活動報告
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活動報告

  • 令和元年度の全国研修大会実施報告

    令和元年度『全国研修大会』開催 
    地域が持続可能であるために
    私たちができること、成すべきこと・SDGs

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井弘樹会長)は10月23日、東京千代田区の砂防会館において令和元年度「全国研修大会」を開催した。全清連会員600名の参加をみて開催された今研修大会のメインテーマは『地域が持続可能であるために――私たちができること、成すべきこと・SDGs』。人口の減少ならびに少子高齢化が急速に進む日本。こうした状況にあっていま最も問われているのは、持続可能な地域づくりということだ。このことは国の第五次環境基本計画の重要な柱である「地域循環共生圏」に通底しており、さらに地域循環共生圏という概念は、2015年に国際社会193カ国が決定したSDGs(持続可能な開発目標)を受けてのものといえる。地域の持続が不能に陥ってしまうと、そこに位置する企業や社員や家族も将来的な持続性を維持できない。一般廃棄物処理事業に従事する全清連会員企業は、これまで遂行してきた地域の生活環境保全と公衆衛生向上業務が、SDGsに重ね合うことを確認するだけでなく、持続可能な地域にするためにはどうしたらよいか課題を洗い出し、行政や地域住民、他業界事業者と連携して考え、何らかの役割を担っていく必要がある。研修会ではSDGs・地域循環共生圏づくりに取り組む全清連会員企業5社の事例発表も行われ、持続可能な地域づくりを深く考える場となった。

    全国研修会は、台風19号で犠牲になられた方々に全員で黙とうを捧げたあと開会となった。
    第1部では全清連を代表して三井弘樹会長のあいさつ、来賓の地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長をはじめ出席した先生方、さらに環境省、経済産業省、農林水産省から幹部らのあいさつと続いた。
    第2部は全清連会員企業5社によるSDGs・地域循環共生圏づくり取り組み事例発表。
    続く第3部では全清連の山田久専務理事が「地域が持続可能であるために、私たちができること、成すべきこと・SDGs」と題して問題提起した。
    このあと大会決議および大会スローガンの採択へと進んだ。

    三井会長あいさつ

    持続可能な地域・会社・社員・家族……であるために

    三井会長はあいさつの中で、台風19号による災害支援活動と研修大会の意義の2つについて述べた。まず、「改めてこのたびの台風19号による犠牲者の方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災にあわれた方々にお見舞い申し上げます」と述べたあと、災害支援活動については10月15日に環境省から全清連に対して正式に災害支援要請が出されたことを報告した。「全清連として組織的にどうすべきかを検討してまいりました。環境省さんとも相談させていただきながら地域の状況、被災の状況等々を総合的に判断いたしまして、長野県長野市、千曲川のあたりですが、そこへ支援活動に入るということを正式に機関決定いたしました。皆様現地に入られると思いますが、この場で皆様にお願いしたいということで、いまお話させていただきますことをご理解いただきたい」と要望した。現地支援活動は第1陣が10月26日に、第2陣は11月2日にそれぞれ入ると予定を説明。
    10月19日に現地との打ち合わせを兼ねて、三井会長を含め全清連幹部6名で現場を見て回った。「今まで東日本大震災、熊本地震、広島の土砂災害、西日本豪雨災害など、支援活動をしてまいりました。そのときの経験値があると思っていたのですが、その時の状況とは似ている部分と、まったく異なる部分があります。千曲川の穂保地区。リンゴ畑がありリンゴ農家があるところですが、それを見たときは愕然というか、手のつけようがないというか……。そんな思いで帰ってまいりました」と現場の惨状を説明した。「地元の住民の方は相当なフラストレーション、やり場のない気持ちで日々撤去作業をされております。そういうところへ行く我々は、そういうことを想定して行かなくてはなりません。非常に苛酷な作業です。精神的にこちらもフラストレーションが溜まる時もあります。しかしながらこれは、復旧・復興するための第一歩であると思っていただきたい。そこはぐっと我慢して作業にあたっていただきたいというのが私の切なる思いです」と被災地の人たちの気持ちを思いやるよう要請した。
    研修大会の説明に移った。「本日の研修会は、地域が持続可能であるために私たちができること、成すべきこと・SDGsというのがメインテーマになっています。これは地域が持続可能であるためには、持続可能な会社をつくるためには、持続可能な社員を育てるには、持続可能な家族を守るためには、ということであります。いままで我々がやってきたこともSDGsです。しかしながらまだ足りないことも沢山あります。それをひとつずつ積み上げて進化する。前に進む。これが全清連のSDGsです。決して難しいことをやってほしいということではありません。そういうつもりで今日の研修会を聴いてもらいたいと思います」。 最後に三井会長はお礼と報告として、全国清掃事業連合会の代表者として10月22日に執り行われた「天皇即位礼正殿の儀」に参列したことを述べた。「環境省より全清連が参列の対象者として推挙いただきまして、たまたま私がいま代表でありますので昨日、宮殿の豊明殿の間に参列してまいりました。たぶん、もう二度と入ることがないだろうと思いながら一歩一歩かみしめて歩いて帰ってきました。改めて令和を迎えて我々全清連は、日本国のために、地域のために何をすべきかを考えると心が震えて、身体が震えてたまりませんでした。このことは全清連が石破議連会長をはじめ、多くの議連の先生のご指導の下、あるいは環境省のご指導の下の賜物と思っております。改めてお礼申し上げます。先代から今日皆さんにお集まりいただいたご尽力の結果であります。このこともあわせて御礼申し上げます」と締めくくった。

    議員連盟・中央省のあいさつ

    地域廃棄物適正処理推進議員連盟を代表して会長の石破茂衆議院議員のあいさつ(要旨)=今日の全国研修会はSDGsのお話がメインかと思います。最近日本語に訳しにくくなってきておりますが、SDGsはSustainable Development Goals 。持続可能な開発目標ということなんだそうです。ということを今掲げなくてはいけないということは、この我々が住んでいる地球も、我々が暮らしている祖国日本も持続可能ではない。次の世代にはないかもしれないという危機感がなければこうした言葉は登場いたしません。
    日本人が今1年に45万人ずつ減っています。昨年1年間で北海道から沖縄まで、小中高等学校あわせると500校がなくなっております。日本人はいま1億2700万人いるんですが、昭和22年~24年の団塊の世代の方は今の3倍生まれていますから、やがて1年に100万人減る時代が来るわけです。するとあと80年経つと日本人は5200万人になるのです。計算すればそうなる。日本人が5000万人を超えたのは明治の終わりのこと。「ああ、その頃に戻るんだね」と言う方が時々いらっしゃるのですが、それは全然違う。明治の終わりの5000万人というのは若い人がいっぱいいて、歳が上に行くにつれて人が少なくなるという時代だった。これから先はその逆なんで、若い人が少なくて歳が上がるほど人が増えるという人口構成になります。この社会はこのままではもちません。
    日本国中47都道府県、1718市町村全部状況は違います。どうすれば一つひとつの地域で、このSDGsを達成するか、そしてそれぞれの皆様のお仕事があります。医療のお仕事、建築のお仕事、介護のお仕事……。それぞれの地域においてそれぞれの皆様において、いかにこのSDGsを達成するかということをやっていかなければなりません。
    日本の国というのは先送りが文化みたいなところがあります。人口が増えて経済が伸びているときはいろんなことを先送りしても何とかなる。これから人口が減って、経済が急に伸びるはずがない状況にあって、先送りすればするほど次の時代にものすごく負担がかかるということであります。そんなことをやっていてはいいとは思わない。皆様とともにそのような社会をつくるために、私ども議連としても今後とも活動したいと思っております。
    環境省環境再生資源循環局・山本昌宏局長のあいさつ(要旨)=三井会長からお話がありましたように、三井会長自ら台風19号の被災地に入っていただき、長野市におきまして災害廃棄物の処理のお手伝いをいただけるということで、本当にありがとうございます。この災害だけでなく、東日本大震災以来、たび重なる災害ごとにいつも迅速に頼りになるご活躍をいただいておりますこと、まずもって御礼申し上げます。 本日の研修会のテーマであります、まさに持続可能な地域をつくっていくSDGsを考えるということについては、本当に皆様方のお仕事そのものが地域の循環を担っていただいていると。これをどう地域の発展につなげていくのかということをしっかり考えるのが地域循環共生圏だと思っております。環境省としてこれから持続可能な世界をつくっていくうえで地域を持続可能なものにしていくということが一番大事であります。皆様と一緒に考えていきたいと思っております。

