活動報告
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活動報告

  • 令和元年度の全国研修大会実施報告

    令和元年度『全国研修大会』開催 
    地域が持続可能であるために
    私たちができること、成すべきこと・SDGs

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井弘樹会長)は10月23日、東京千代田区の砂防会館において令和元年度「全国研修大会」を開催した。全清連会員600名の参加をみて開催された今研修大会のメインテーマは『地域が持続可能であるために――私たちができること、成すべきこと・SDGs』。人口の減少ならびに少子高齢化が急速に進む日本。こうした状況にあっていま最も問われているのは、持続可能な地域づくりということだ。このことは国の第五次環境基本計画の重要な柱である「地域循環共生圏」に通底しており、さらに地域循環共生圏という概念は、2015年に国際社会193カ国が決定したSDGs(持続可能な開発目標)を受けてのものといえる。地域の持続が不能に陥ってしまうと、そこに位置する企業や社員や家族も将来的な持続性を維持できない。一般廃棄物処理事業に従事する全清連会員企業は、これまで遂行してきた地域の生活環境保全と公衆衛生向上業務が、SDGsに重ね合うことを確認するだけでなく、持続可能な地域にするためにはどうしたらよいか課題を洗い出し、行政や地域住民、他業界事業者と連携して考え、何らかの役割を担っていく必要がある。研修会ではSDGs・地域循環共生圏づくりに取り組む全清連会員企業5社の事例発表も行われ、持続可能な地域づくりを深く考える場となった。

    全国研修会は、台風19号で犠牲になられた方々に全員で黙とうを捧げたあと開会となった。
    第1部では全清連を代表して三井弘樹会長のあいさつ、来賓の地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長をはじめ出席した先生方、さらに環境省、経済産業省、農林水産省から幹部らのあいさつと続いた。
    第2部は全清連会員企業5社によるSDGs・地域循環共生圏づくり取り組み事例発表。
    続く第3部では全清連の山田久専務理事が「地域が持続可能であるために、私たちができること、成すべきこと・SDGs」と題して問題提起した。
    このあと大会決議および大会スローガンの採択へと進んだ。

    三井会長あいさつ

    持続可能な地域・会社・社員・家族……であるために

    三井会長はあいさつの中で、台風19号による災害支援活動と研修大会の意義の2つについて述べた。まず、「改めてこのたびの台風19号による犠牲者の方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災にあわれた方々にお見舞い申し上げます」と述べたあと、災害支援活動については10月15日に環境省から全清連に対して正式に災害支援要請が出されたことを報告した。「全清連として組織的にどうすべきかを検討してまいりました。環境省さんとも相談させていただきながら地域の状況、被災の状況等々を総合的に判断いたしまして、長野県長野市、千曲川のあたりですが、そこへ支援活動に入るということを正式に機関決定いたしました。皆様現地に入られると思いますが、この場で皆様にお願いしたいということで、いまお話させていただきますことをご理解いただきたい」と要望した。現地支援活動は第1陣が10月26日に、第2陣は11月2日にそれぞれ入ると予定を説明。
    10月19日に現地との打ち合わせを兼ねて、三井会長を含め全清連幹部6名で現場を見て回った。「今まで東日本大震災、熊本地震、広島の土砂災害、西日本豪雨災害など、支援活動をしてまいりました。そのときの経験値があると思っていたのですが、その時の状況とは似ている部分と、まったく異なる部分があります。千曲川の穂保地区。リンゴ畑がありリンゴ農家があるところですが、それを見たときは愕然というか、手のつけようがないというか……。そんな思いで帰ってまいりました」と現場の惨状を説明した。「地元の住民の方は相当なフラストレーション、やり場のない気持ちで日々撤去作業をされております。そういうところへ行く我々は、そういうことを想定して行かなくてはなりません。非常に苛酷な作業です。精神的にこちらもフラストレーションが溜まる時もあります。しかしながらこれは、復旧・復興するための第一歩であると思っていただきたい。そこはぐっと我慢して作業にあたっていただきたいというのが私の切なる思いです」と被災地の人たちの気持ちを思いやるよう要請した。
    研修大会の説明に移った。「本日の研修会は、地域が持続可能であるために私たちができること、成すべきこと・SDGsというのがメインテーマになっています。これは地域が持続可能であるためには、持続可能な会社をつくるためには、持続可能な社員を育てるには、持続可能な家族を守るためには、ということであります。いままで我々がやってきたこともSDGsです。しかしながらまだ足りないことも沢山あります。それをひとつずつ積み上げて進化する。前に進む。これが全清連のSDGsです。決して難しいことをやってほしいということではありません。そういうつもりで今日の研修会を聴いてもらいたいと思います」。 最後に三井会長はお礼と報告として、全国清掃事業連合会の代表者として10月22日に執り行われた「天皇即位礼正殿の儀」に参列したことを述べた。「環境省より全清連が参列の対象者として推挙いただきまして、たまたま私がいま代表でありますので昨日、宮殿の豊明殿の間に参列してまいりました。たぶん、もう二度と入ることがないだろうと思いながら一歩一歩かみしめて歩いて帰ってきました。改めて令和を迎えて我々全清連は、日本国のために、地域のために何をすべきかを考えると心が震えて、身体が震えてたまりませんでした。このことは全清連が石破議連会長をはじめ、多くの議連の先生のご指導の下、あるいは環境省のご指導の下の賜物と思っております。改めてお礼申し上げます。先代から今日皆さんにお集まりいただいたご尽力の結果であります。このこともあわせて御礼申し上げます」と締めくくった。

    議員連盟・中央省のあいさつ

    地域廃棄物適正処理推進議員連盟を代表して会長の石破茂衆議院議員のあいさつ(要旨)=今日の全国研修会はSDGsのお話がメインかと思います。最近日本語に訳しにくくなってきておりますが、SDGsはSustainable Development Goals 。持続可能な開発目標ということなんだそうです。ということを今掲げなくてはいけないということは、この我々が住んでいる地球も、我々が暮らしている祖国日本も持続可能ではない。次の世代にはないかもしれないという危機感がなければこうした言葉は登場いたしません。
    日本人が今1年に45万人ずつ減っています。昨年1年間で北海道から沖縄まで、小中高等学校あわせると500校がなくなっております。日本人はいま1億2700万人いるんですが、昭和22年~24年の団塊の世代の方は今の3倍生まれていますから、やがて1年に100万人減る時代が来るわけです。するとあと80年経つと日本人は5200万人になるのです。計算すればそうなる。日本人が5000万人を超えたのは明治の終わりのこと。「ああ、その頃に戻るんだね」と言う方が時々いらっしゃるのですが、それは全然違う。明治の終わりの5000万人というのは若い人がいっぱいいて、歳が上に行くにつれて人が少なくなるという時代だった。これから先はその逆なんで、若い人が少なくて歳が上がるほど人が増えるという人口構成になります。この社会はこのままではもちません。
    日本国中47都道府県、1718市町村全部状況は違います。どうすれば一つひとつの地域で、このSDGsを達成するか、そしてそれぞれの皆様のお仕事があります。医療のお仕事、建築のお仕事、介護のお仕事……。それぞれの地域においてそれぞれの皆様において、いかにこのSDGsを達成するかということをやっていかなければなりません。
    日本の国というのは先送りが文化みたいなところがあります。人口が増えて経済が伸びているときはいろんなことを先送りしても何とかなる。これから人口が減って、経済が急に伸びるはずがない状況にあって、先送りすればするほど次の時代にものすごく負担がかかるということであります。そんなことをやっていてはいいとは思わない。皆様とともにそのような社会をつくるために、私ども議連としても今後とも活動したいと思っております。
    環境省環境再生資源循環局・山本昌宏局長のあいさつ(要旨)=三井会長からお話がありましたように、三井会長自ら台風19号の被災地に入っていただき、長野市におきまして災害廃棄物の処理のお手伝いをいただけるということで、本当にありがとうございます。この災害だけでなく、東日本大震災以来、たび重なる災害ごとにいつも迅速に頼りになるご活躍をいただいておりますこと、まずもって御礼申し上げます。 本日の研修会のテーマであります、まさに持続可能な地域をつくっていくSDGsを考えるということについては、本当に皆様方のお仕事そのものが地域の循環を担っていただいていると。これをどう地域の発展につなげていくのかということをしっかり考えるのが地域循環共生圏だと思っております。環境省としてこれから持続可能な世界をつくっていくうえで地域を持続可能なものにしていくということが一番大事であります。皆様と一緒に考えていきたいと思っております。

