように仕事の幅を広げようというものです。 省エネやCO2削減、海洋プラスチック問題や地域の美化等の環境問題、高齢者の手助け、障がい者の社会参加等の社会課題の解決を起点として、それをピックアップし、行動に移すことを意味します。 その時には、行政や地域住民、他の業界とパートナーシップをもって、進めて行くという視点が重要であると思います。 全清連では会員に対し、行政とも連携して、SDGsに取組む計画の作成を呼び掛けました。 そして10月の全国研修大会では、優れた取り組みを行っている会員に、事例発表をしていただきました。

        令和元年度は、私が全清連会長に就任して最初の年度でもありましたが、それでも一定の事業を達成できたのは、会員の皆様一人一人の奮闘に加え、石破会長をはじめ地域廃棄物適正処理推進議員連盟の先生方のご指導ご支援、そして環境省をはじめとする関係省庁のご理解ご協力の賜物であると考えております。心より感謝申し上げたいと存じます。 令和2年度においては、新型コロナウイルスに対する「新しい生活様式」にうまく向き合いながら、感染予防対策を継続していくとともに、「SDGs・地域循環共生圏推進」への取り組みの中から、具体化されたものをできることから実行に移し、災害時等も事業を継続するBCP(事業継続計画)を整え、国民の生活基盤を守る使命を果たしていきたいと考えます。 これは、6.19通知、10.8重要事項通知、平成26年1月28日最高裁判決や過去の判例等の中で問われている、業務の確実な履行、業務品質の向上という原点に立ち返った時に、我々がやるべきことを確実に行うということでもあり、我々が「社会に本当に必要な存在である」と、認めていただくことにもつながっているといっても過言ではないからです。

    以上のことを実現するには、業務の確実な履行、業務品質の向上を前提として、委託においては、適正な業務の発注や、予備人員・予備車両等も考慮した適正な委託費について、行政に理解をお願いし、許可においては、適正料金等を顧客に理解していただく商談を常に行うことが重要であると思います。 また、あって欲しくはありませんが、災害が発生した場合には、被災地に出向き、「新しい生活様式」と向き合いながら支援活動に当たりたいと思います。 結びに、たとえ時代が変わっても、「小さなことをおろそかにせず、コツコツ積み上げれば誠になる」という精神で、皆様の強い意志と協力の下、突き進んでまいりたいと思います。 この決意をもって、書面総会の挨拶とさせていただきます。 今年度もどうかよろしくお願いいたします。

    令和2年6月16日

    一般社団法人全国清掃事業連合会

    会 長 三 井 弘 樹

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  • 令和2年5月22日 働き方改革に沿った形で労基法規定の是正など要望

    議員連盟と要望懇談会開催

    「廃棄物処理法に係る制度見直しについて」

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井弘樹会長)は5月22日、衆議院第二議員会館において地域廃棄物適正処理推進議員連盟(会長・石破茂衆議院議員)と要望懇談会を開催した。議連からは石破茂会長、野田聖子副会長、竹本直一副会長、斉藤鉄夫幹事長、寺田稔事務局長をはじめ多数の先生方のほか、環境省、厚生労働省からも幹部が出席。全清連から提出された4つの要望事項について意見交換を行った。なかでも年少者のごみ収集作業を不可とする昭和22年に制定された労働基準法(労基法)の規定は、働き方改革を推進する上で問題があるとして是正を求めた。これについて厚労省の石垣健彦監督課長は「環境省、全清連の皆様から実情やご意見をうかがいながら、どういう見直しをするのが適切なのか検討したい」と見直しに前向きな意向を示した。