    SDGs・地域循環共生圏づくり取組み事例発表

    (SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193カ国が2016年から2030年までの15年間で達成するために掲げた世界共通の17の目標(ゴール)。ひとつの目標につきおよそ10の細かなターゲットが示されており、合計169のターゲットにより17の目標が構成されている。17の目標をクリアしていけば持続可能な社会構築に近づくということになる)
    取組み事例発表企業と報告者は次の5社。
    1.㈱丸共(代表取締役・林隆生:新潟県、社員数:正社員68名パート社員25名)。
    2.(有)三功(代表取締役・片野宜之:三重県、社員数:正社員60名アルバイト15名)。
    3.藤野興業㈱(専務取締役・片山敏:大阪府、社員数:従業員142名、うち正社員117名)。
    4.因幡環境整備㈱(総務部長・高塚雅史:鳥取県、社員数:従業員180名)。
    5.(有)共栄資源管理センター(専務取締役・江口祥弘:福岡県、社員数30名パート含む)。
    上記5社に共通する取組み事業として、一廃・産廃の収集運搬があげられる。廃棄物を収集することでまちの美化を保ち、公衆衛生の向上に資している。ルート収集やエコドライブなどを実施していれば省エネや気候変動対策にも取り組んでいることになる。これをSDGsの目標に重ね合わせると、「目標3.すべての人に健康と福祉を」「目標7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」「目標11.住み続けられるまちづくり」「目標12.つくる責任、つかう責任」「目標13.気候変動に具体的対策を」などにひも付けすることができる。 このほか5社はリサイクルをはじめ様々な取り組みをしている。たとえば丸共の場合は、産官学による廃熱を利用した水耕栽培の実証実験を進めている。これはSDGsの「目標2.飢餓をなくそう」「目標11.住み続けられるまちづくり」「目標17.パートナーシップで目標を達成しよう」に連携する。三功は食品リサイクル(堆肥化)に取り組んでいる。堆肥化して農作物を供給することは、焼却費用の低減、CO2削減、堆肥を地域の農家に使ってもらう、廃棄物資源化の地域循環システム――といった様々のキーワードが立ち上がる。SDGsの「目標7」「目標12」「目標3」「目標17」「目標13」のほか、「目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「目標15.陸の豊かさを守ろう」に符合する。藤野興業は下水道の包括委託管理にも取り組んでいる。この場合はSDGsの「目標11」「目標12」「目標13」のほか、「目標6.安全な水とトイレを世界に」「目標14.海の豊かさを守ろう」がひもつけできる。因幡環境整備は、食品リサイクル・環境保全農業、空き家対策のための多量ごみの処理対応や施設見学の受入れなどにも取り組む。食品リサイクルはSDGsに重ね合わせると前出の三功と同様。「空き家対策」は「目標11」「目標12」「目標15」に、また「施設見学受入れ」による情報提供は、「目標4.質の高い教育をみんなに」と連携する。共栄資源管理センターは、太陽光発電システムを社屋・リサイクル受付センターに設置している。またエコドライブも推進している。これはSDGsの「目標7」「目標13」にひも付けできる。

    問題提起:山田久専務理事

    全清連山田専務理事より、今全国研修会のメインテーマである「地域が持続可能であるために私たちができること、成すべきこと・SDGs」を取り上げ問題提起が行われた。
    「全清連は本年4月の定時社員総会において、結成20周年の成果を踏まえた新たな一歩を刻む令和元年度事業計画を決定しました。その新たな一歩とは、国際社会が決め、それを受けて日本政府も実施指針を策定したSDGsの取組みを、第五次環境基本計画の重要な柱である「地域循環共生圏構築」と重ね合わせて遂行しようという方針です」。山田専務理事は配布資料を読み上げつつ説明を加えていく。「全清連会員企業は、これまで遂行してきた地域の生活環境保全と公衆衛生向上の業務が、SDGsに重ね合うことを認識するだけでなく、会社と従業員ならびに家族が将来にわたり持続できるのかという視点で総点検できるようになります。また、地域社会が持続不能になっていく要素を洗い出し、それを持続可能にするためにはどうすればよいか、ということを行政や地域住民、他業界事業者と連携して考え、何らかの役割を担っていくことも地域循環共生圏づくりの一環と言えます」。
    全清連会員企業が遂行してきた業務をSDGsに重ね合わせるということは「ひも付け」ということだ。さらに地域社会が持続不能(持続可能ではない)に陥っていく要素を洗い出し、持続可能にするにはどうすればよいかを、地域関係者を巻き込んで考えていき、行動に移していく――。

    「これらの考え方を別な表現でいうと、「我々の業を持続可能なものにするには、これからは受け身、守り一辺倒ではなく、会社の内外に対しても持続可能性の観点で提案型の姿勢に転換していく必要がある」と訴えた。

    (研修大会の詳細は、全清連ニュース第95号をご参照ください)

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  • 平成30年度の全国研修大会実施報告

    平成30年度『全国研修大会』開催 
    ~頻発する災害、心を引き締めて環境保全優先の循環型社会構築を!~
    全清連設立20周年記念、総括と展望

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は10月24日、東京千代田区の砂防会館において平成30年度全国研修大会を開催した。全清連は平成の末年となる本年、設立20周年を迎えた。メモリアルとなる今大会の会場は、メインスローガン「頻発する災害、心を引き締めて環境保全優先の循環型社会構築を!」が掲げられ、全清連会員600名の参加をみて膨らんだ。地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長、斉藤鉄夫幹事長、寺田稔事務局長らをはじめ、関係省幹部ら多数の来賓から設立20周年のお祝辞をいただいた。三井会長は20年前に全清連という組織を立ち上げた経緯を述べるとともに、この20年間を回顧し活動成果などを報告した。また、全清連設立20周年記念として地域活動功労者ならびに中央活動功労者を表彰。山田久専務理事による「全清連20年の総括と展望」が問題提起され、全清連は次の20年に向けて新たなスタートを切った。