    SDGs・地域循環共生圏づくり取組み事例発表

    (SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193カ国が2016年から2030年までの15年間で達成するために掲げた世界共通の17の目標(ゴール)。ひとつの目標につきおよそ10の細かなターゲットが示されており、合計169のターゲットにより17の目標が構成されている。17の目標をクリアしていけば持続可能な社会構築に近づくということになる)
    取組み事例発表企業と報告者は次の5社。
    1.㈱丸共(代表取締役・林隆生:新潟県、社員数:正社員68名パート社員25名)。
    2.(有)三功(代表取締役・片野宜之:三重県、社員数:正社員60名アルバイト15名)。
    3.藤野興業㈱(専務取締役・片山敏:大阪府、社員数:従業員142名、うち正社員117名)。
    4.因幡環境整備㈱(総務部長・高塚雅史:鳥取県、社員数:従業員180名)。
    5.(有)共栄資源管理センター(専務取締役・江口祥弘:福岡県、社員数30名パート含む)。
    上記5社に共通する取組み事業として、一廃・産廃の収集運搬があげられる。廃棄物を収集することでまちの美化を保ち、公衆衛生の向上に資している。ルート収集やエコドライブなどを実施していれば省エネや気候変動対策にも取り組んでいることになる。これをSDGsの目標に重ね合わせると、「目標3.すべての人に健康と福祉を」「目標7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」「目標11.住み続けられるまちづくり」「目標12.つくる責任、つかう責任」「目標13.気候変動に具体的対策を」などにひも付けすることができる。 このほか5社はリサイクルをはじめ様々な取り組みをしている。たとえば丸共の場合は、産官学による廃熱を利用した水耕栽培の実証実験を進めている。これはSDGsの「目標2.飢餓をなくそう」「目標11.住み続けられるまちづくり」「目標17.パートナーシップで目標を達成しよう」に連携する。三功は食品リサイクル(堆肥化)に取り組んでいる。堆肥化して農作物を供給することは、焼却費用の低減、CO2削減、堆肥を地域の農家に使ってもらう、廃棄物資源化の地域循環システム――といった様々のキーワードが立ち上がる。SDGsの「目標7」「目標12」「目標3」「目標17」「目標13」のほか、「目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「目標15.陸の豊かさを守ろう」に符合する。藤野興業は下水道の包括委託管理にも取り組んでいる。この場合はSDGsの「目標11」「目標12」「目標13」のほか、「目標6.安全な水とトイレを世界に」「目標14.海の豊かさを守ろう」がひもつけできる。因幡環境整備は、食品リサイクル・環境保全農業、空き家対策のための多量ごみの処理対応や施設見学の受入れなどにも取り組む。食品リサイクルはSDGsに重ね合わせると前出の三功と同様。「空き家対策」は「目標11」「目標12」「目標15」に、また「施設見学受入れ」による情報提供は、「目標4.質の高い教育をみんなに」と連携する。共栄資源管理センターは、太陽光発電システムを社屋・リサイクル受付センターに設置している。またエコドライブも推進している。これはSDGsの「目標7」「目標13」にひも付けできる。

    問題提起:山田久専務理事

    全清連山田専務理事より、今全国研修会のメインテーマである「地域が持続可能であるために私たちができること、成すべきこと・SDGs」を取り上げ問題提起が行われた。
    「全清連は本年4月の定時社員総会において、結成20周年の成果を踏まえた新たな一歩を刻む令和元年度事業計画を決定しました。その新たな一歩とは、国際社会が決め、それを受けて日本政府も実施指針を策定したSDGsの取組みを、第五次環境基本計画の重要な柱である「地域循環共生圏構築」と重ね合わせて遂行しようという方針です」。山田専務理事は配布資料を読み上げつつ説明を加えていく。「全清連会員企業は、これまで遂行してきた地域の生活環境保全と公衆衛生向上の業務が、SDGsに重ね合うことを認識するだけでなく、会社と従業員ならびに家族が将来にわたり持続できるのかという視点で総点検できるようになります。また、地域社会が持続不能になっていく要素を洗い出し、それを持続可能にするためにはどうすればよいか、ということを行政や地域住民、他業界事業者と連携して考え、何らかの役割を担っていくことも地域循環共生圏づくりの一環と言えます」。
    全清連会員企業が遂行してきた業務をSDGsに重ね合わせるということは「ひも付け」ということだ。さらに地域社会が持続不能(持続可能ではない)に陥っていく要素を洗い出し、持続可能にするにはどうすればよいかを、地域関係者を巻き込んで考えていき、行動に移していく――。

    「これらの考え方を別な表現でいうと、「我々の業を持続可能なものにするには、これからは受け身、守り一辺倒ではなく、会社の内外に対しても持続可能性の観点で提案型の姿勢に転換していく必要がある」と訴えた。

    (研修大会の詳細は、全清連ニュース第95号をご参照ください)

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  • 平成31年度の総会の報告

    全清連・第10回定時社員総会開催

    ~新会長に三井弘樹氏を選出~

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連)は、4月24日(水)午後2時より千代田区一ツ橋の如水会館を会場に、オブザーバーを含め総勢265名の出席を得て第10回定時社員総会を開催し、任期満了に伴う役員改選では、新会長に三井弘樹氏を選出した。全清連は結成から20年の節目の年を迎え、さらに時代は平成から令和へと移る。これに歩を合わせるように全清連も新たな時代の幕開けとなった。なお、三井崇裕前会長は名誉会長に就任した。総会終了後には講演が行われ、その後の懇親会では地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長(衆議院議員・自民党)をはじめとする多数の国会議員、関係省庁幹部らが出席しての祝宴が開かれた。

    定時社員総会は開会に先立ち全清連の「連合会旗」が入場。全員起立し大きな拍手で迎えた。正面に掲げられた国旗ならびに連合会旗に向かって君が代を斉唱して総会は幕を開けた。永冨政英副会長(福岡県清掃事業協同組合連合会会長)が開会宣言を述べたあと、三井崇裕会長が退任のあいさつを含めた形で次のように語ると、会場は大きな拍手に包まれた。

    三井崇裕会長が退任のあいさつ

    =皆様に支えられて、20年間歩んでこられた=

    今日は第10回の定時社員総会を迎えることになりました。顧みますと平成10年に組織を立ち上げ、ちょうど20年目になります。この間わたしたちは大変なことが起きた中で、皆様のご支援、そして執行部体制の中でこの20年をやり通すことができたと理解しております。本日も平成30年度の事業報告、そして令和元年度の事業計画が出されます。慎重審議の上で更なる発展を目指してもらいたいと思います。よろしくお願いいたします。
    わたしは20年間、闘ってきたつもりですが、著しく体調を崩しましたので、本日をもって退任の手続きをしていただくようになっております。今日は退任のあいさつとさせていただきます。全清連は組織として20年が経ちましたが、当初は全国組織がありませんでした。例のこと(平成10年、規制緩和委員会による家庭ごみ処理参入自由化の検討)があって、急ごしらえの組織ではありましたが……。本当に頑張りました。ここまでこられたのは、今日、全国からお集まりの皆様方、つまりは連合会の皆様方のご支援、ご協力があったればこそと、感謝しております。また、今回、20周年ということで記念行事として20年間の歩みという記念誌をつくりました。皆様のお手元に届くと思います。さきほど申し上げましたように、ここまでこられたのは皆様のご支援があったればこそです。これまで執行部体制で協議していただいて、議連に相談申し上げてご指導を受けるという形をとってきておりましたが、これからもそのように進めていったらいいのではないかと思っております。本当に、今日お集りの皆様に支えられてここまで歩んでこられたこと、本当に感謝申し上げます。ありがとうございました。

    令和元年度の事業計画

    =地域の中で存在感を高める。打って出る時が来た=

    このあと議長に大月伸一副会長(新潟県一般廃棄物処理業者協議会会長)を選出し議案を審議。第一号議案・平成30年度事業報告(案)~第四号議案・令和元年度収支予算(案)を満場一致で承認。第五号議案の役員選任について(案)は、令和元年・2年度の理事・監事候補を拍手でもって賛成。選任理事が別室にて理事会を開催した結果、会長に三井弘樹氏を選出した。続く第六号議案の名誉会長の顕彰について(案)は、前会長の三井崇裕氏を名誉会長に顕彰することで承認した。
    なお、令和元年度の事業計画(案)は山田久専務理事が説明に立ち、基本方針を踏まえたうえでの具体的な各々の事業活動方針を示したが、新たな視点として「地域循環共生圏構想に寄与する取組み」「労働基準法第62条および年少者労働基準規則第8条第42号の改正に関する取組み」「働き方改革と働き方改革原資確保に関する取組み」など、時代のテーマである案件への対応も取り入れた。
    とくに「地域循環共生圏構想に寄与する取組み」では、固形一般廃棄物業者が今後取り組む方向性を示唆した。全国の各々の地域で、少子高齢化・過疎化が進み、消滅市町村が出てくるといわれている現在、地域住民の方々は、様々な不都合や不安を抱えている。こうした中にあって、地域の生活環境分野である固形一般廃棄物収集運搬においては、現在あるいは近い将来に市民、住民が困り不安を抱く事案について、より良いサービスを提供することを必要としている。例えば高齢者のごみ出し支援について市町村に積極的に提案して実現につなげていく。人口減少に伴い、現在の広域処理を越えた広域処理が不可避になる場合のシミュレーションを行い市町村に積極的に提案して実現につなげていく。検討プロジェクトを主導する――などなどをあげ、今後、全清連に地域循環共生圏・SDGs推進委員会を設置し、全国の地域事情、温度差に応じた取り組みを支援する活動を行っていくとしている。山田専務理事は「我々が立たないといけないと思う。そういう時期に来ている。地域の中で存在感が高まることは何でもやってみようと。アイデアを出してほしい。全清連は応援する。ネットワークでもって、打って出る時が来た」と出席者に呼び掛けた。