    議連・石破会長あいさつ。「立法府の一員として何をすべきかを認識」

    懇談会は寺田稔事務局長の司会で進められた。冒頭、議連を代表して石破茂会長が次のように3つのポイントを織り交ぜながらあいさつを述べた。「廃棄物といっても、一般廃棄物、産業廃棄物、事業系一般廃棄物と、見た目は一緒だが適用する条文が違っていて、そのことを明確にしていかないと仕事がスムーズに進まない、というのが第一点。もう一点は新しい法律がどういう形になっていくのか、それについてどのような考え方をしているのか、ということをよく確認しておきたいということ。そしてもう一点は、18歳未満の方々、年少の方々が、明治33年にできた法律に基づいて大切な仕事を働けない。いわゆる3Kというか何というか、そういうのはきちんと是正しておかないと今後のためにならないと考えております。こういうことについて本日は議論し、それぞれの考え方を統一したいと思っております。我々立法府の一員として何をしていかなければならないかを認識し、今後の糧にしたいと思っております」。
    次いで全清連・三井弘樹会長よりあいさつ。「本日は令和になってはじめての議連懇談会になりました。大変お忙しいなか、40名の先生方にご出席いただくことになっておりますこと、まずもって御礼申し上げます。また、環境省、さらに今回は厚生労働省の方にもご出席いただいております。後ほど昨今の懸案事項につきまして、当連合会よりご要望説明をさせて頂きますので、活発なご意見、ご指導をいただければと思います」。
    引き続き、全清連・山田専務理事、国岡稔副会長より要望事項が説明された。

    時代錯誤の「年少者労働基準規則」。厚労省も見直しに前向きな意向

    要望事項としては次の4点を提出した。
    ①全国産業資源循環連合会が求める現行の廃棄物の区分の変更に関する事項。
    ②全国産業資源循環連合会が求める「産業廃棄物処理産業に関する法律案(仮称)大綱」に関する事項。
    ③働き方改革の推進ならびに人材確保難克服の障害となることが危惧される労働基準法第6章第62条の規定及び第62条の業務の範囲を定める「年少者労働基準規則第42号の規定ならびに解釈見解に関する事項。
    ④プラスチック容器包装リサイクル入札制度の改善について。
    司会の寺田稔事務局長が「①~③を一括して審議したい。環境省ならびに厚労省の見解をお伺いしたい」と促した。
    環境省大臣官房の松澤裕審議官は、①について「廃棄物処理法の理念を踏まえて処理責任は誰にあるかということで区分されている。これは変らない。排出者の処理責任と市町村の統括的処理責任という、区分に応じて処理責任の主体を明確にしている。全体として廃棄物の適正処理がされることが重要で、この考えに変わりはない」と述べた。また②については、「特定の業界だけでなく、業界全体がどのように成長していくかという点が大事と思っている」と環境省の考え方を披露。③に関しては「厚労省と協力して、環境省としても尽力していきたい」とした。
    とくに③の「年少者労働基準規則」については、山田専務が労基法の説明の中で「年少者の就業制限(18歳未満の者を就かせてはいけない業務)の第42番目にある「焼却、清掃、又はと殺の業務」についての旧労働省の見解は、「焼却の業務」とは、塵芥焼却、死体火葬等の業務をいい、「清掃の業務」とは、ふん尿くみ取り、塵芥収集などいわゆる汚物処理の業務に限られるものである」としている。地域の生活環境保全、公衆衛生の向上を目的とする公共サービスのごみ収集作業が、いまだに危険有害業務、福祉上有害な業務とされている。このような業務があるとしたら、そこで働きたいと思う人はいない。働き方改革以前に、私どもの仕事が社会的差別を受けてしまっているといっても過言ではない」と、時代錯誤の規定がいまだに生きていている現実を指摘した。実は、全清連がこの要望を提出したのは、某市が処理業者に対して、この年少者労働基準規則を持ち出し、18歳以下の年少者はアルバイトでも使ったらダメだと言いはじめたことによる。
    これについて厚労省の石垣健彦監督課長は「昭和22年の通達で解釈を示していますが、昭和63年のときに全体の関係通達を見直した時にもこのような形で残ってしまった。これまでご要望をいただいてこなかったということもありまして、不勉強で恐縮ですが(一般廃棄物処理は)これまでの歴史の中で業務上の安全性や位置づけがかなり変わってきていると考えています。環境省、全清連の皆様から実情をお伺いして、その中でどういう見直しをするのが適切なのか、ご意見を伺いながら検討していきたい」と見直しに前向きな意向を示した。
    これを受けて寺田稔事務局長が「早急に実務者会議をスタートさせていただきたい」と環境省、厚労省に注文を出すとともに、議連としても諸課題について引き続き関心を持って対応していくとした。

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  • 全清連、令和元年台風19号による被災地支援に出動