    研修大会は3部で構成。第1部では全清連を代表して三井会長のあいさつ、来賓の地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長をはじめ出席した先生方、さらに環境省、経済産業省、農林水産省から幹部らの祝辞と続いた。
    第2部は全清連設立20周年記念として、地域活動功労者77名と中央活動功労者11名をそれぞれ表彰。
    続く第3部では全清連の山田久専務理事が「全清連20年の総括と展望」と題して、20年前から現在までの固形一般廃棄物処理業をとりまく社会変化と全清連の対応、人口減とごみ減が招来する将来の課題について問題提起した。 その後大会は大会決議および大会スローガンの採択へと進んだ。

    三井会長あいさつ

    今後も生活環境の保全、適正処理推進に全力で取り組む

    一般社団法人全国清掃事業連合会は本年、設立20周年を迎えました。これもひとえに会員並びに関係各位のご支援の賜物と、ここに改めて感謝申し上げます。
    さて、全清連が設立された平成10年といいますと、私どもの固形一般廃棄物業界は危機的な状況下に置かれていました。7月26日付け日経朝刊に「家庭ごみ処理民営化」、即ち固形一般廃棄物の直営、委託許可を全部廃止し自由業にすべきだとする、いわゆる規制緩和の嵐の中で、規制緩和委員会での検討内容が掲載されたのです。これには私、びっくりしました。そして同志の仲間に呼びかけ急遽上京し、情報を収集する傍ら同委員会や環境省を足繁く訪れ撤回への折衝を行いました。
    その過程にあって平成10年8月12日に「全国清掃事業連合会」を設立。8月20日には「規制緩和抗議大会」を、さらに9月21日には全国から1000名を超える業者が結集し「適正処理推進大会」を決行し、私どもの状況を訴え規制緩和の白紙撤回を強く関係方面へ強く要望したのです。とても熾烈な交渉でしたがその結果、委員会では「当面の間、留保する」との結論となり、この最大の難局はひとまず回避することができました。本当に涙が出る思いでした。
    20年を顧みますと、私どもの業界はこの規制緩和を発端とする一般廃棄物の定義や区分見直し等、様々な問題が次々と提起されてまいりました。これらの難題にどのように対処すべきかと日夜思いを巡らせておりました。その当時、今は故人になられましたが衆議院議員の武藤嘉文先生にお会いして、たくさんの助言を得て14年12月「地域廃棄物適正処理推進議員連盟」を結成していただきました。関係省庁と全清連が良好な関係の基にその後の折衝を行い得たのも議連の存在、役割が大きいと認識しております。
    当時の規制緩和や自由競争至上主義といった逆風の中、私ども全清連は孤軍奮闘し地域環境の保全、適正処理推進の立場から論陣を張り対処してまいりました。
    その中で大きな転機が訪れました。設立10年を経た平成20年のことです。その年、環境省から6.19課長通知が発出されました。この課長通知は「環境保全は人類の生存基盤にかかわる極めて重要な課題」とされました。その重要性を力説し、市町村にごみ処理の統括責任がある。経済性優先であるべきではないとしたものです。規制緩和や地方分権論が声高に唱えられていた時期に、また市町村の廃棄物処理への責任意識が希薄化する中で発出された通知でありました。まさに闇の中の光明であり、全清連が環境省や議員連盟と協議を重ねた末にようやくその活動が成果をみた瞬間ではなかったかと思う次第です。
    その後、平成26年1月28日には廃掃法に係る最高裁判決が出ました。同じ平成26年10月8日には環境省部長通知も発出されました。最高裁判決は「一般廃棄物処理業は適正処理が重要で、継続的かつ安定的に確保される必要がある」とする判決文でした。この司法の最高機関の判決を踏まえて業の許可の運用にも触れたのが同年10.8の部長通知でした。部長通知であることに大きな意義があります。担当部局はもちろんのこと市町村長、財政部局を含め自治体全体でごみの適正処理を認識し、進めなければならないとしたものです。実に画期的な通知でございました。
    市町村長裁量による新規許可あるいは入札導入などで廃業の不安に苦しみ続けてきた業界にとってこれは、輝かしい希望でありました。私ども全清連の活動が成果を見た思いでございました。またこれら通知により、固形一般廃棄物は確固たる理念を共有できるに至ったと理解しております。
    全清連はそうした一方で、災害支援でもその団結力と機動力を発揮してまいりました。平成23年の東日本大震災、28年の熊本震災、また西日本の豪雨による災害など日本列島を襲った自然災害に対して大量の廃棄物を撤去するために、全国から多くの人材そして機材を導入し、復旧支援活動を行ってまいりました。被災地の自治体や住民の方々からは感謝の言葉をたくさんいただきました。そうした活動が認められ環境省からは29年1月に、災害廃棄物処理支援ネットワーク「D.Waste-Net」のメンバーに任命されました。 全清連はこれからも多事多難が予想されますが、環境省そして議員連盟のご指導と理解を得る中で、国内の生活環境保全、適正処理の推進に全力で取り組むことをお誓い申し上げ、あいさつといたします。

    議員連盟・中央省から祝辞

    地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長、石破茂衆議院議員の祝辞(要旨):三井会長のお言葉にありましたように20年前、日本経済新聞に規制緩和委員会から、固形一般廃棄物の処理について、その取り扱いを自由化すべきではないかという記事が出たのが事の発端でした。規制緩和というのは何のためにやるのだろうか。それは経済活動を活発化し、個人の所得を増やすためにやるのであって、価格破壊だけが目的ではありません。むしろ価格破壊のみが目的ならやってはいけないものだと思っています。一般論として人口が減るときに価格を下げてはいけない。給料を下げてはいけない。いかにしてサービスの質を上げるかということが大事なのであって、まさしく皆様方に従事していただいておりますこのお仕事は、このサービスの本質にかかわるものであり、地球全体の環境をどうやって維持するかにかかわるものであります。
    全国1718市町村、理解に乏しいところもあります。安ければいいだろうというところもないわけではありません。皆様方の活動の意義がきちんと理解され、そして人々の幸福、福祉の増進に資するべく私ども皆様とともにこれから先も頑張っていきたいと思っている次第です。

    環境省環境再生資源循環局・山本昌宏局長の祝辞(要旨):一般廃棄物の処理、これは生活を支える大事なものでありまして、先ほど三井会長から丁寧なご紹介がありましたように、一般廃棄物処理についての重要性、市町村の統括的責任の重さといったことについて類似の通知を出させていただいて周知をしてきたところです。ただ、それをいかに現場に浸透させるかというところは環境省の大事な役割と思っております。それぞれの市町村できちんとした計画をつくり、また皆様方のお力をお借りしてしっかりとした処理が行われるよう引き続き周知に努めてまいりたいと思っております。