    三井弘樹新会長あいさつ

    =取り巻く環境は大きく変わる。守りだけではなく=

    議案審議が滞りなく終了したあと、選出された新執行部役員が紹介され、新役員を代表して三井弘樹氏が次のように会長就任のあいさつを述べた。
    大変な重責でありますし、身の引き締まる思いでもあります。不安がないと言えばうそになると思います。しかしながら新しい役員の皆様とともに、そして今日ご参加の皆様とともに職責を全うしたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
    わたしは平成10年の発足以来、前会長のカバン持ちで何が何だかわからないまま東京に来ました。それから20年、その20年の間に全清連は決して順風でも平穏でもありませんでした。いろんな問題が対外的にも内部の中でも起きました。それを一つひとつ解決してきました。わたしはそれを目の当たりに見てきました。このことは実は、先代とそこに携わった様々な方々の並々ならぬ努力によって解決してきたことは、紛れもない事実であります。そのことに感謝しつつ取り組んでいきたいと思っています。
    先ほどの総会の議案審議でもありましたように、これから我々を取り巻く環境は大きく変わっていきます。地域の環境保全、地域の公衆衛生の向上、地域から出てくる廃棄物リサイクルの循環型社会システム構築、地域循環共生圏の担い手として我々がいかにそこに関与していくかというのが、我々業界が今後生き残っていく道だと思っております。このことに対応していくには、守りだけでなく、転じることもしていかなくては我々の業も守れませんし、皆さんの会社の社員さんも幸せになれません。そのことを視野に入れて新役員との協力のもと、組織運営をしていきたいと思いますので何卒よろしくお願いいたします。

    石破茂議連会長

    =議連や地方組織を活用していただきたい=

    総会後には、環境省地球環境局総務課の秦康之課長を講師に「地域循環共生圏」をテーマとした講演が行われ、また会場を移しての懇親会では全清連の地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長を務める石破茂議員や多数の国会議員や省庁幹部らが出席し、祝辞・あいさつが続いた。
    石破議連会長はあいさつで、「前三井会長、20年間ゼロからスタートされて精力的に活動された。あるいは我々議連に適切な、的確な本来あるべきご提言をいただきました。それが一つひとつ形として実ってまいりました。なかなかできることではありません。ゼロからスタートということが、本当にどんなに大変なことだったか、という風に思っております。名誉会長にご就任ということでありますが、なおなおお元気で後進のご指導に当たられたく思います」と前会長のこれまでの労をねぎらいつつ、「新会長におかれましては、どうかその志を受け継いで、多くの国民のために、次の時代のために尽くしていただきたいと、心から思う次第であります」と新会長への期待を寄せた。
    環境省から様々な通知が発出され、業に対する最高裁判決も出された。しかし自治体の中には担当者が代わるなどして環境省通知、最高裁判決の趣旨が周知、徹底されていないケースがみられる。それについて石破議連会長は、「どうか自治体に対して、我々自民党そして公明党、その地方組織もご活用いただきたいと思っております。議員は使うためにあるのですから」と全清連への支援を強調した。
    乾杯の発声は公明党の斉藤鉄夫議連幹事長。「三井名誉会長への感謝と、三井弘樹新会長の門出を祝って、そして今日ご参会の皆様の発展を祝って乾杯したいと思います。乾杯!」と威勢のよい掛け声とともに杯を高く上げ、祝宴に入った。

    総会の詳しい内容については「全清連ニュース92号」をご覧ください。

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  • 平成30年度環境大臣表彰

    平成30年度 
    大規模自然災害等の被災地域支援活動に対する災害対応支援環境大臣表彰式

    環境省は12月19日、平成30年7月豪雨、北海道胆振東部地震、台風21号などの被災地域に対し、災害廃棄物処理や被災ペット対策などのために人的、物的協力等の支援活動を行った団体および自治体に対して、その活動をたたえ、社会に広く知らせるため環境大臣から表彰状を授与した。

    災害廃棄物関係で表彰状を授与されたのは(一社)全国清掃事業連合会をはじめ18団体と116自治体。午前9時半から環境省第1会議室で行われた表彰式では、主催者を代表して原田環境大臣が次のようにあいさつを述べた。「今年は7月豪雨や台風21号など大きな自然災害が相次ぎ、日本列島に甚大な被害をもたらしました。すべての被災地の皆様にお見舞い申し上げます。こうした中、皆様におかれましては、被災地での片付けごみや災害廃棄物の収集運搬、あるいは災害廃棄物処理計画策定に対する技術支援、アスベスト対策、また資機材等の提供など様々な活動に精力的に取り組んでこられました。心から感謝申し上げます。本日はそのご貢献を社会に広く知らせるため表彰式を開催するものです。被災地の一日も早い復旧復興実現と、今後予見される様々な自然災害に備え、今後とも変わらぬご支援ご協力をお願いいたします」。

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  • 平成30年度の全国研修大会実施報告

    平成30年度『全国研修大会』開催 
    ~頻発する災害、心を引き締めて環境保全優先の循環型社会構築を!~
    全清連設立20周年記念、総括と展望

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は10月24日、東京千代田区の砂防会館において平成30年度全国研修大会を開催した。全清連は平成の末年となる本年、設立20周年を迎えた。メモリアルとなる今大会の会場は、メインスローガン「頻発する災害、心を引き締めて環境保全優先の循環型社会構築を!」が掲げられ、全清連会員600名の参加をみて膨らんだ。地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長、斉藤鉄夫幹事長、寺田稔事務局長らをはじめ、関係省幹部ら多数の来賓から設立20周年のお祝辞をいただいた。三井会長は20年前に全清連という組織を立ち上げた経緯を述べるとともに、この20年間を回顧し活動成果などを報告した。また、全清連設立20周年記念として地域活動功労者ならびに中央活動功労者を表彰。山田久専務理事による「全清連20年の総括と展望」が問題提起され、全清連は次の20年に向けて新たなスタートを切った。

    研修大会は3部で構成。第1部では全清連を代表して三井会長のあいさつ、来賓の地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長をはじめ出席した先生方、さらに環境省、経済産業省、農林水産省から幹部らの祝辞と続いた。
    第2部は全清連設立20周年記念として、地域活動功労者77名と中央活動功労者11名をそれぞれ表彰。
    続く第3部では全清連の山田久専務理事が「全清連20年の総括と展望」と題して、20年前から現在までの固形一般廃棄物処理業をとりまく社会変化と全清連の対応、人口減とごみ減が招来する将来の課題について問題提起した。 その後大会は大会決議および大会スローガンの採択へと進んだ。

    三井会長あいさつ

    今後も生活環境の保全、適正処理推進に全力で取り組む

    一般社団法人全国清掃事業連合会は本年、設立20周年を迎えました。これもひとえに会員並びに関係各位のご支援の賜物と、ここに改めて感謝申し上げます。
    さて、全清連が設立された平成10年といいますと、私どもの固形一般廃棄物業界は危機的な状況下に置かれていました。7月26日付け日経朝刊に「家庭ごみ処理民営化」、即ち固形一般廃棄物の直営、委託許可を全部廃止し自由業にすべきだとする、いわゆる規制緩和の嵐の中で、規制緩和委員会での検討内容が掲載されたのです。これには私、びっくりしました。そして同志の仲間に呼びかけ急遽上京し、情報を収集する傍ら同委員会や環境省を足繁く訪れ撤回への折衝を行いました。
    その過程にあって平成10年8月12日に「全国清掃事業連合会」を設立。8月20日には「規制緩和抗議大会」を、さらに9月21日には全国から1000名を超える業者が結集し「適正処理推進大会」を決行し、私どもの状況を訴え規制緩和の白紙撤回を強く関係方面へ強く要望したのです。とても熾烈な交渉でしたがその結果、委員会では「当面の間、留保する」との結論となり、この最大の難局はひとまず回避することができました。本当に涙が出る思いでした。
    20年を顧みますと、私どもの業界はこの規制緩和を発端とする一般廃棄物の定義や区分見直し等、様々な問題が次々と提起されてまいりました。これらの難題にどのように対処すべきかと日夜思いを巡らせておりました。その当時、今は故人になられましたが衆議院議員の武藤嘉文先生にお会いして、たくさんの助言を得て14年12月「地域廃棄物適正処理推進議員連盟」を結成していただきました。関係省庁と全清連が良好な関係の基にその後の折衝を行い得たのも議連の存在、役割が大きいと認識しております。
    当時の規制緩和や自由競争至上主義といった逆風の中、私ども全清連は孤軍奮闘し地域環境の保全、適正処理推進の立場から論陣を張り対処してまいりました。
    その中で大きな転機が訪れました。設立10年を経た平成20年のことです。その年、環境省から6.19課長通知が発出されました。この課長通知は「環境保全は人類の生存基盤にかかわる極めて重要な課題」とされました。その重要性を力説し、市町村にごみ処理の統括責任がある。経済性優先であるべきではないとしたものです。規制緩和や地方分権論が声高に唱えられていた時期に、また市町村の廃棄物処理への責任意識が希薄化する中で発出された通知でありました。まさに闇の中の光明であり、全清連が環境省や議員連盟と協議を重ねた末にようやくその活動が成果をみた瞬間ではなかったかと思う次第です。
    その後、平成26年1月28日には廃掃法に係る最高裁判決が出ました。同じ平成26年10月8日には環境省部長通知も発出されました。最高裁判決は「一般廃棄物処理業は適正処理が重要で、継続的かつ安定的に確保される必要がある」とする判決文でした。この司法の最高機関の判決を踏まえて業の許可の運用にも触れたのが同年10.8の部長通知でした。部長通知であることに大きな意義があります。担当部局はもちろんのこと市町村長、財政部局を含め自治体全体でごみの適正処理を認識し、進めなければならないとしたものです。実に画期的な通知でございました。
    市町村長裁量による新規許可あるいは入札導入などで廃業の不安に苦しみ続けてきた業界にとってこれは、輝かしい希望でありました。私ども全清連の活動が成果を見た思いでございました。またこれら通知により、固形一般廃棄物は確固たる理念を共有できるに至ったと理解しております。
    全清連はそうした一方で、災害支援でもその団結力と機動力を発揮してまいりました。平成23年の東日本大震災、28年の熊本震災、また西日本の豪雨による災害など日本列島を襲った自然災害に対して大量の廃棄物を撤去するために、全国から多くの人材そして機材を導入し、復旧支援活動を行ってまいりました。被災地の自治体や住民の方々からは感謝の言葉をたくさんいただきました。そうした活動が認められ環境省からは29年1月に、災害廃棄物処理支援ネットワーク「D.Waste-Net」のメンバーに任命されました。 全清連はこれからも多事多難が予想されますが、環境省そして議員連盟のご指導と理解を得る中で、国内の生活環境保全、適正処理の推進に全力で取り組むことをお誓い申し上げ、あいさつといたします。