    =長野市・千曲市で延べ13日間、458人、317台展開=

    令和元年10月12日に猛烈な勢力を維持したまま伊豆半島に上陸した台風19号は、関東や甲信、東北地区に記録的な大雨をもたらし、各地で堤防決壊、河川の氾濫を引き起こすなど甚大な被害をもたらした。(一社)全国清掃事業連合会(全清連・三井弘樹会長)は環境省の要請に基づき、災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.waste-Net)の初動対応メンバーとして、とくに被害が大きかった地域のひとつである長野市、千曲市の災害廃棄物処理支援活動に出動した。支援は第1陣が10月26日~11月1日、第2陣は11月2日~7日までそれぞれ現地に入り、13日間にわたり人員延べ458人、車両231台、重機86台という規模で作業を展開。市内に積み上げられた災害廃棄物5479立方メートルを、市が指定する仮置き場まで運搬した。

    台風19号の被害を「激甚災害」に指定

    令和元年9月および10月に、日本には観測史上最強クラスの2つの台風が襲来した。「台風15号」と「台風19号」だ。9月9日に三浦半島を通過した「台風15号」は、東京湾を抜けて千葉市付近に上陸し茨城県水戸市付近で海上に出るという進路をとったが、直撃を受けた千葉県では強風、大雨により停電が2週間も続き断水も長期化した。強風で市原市のゴルフ練習場の鉄柱が住宅に倒れ込み、また鋸南町や南房総市などでは数多くの家の屋根瓦が吹き飛ばされ破損した。応急措置としてブルーシートをかけた家々の生々しい映像が幾度もテレビで流されていたが、こうした様相からしてもいかに凄まじい勢力だったかがわかる。
    ところがそれから1カ月後の10月12日。猛烈な勢力の「台風19号」が追い打ちをかける。勢力が衰えないまま伊豆半島に上陸した台風19号は、関東地方と福島県を横断し翌13日には三陸沖に達したが、これまでの観測史上で1位を更新する豪雨により東日本を中心に堤防決壊や河川の氾濫が相次ぎ、広範囲で甚大な被害をもたらした。100名近い尊い命が奪われ、住宅被害は全壊2400棟、半壊1万6000棟、床上浸水2万棟、床下浸水3万棟という爪痕を残した。
    政府は10月13日、「非常災害対策本部」を設置して対応、同日は河野防衛大臣より自衛隊行動命令が発出され、全国の自衛隊員3万1000人規模で被災地の支援・救援活動を開始した。また、被害の甚大さに鑑みて政府は同29日に台風としては初めての「激甚災害」に指定することを決定した。環境省も災害対応に追われた。災害廃棄物対策室は各地方環境事務所へ被害情報の収集を指示するとともに各地に職員を派遣して現地確認を実施。関東ブロックの自治体に対しても広域処理受入れ施設の事前調査を依頼するとともに応援人員の派遣を要請した。甚大な被害により大量の災害廃棄物が発生していることから環境省は、同15日にD.waste-Netの初動対応メンバーに災害廃棄物処理の協力要請を発出した。

    今までの経験値が通用しない状況も

    全清連は環境省の要請を受け、さらに長野市の千曲川氾濫地域の災害廃棄物処理支援が必要とのことから10月19日、三井会長、大前副会長(大阪)ら6名で千曲川の堤防決壊で被害が大きかった穂保(ほやす)地区を中心に現地調査に入った。が、その光景に一同は愕然とする。その様子を三井会長は10月23日に開催された全清連全国研修大会のあいさつの中で次のように語っている。「今まで東日本大震災、熊本地震、広島の土砂災害、西日本豪雨災害など支援活動をしてまいりました。そのときの経験値があると思っていたのですが、千曲川の穂保地区。リンゴ畑がありリンゴ農家があるところですが、それを見たときは愕然というか、手のつけようのないというか……。そんな思いで帰ってまいりました」と。
    「それを見たとき」の「それ」とは、穂保地区の中で住民の排出場所として要所となった「赤沼公園」に、うず高く積まれた膨大な量の浸水災害ごみを指すのだろう。