    全清連設立20周年記念

    地方活動功労者表彰 中央活動功労者表彰

    全清連20年の総括と展望:山田久専務理事

    山田専務理事より「全清連20年の総括と展望」と題して問題提起がされた。本年6月19日に閣議決定された「第四次循環型社会形成推進基本計画」の重要部分を引用しつつ、山田専務は「我々が直面している問題とは何か、方向として何が重要なのかということを提示したい」と切り出した。平成12年に成立した循環型社会形成推進基本法。この法律に基づいて策定された第一次循環基本計画から本年の第四次循環基本計画までの時代背景と廃棄物処理法の関わりなどを解説し、「循環基本計画は政府全体で決定したもの。お客さんなどからこういうことが書いてあるけどどうなの? と聞かれたときに何も言えないようじゃしょうがない。中身を抑えておく必要がある。セールストークができないといけない」と、仕事をしていく上で廃棄物処理法、環境省発出の通知はもちろんのこと、循環基本計画も勉強しておくことは必須であると述べた。 日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに漸減。2018年から30年後の2048年には1億人を切り9913万人と推計されている。当然ごみの量も減る。第四次循環計画もそのことに触れている。こうした数字を示しながら山田専務理事は「30年後に業をやるには深刻な問題。確実に仕事が減っていく時代になる。その時どうするか。ダンピングして仕事を取り合いするのか? そうではなく競争から協調に変わらないといけない。共存共栄という発想にならないと生き残っていけない」「行政を巻き込まないといけない。そのためにはセールストークを磨かなければいけない」と述べ、社会の大きな流れを見据えながら、30代、40代、50代といった若い経営者の感性でもって問題解決へ向けての取組みをしていってもらいたい、とした。
    (研修大会の詳細は、全清連ニュース第90号をご参照ください)

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  • 平成29年度の全国研修大会実施報告

    平成29年度『全国研修大会』を開催 
    ―進むべき道は廃棄物の適正処理の推進―

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は10月25日、東京千代田区の砂防会館において全国から600名を超える会員や多数の議員連盟国会議員、関係省庁幹部らの出席を得て、平成29年度「全国研修大会」を開催した。冒頭のあいさつで三井会長は、昨年の廃棄物処理法の定期見直しなどを含め我々を取り巻く情勢は変化してきており、問題が生起してくるであろうが「廃棄物の適正処理の推進、これを目指して、過去もそうでありましたが、これからもそれを目指してやる。進むべき道は一本です」と強調した。3日前に行われた衆議院選挙の余韻が冷めやらぬ中、駆けつけて頂いた地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長の石破茂衆議院議員や議連の国会議員の方々のあいさつ、神戸大学大学院経済学研究科の石川雅紀教授によるダイコー事件の総括にする講演、全清連山田久専務による当面の事業方針の報告などがつづき、有意義な研修大会となった。

    三井会長あいさつ

    過去もそしてこれからも、廃棄物適正処理推進の道

    全国研修大会は開会の辞に続き正面の国旗および全清連旗に向かい出席者全員で君が代を斉唱したあと、全清連を代表して三井会長が壇上に進みあいさつを述べる。
    平成28年度に廃棄物処理法の定期見直しが行われ、今年6月に法改正が公布。公布されない部分は通知等により措置されたと述べた三井会長は、続けて「私たちを取り巻く情勢は刻々と変化してきております。直近では規制権限の及ばない第三者の問題がございまして、これは悩ましい問題ではありますけれども、これも3月21日、そして6月20日に通知を発出いただきました。ただ一方では、相手方のほうは、皆さんご存知のように違法ではないという解釈に立っておられるということで、この問題については私どもこれから非常にしんどい戦いがあるんではないかという風に予測されます。また、今日は神戸大学の石川先生の講演がございます。この講演もダイコー問題を捉えて、先生の考え方をおっしゃると思いますので、最後まで研修していただきたいと存じます」と一廃処理業界を巡る課題などについて触れた。そして最後に「これからますます我々を取り巻く問題が生起してくるでありましょうけれども、強い意識ですね、廃棄物の適正処理の推進――これを目指して、過去もそうでありましたが、これからもそのことを目指してやるしかございません。進むべき道は一本ですので、深くご理解を賜って、最後までお付き合いをお願いしたいと思います」と強調して締めくくると会場からは大きな拍手が湧き上がった。

    石破議連会長あいさつ

    ブローカー問題で、法の形骸化を懸念

    続いて地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長の石破茂衆議院議員が、議連を代表してあいさつ。「廃掃法という法律は法律の中でも難しい法律でありまして、ぱっと読んだだけでは何が書いてあるのかよくわからんというところがございます」と切り出した石破会長は、「ただ、趣旨としてあの法律は第6条、第7条というところがポイントであると私は理解をいたしておるところでございます」と市町村処理責任を指摘。しかし「法律はいま、会長からお話があのましたように、いろんな考え方が成り立ちますもので、いわゆるブローカーというものが、我々は違法ではないんだというのですが、ぎりぎり考えるといろんな議論があるんだと思いますが、たぶん、法の形骸化というのはこういうことを言うのだろうと思っております。そういうブローカーが暗躍することになりますと、廃掃法6条、7条の趣旨というのはまったく生きてこないことになります」と懸念を示した。
    議連の国会議員のあいさつは、議連副会長の野田聖子議員、事務局長の寺田稔議員をはじめ山本幸三議員、岸田文雄議員、二乃湯智議員らを含め多数から祝辞が寄せられ、つづいて環境省、経産省、農水省幹部らのあいさつが述べられた。

    講演・ダイコー事件の総括

    排出事業者責任とは

    休憩を挟み第2部は講演会、第3部は当面の事業方針についての説明が行われた。
    神戸大学大学院経済学研究科の石川雅紀教授を講師に迎えて開かれた講演会のテーマは、「ダイコー事件の総括―そこで問われたことは何か?」。平成28年1月にカレーチェーンを全国展開するココ壱番屋(ココイチ・愛知県一宮市)が、産業廃棄物(冷凍ビーフカツ)の処理を産廃処理業者のダイコーに委託したが、処理されずに不正転売されたこの事件は世間を騒がせた。当時、マスコミの報道や社会の風潮は「壱番屋は被害者。対応は立派。わるいのは産廃処理業者だ」というものだった。これに対して石川教授は「壱番屋が真っ白だというのは何かおかしい。ひっかかる」と自身の受け止め方を語る。それは、汚染者支払いの原則(PPP)によれば、「自分の出した廃棄物がどうなっているのか、管理していないのは明らか」ということになり、ダイコー、みのりフーズと並んで、ココ壱番屋も汚染者であるという結論に達する――。石川教授はこの事件をきっかけに、排出者責任とはどういうことなのか、論を展開する。