    議員連盟・中央省から祝辞

    地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長、石破茂衆議院議員の祝辞(要旨):三井会長のお言葉にありましたように20年前、日本経済新聞に規制緩和委員会から、固形一般廃棄物の処理について、その取り扱いを自由化すべきではないかという記事が出たのが事の発端でした。規制緩和というのは何のためにやるのだろうか。それは経済活動を活発化し、個人の所得を増やすためにやるのであって、価格破壊だけが目的ではありません。むしろ価格破壊のみが目的ならやってはいけないものだと思っています。一般論として人口が減るときに価格を下げてはいけない。給料を下げてはいけない。いかにしてサービスの質を上げるかということが大事なのであって、まさしく皆様方に従事していただいておりますこのお仕事は、このサービスの本質にかかわるものであり、地球全体の環境をどうやって維持するかにかかわるものであります。
    全国1718市町村、理解に乏しいところもあります。安ければいいだろうというところもないわけではありません。皆様方の活動の意義がきちんと理解され、そして人々の幸福、福祉の増進に資するべく私ども皆様とともにこれから先も頑張っていきたいと思っている次第です。

    環境省環境再生資源循環局・山本昌宏局長の祝辞(要旨):一般廃棄物の処理、これは生活を支える大事なものでありまして、先ほど三井会長から丁寧なご紹介がありましたように、一般廃棄物処理についての重要性、市町村の統括的責任の重さといったことについて類似の通知を出させていただいて周知をしてきたところです。ただ、それをいかに現場に浸透させるかというところは環境省の大事な役割と思っております。それぞれの市町村できちんとした計画をつくり、また皆様方のお力をお借りしてしっかりとした処理が行われるよう引き続き周知に努めてまいりたいと思っております。

    全清連設立20周年記念

    地方活動功労者表彰 中央活動功労者表彰

    全清連20年の総括と展望:山田久専務理事

    山田専務理事より「全清連20年の総括と展望」と題して問題提起がされた。本年6月19日に閣議決定された「第四次循環型社会形成推進基本計画」の重要部分を引用しつつ、山田専務は「我々が直面している問題とは何か、方向として何が重要なのかということを提示したい」と切り出した。平成12年に成立した循環型社会形成推進基本法。この法律に基づいて策定された第一次循環基本計画から本年の第四次循環基本計画までの時代背景と廃棄物処理法の関わりなどを解説し、「循環基本計画は政府全体で決定したもの。お客さんなどからこういうことが書いてあるけどどうなの? と聞かれたときに何も言えないようじゃしょうがない。中身を抑えておく必要がある。セールストークができないといけない」と、仕事をしていく上で廃棄物処理法、環境省発出の通知はもちろんのこと、循環基本計画も勉強しておくことは必須であると述べた。 日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに漸減。2018年から30年後の2048年には1億人を切り9913万人と推計されている。当然ごみの量も減る。第四次循環計画もそのことに触れている。こうした数字を示しながら山田専務理事は「30年後に業をやるには深刻な問題。確実に仕事が減っていく時代になる。その時どうするか。ダンピングして仕事を取り合いするのか? そうではなく競争から協調に変わらないといけない。共存共栄という発想にならないと生き残っていけない」「行政を巻き込まないといけない。そのためにはセールストークを磨かなければいけない」と述べ、社会の大きな流れを見据えながら、30代、40代、50代といった若い経営者の感性でもって問題解決へ向けての取組みをしていってもらいたい、とした。
    (研修大会の詳細は、全清連ニュース第90号をご参照ください)

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  • 西日本豪雨

    全清連、環境省初期対応グループとして平成30年7月豪雨の被災地支援に出動

    広島県全域で延べ31日間、1033名、566台展開

    平30年6月28日から7月8日頃にかけ、西日本を中心に広い範囲で記録的な大雨が襲った。各地域で河川の氾濫や浸水災害、土砂災害等を引き起こし、後に「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」と命名される大災害へと発展した。全国で220名以上の犠牲者を出し、また広島、岡山、愛媛の3県だけで290万tと、平成28年熊本地震とほぼ等しい災害廃棄物が発生した。この様な状況で(一社)全国清掃事業連合会は、環境省の災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste—Net)の初期対応グループとして、被害が深刻な地域の一つで、いち早く支援要請が来た広島県三原市を中心に支援活動を展開。同県での活動期間は全域で延べ31日間、人員1033名、車両566台の規模に及び、被災地の災害廃棄物処理を支援した。

    平成30年7月豪雨の被害が広がった要因は、6月29日に発生した台風7号、さらに同台風の影響を受け梅雨前線が停滞し、長期にわたり大雨が降り続いた影響が大きい。気象庁では7月6日、長崎県、福岡県、佐賀県、広島県、岡山県、鳥取県、京都府、兵庫県の順で大雨特別警報を発表。翌7日には岐阜県、8日には高知県と愛媛県、最終的に11府県に警報を発表した。
    各地域では7日から河川の氾濫、土砂災害が生じ始め、電気、ガス、水道、道路など各種インフラが寸断。住宅被害は31道府県で48,470棟、さらに家屋損壊等により広島県で195万8,200t、愛媛県で52万9,539t、岡山県で41万2,900tもの災害廃棄物が発生した。
    全清連の会員には、従業員や施設、車両に大きな被害はなく、発災直後からそれぞれの地元で災害廃棄物収集に取り組んだ。
    岐阜県では、岐阜県清掃事業協同組合(岐清協)が岐阜県との「無償団体救援協定」に基づく要請を受け、10日付で同県関市においてダンプ2台、パッカー車1台、各2名乗車にて、7月12〜27日の期間で13日間の支援活動を実施。
    また被害が大きい広島県では、(一社)広島県清掃事業連合会(広清連)との「災害時無償支援協定」に基づき、10日付で県から広清連に支援要請が寄せられた。これを受け三次市、府中町、海田町、坂町、世羅町、東広島市から要請があり、関係団体との連携のもと各地域で順次支援活動を展開した。
    活動期間は、海田町で14日から延べ12日間、世羅町で10日から延べ12日間、東広島市で7月30日から随時、府中町で15・28日の2日間、坂町で16日から延べ9日間、また三次市は被災直後の9日から会員一社が活動していたが、10日から広清連の支援部隊が加わり延べ22日間、広島市も広島市廃棄物処理事業協同組合を通じ延べ21日間、支援部隊を派遣し、被災地の収集運搬や、仮置き場からの災害廃棄物転送を支援した。
    一方、全容把握を進めていた環境省でも7月12日、全清連に対し廃棄物適正処理推進課長名で「平成30年7月豪雨により生じた災害廃棄物処理へのご協力について」とする支援要請を発出。これにより、全清連としても環境省の災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste—Net)の初期対応グループとして出動することが決まり、いち早く全清連に直接支援要請が出された広島県三原市へ向かうことになった。

    第1次支援は7月16日から7日間、広清連、鳥取県清掃事業協同組合、山口県清掃事業連合会、さらに地元の三原市清掃事業協同組合の合同チームが、地域の災害廃棄物収集運搬に当たった。その後は一度、災害廃棄物の収集運搬を電話受付によるスポット対応に切り替えたが、被害の大きさから想定より多くの依頼が殺到。対応が困難と判断した三原市はさらなる支援を全清連に要請し、第2次支援として広清連、(一社)大阪府清掃事業連合会の合同チームが8月6日から5日間現地に入った。第一次、二次合わせ、延べ12日間、人員282名、車両138台の規模で被災地を支援した。

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  • 平成30年度の総会の報告

    全清連・第九回定時社員総会開催

    ~結成20年の成果を糧に今後も適正処理を推進~

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は、4月25日(水)午後2時より千代田区の如水会館を会場に、オブザーバーを含め総勢223名の出席を得て、第九回定時社員総会を開催した。全清連は結成からこの平成30年度でちょうど20年という節目の年を迎える。冒頭のあいさつで三井会長は結成時から今日に至る20年を振り返り、固形一般廃棄物に生起した様々な問題への対応や議員連盟の結成、環境省の6.19課長通知発出に続く10.8部長通知など、全清連が活動してきた努力の成果を述べ、今後も組織をしっかり固めて適正処理推進のために頑張っていきたいと強調した。また、総会終了後には講演が行われ、その後の懇親会では地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長をはじめとする多数の国会議員、関係省庁幹部らが出席しての祝宴が開かれた。 定刻通りはじまった定時社員総会は、開会に先立ち全清連の「連合会旗」が入場。全員起立し大きな拍手で迎えた。正面に掲げられた国旗ならびに連合会旗に向かって君が代を斉唱して総会は幕を開けた。大前清彦副会長 (大阪府清掃事業連合会)が開会宣言を行い、三井会長が全清連を代表してあいさつを述べる。