    「勝手仮置き場」と言うけれど

    「赤沼公園」周辺の被害を受けた1軒のお宅におじゃました。1階部分の内部は家財道具も何もない。間仕切りの壁も外周壁もほとんどない。すっぽり抜けてしまった感じで、人間の身体に喩えると「骨」だけしか残っていないような状態だ。決壊した土砂混じりの大水が一気に流れ込み、家財道具すべてを飲み込んだのだ。水をたっぷり含んだ間仕切りの石膏ボードの壁はグズグズになって半分以上剥がれ落ちてしまったようにも見える。外から差し込む光がまぶしい。ボランティアのメンバーが床板を剥がしていた。77歳だというこの家のご主人が「この辺まで(水が)来ましたよ」と指先を残った壁の上部に伸ばして指し示す。2mは優に超えている。「今はここから車で15分ぐらい行ったアパートに住んでいます。家の修復ですか? う~ん、1年ぐらいはかかるんじゃないだろうか。これから冬を迎えるし……」。言葉が沈みがちだ。穂保の堤防決壊現場では、南北約5㎞にわたって浸水。深さは最大で4.3mという推定値も出されており、こうした家々がその惨状を物語っている。
    面積2ヘクタールの「赤沼公園」は、市が指定する「仮置き場」ではない。が、そこを市民やボランティアが排出場所としたのは、指定仮置き場がかなり遠くにあることと、一刻も早く災害ごみを排出して日常生活に戻りたいという気持ちからだ。市は仮置き場を3カ所設置しているが、いずれも被害が大きい地域から車で片道1時間近くかかり、道路が混雑するとそれ以上の時間を食う。そもそも車を震災で失った市民が多く、指定仮置き場へ搬入するのは物理的に困難。そのため近くの「公園」や、ちょっとした「空き地」などに片付けごみを排出せざるを得ないという状況が生まれる。
    誰かがひとつの場所にごみを排出する。するとそこに次々とごみが出される。「ごみがごみを呼ぶ」。排出されているごみは、可燃・不燃、粗大、布団やマットレス、畳、家電類、椅子や木質ボード類、土砂・がれき類、中には灯油やガソリン、農薬、ガスボンベといった危険物も見られるといった混合廃棄物状態で、泥水をかぶったピアノまで出されていたのには正直驚いた。こうした排出場所が無数にあり、これを現地では「仮置き場」ならぬ住民が勝手に出しているからとシニカルっぽく「勝手仮置き場」と言っていたが、状況が状況だけにこの行為を誰が責められようか。

    災害ごみが積み上がるなかで

    遠くにある市が指定する「仮置き場」への持込みはそれほどなく、点在する「勝手仮置き場」に排出するごみの量が日増しに積み上がっていく。「赤沼公園」にはボランティアや地元住民の軽トラックがひっきりなしに災害ごみを運んでくる。ボランティアの軽トラの数は「穂保地区だけでも100台以上はある」との話もあり、昼近くになると災害ごみを積んだ軽トラが数珠つなぎになる。支援に入った自衛隊も公園内に堆積する災害ごみの運搬を行おうとするが、軽トラが切れ目なく入ってくるため作業は夜間に限定されるという状況のなか、全清連支援部隊の第1陣が到着する。
    全清連支援部隊の第1陣は、10月26日から11月1日までの1週間の支援作業日程だが、前日に環境省担当者や長野市の担当者、自衛隊、ボランティアといった関係者らと打ち合わせを行っており、意見交換や情報収集などにつとめた。――あちこちにある「勝手仮置き場」には災害ごみが積み上がっており、道路が狭いこともあって交通の妨げになっている。赤沼公園に廃家電が増えて災害ごみ搬出の障害になっている等々――の意見が出された。そのため全清連支援部隊としてはメインの「赤沼公園」を含めて、点在する「勝手仮置き場」の災害ごみを、廃家電を含めて市指定の「仮置き場」である「長野市営更北体育館」と「飯綱公園東グラウンド」の2カ所に運搬することとした。
    初日の26日は午後1時より長野市「再生資源センター」で出発式を行った。環境省から応援に駆けつけた庄司真憲課長および長野市の宮尾正彦環境部長から感謝の言葉が述べられ、この後、全清連三井弘樹会長がくれぐれも気を付けて怪我をしないようになど注意事項を含めて檄を飛ばし、支援隊員たちの支援活動がスタートした。