    当面の事業方針

    環境省発出の7本の通知の理解を深めよ

    第3部では「当面の事業方針」が山田久専務理事より説明された。
    環境省はこれまで、一般廃棄物の適正処理推進に関して7本の通知を発出している。山田専務はこの7本の通知を改めて整理し、その重要性を説明した。発出された7本の通知はリンクしており、ひとつの「かたまり」となっている。一廃処理業者は理解を深め熟知しておく必要がある。たとえば、「6.19通知」(平成20年6月19日付)と「10.8通知」(平成26年10月8日付)は、ワンセットになっている。6.19通知が発出された平成20年の時代背景を山田専務はこう説明する。「平成5年からバブルが崩壊した。失われた20年ともいわれている。景気はデフレになった。そうするとどういうことが起きたかというと、規制緩和です。要するに規制を撤廃せよと。そうすることによって経済活動が活発化すると。だから市町村もどんどん許可を出し、入札、入札となった」。その時に6.19通知が出た。「一般廃棄物処理業の分野に規制緩和が押し寄せたときに、環境保全の重要性ということが一番最初に書いてある。当時は環境保全の重要性ではなく、経済合理性を優先するという社会なんです。市町村も何から何まで入札すればいいと。議会から責められますからね」。それだけに6.19通知の意義は大きい。
    しかしながら通知が出て、自分たちが許可乱発や入札をしている市町村は、こういう状態をまずいなと思いながらも、議会にどう説明していいかわからない。「だから流れがなかなか変わらなかったんです。そして三井会長をはじめ、全清連の方々がこれだけではだめなんだと。環境省が出してくれた通知は今の規制緩和の流れを止めたけれど、止めただけで市町村は変わらない。何とか実効性ある措置を」となって、10.8通知が発出された。この10.8通知には、1月に出された最高裁判決の趣旨というところがある。ここが通知の一番重要なところ。「それを読みますと、平成26年1月28日の最高裁判決は、廃棄物処理法において一般廃棄物処理業は専ら自由競争に委ねられる性格の事業とは位置づけられないと言えるとしており」となっている。「最高裁の判決を引用して環境省の通知に出たということ。これが非常に大きいんです」「議会の先生が入札にせよとか、許可をどんどん出せとかやるわけです。それに対して10.8通知を読んでください。こういうのが国から出ていますよ。最高裁の判決ですよというと、市議会や県議会の先生は黙ってしまう。そういう内容なんですね」。
    また、「8.30通知」(平成11年8月30日付)は、「ブローカー問題を取り上げた始まりだったが平成28年ぐらいまでの15年ぐらいの間にぐちゃぐちゃになってしまった」。ブローカー問題が深くなり、ダイコー事件が起きた。それがために排出事業者責任の徹底を示した「3.21通知」(平成29年3月21日付)が出て、「6.20通知」(平成29年6月20日付)であるチェックリストにつながっていく。
    さらに「3.19通知」(平成24年3月19日付)は、「使用済み家電の不用品回収業者対策」であり、「1.20通知」(平成28年1月20日付)の「許可なく一般廃棄物が収集運搬された事案について」とは、同志社大学で同大学の子会社が一般廃棄物を無断で自己処理と称して、自己搬入といってやっていたものを摘発した事件。「いずれも無許可業者です」。
    「無許可業者、ブローカー対策……。いまここにおられる皆さんが日常的に深くかかわっている問題なんです。どうかこの7本の通知を暗記するぐらい勉強して、行政の方ときちんと打ち合わせをしていただきたい」。最後に山田専務はこう締めくくって説明を終えた。
    研修大会はこのあと大会決議、スローガン採択とつづき、最後は恒例となった「ガンバロー・コール」で滞りなく終了した。


    (研修大会の詳細は、11月下旬発行予定の全清連ニュースに掲載)。

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  • 平成28年度の全国研修大会実施報告

    平成28年度『全国研修大会』を開催 
    ―環境の保全に向け突き進む―

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は10月19日、東京千代田区の砂防会館において全国から600名を超える会員や多数の議員連盟国会議員、関係省幹部らの参集を得て、平成28年度「全国研修大会」を開催した。全清連の活動は廃棄物処理法の下、環境を保全することにある。冒頭のあいさつで三井会長は「環境の保全のために何ができるか。ご提案申し上げながら突き進んでいきたい」と強調。研修大会は環境省の講演、当面の事業方針などが報告された。

    三井会長あいさつ 全清連の活動は環境の保全に帰する

    全国研修大会は開催に先立ち、熊本地震で犠牲になられた方々に全員で黙とうを捧げた。開会の辞に続き正面の国旗および全清連旗に向かい君が代を斉唱したあと、全清連を代表して三井会長が壇上に進みあいさつ。
    三井会長は、全清連が環境省の要請に従い4月末から19日間、熊本地震の災害廃棄物処理支援活動を展開したことに対して、一昨日の10月17日に山本公一環境大臣から感謝状を拝領したことを報告。その感謝状を披露し、会場を埋めつくした会員に向かって「ご協力いただきありがとうございました」と感謝を述べると、会場は大きな拍手に包まれた。
    「全清連の活動は廃棄物処理法にあります環境の保全、これをいかに守るのかに帰するのでありまして、そうでなければ安心安全のライフラインがキープできない。そのために平成10年、規制緩和の嵐が吹き荒れる中、(全清連を)結成させていただきました」と述べた。全清連設立から18年を迎えるがこの間、「議員連盟を結成していただき、様々の問題が生起するたびに議連や関係省庁にも相談に乗ってもらい問題解決に努めてきた」と語った。
    廃掃法の定期見直し、廃棄物管理会社の問題、食リ法の見直し、容リ法の問題などについて触れたあと最後に、「これからも皆さんのお力添えをいただきながら、環境保全のために私どもは何ができるのか、ということについてご提案申し上げながら我々は突き進んでいく覚悟であります」と強調して締めくくった。
    続いて地域廃棄物適正処理推進議員連盟幹事長の斉藤鉄夫議員が、議連を代表してあいさつ。石破茂会長や野田聖子副会長が国会開会中、公務のため出席がかなわず、あいさつができなかったことをお詫びした後、「廃掃法を徹底させるための6.19又は10.8通知、これは最高裁がここはゆるがせにしてはいけないと決めたものであります。どうか皆様、自信をもって通知の徹底を行い、間違った行政に対しては意見具申をしていただきたい」とした。
    このあと、熊本地震の災害廃棄物処理支援活動をされた430名の支援活動者、車両を提供した94社のそれぞれのブロックの代表者に対して三井会長から感謝状が授与された。
    議員連盟、環境省、経産省、農水省幹部のあいさつが述べられたあと、休憩を挟み第2部として環境省廃・リ対策部廃対課の松崎課長補佐と産廃課の相沢課長補佐による講演が行われ、その後の第3部では「当面の事業方針」が山田専務理事より報告された。

    当面の事業方針 環境省通知の学習と周知活動を

    当面の事業方針について山田専務は、6.19と10.8通知の今後の周知活動の進め方について丁寧に説明する。
    「10.8部長通知が発出して2年が経過する。少し振り返ってみたい」と述べ言葉を続けた。団体幹部役員は市町村に対して通知の周知徹底を求めるという前に、役員全員が通知の全文や主管課長会議等の読み合わせを行い勉強し、理解徹底に努めたのかと問いかける。
    個人ではなく団体で「最高裁判決文から環境省が抜粋した部分については、一般廃棄物処理業とは何か、という根本的な問いに対する正確な答えが示されている」とし、「このことを徹底して理解しなければならない」。そのためには、個人ではなく「団体としての組織的な学習活動」が必要で、とくに「会員企業の幹部社員への教育として、6.19通知、10.8通知の全文学習を行うことが必要」と指摘した。
    このほか廃棄物処理法見直しに対してはブローカー問題の対応を国に求めていることや、さらにD.Waste-Netへの登録については、大手事業者中心の体制になっていることへの違和感があること、全清連が自ら努力すべき課題としてエコアクション21の認証取得、業務品質向上マニュアル、BCPなどの取組みは必須であると強調した。
    研修大会はこのあと大会決議、スローガン採択とつづき、最後は恒例となった「ガンバロー・コール」で幕を閉じた。