    三井会長のあいさつ=この20年で大きな地位を勝ち取った=

    平成10年に結成された全清連は、通常でいえば19回目の総会を迎え、平成30年度はちょうど結成20周年という節目の年を迎える。三井会長はこの20年間を振り返る。
    「平成10年の結成には大きな理由がありました。7月26日の『日経新聞』朝刊のトップページに、固形一般廃棄物の直営委託許可を廃止すべきだと、そして自由業にすべきだという規制緩和委員会の意見が掲載された。これには本当にびっくりしました。同志の方も新聞を読まれていたらしくて、私たちは連絡を取りながら東京へ結集しました」。
    全国から同業者約1000人が永田町の「憲政記念館」に集結した。総務庁の建物の中に規制緩和委員会の事務局が置かれていたことを知り、組織がない中で何とか形をつくって交渉に入った。こういう中で、当分留保するという結論を得て、最大の難関は免れることができた。「これはやはり、あの時に集結した約1000人の方の、組織がない中で集結いただいたその力、あるいは熱意が規制緩和委員会に通じたのではないかなと思っています」。全清連の原点だ。
    それから急きょ組織をつくりあげていったわけだが、そうした中で現場では固形一廃に関する問題がいろいろ起こってくる。「そのたびに環境省へ行って交渉するのでありますが、なかなか前に進まない」。で、「議連をつくろうではないかということで、当時、岐阜県出身の武藤嘉文先生のところへ相談に行きましたところ、快く引き受けていただいたんです」。自民党に加えて公明党議員も議連に加盟することになり、今日では「衆議院49名、参議院21名、合計70名の先生方が加盟をしていただいています」。    
    全清連結成から10年を経た平成20年の6月19日、環境省から「課長通知(6.19通知)」が出された。「この中身については皆さん承知置きの通りと思いますが、これは非常に大きな、我々にとっては一大転換ともいえる課長通知であるんです」。それから6年後の平成26年1月28日には「最高裁判決」が下りた。この流れで同年10月8日に環境省「部長通知(10.8通知)」が発出された。「大げさに言うわけではありませんが、私たち全国の固形一般廃棄物を取り扱う業界にとっては、本当に大きな地位を勝ち取ったというふうに私どもは考えておるんです」。全国1718市町村の中には、新規許可を出したり、委託業務の入札を実施する市町村がまだ相当ある。「私たちはこのもの(6.19通知や最高裁判決、10.8通知)を持ち合わせておりますから、正々堂々と市町村と対峙しながら説明して、入札制度導入をやめていただくとか、どうして新規許可が必要なのかとか、理論武装ができているわけですから、そういうような行動展開をするのが全清連という組織であります」。
    いつ、どこからこの業界を規制緩和しようということが起きるかわからない。「自分の身を守るというか、そういうことについてもこの3点セットが現在のところ非常に大きな私たちの武器になるというか、このような大きな仕事を私たちはやってきたということを、自信をもって皆さん方にあいさつできるということは、本当にうれしいわけでございます」。
    また市町村の規制権限が及ばないブローカー問題に関しても環境省から昨年の3月21日、6月20日に通知が出されたが、「正直言って私は、まだ我々の立場は弱いと思っています。これもこのままじゃいかんので、環境省と協議しながら進めていかなければと考えています」。 20年間の間、様々な問題が現場で起きる。「そのたびに意見を集約して環境省へもの申すと、そして議連の方へもご相談申し上げるという、そういうかなり激しい活動をやってきました。おかげさまで何とか大きな仕事はやれました。これも皆さんの協力のおかげ、支援の賜物と思っているんです。これからも組織をしっかりと固めて、一歩一歩、我々の役目である適正処理の推進のために頑張っていきたいと思っています」。

    平成30年度の事業計画

    このあと議長に大月伸一副会長(新潟県一般廃棄物処理業者協議会)を選出し議案を審議。第一号議案・平成29年度事業報告(案)~第四号議案・平成30年度収支予算(案)を満場一致で承認。
    なお、平成30年度の事業計画(案)は山田久専務理事が説明に立ち、基本方針を踏まえたうえでの具体的な各々の事業活動として以下の10項目を示した。

    ①全清連発足20周年記念事業
    ②廃棄物・リサイクル制度に関する対策活動
    ③青ナンバー問題に関する対策
    ④地方における10.8部長通知等の周知活動
    ⑤非常災害、大規模災害による生じる災害廃棄物の処理支援活動
    ⑥地域廃棄物適正処理推進議員連盟との連携強化ならびに支援強化の取組み
    ⑦組織の充実強化と会員加入促進の取組み
    ⑧会員の啓発ならびに広報活動、
    ⑨一般廃棄物(ごみ)実務管理者講習会への取組み
    ⑩東南アジアをはじめとする発展途上国に清掃業務車両(パッカー車、トラック車など)を寄贈する取組み

    記念講演:「社員の働くモチベーションを高め、地域で愛される会社をつくる」

    総会後には、福島県福島市に本社を置く古紙リサイクル会社「㈱こんの」の紺野通昭社長による表題の講演が行われた。紺野社長は1967年生まれの3代目。先代からの事業承継、古参の社員との確執などを乗り越え、同社を地元を代表する優良企業に育てた。北海道や宮城県、埼玉、東京にも営業所がある。古紙リサイクルが本業だが、書店とカフェが2店舗あり、最近では今年4月に福島に大戸屋をオープンさせた。2月末決算で初めて年商50億円を超え、社員もグループ全体で205名にまでなった。人手不足が社会問題化している昨今にありながら同社は、「おかげさまで人手不足という経験がない」という。講演会では人手不足をテーマの一つとして、同社がこれまでやってきたことなどが披露された。

    「一番大切なのは教育」「幸せと満足の違い」「毎年1日だけ全社員が福島に集結して開催される講演会と社員表彰式。市民や取引先も来ている」「年に何回か行う無記名の社員アンケート」「毎回の給与明細に社長のメッセージを入れて思いを伝える」「月次に上がる決算書、試算表を全社員に公開。すべて社員に情報公開する」「障害者の雇用。賃金は健常者と同じ」「90歳まで働ける職場づくり」……など様々な取り組みが語られた。なかでも「無記名の社員アンケート」の実施を紺野社長は勧める。会社に対するイメージとか、上司はどんな感じとか、社長の評価などが書かれる場合も。「少しでも社員と理解が共有できればいいなあと思います」(紺野社長)。

    石破議連会長「業界の性格付けが法的に確立している」

    このあと会場を移しての懇親会では全清連の地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長を務める石破茂議員が駆けつけあいさつを述べたほか、竹本直一副会長、寺田稔事務局長ら多数の国会議員や省庁幹部の祝辞・あいさつが続いた。
    石破議連会長はあいさつで、「20年になる(全清連の)歴史の中で、法の趣旨をきちんと踏まえましょうね、そして皆様の業界は――これは最高裁でもはっきりしておる話でありまして、業界の性格付けというものが法的にも確立をしておるところであります。が、何となく法を形がい化するような仲介業者の存在でありますとか、あるいは法を形がい化すると言っていいのかどうかわかりませんが、全国には1,718もの市町村がありますので、それぞれに対応が異なるということがあろうかと思います。私ども与党といたしまして、1,718ある市町村、もし仮に皆様方のお仕事の趣旨を取り違えて、あるいは規制緩和すればいいんだと、安ければいいんだというようなことがありますれば、どうぞ私どもにお申しつけをいただきたいというふうに思っているところであります」と全清連を支援していくことを強調した。 乾杯の発声は溝手顕正議員。「乾杯!」の威勢のよい掛け声とともに出席者一同杯を高く上げ、各テーブルを囲んでの祝宴に入った。

    総会の詳しい内容については「全清連ニュース88号」をご覧ください。 

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  • 平成29年度の全国研修大会実施報告

    平成29年度『全国研修大会』を開催 
    ―進むべき道は廃棄物の適正処理の推進―

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は10月25日、東京千代田区の砂防会館において全国から600名を超える会員や多数の議員連盟国会議員、関係省庁幹部らの出席を得て、平成29年度「全国研修大会」を開催した。冒頭のあいさつで三井会長は、昨年の廃棄物処理法の定期見直しなどを含め我々を取り巻く情勢は変化してきており、問題が生起してくるであろうが「廃棄物の適正処理の推進、これを目指して、過去もそうでありましたが、これからもそれを目指してやる。進むべき道は一本です」と強調した。3日前に行われた衆議院選挙の余韻が冷めやらぬ中、駆けつけて頂いた地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長の石破茂衆議院議員や議連の国会議員の方々のあいさつ、神戸大学大学院経済学研究科の石川雅紀教授によるダイコー事件の総括にする講演、全清連山田久専務による当面の事業方針の報告などがつづき、有意義な研修大会となった。

    三井会長あいさつ

    過去もそしてこれからも、廃棄物適正処理推進の道

    全国研修大会は開会の辞に続き正面の国旗および全清連旗に向かい出席者全員で君が代を斉唱したあと、全清連を代表して三井会長が壇上に進みあいさつを述べる。
    平成28年度に廃棄物処理法の定期見直しが行われ、今年6月に法改正が公布。公布されない部分は通知等により措置されたと述べた三井会長は、続けて「私たちを取り巻く情勢は刻々と変化してきております。直近では規制権限の及ばない第三者の問題がございまして、これは悩ましい問題ではありますけれども、これも3月21日、そして6月20日に通知を発出いただきました。ただ一方では、相手方のほうは、皆さんご存知のように違法ではないという解釈に立っておられるということで、この問題については私どもこれから非常にしんどい戦いがあるんではないかという風に予測されます。また、今日は神戸大学の石川先生の講演がございます。この講演もダイコー問題を捉えて、先生の考え方をおっしゃると思いますので、最後まで研修していただきたいと存じます」と一廃処理業界を巡る課題などについて触れた。そして最後に「これからますます我々を取り巻く問題が生起してくるでありましょうけれども、強い意識ですね、廃棄物の適正処理の推進――これを目指して、過去もそうでありましたが、これからもそのことを目指してやるしかございません。進むべき道は一本ですので、深くご理解を賜って、最後までお付き合いをお願いしたいと思います」と強調して締めくくると会場からは大きな拍手が湧き上がった。