    全清連の支援活動は復旧に向けての第一歩

    赤沼公園の作業では、当初隊員たちは積み上がっている膨大な災害ごみの量を前に言葉を失い、また水分を含みカビが発生しかかっていた畳などに戸惑いもみられた。しかも赤沼公園は道幅が狭い住宅街のエリアであるため、住民やボランティアの搬入車両で渋滞が生じて作業が思うに任せない。災害ごみが山積みになった公園の中は、住民・ボランティア・自衛隊・全清連支援部隊が混在し、動きに窮屈さを覚える。
    しかし、赤沼公園以外の「勝手仮置き場」ではこんな光景も。作業の合間、隊員に住民から声がかけられた。「ごみの片付けに来てくれたのですか?」。「ええ……。それほどできませんけれど」というと、「本当にありがたい。(片付けに来てくれたのは)あなた方が最初ですよ」と目を潤ませながら感謝の言葉を口にする。日々増えていく災害ごみの量に対する不安、誰も収集に来てくれないことへの心細さなどから一挙に解放されたのだろう。被災地における災害ごみの片づけは、被災者の不安やストレスを取り除くことでもあり、そのことは被災者にとって日常生活に戻ることへの第一歩との感覚を持つのではないか。全清連支援活動は、復旧に向けての初動部分、切り口の部分を担っている。
    第1陣は「赤沼公園」への搬入渋滞解消策として、公園搬入ルート上にある「長沼北部りんご共撰所」に着目。ここを整理して赤沼公園から2トン~4トンダンプに積んだ災害ごみを長沼北部りんご共撰所で展開し、10トンダンプに積み替えて市の指定仮置き場に搬入すれば効率が上がるのではと考えた。実践に移すと具合がいい。活動実績が一挙に伸びた。

    LINEによる情報共有、重機とダンプをメインに

    第1陣の活動を引き継ぐ形で11月2日からは第2陣の支援活動部隊が入った。同7日までの予定だ。メンバー全員が重要連絡事項や各現場の作業進捗状況などの把握ができ、指定仮置き場や各排出現場などの位置を確認できるようスマートフォンの無料通信アプリで「グループLINE」を組み、「グーグルマップ」に地点登録して情報の共有化を図った。
    第1陣の支援活動から1週間が経過する。「赤沼公園」には依然として住民やボランティアの軽トラによる災害ごみ搬入が続いているが、変化も見られる。全清連の支援部隊の活動や自衛隊の夜間搬出作業により、当初よりもごみ量がやや減ってきているようだ。軽トラで持ち込まれる災害ごみは自衛隊が手伝って、ごみの種類ごとの場所に下ろしている光景が目に入る。ここでの第2陣の活動は、行政からの要請もあって家電と畳を中心に市の指定仮置き場に運搬すること。重機とダンプによる積込みがメインになる。車1台が通るのがやっとという狭路のため、災害ごみ搬入車に道路を優先的に使ってもらい、全清連のメンバーはここで待機して積込んで搬出という流れになる。

    住民からの感謝や実績を高く評価する声

    東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨、そして今回の台風19号による千曲川堤防決壊による浸水災害と、全清連はそれぞれ支援活動を展開してきた。しかし、前回の経験があるからと思って来てみると毎回状況が違う。災害ごみの種類も違う。たとえば東日本大震災はそれこそ様々な物が、熊本地震はブロック塀や瓦、ガラス類が比較的多かった。これらをパッカー車に手積みして仮置き場まで運搬するというのがこれまでの形だった。ごみの種類は違っても、ある地域を任されて戸別収集するというパターンが多かったわけだが、今回の場合は戸別収集がほとんどなくパッカー車の出番は少なかった。手積みはかなりきつく、重機とダンプによる積込み・運搬が主流になった。状況が違ってくると作業も違ってくる。
    また今回のように現場の道路が狭路で入り組んでいるというのも今までになかったし、行政が指定する仮置き場が現場から車で片道1時間近くかかるという遠方にあることもかつて経験したことがなかった。土地勘のない場所で、しかも作業環境も決して良いとはいえない中での支援活動だったが、住民からの感謝の言葉や、自衛隊や関係部署などからはその実績に舌を巻き高く評価する声が聞かれた。被災地の復旧に向けての第一歩となる活動となった。

    支援部隊第1陣に参加したのは、愛知県、三重県、岐阜県、京都府、新潟県、静岡県、広島県、鳥取県の1府7県の組合。
    活動期間10月26日~11月1日。延べ車両ダンプなど133台。ユンボなど重機41台。人員250名を投入。2462立方メートルの災害ごみを指定仮置き場に搬入。搬入回数361回。

    第2陣に参加したのは、大阪府、高松市、山口県、鳥取県、広島県の1府1市3県。
    活動期間11月2日~11月7日。延べ車両ダンプなど98台。ユンボなど重機45台。人員208名を投入。3017立方メートルの災害ごみを指定仮置き場に搬入。搬入回数305回。

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