    (研修大会の詳細は、11月下旬発行予定の全清連ニュースに掲載)。

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  • 平成27年度の全国研修大会実施報告

    平成27年度『全国研修大会』を開催 誇りをもって国家に貢献

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は10月28日(水)午後1時より、東京千代田区の砂防会館において平成27年度「全国研修大会」を開催した。会場には全国から600名の全清連会員らが参集。来賓には地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長の石破茂地方創生相をはじめとする31名の国会議員、および関係省幹部が出席し、多くのご祝辞や激励の言葉を頂いた。環境省が廃・リ対策部長名で一般廃棄物処理に関する通知(10.8部長通知)を発出してから1年が経過する今大会、三井会長は冒頭のあいさつで10.8通知をもとにした当該市町村との交渉・協議の必要性をトップに、容器包装リサイクル法の見直しについての考え方、災害廃棄物処理への取組み――といった固形一般廃棄物業界にとって喫緊の課題である3点について述べ、全清連という全国組織としてのあり方を示した。第二部では講演が行われ、環境省の二木豪太郎廃・リ対策部廃棄物対策課基準係長が「一般廃棄物の適正処理に関する諸問題について」説明した。第三部は当面の事業方針の発表、大会決議、スローガン採択等が行われた。

    三井会長あいさつ 10.8通知の活用の必要性など3点

    研修大会は盛大な拍手に迎えられ全清連の連合会旗入場で幕が開く、大前副会長が力強く開会を宣言し、次いで全員が起立して君が代が斉唱された。
    全清連を代表して三井会長が壇上に進みあいさつ。「今日の全国研修大会は、ちょうど昨年、環境省から10.8通知が発出され早いもので1年が経過します」と切り出した三井会長は、3つの要点について述べた。一つ目は16年間をかけて発出を受け止めた10.8通知について。この1年間、全清連として全国各地で問題のある市町村に対して積極果敢に協議を申し入れた結果、相当数が解決の方向に向かっているようだが、まだ十分な理解を得ず、交渉続行中というところも多々あるとの現状を述べた。その上で「問題の市町村とはこれからも誠心誠意をもって交渉を積み重ねることを強く要望します」と全清連会員に訴えた。他方、「私どもは要求することだけでなく、自分たちの正すところは姿勢を正して、BCPの策定、エコアクション21の認証取得、環境法令遵守などの推進を整備し、業務品質を向上させて国家に大きく貢献していかなければならない」とした。
    二点目は容器包装リサイクル法の見直し審議について。1年以上審議会が開かれず検討がストップした状態が続いている容リ法制度の見直し議論だが、容リ法も廃掃法同様に「法の目的、趣旨がある。一体この法律は何を求めてつくられたのかということを、(容リに関係する)皆さんが立ち返っていただければ、おのずから回答は出てくるのではないか」と、容リ法の原点に立ち返るべきと強調した。
    最後の三点目は災害廃棄物処理に対する業界の取組み。災害発生が多い日本にあって、災害廃棄物処理の推進について環境省から固形一廃の全清連と、同じ一廃の液状の組合にも声がかかった。全清連は東日本大震災にも行き、京都、広島で発生した災害にもその都度出動して懸命に災害廃棄物処理に取り組んできた。いわばこうした場合の現場のプロといえる。こうしたことから会長は「災害時にはわれわれ一廃業者という誇りを持って、国家に寄与してく組織をつくっていきたい」と述べ、「自分のところが災害が起きれば、絆の精神で懸命に、我々ができる仕事はやらなくちゃいかんと思うんです。全清連という全国組織が羽ばたく大きなものが出てきたわけですので、その時には我々は手を携えて頑張りましょう」と結んだ。

    石破茂議連会長あいさつ「法の趣旨の再確認を」

    議員連盟ならびに関係省から多数のごあいさつ、ご祝辞をいただいた。31名の国会議員を来賓として迎えた議連を代表して石破茂議連会長があいさつを述べる。「この議連は何という名前かというと、地域廃棄物適正処理推進議員連盟という名前です。まさしく名は体を表すであって、それぞれの地域において、いかに適正に処理されるかということを推進するのだ、というのがこの議員連盟の趣旨であります。三井会長のおっしゃった法の趣旨というものを、もう一度確認しようというものであります」と議員連盟の名称が表す根幹を説明。そして、「一般廃棄物は自由競争になじまないのだと。なぜなのか。安ければよいという話にならない。その地域、地域の行政が責任をもって適正に処理されるということでなければならない。だとすれば、それは自由競争に委ねられてはならないという法の趣旨を、今一度徹底しなければならないということであります」と論を展開した。
    また容リ法についても、「なぜコストが高い方を優先枠として設けているのだろうか。これまた法の趣旨になるわけでございます。リサイクルをするということと燃料にして燃やしてしまうということは、決して同じ話ではないはずだと。法の趣旨はそういうことではないはずだというのが私は原点であろうというふうに思っておりますが、それは同じであるという不思議な主張があるとすれば、それなりの論拠があっておっしゃっているのだと思います。それはどういう論拠でおっしゃっているのか。我々としてなぜ50%優先枠をこれから先も維持していかなくてはいけないのか。何が法の趣旨なのかということをきちんと確認しながら我々は行動していかねばならないと考えています」と法の趣旨の確認を強調した。
    そして最後に、「地域においていかにして循環型社会を維持するか、これまた廃掃法の趣旨でございますが、快適な社会として維持することができるのか。その実現に向けて共に努力をしてまいりたいと考えています」と締めくくった。

    講演会・一般廃棄物の適正処理に関する諸問題について

    続いて環境省廃・リ対策部廃棄物対策課の二木豪太郎基準係長による講演「一般廃棄物の適正処理に関する諸問題について」が開かれた。二木係長の講演は、①一般廃棄物処理計画の適正な策定及び運用について、②事業系廃棄物の取り扱いについて、③使用済物品等の適正な処理の確保について、④非常災害時の災害廃棄物対策について――それぞれのポイントなどを説明した。
    ①については平成20年の6.19課長通知から平成26年の10.8部長通知発出までの経緯や背景を、平成26年1月の最高裁判決などを織り交ぜながら述べた。②では、市町村が事業系廃棄物の取り扱いについて、一廃又は産廃とする解釈を変更する場合は、産廃の適正処理に努めることとされている都道府県に相談した上で、排出事業者への周知を徹底する必要がある。また最近、小規模事業所や商店かなどの事業所から排出される少量プラスチック等を産廃として扱う事例が上がっているが、そうなった場合、小規模事業者に対してマニフェスト交付など排出者責任に基づく様々な規制がかかることに留意する必要があるとした。③は違法な不用品回収業者、引っ越し時に発生する廃棄物の処理、遺品整理に伴う廃棄物の取り扱い、水俣条約を踏まえた水銀廃棄物対策などについて解説。遺品整理については、一般家庭で整理した遺品の中で廃棄するものは一般廃棄物になる。なので、一般廃棄物の収集運搬の許可を得ていない遺品整理業者ができる業務は、依頼を受けた家庭内の敷地内で、遺品を整理するところまで、というポイントを述べた。④では非常災害時における廃棄物処理法の特例として、一般廃棄物の処理の再委託の特例が設定されたことが重要ポイントのひとつと説明した。