    石破議連会長あいさつ

    ブローカー問題で、法の形骸化を懸念

    続いて地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長の石破茂衆議院議員が、議連を代表してあいさつ。「廃掃法という法律は法律の中でも難しい法律でありまして、ぱっと読んだだけでは何が書いてあるのかよくわからんというところがございます」と切り出した石破会長は、「ただ、趣旨としてあの法律は第6条、第7条というところがポイントであると私は理解をいたしておるところでございます」と市町村処理責任を指摘。しかし「法律はいま、会長からお話があのましたように、いろんな考え方が成り立ちますもので、いわゆるブローカーというものが、我々は違法ではないんだというのですが、ぎりぎり考えるといろんな議論があるんだと思いますが、たぶん、法の形骸化というのはこういうことを言うのだろうと思っております。そういうブローカーが暗躍することになりますと、廃掃法6条、7条の趣旨というのはまったく生きてこないことになります」と懸念を示した。
    議連の国会議員のあいさつは、議連副会長の野田聖子議員、事務局長の寺田稔議員をはじめ山本幸三議員、岸田文雄議員、二乃湯智議員らを含め多数から祝辞が寄せられ、つづいて環境省、経産省、農水省幹部らのあいさつが述べられた。

    講演・ダイコー事件の総括

    排出事業者責任とは

    休憩を挟み第2部は講演会、第3部は当面の事業方針についての説明が行われた。
    神戸大学大学院経済学研究科の石川雅紀教授を講師に迎えて開かれた講演会のテーマは、「ダイコー事件の総括―そこで問われたことは何か?」。平成28年1月にカレーチェーンを全国展開するココ壱番屋(ココイチ・愛知県一宮市)が、産業廃棄物(冷凍ビーフカツ)の処理を産廃処理業者のダイコーに委託したが、処理されずに不正転売されたこの事件は世間を騒がせた。当時、マスコミの報道や社会の風潮は「壱番屋は被害者。対応は立派。わるいのは産廃処理業者だ」というものだった。これに対して石川教授は「壱番屋が真っ白だというのは何かおかしい。ひっかかる」と自身の受け止め方を語る。それは、汚染者支払いの原則(PPP)によれば、「自分の出した廃棄物がどうなっているのか、管理していないのは明らか」ということになり、ダイコー、みのりフーズと並んで、ココ壱番屋も汚染者であるという結論に達する――。石川教授はこの事件をきっかけに、排出者責任とはどういうことなのか、論を展開する。

    当面の事業方針

    環境省発出の7本の通知の理解を深めよ

    第3部では「当面の事業方針」が山田久専務理事より説明された。
    環境省はこれまで、一般廃棄物の適正処理推進に関して7本の通知を発出している。山田専務はこの7本の通知を改めて整理し、その重要性を説明した。発出された7本の通知はリンクしており、ひとつの「かたまり」となっている。一廃処理業者は理解を深め熟知しておく必要がある。たとえば、「6.19通知」(平成20年6月19日付)と「10.8通知」(平成26年10月8日付)は、ワンセットになっている。6.19通知が発出された平成20年の時代背景を山田専務はこう説明する。「平成5年からバブルが崩壊した。失われた20年ともいわれている。景気はデフレになった。そうするとどういうことが起きたかというと、規制緩和です。要するに規制を撤廃せよと。そうすることによって経済活動が活発化すると。だから市町村もどんどん許可を出し、入札、入札となった」。その時に6.19通知が出た。「一般廃棄物処理業の分野に規制緩和が押し寄せたときに、環境保全の重要性ということが一番最初に書いてある。当時は環境保全の重要性ではなく、経済合理性を優先するという社会なんです。市町村も何から何まで入札すればいいと。議会から責められますからね」。それだけに6.19通知の意義は大きい。
    しかしながら通知が出て、自分たちが許可乱発や入札をしている市町村は、こういう状態をまずいなと思いながらも、議会にどう説明していいかわからない。「だから流れがなかなか変わらなかったんです。そして三井会長をはじめ、全清連の方々がこれだけではだめなんだと。環境省が出してくれた通知は今の規制緩和の流れを止めたけれど、止めただけで市町村は変わらない。何とか実効性ある措置を」となって、10.8通知が発出された。この10.8通知には、1月に出された最高裁判決の趣旨というところがある。ここが通知の一番重要なところ。「それを読みますと、平成26年1月28日の最高裁判決は、廃棄物処理法において一般廃棄物処理業は専ら自由競争に委ねられる性格の事業とは位置づけられないと言えるとしており」となっている。「最高裁の判決を引用して環境省の通知に出たということ。これが非常に大きいんです」「議会の先生が入札にせよとか、許可をどんどん出せとかやるわけです。それに対して10.8通知を読んでください。こういうのが国から出ていますよ。最高裁の判決ですよというと、市議会や県議会の先生は黙ってしまう。そういう内容なんですね」。
    また、「8.30通知」(平成11年8月30日付)は、「ブローカー問題を取り上げた始まりだったが平成28年ぐらいまでの15年ぐらいの間にぐちゃぐちゃになってしまった」。ブローカー問題が深くなり、ダイコー事件が起きた。それがために排出事業者責任の徹底を示した「3.21通知」(平成29年3月21日付)が出て、「6.20通知」(平成29年6月20日付)であるチェックリストにつながっていく。
    さらに「3.19通知」(平成24年3月19日付)は、「使用済み家電の不用品回収業者対策」であり、「1.20通知」(平成28年1月20日付)の「許可なく一般廃棄物が収集運搬された事案について」とは、同志社大学で同大学の子会社が一般廃棄物を無断で自己処理と称して、自己搬入といってやっていたものを摘発した事件。「いずれも無許可業者です」。
    「無許可業者、ブローカー対策……。いまここにおられる皆さんが日常的に深くかかわっている問題なんです。どうかこの7本の通知を暗記するぐらい勉強して、行政の方ときちんと打ち合わせをしていただきたい」。最後に山田専務はこう締めくくって説明を終えた。
    研修大会はこのあと大会決議、スローガン採択とつづき、最後は恒例となった「ガンバロー・コール」で滞りなく終了した。


    (研修大会の詳細は、11月下旬発行予定の全清連ニュースに掲載)。

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  • 平成29年度の総会の報告

    全清連・第八回定時社員総会開催
    ~会長に三井崇裕氏を再任~

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連)は、4月26日(水)午後2時より千代田区の如水会館を会場に、オブザーバーを含め総勢230名の出席を得て、第八回定時社員総会を開催した。今総会では任期満了に伴う役員改選が行われ、会長に三井崇裕氏の再任をとり決めた。総会終了後には(公社)大阪府産業廃棄物協会の龍野事務局次長による講演が行われ、席を移しての懇親会では地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長らをはじめとする多数の国会議員、関係省庁幹部らが出席して和気あいあいの祝宴が開かれた。 定刻通りはじまった定時社員総会は、開会に先立ち全清連の「連合会旗」が入場。全員起立し大きな拍手で迎えた。正面に掲げられた国旗ならびに連合会旗に向かって一同君が代を斉唱して総会は幕を開けた。野々村清会長代行(岐阜県清掃事業協同組合理事長)が開会宣言を行い、全清連を代表して三井会長があいさつを述べる。

    三井会長あいさつ

    この1年を振り返ると平成28年度は早々に生じた熊本地震への支援要請を筆頭に、大きな事業がいくつもあったと三井会長は述懐する。熊本地震においては環境省からの支援要請を受けて、「しっかり準備して熊本に入りました。約19日間、機材は520数台、投入した人材は1000名にのぼるという実に大きなものでした。おかげさまで後に環境大臣、熊本市長、益城町町長から全清連に感謝状が授与されました。皆様方、忙しい中を多くの方々が現地に駆け参じまして、市民のライフラインがキープできました。本当にありがとうございます」と出席者にお礼を述べた。6年前の東日本大震災に際しても環境省から支援要請があり、「組織を上げて全力を上げて現地に入り奮闘してまいりました。この実績が大きな反響を呼びまして、災害廃棄物をどうするかということを環境省も取り上げD.Waste-Netという組織をつくり、私どももそこへ登録することになりました」と説明。

    28年度はこのほか、「廃棄物処理法の見直し」「食品リサイクル法の見直し」「容リ法の見直し」などがあったが、こうした中で「皆様にお約束した事業方針がありました。それは最近、全国各地にいるといわれております、仲介ブローカーと言っておりますが、文言的には『第三者』という表現になっております。これを28年度中に何とかきちんとしたいと皆様にお約束した。これも執行部体制の中で頑張っていただきまして、この3月21日付けでこの問題について環境省の方から『こうあるべきだ』というのが出てまいりました。私どもも少しは胸を張ってやり遂げた、という気分があります。今後皆様に大いに活用していただきたいということを申し上げたい」と述べ、続けて「廃掃法の見直し、食品リサイクル法の見直し、容リ法の見直し、そして第三者と言われる仲介ブローカー問題等、これらに私ども取り組んできたわけですが、結果は全部私どもの意見を重んじていただけたということになりました。今日お越しいただいた皆様と一緒に、少しは心休まる瞬間ではないかなと思っている次第です」と心境を語った。そして29年度についても「情報収集をきちっとして、環境保全を前提とした適正処理の推進により、地域のために頑張っていかなければいかんなと覚悟しているところです」と強調した。

