全清連NEWS
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第102号 令和4年(2022年)2月28日

新年のご挨拶
一般社団法人全国清掃事業連合会会長 三井弘樹
~固形一廃処理業の”付加価値の最大化”へ挑戦~ 

令和4年の念頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。 さて、昨年中は、全国の会員の皆様に対して令和2年1月から始まっている新型コロナウイルス感染症に対する感染防止対策のさらなる徹底・継続をお願いし、現在に至るまで大事に至るケースは発生しておりません。また、環境省の6.16事務連絡を踏まえたワクチン早期接種要望活動、COVID-19感染拡大下におけるBCP策定要望活動の展開においても会員の皆様から格別のご理解・ご協力をいただき、各府県連から大きな前進、成果の報告を頂いております。これらの全清連会員の皆様による地域の環境保全・公衆衛生向上を目的とする業務を継続し、担い手である従業員の皆様を守るためのご努力に対して、まずもって心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。 一方、国レベルでは昨年もまた、我が国の環境規制を緩和して、経済合理性優先の社会へ誘導しようとする動きがありました。それは一つには「再生可能エネルギー発電施設を設置するために環境規制を撤廃すべき」という要求であり、一つには「産業廃棄物は産業資源だから、産廃規制を緩和しろ」という要求でした。これらの規制撤廃要求に対しては、地域廃棄物適正処理推進議員連盟ならびに環境省環境再生・資源循環局にご相談申し上げて、環境省として毅然とした回答をしていただきましたが、引き続き本年も注意深く情報収集を行なって、環境保全を大前提とした廃棄物処理法制度の仕組みを守っていく必要があります。まさしく、6.19通知、10.8通知が求めているところを根幹的立場にして、新たな時代、新たな課題に向けて道を切り開いていかなければなりません。 全清連は、令和2年度事業計画から環境省の呼びかけに応えて「誰一人取り残されない世界」を目指すSDGsの理解・実践に取り組んできています。令和2年10月に菅総理が打ち出した「2050カーボンニュートラル」についても環境省の要請に応えて取り組み始めており、その具体的展開のひとつが、本年4月に施行されるプラスチック資源循環促進法に対する積極的な関与です。この新法の仕組みを市町村が導入する、しないに関わらず、市町村段階ならびに事業系一廃排出者段階の分別収集方法の変更等、様々な変化が出てくると予想されますので、新法及び政省令・告示をしっかりチェックして懸念事項の解消に努める必要があります。 さらに私たちは、2050カーボンニュートラルに関わる取組みと並行して、持続可能な地域社会づくり=ローカルSDGsの具体的展開も意識し実践していかなくてはなりません。そのことは、持続可能な会社づくり・持続可能な社員づくり・持続可能な家族づくりにもつながっていくことだと思っています。 結びになりますが、今後のローカルSDGsチャレンジへのヒントとして叡啓大学の石川雅紀先生が述べられている言葉を紹介したいと思います。 「企業が持続可能であるためには利益ではなく、付加価値の最大化を目指すべきであり、SDGs活動は企業の本業領域での営利活動に深く埋め込んだ活動として展開するべきである」 今年一年、共に頑張りましょう。

地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長・衆議院議員 石破茂
~環境規制のあり方踏まえ持続可能な地域構築へ~ 

年頭所感

◎環境省環境再生・資源循環局局長 室石泰弘「温室効果ガス排出削減へ プラスチック等廃棄物分野の対策推進」
◎ 農林水産省大臣官房新事業・食品産業部外食・食文化課課長 須永新平「食品廃棄物の発生抑制、循環利用へ施策展開」
◎ 経済産業省産業技術環境局資源循環経済課課長 羽田由美子「経済と環境の好循環の実現に向けて、プラスチック資源循環促進法の施行」

リモート対談

適正処理や脱炭素など課題山積する中、ローカルSDGsを推進
地域廃棄物適正処理推進議員連盟事務局長 寺田 稔 衆議院議員・内閣総理大臣補佐官 一般社団法人 全国清掃事業連合会 三井弘樹 会長 令和4年の新春にあたり、全清連の三井弘樹会長は、地域廃棄物適正処理推進議員連盟の寺田稔事務局長と対談を行った。新型コロナウイルス感染症の拡大から、2月9日に対面からリモート形式に改め実施し、コロナ禍、頻発する災害、固形一般廃棄物の適正処理、脱炭素、地域の持続性確保に係る取組みについて、安全保障にも直結する気候変動問題を踏まえて意見交換した。

重要性を増す固形一廃、処理事業の継続性確保
――寺田先生にコロナ禍を踏まえた固形一廃処理についてお考えを伺います。
寺田 新型コロナウイルス感染症の拡大、近年の災害の頻発、気候変動の問題、これらすべてを取り上げても、我々の生活に不可欠な一般廃棄物の適正処理、この重要性が増してきていることは論をまたないところです。 3年半前、広島県でも西日本豪雨災害が発災しました。被災された方には改めてお見舞いを申し上げますとともに、全清連の皆様方には災害時においても片付けごみ、生活ごみの収集にご尽力いただき改めて感謝と敬意を申し上げます。これも地球温暖化の影響が大きく、台風が北上しても勢力が弱まらず、いわば熱帯型モンスーンのまま日本に直撃することが増えております。 ご存知のように昨年の6月末から7月にかけて、梅雨前線に伴う豪雨災害が発生しました。これも地球温暖化の影響によって台風を超える豪雨をもたらし、竹原、三原地区を中心に河川の氾濫、鉄道・道路の寸断など大きな被害が発生しました。ここでも多量の災害ごみが発生し、全清連の皆様にご尽力いただきました。 改めて非常時、そして平時においても、この地域廃棄物の適正処理という問題は大きなこととして取り組まなければならないと実感した次第です。

三井 一般廃棄物の適正処理をいかなる時にも継続するというのは、私どもが向き合い続けなくてはならない課題です。しかし、コロナ禍においても、廃掃法の改悪、規制緩和という動きが生起しております。こうした動きを速やかに察知して、慎重かつ迅速に対応していかなければならないと思っております。 また、感染症の拡大で、今回も必要性を痛感したのは予備人員の確保です。感染、待機により、現場を離れる従業員がいたとしても、予備人員を確保していれば業務がストップすることはありません。これは災害時において、通常業務に携わりながら災害支援を行う場合も同じです。 しかしそのためには、安定的な事業基盤の確保、委託業務の予算拡充、許可業者に対する料金設定の改善は必要不可欠です。委託業務で言うと、今は随意契約、競争入札というパターンがあり、市町村が一定の裁量権を持ちますけれども、私どもは一般廃棄物の収集運搬業務は随意契約が本来のあるべき姿ということを長年主張してきております。経済合理性のみを追求した競争入札では予備人員を確保する余裕はなく、こうした非常時においては一層強く感じます。 寺田 適正業務のための安定的な事業基盤の確立、まさにその通りです。廃掃法では、市町村に一般廃棄物の統括的処理責任を課していますが、市町村がその責務を果たし、適正な業者との随意契約によって適正処理を確保することは大変重要なことです。そのために6.19通知、10.8通知をはじめ、多くの環境省通知において市町村の処理責任が言及されています。各市町村がその重要性を十分に理解し、委託基準を満たした形で随意契約を結び、そして適正処理の確保と、有事にも対応できる業者育成を図っていくことは国の政策にも沿うものです。
――本文の一部を掲載。対談はこのあと、「プラ資源循環促進法」「ごみの有料化」「ローカルSDGs」「地域の持続性確保」などについて意見が交わされた――