    当面の事業方針

    研修会も終盤の第三部に入り、全清連・山田専務理事が当面の事業方針を問題提起という形で発表した。6.19通知と10.8通知がどれほど重みのあるものなのか。しっかりと受け止め勉強する必要がある。10.8通知では最高裁判決(平成26年1月28日)を抜粋してあるが、環境省がこうした抜粋を添付することはかつてなかったことだ。研修大会スローガンにあるように我々は環境省通知に基づき、入札方式導入と新規許可の乱発反対を主張してきた。一部の人間はこれを業界エゴだという。しかしそうではない。環境省通知も最高裁判決もそれを指摘している。国や最高裁の考えとしてそれはある。が、じつはこれは「諸刃の剣」である。最高裁判決にあるように、一廃発生量に応じた需給状況の下における適正な処理が求められている。だから一廃処理業は専ら自由競争に委ねられるべき性格の事業ではない。が、処理量に応じた需給ということでは、許可業者が多ければ削減することも可能になる。我々がそうならないためには勉強して、行政が求めるレベルの一歩、二歩先を行く廃棄物処理、地域住民や議会、行政から信頼され支持される業務品質の向上、達成が必要になってくる。最後に山田専務は「これからの10年。全国津々浦々まで10.8通知を行き渡らせないと我々の未来はない」と締めた。
    研修大会はこのあと、大会決議、スローガン採択とつづき、最後は恒例となった「ガンバロー・コール」。こぶしを突き上げガンバローという全員による大きな掛け声が、深まりゆく秋の永田町にこだました。
    (研修大会の詳細は、11月下旬発行予定の全清連ニュースに掲載)。

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  • 平成26年度の全国研修大会実施報告

    平成26年度『全国研修大会』を開催 実りある成果

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は10月20日(月)午後1時より東京千代田区の砂防会館において、全国から全清連会員、地域廃棄物適正処理議員連盟議員、各省庁ら600名を超える関係者の参集を得て平成26年度「全国研修大会」を開催した。今研修大会は記念すべきものとなった。環境省は都道府県・政令市に対して10月8日、廃・リ対策部長名で一般廃棄物処理に関する通知(10.8部長通知)を発出した。本年1月の最高裁判決を踏まえた形でのこの画期的とも思える通知により一廃業界は、長年懸案であった様々な問題を克服していける橋頭堡を築くことができたからだ。三井会長は冒頭のあいさつで、「全清連設立から16年、ようやく私たちの地位の確保ができたものと思っています」と強調した。研修大会は第一部・全清連三井会長ならびに議員連盟、各省庁のあいさつからはじまり、第二部では環境省山本廃・リ対策部企画課長が「一般廃棄物処理に関する今後の取組について」と題して、平成20年6月19日付環境省課長通知(6.19通知)、1月28日の最高裁判決、少量廃プラを含めての事業系廃棄物の取り扱いなどについて幅広く説明。第三部では当面の事業方針、招待団体等紹介、大会決議、スローガン採択――で進められ、出席者にとって非常に価値ある研修大会となった。

    三井会長あいさつ「16年かけて勝ち取った成果」

    研修大会は盛大な拍手に迎えられ全清連の連合会旗入場で幕が開き、次いで全員が起立して国歌が斉唱された。

    全清連を代表して三井会長が壇上に進みあいさつを述べる。「本日の、平成26年度全国研修大会は、非常に意義深いものがあるのではないかと皆さんにご報告したいと思います」と切り出した三井会長は、組織を立ち上げてから16年が経つがこの間、「我々は現行の廃掃法と現場で起きている色々な問題に、悩み抜いた気がしております」と述べ、平成20年には環境省から6.19通知が発出されたものの市町村への周知徹底が十分ではなく、新規許可の問題、委託の入札化の問題、勝手に区分を変更する市町村、また不用品回収の無許可業者の取締り問題等々様々な問題に悩み、苦慮してきた心中を語った。こうした中で今回、環境省から10.8通知部長通知が発出された。「部長通知という過去に例がない出来事です。私たちの業を将来に向かってやり遂げるための非常に大きな担保になると理解しています。これについて我々もずいぶん努力してきたつもりです。議連の方にも相談し、大変なご尽力をいただきました。環境省の方にも現場の声に耳を傾けていただき、10.8通知が出されたものと確信しています。本当に頭が下がる思いです」と述べると会場から大きな拍手が湧き起った。そして「我々はこれを希望として、ようやく16年かかって私たちの地位の確保ができたものと思っています。皆さんと共に闘ってきた成果を認めていただいた。現場の声、それを認めていただいたのをうれしく思います。本日はしっかり研修して価値ある一日でありたい思います」と締めくくった。

    野田聖子議連副会長あいさつ「思いを引き継ぎ周知徹底の運動を続けていく」

    議員連盟ならびに関係省庁から多数のごあいさつ、ご祝辞をいただいた。議員連盟の石破茂会長は地方創生特別委員会のため出席かなわず、代わって議連を代表して野田聖子議連副会長があいさつを述べた。「平成20年に6.19通知が発出されましたがこの間、市町村によって相当温度差があってまったく聞く耳も持たない地方自治体も発生していると。現場にいらっしゃる皆様方は苦しい思いをしてらっしゃったと思います。で、全清連、議連がしっかり力を合わせて、廃掃法の原理原則を全国の自治体に浸透させていかなければならないということで今日を迎えたわけです。前会長の中川先生が必死にお取組いただいたこの精神を引き継ぐべく石破先生のもと、全清連の皆様と勉強会を通じていろいろと学ばせていただきました。まだまだ力不足かもしれませんが精一杯努力を続けてきたところであります。結果、最高裁での判決を受けて、このたび平成26年10月8日に部長通知という形で重たい通知が出たことは皆様方に申し上げるまでもないことと思います。今後、三井会長はじめ、16年間頑張ってこられた思いを絶やすことなく、私たちが引き継いで全国津々浦々、周知徹底にいそしんで、現実のものとしていく運動を続けていくことを議連を代表してお約束いたします」と語った。斎藤鉄夫議連幹事長や議連国会議員のあいさつが続く。
    省庁からは環境省、経産省、農水省の幹部があいさつに立った。環境省の鎌形廃・リ部長は、最高裁判決が示されたことに加えて一廃処理に関連した大規模な不適正処理事案が、いまだ解決をみないまま長期化していることから「今般、廃棄物処理法の目的、周知を改めて都道府県、政令市のトップに周知するため10月8日付で部長名で通知を発出した。今後様々な機会をとらえて実務に携わる方々にも周知徹底を図ってまいります」と述べた。
    また最後に中川秀直全清連特別顧問が「最高裁判決にありますように、皆様のお仕事は非常に公共性が高い。品質向上とか業務の確実な履行とか、本当に国民、地域住民から信頼されるような仕事を皆でつくりあげていかないといけないと思います。そして議連の皆様方、地域で皆さんと勉強して共々、いい方向に行くというのが重要と思います」と、まとめのあいさつ。

    講演会・一般廃棄物処理に関する今後の取組について

    続いて環境省廃・リ対策部企画課・山本課長による講演「一般廃棄物処理に関する今後の取組について」が開かれた。1900年(明治33年)に制定された「汚物掃除法」から1970年(昭和45年)の廃棄物処理法、そして平成に入った1990年代から今日までの廃棄物問題の変遷を説き起こし、時代が変わろうとも、行政が移り変わってもその底流には常に「衛生問題がベースとしてしっかりあるということです」と説明する山本課長の講演は、「一般廃棄物の市町村処理責任について」「6.19通知」の意味、本年1月28日の「最高裁判決」、少量廃プラを主体とする「事業系廃棄物の取り扱い」など広範囲にわたり、丁寧かつわかりやすく解説した。さらに会場との質疑応答は一般廃棄物処理業者にとって、廃棄物処理法に位置づけられた自分たちの業を理解するうえで非常に参考になるものだった(くわしい内容は全清連へお問い合わせください。)