    平成29年度の事業計画と役員改選

    このあと議長に大月伸一副会長(新潟県一般廃棄物処理業者協議会会長)を選出し議案を審議。第一号議案・平成28年度事業報告(案)?第四号議案・平成29年度収支予算(案)を満場一致で承認。第五号議案の任期満了に伴う役員改選では執行理事が選出されたのち、別室にて第1回理事会が開かれ協議。その結果、会長に三井崇裕氏の再任を取り決めたほか、執行部役員全員留任となった。
    再任された三井会長は就任のあいさつで「環境保全を前提とした適正処理の推進は私たちの使命です。これを中心にして、問題が降りかかろうともきちっとした対応をすれば、法の目的、制度の目的に向かい邁進できるということは確信をもって言えますし、この18年間やってまいりました。これからも皆様と力を合わせて難関を乗り越えていきたい。私たちにしかできない仕事が沢山ありますので、自信をもって進めていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします」と述べると、会場から大きな拍手が湧き上がった。
    なお、平成29年度の事業計画は山田久専務理事が説明に立ち、基本方針を踏まえた形で具体的には以下の8つを示した。
    ①廃棄物・リサイクル制度に関する対策活動
    ②地方における10.8部長通知等の周知活動
    ③非常災害、大規模災害による生じる災害廃棄物の処理支援活動の取組み
    ④地域廃棄物適正処理推進議員連盟との連携強化ならびに支援強化の取組み
    ⑤組織の充実強化と会員加入促進の取組みについて
    ⑥会員の啓発ならびに広報活動
    ⑦一般廃棄物(ごみ)実務管理者講習会への取組み
    ⑧東南アジアをはじめとする発展途上国に清掃業務車両(パッカー車、トラック車など)を寄贈する取組み

    記念講演:「今、求められる廃棄物処理業の在り方」

    総会後には、(公社)大阪府産業廃棄物協会事務次長の龍野浩一氏による表題の講演が行われた。龍野氏の講演内容は、①廃棄食品の不正転売事件から改めて確認できたこと。②最近の改正動向や解釈の明確化に関する相談内容と反応。③今、求められる廃棄物処理業の在り方=「総合環境事業」として……。の3点が柱。とくに③がメインになる。廃棄物処理業を取り巻く経営環境は、人口の減少や生産拠点等の海外移転などにより廃棄物が減少している。こうした中で処理業は2極化していくという。ひとつは「新しいビジネスモデルの模索」と「異業種の参入」。もうひとつは「許可さえあれば何とかなる。今の仕事が維持できればいい」というものだ。
    そして、求められる廃棄物処理業の在り方としては、「循環型社会」「自然共生社会」「低炭素社会」「安全が確保される社会」といった、従来の枠組みを超えたビジネスモデルの構築が必要と指摘。これを地域に根差した「総合的なインフラ」としてシステム化していくことが重要とする絵柄を示した。

    石破議連会長からも熊本地震への支援要請

    このあと会場を移しての懇親会では全清連の地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長をつとめる石破茂議員が駆けつけあいさつを述べたほか、竹本直一副会長、斉藤鉄夫幹事長ら多数の国会議員や省庁幹部の祝辞・あいさつが続いた。
    石破議連会長は「昨年の熊本震災につきましては、皆様に大変ご支援をいただき大勢の人々が助かったと思っています。国土はきちんと守りますが、皆様一人一人が健康で文化的、快適な暮らしができますように、全清連の皆様と力を合わせてやっていきたいと思います。
    」と述べた。
    乾杯の発声は寺田稔議連事務局長。威勢のよい掛け声とともに出席者一同杯を高く上げ、各テーブルを囲んでの和気あいあいの祝宴に入った。

    総会の詳しい内容については「全清連ニュース85号」をご覧ください。 

    続きを読む: 平成29年度の総会の報告
  • 平成28年度の全国研修大会実施報告

    平成28年度『全国研修大会』を開催 
    ―環境の保全に向け突き進む―

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は10月19日、東京千代田区の砂防会館において全国から600名を超える会員や多数の議員連盟国会議員、関係省幹部らの参集を得て、平成28年度「全国研修大会」を開催した。全清連の活動は廃棄物処理法の下、環境を保全することにある。冒頭のあいさつで三井会長は「環境の保全のために何ができるか。ご提案申し上げながら突き進んでいきたい」と強調。研修大会は環境省の講演、当面の事業方針などが報告された。

    三井会長あいさつ 全清連の活動は環境の保全に帰する

    全国研修大会は開催に先立ち、熊本地震で犠牲になられた方々に全員で黙とうを捧げた。開会の辞に続き正面の国旗および全清連旗に向かい君が代を斉唱したあと、全清連を代表して三井会長が壇上に進みあいさつ。
    三井会長は、全清連が環境省の要請に従い4月末から19日間、熊本地震の災害廃棄物処理支援活動を展開したことに対して、一昨日の10月17日に山本公一環境大臣から感謝状を拝領したことを報告。その感謝状を披露し、会場を埋めつくした会員に向かって「ご協力いただきありがとうございました」と感謝を述べると、会場は大きな拍手に包まれた。
    「全清連の活動は廃棄物処理法にあります環境の保全、これをいかに守るのかに帰するのでありまして、そうでなければ安心安全のライフラインがキープできない。そのために平成10年、規制緩和の嵐が吹き荒れる中、(全清連を)結成させていただきました」と述べた。全清連設立から18年を迎えるがこの間、「議員連盟を結成していただき、様々の問題が生起するたびに議連や関係省庁にも相談に乗ってもらい問題解決に努めてきた」と語った。
    廃掃法の定期見直し、廃棄物管理会社の問題、食リ法の見直し、容リ法の問題などについて触れたあと最後に、「これからも皆さんのお力添えをいただきながら、環境保全のために私どもは何ができるのか、ということについてご提案申し上げながら我々は突き進んでいく覚悟であります」と強調して締めくくった。
    続いて地域廃棄物適正処理推進議員連盟幹事長の斉藤鉄夫議員が、議連を代表してあいさつ。石破茂会長や野田聖子副会長が国会開会中、公務のため出席がかなわず、あいさつができなかったことをお詫びした後、「廃掃法を徹底させるための6.19又は10.8通知、これは最高裁がここはゆるがせにしてはいけないと決めたものであります。どうか皆様、自信をもって通知の徹底を行い、間違った行政に対しては意見具申をしていただきたい」とした。
    このあと、熊本地震の災害廃棄物処理支援活動をされた430名の支援活動者、車両を提供した94社のそれぞれのブロックの代表者に対して三井会長から感謝状が授与された。
    議員連盟、環境省、経産省、農水省幹部のあいさつが述べられたあと、休憩を挟み第2部として環境省廃・リ対策部廃対課の松崎課長補佐と産廃課の相沢課長補佐による講演が行われ、その後の第3部では「当面の事業方針」が山田専務理事より報告された。

    当面の事業方針 環境省通知の学習と周知活動を

    当面の事業方針について山田専務は、6.19と10.8通知の今後の周知活動の進め方について丁寧に説明する。
    「10.8部長通知が発出して2年が経過する。少し振り返ってみたい」と述べ言葉を続けた。団体幹部役員は市町村に対して通知の周知徹底を求めるという前に、役員全員が通知の全文や主管課長会議等の読み合わせを行い勉強し、理解徹底に努めたのかと問いかける。
    個人ではなく団体で「最高裁判決文から環境省が抜粋した部分については、一般廃棄物処理業とは何か、という根本的な問いに対する正確な答えが示されている」とし、「このことを徹底して理解しなければならない」。そのためには、個人ではなく「団体としての組織的な学習活動」が必要で、とくに「会員企業の幹部社員への教育として、6.19通知、10.8通知の全文学習を行うことが必要」と指摘した。
    このほか廃棄物処理法見直しに対してはブローカー問題の対応を国に求めていることや、さらにD.Waste-Netへの登録については、大手事業者中心の体制になっていることへの違和感があること、全清連が自ら努力すべき課題としてエコアクション21の認証取得、業務品質向上マニュアル、BCPなどの取組みは必須であると強調した。
    研修大会はこのあと大会決議、スローガン採択とつづき、最後は恒例となった「ガンバロー・コール」で幕を閉じた。


    (研修大会の詳細は、11月下旬発行予定の全清連ニュースに掲載)。

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  • 平成28年度の総会の報告

    全清連・第七回定時社員総会開催
    ~熊本地震の災害廃棄物処理支援に動く~

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は4月27日(水)千代田区の如水会館において第七回定時社員総会を開催した。4月14日に発生した熊本地震。現地では震災によるごみ処理が急迫した課題となっており、全清連に熊本市や環境省から支援の要請が届いている。これを受けて本総会では急きょ平成28年度事業計画に災害廃棄物の処理支援活動という「熊本地震に対する支援の取組み」を上程、満場一致で可決承認された。総会終了後には明治大学大学院法学研究科の新美育文教授による環境省廃・リ部長通知と最高裁判決についての記念講演が行われ、また席を移しての懇親会には地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長らをはじめとする多数の国会議員、関係省幹部らが出席しての祝宴が開かれた。

