全清連NEWS
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第106号 令和5年(2023年)1月31日

一般社団法人全国清掃事業連合会会長 三井弘樹
~自分の足元を見つめ、足場を固め、ローカルSDGs実現を~

令和5年の念頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。 今年は「癸卯」(みずのと・う)の年です。「癸」は水を意味するとともに、十干の最後にあたり、植物の種子が育って形になった状態を意味しています。「卯」とは本来地面から芽が出ることを意味している言葉だといいます。このため癸卯の年は、小さな芽が育つように物事が少しずつ動き出し、水を与えることで、控えめであっても着実に成長する一年であると古来より伝えられているそうです。 昨年を振り返れば長く続いた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックも、国民の感染防止の努力とワクチン接種等の効果もあり、社会経済活動も徐々に再開してまいりました。私ども一般社団法人全国清掃事業連合会も、令和元年のパンデミックの初期から感染防止対策を徹底し、従業員の健康を守り、業務継続することを最優先と考え、多くの行事を自粛してまいりましたが、行動制限が解除されたこともあり、参加人数の制限等の感染防止対策を徹底した上で、昨年10月、東京に全国の会員が集まり、3年ぶりとなる全国研修大会を開催することができました。また全国各地での地方研修会も再開しつつあります。 癸卯の今年こそ、各種の事業が本格的に動き出し、成長していくことを心から願ってやみません。 令和5年の我が国を取り巻く状況は決して楽観できるものではありません。行動制限は解除されたとはいえ、新型コロナウイルス新規感染者は昨年末より上昇の動きを見せ「第8波」と考えられる状況にあります。薄氷を踏む思いで事業を続けている会員も多いと思います。さらに世界中が英知を結集して新型コロナや地球温暖化、貧困対策等の問題解決に力を合わせるべきこの時代に勃発したロシアによるウクライナへの侵略戦争は、人類全体の存続を脅かす暴挙であるとともに、エネルギーや必要な物資の不足や高騰も招き、私どもの事業継続や経営にも大きな逆風となっています。高齢化社会と人口減少への対応も求められますし、台風や集中豪雨、地震等への備えも続ける必要があります。 このような時代だからこそ、私たちは小さな芽に水をやり、丁寧に育てていく努力を積み重ねなければなりません。 地域環境保全と循環型社会の構築に挑戦し続け、一歩ずつ業績をあげてきた業界として、足元を見つめ、足場を固め、地域と日本を持続可能とするための事業を行政や市民にも提案し、実現していくことを誓いたいと思います。癸卯の今年一年、共に頑張りましょう。

地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長・衆議院議員 石破茂
~激動する社会で、環境保全優先のSDGs推進を~

年頭所感

◎環境省環境再生・資源循環局局長 土居健太郎「廃棄物適正処理と循環経済実現に向けて」 ◎ 農林水産省大臣官房新事業・食品産業部外食・食文化課課長 須永新平「食の持続性確保へ再資源化施策を一層推進」 ◎ 経済産業省産業技術環境局資源循環経済課課長 田中将吾「資源自立経済の確立に向けて」

「環境で地域を元気にする地域循環共生圏」
令和4年度第7回理事会で環境省講演会開く

(一社)全国清掃事業連合会は1月14日、令和4年度第7回理事会に先立ち環境省地域政策課地域循環共生圏推進室の佐々木真二郎室長を講師に招き講演会を開催した。地域循環共生圏(ローカルSDGs)とは自立・分散型の持続可能な社会のことで、環境省では地域の主体性、地域内外の協働による環境・社会・経済の同時解決によってこれを実現しようとしている。全清連も地域を持続可能なものとするため令和4年度事業計画にローカルSDGsの推進を掲げており、講演会では改めて地域における課題と地域循環共生圏の目的、取り組みのポイント、先進事例に関して説明があった。 講演の始まりにあたって佐々木室長は、自身の考えとして豊かな自然を後世に継承していくことの重要性を述べた。その上で、現在の地球環境について「人間活動に伴う地球環境の悪化はますます深刻となり、地球の生命維持システムは存続の危機にある」とプラネタリー・バウンダリー(地球の限界)について説明した。 原因は人間の生活、経済、社会システムにあり、「やはり地下資源に頼りすぎている。できるだけ地上の資源に転換していかなければならない。すなわち再生可能エネルギーや自然資本など、再生できるものを自然再生のスピードで活用し、持続可能に使えるようにしなければならない。また、作って売るということについても、大量生産・大量消費・大量廃棄から、適量生産・適量購入・循環利用に転換する必要がある。 資本主義もまた、経済優先で突き進むと大きな資本が力を持ち、地域経済や社会、環境にしわ寄せが行く。そのために行き過ぎのところにはブレーキをかけ、調和するというSDGsの考え方が必要と言われ始めた」と述べた。
●環境、経済、社会的課題の同時解決へ 日本国内の状況については、「例えば私が赴任していた対馬、福井、阿蘇などでも見られたが、人口減少が著しく、地域コミュニティの存続というのが最優先の課題になっている。グローバルな課題、資源循環への問題意識がないということではなく、それよりも優先すべき課題が沢山あるということ。 少子化、高齢化、空き家、シャッター街、水産資源の減少、一次産業従事者の減少や後継者不足、観光地の交通渋滞、自然災害など課題は多く、それに加えてウクライナ情勢を受けたエネルギー価格の高騰など、地域が抱える課題は増える一方にある。そうした中で私たちは持続可能な社会、次世代の人たちが暮らしていけるような地域をつくるよう取組みをしなければならない。持続可能な地域を自立した地域と捉えれば、自分たちで課題を解決し続けられる地域というのが本当の意味での持続可能な地域ではないかと考えられる」と先進事例の分析等によって得られた今後の地域のあり方について考えを述べた。 「事業基盤は地域プラットフォームの形成」「課題の同時解決、主体性、協働が三原則」「外部資源や人材依存で地域活性化は困難」「課題やビジョンの共有が事業のスタート」……佐々木室長の講演はまだまだ続く。