    午後1時半からはじまった定時社員総会は出席者全員、熊本地震の犠牲者に黙とうを捧げたあと、全清連の「連合会旗」が入場。大きな拍手で迎えた。正面には国旗ならびに全清連の連合会旗が掲げられている。これに向かって一同君が代を斉唱して総会は幕を開けた。
    「全国の代表総数21名(委任状1通)とオブザーバー217名含めて総勢239名の出席です。これは定款第17条の総会成立要件を満たしております。本総会は廃棄物処理法見直しの年であり、我々の業界にとって重要な事業計画を慎重に審議する場所となります」と野々村会長代行(岐阜県清掃事業協同組合会長)が総会成立を宣言した。

    三井会長あいさつ

    全清連を代表して三井会長があいさつ。「ただいまの野々村会長代行の開会宣言にありましたように廃掃法の見直しが迫っておりまして今年度から環境省が作業に入ると思います。またいろいろな問題が生起するでありましょうが、しっかりした足取りで対応してまいりたいと思っています」。三井会長は冒頭、廃掃法の見直しについて触れ、続いて本総会に初めて出席する会員もいることから、全清連の発足から今日に至る18年間の足取りをかいつまんで説明した。平成10年に全清連は発足した。「結成のときは経団連が規制改革委員会において、私どもがやっている固形一般廃棄物の直営、委託、許可の業を全部自由業にすべきだということを俎上してきたわけです。当時の事務局は総務庁でした。そこへ我々押しかけて行って、『これはどういうことなんだ』ということから始まりまして……。残念ながらその当時は固形一般廃棄物の全国組織がなかったんですよ。まったくなかった。そこから立ち上げて、皆さんの参加、努力のおかげでようやくこの18年間をクリアしてきたわけです。その問題は本当に心血注いで何とか防ぎました」と振り返った。
    このあと、平成20年の6.19課長通知、平成26年の10.8部長通知、また最高裁判決が出された。「このことにおいて私どもの固形一般廃棄物の基礎をつくっていただいた。皆さんが頑張ったからであります」。ただし10.8通知が出たが、「我々は問題解決のために行動を起こさないと絵に描いた餅になる危険性があるわけです」とし、いまだ新規許可を出す市町村の首長がいるなど「10.8通知、最高裁判決からするとあってはならない案件に対して、私どもが首長に対して改善方を要請していく、そういう努力をしていかなくてはならない。それで私どもは地域ごとに全国研修会を毎年開催して、講師を招いてあるいは地元自治体に出席していただいて、廃掃法の制度とはどういうものなのかといったところを説明すると同時に、そうでない市町村に対しては改善していただく。そのことを一生懸命やっている途上であります」と全清連の取組みについて述べた。
    最後に熊本地震への支援活動について、「一日も早く来てほしいというのが熊本市の要請でした。環境省からも部長名でぜひ支援してもらいたい旨の文書が届いております。それを受けて私どもは一刻も早く体制を組んで現地に入って支援活動を行っていきたい。一刻も早く廃棄物の除去のお手伝いをしたいと考えております」と強調した。

    平成28年度の事業計画

    このあと議長に大月伸一副理事長(新潟県一般廃棄物処理業者協議会会長)を選出し、山田専務理事が説明に立って議案を審議。第一号議案・平成27年度事業報告~第五号議案・役員の選任を満場一致で承認したが、平成28年度事業計画については、「熊本地震に対する取組み」を急きょ上程し承認を求めた。支援のスケジュールを山田専務が説明する。4月30日に地震帯から外れている熊本県清掃協議会の天草と山鹿地区のメンバーが7台のパッカー車を出して5月2日まで支援します。そして5月3日からは鳥取、広島、山口、福岡のメンバー車両30台人員60名の体制で入る。今回は緊急ということで、熊本市が用意してくれたクリーンセンター会議室に貸布団を持ってきて泊まります。ただしスペースの関係で40名分しか泊まれない。なので福岡の皆さんには我慢してもらって日帰りで、毎日ピストンでやっていただくことになります。またこれらに係る費用、車両保険や損害保険、食料費用等々に関しては連合会の繰越予算の中から充当します――総会ではこれらの支援活動を承認した。
    なお、平成28年度の事業計画活動方針は、基本方針を踏まえた形で具体的には以下の10項目を示した。
    ①基本方針
    ②廃棄物・リサイクル制度に関する対策活動
    ③地方における10.8通知の周知活動を通した地域の生活環境保全、公衆衛生確保向上のための取組み
    ④全清連の組織充実強化と団体会員拡大のための活動
    ⑤地域廃棄物適正処理推進議員連盟との連携強化ならびに支援強化のための活動
    ⑥会員の啓発ならびに広報のための活動
    ⑦D.Waste-Netへの参画に向けた取り組み
    ⑧一般廃棄物(ごみ)実務管理者講習会への取組み
    ⑨東南アジアをはじめとする発展途上国に清掃業務車両(パッカー車、トラック車など)を寄贈する取組み
    ⑩熊本地震に対する取組み

    石破議連会長からも熊本地震への支援要請

    総会終了後には明治大学大学院の新美教授による記念講演が行なわれた(別掲)。このあと会場を移しての懇親会では全清連の地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長をつとめる石破茂地方創生担当大臣が駆けつけあいさつを述べたほか、野田聖子副会長、竹本直一副会長、斉藤鉄夫幹事長、寺田稔事務局長ら錚々たる国会議員や省庁幹部の祝辞・あいさつが続いた。石破議連会長は熊本地震に触れて「現地において、ごみの処理をどうしようかと困っておられる。全清連の方のお力をお借りしたい。お願いします」と支援を要請し、地震や津波の災害の歴史を語った。地域創生ということでは「地域地域で頑張っている方々、そこにきちんとしたいい仕事があり、ふさわしい収入があり産業が栄える。そういう意味で皆様方にお世話になることはこれから先、増えることはあっても減ることはないと思っております」と結んだ。
    このあと南川秀樹特別顧問の発声により乾杯。和気あいあいの祝宴が繰り広げられた。

    全清連第七回定時社員総会 記念講演

    明治大学大学院法学研究科・新美育文教授

    新美教授の講演テーマは「廃掃法の適正な運用の徹底に係る環境省廃・リ部長通知と最高裁判決」というもの。平成20年の環境省6.19課長通知、平成26年の10.8部長通知、それに平成19年11月30日の東京地裁判決と平成26年1月28日の最高裁判決という一連の流れから、そこに示されている一般廃棄物に関する基本的な考え方を、環境法の研究家の立場から解説した。以下は講演要旨。
    平成26年10.8通知の前に平成20年6.19通知がある。「これが本来、一般廃棄物に関する基本的な考え方が示されている」(新美教授)わけで、「そのまま素直に決定されたのならよかったのですが紆余曲折があり、最高裁に諍いが持ち込まれた。そしてその決定を受けて10.8通知になった」。
    6.19通知発出には前提があったと新美教授は語る。それは平成19年11月30日の東京地裁の判決が6.19通知のベースになっていると指摘する。東京地裁で判決が出された訴訟とは簡単に言うと、一部の住民が、武蔵村山市が平成16年、平成18年の各年に締結したごみ収集運搬業務委託契約は、地方自治法第234条2項に違反する随意契約であると主張し、住民監査請求を起こし損害賠償金の支払い請求を求めた事案。要するに随契で行ったことは一般競争入札ではないから違法だという主張だ。これについて東京地裁は住民の訴えを退けた。その理由について長々と述べているが要諦としては『価格の低廉性を重要な要素と位置付ける一般競争入札によっては、その趣旨の実現を図ることは困難である』ということ。その趣旨の実現とは、廃棄物処理法による一般廃棄物の適正な処理は、住民が衛生的な環境下において健康で文化的な生活を営むことを指す。
    こうした諍いがたびたびあったので、廃掃法の趣旨をより徹底するということから6.19通知が出されたわけだが、それでも「首長さんの中には廃掃法の趣旨が十分理解できていなくて、一般競争入札に流れることもないわけではない。一般競争入札の問題については6.19通知ではっきり出されたが、実はちがう諍いも出てきたわけです。随契でやるというのは、首長が自分の裁量でやっていいのかという問題です。この問題が現れたのが最高裁の平成26年1月28日判決であり、それを踏まえて平成26年10.8部長通知が発せられているわけです」。
    最高裁も平成19年の東京地裁の考えを確認している。「一般廃棄物処理業はもっぱら自由競争に委ねられるべき性格の事業とは位置づけられていない。許可要件に関する市町村長の判断にあたっては、区域における一般廃棄物処理業の適正な運営が継続的かつ安定的に確保されるように、地域内の需給の均衡とその変動による既存の許可業者の事業への影響を適切に考慮することが求められる」と最高裁は考え方を述べている。
    要するに「首長は処理計画がきちんと行われるように施策を講じていかなければならない。そのための処理業者選定については、経営基盤や技術などいろいろなものを考慮する必要がある。自由裁量ではない。現在の許可業者は他の処理業者に対してなされた許可に対して利害関係を持っている。処理計画にきちんと配慮した、実現するための許可なのか、ということについて訴えあるいは異議を述べることができると最高裁は言っているわけです」。そういったことからも改めて市町村の一般廃棄物処理責任の性格を通知した「10.8部長通知は熟知完読しておく必要がある」。

    総会の詳しい内容については「全清連ニュース79号」をご覧ください。

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