    当面の事業方針

    研修会も終盤の第三部に入り、全清連・山田専務理事が当面の事業方針を問題提起という形で発表した。「10.8部長通知という画期的なものが出されましたが、これからが正念場。これをいかに活用していくかです。行政は法律がまったくわかっていないから我々を無視したことをやる。廃棄物処理法はこういう特別なものですよ、という運動をやっていかなくてはならない。で、環境省がこういう資料を出してくれたから、(我々は行政に対して)説明することができるという形になってきたということです。全清連はここに価値がある。お互い理解して地元の方々に支持されることが大事になる。明日からいい仕事をしましょう」と気を引き締めつつ総括した。研修大会はこのあと、新規入会会員(栃木県小山市と兵庫県川西市の一廃業者)の紹介、大会決議、スローガン採択とつづき、最後は恒例となった「ガンバロー・コール」を全員で行い幕を閉じた。
    (研修大会の詳細は、11月下旬発行予定の全清連ニュース第73号に掲載)。

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  • 平成25年度の全国研修大会実施報告

    平成25年度『全国研修大会』を盛大に開催

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は10月23日(水)午後1時より東京千代田区の砂防会館において全国から630余名の会員が出席し、平成25年度の「全国研修大会」を盛大に開催した。研修大会は第一部・全清連三井崇裕会長ならびに議員連盟、各省庁のあいさつ、第二部・地域活動の事例発表、第三部・記念講演、当面の事業方針、招待団体等紹介、大会決議、スローガン採択――からなる三部構成で進められた。昨年12月の衆院選挙さらに今年7月の参院選挙の結果、自公が大躍進を遂げ磐石な政権与党が誕生したことは改めて言うまでもない。これにより全清連議員連盟へのご加盟も増え、衆参の国会議員49名の先生方で構成されることとなった。三井会長は冒頭のあいさつでこのことに触れ「非常に強烈な議員連盟の形ができました」と、全清連の組織が強固なものになったとの認識を示した。また地域活動の事例発表では熊本県清掃事業協議会の廣田専務理事が、同協議会への会員加入促進策を報告し、さらに講師に磯﨑参議院議員を迎えての講演では、議員になる前の自身の民間企業勤務時代の経験を織り交ぜながら、一般廃棄物処理業の性格ならびに全清連活動に期待することを語った。当面の事業方針では全清連の山田専務が、産業界ばかりでなく最近では「市町村側から一廃・産廃のなし崩し的な区分変更の事案が多く生起している」と指摘し、それへの対応として「廃棄物処理法の解説」をもとに一廃・産廃の区分についてのポイントを示した。研修大会は中身が濃いものとなり、出席者は熱心に聞き入っていた。

    強烈な議員連盟が構成され、全清連の組織も強固なものに

    研修大会は歌手中島みゆきの「地上の星」のインストルメンタルが会場に流れる中、盛大な拍手に迎えられ全清連の連合会旗入場でスタート、次いで全員が起立して国歌が斉唱された。
    全清連を代表して三井会長が壇上に進みあいさつ。今年の7月末から8月初旬にかけてのゲリラ豪雨により山口市では災害が発生し、地元の前田理事長が早速準備して災害除去を展開した。また9月には同様に京都府がゲリラ豪雨に見舞われ、福知山市では山本会長以下、率先して災害支援の準備をし、東海、近畿ブロックからも全清連会員が馳せ参じ災害復旧のために奮闘した。これらはいずれも無償支援活動として行われたもので、この活動に関して三井会長は冒頭、「私どもの行動の展開でした。皆さんにご報告申し上げたいと思います」と述べた。また昨年12月の衆院選と今年7月の参院選の結果、自公による完全制覇が達成されたことについて「全国の会員の皆様にご支援のお願いをしてきたことでありますが、この席をお借りしましてお礼申し上げる次第です」と感謝し、続けて「中川秀直先生が議員を引退しました関係上、新しい議員連盟は会長に自民党の石破茂幹事長に就任をお願いいたしました。副会長には自民党の竹本直一先生と公明党の斉藤鉄夫先生に、そして事務局長には野田聖子先生にお願いいたしました」と地域廃棄物適正処理推進議員連盟の新陣容を報告。加えて「中川先生にはこの4月の総会で特別顧問をお願いしましたところ、快くお引き受けいただきました。また前環境省事務次官の南川秀樹先生にも特別顧問を快諾していただきました」と述べた。
    全清連の議連は「現在49名の衆参の先生方で構成されていることをご報告申し上げます。非常に強烈な議員連盟の形ができたわけです」とし、全清連の組織が一段と強固なものになったことを強調した。

    規制を緩めればいいというものではない

    議員連盟ならびに関係省庁から多数のごあいさつ、ご祝辞をいただいた。議員連盟は代表して会長の自民党石破幹事長が「環境というのは基準を緩めるとあまりいいことはありません。法律はそれなりに良く出来ているのでありますが、それを誰がどのように運用するかで結果は全く異なってまいります」と述べ、小型家電リサイクル法にしても附帯決議が付けられていることを示し「それがきちんと運用されなければこの法律は機能することはございません」と法の運用がいかに大切であるか指摘し、「儲かればいいやという人が入ってくる。技術の低い人が入ってくる。これは規制緩和の名の下に環境がわるくなり、公衆衛生がわるくなる」と警鐘を鳴らす。「私どもとして、何でもかんでも規制を緩めればいいとは思っていません。特定の団体、特定の企業を保護するという考えには基づいていません。どうやって環境を守り、どうやって公衆衛生を守るのか、そのためにはどう法を運用していくか。我々議連としても誤りなきようしたい」と法の運用のもとでの環境優先の考え方を述べた。
    議連の竹本副会長、斉藤副会長、野田事務局長らをはじめ衆参30名の先生方からのごあいさつが続いた。環境省、経産省、農水省の幹部からのごあいさつ、中川特別顧問、南川特別顧問からもごあいさつをいただいた。

    地域活動の事例報告・熊本県の会員加入促進の取り組み

    休憩を挟んでの第二部は地域活動の事例発表。今回は熊本県清掃事業協議会の廣田専務理事による「熊本県における会員加入促進の取組みについて」が報告された。
    報告者の廣田氏の会社はし尿処理から出発し、ごみ処理に転換して通算50年の歴史がある。廣田氏自身は大学を卒業後、東京でサラリーマンをしていたが、その後家業を継ぐため帰省する。ところが実家の経営状態が破綻に近いことを知る。廣田氏は廃棄物関係の本を読み漁った。「こんなに法律に守られているのに経営が厳しいのはなぜか。委託金額が低かった。委託料が委託業務に遂行するに足りる額であること。法律にはこう書いてあるのに……。この矛盾に悩んでいた」(廣田氏)。
    そんなとき、福清連(福岡県清掃事業協同組合連合会)の西山会長(当時)の訪問を受ける。これをきっかけに未組織であった同業者の組織化へと進んでいく。「約2年間にわたり毎月1回行なわれていた福清連の会議にオブザーバーとして出席させてもらった」。ここで廣田氏は様々なことを学び取っていく。組織化については同業者にDM(ダイレクトメール)を送付し、思いを伝えた。また行政に対してはトップや部長にあいさつを恒例化するなど様々な活動を展開する。多くの紆余曲折はあったものの、組織は3年間で28社になり、今後の加入も見込めるようになった。組織ができて情報も集まってくるようになった。また行政に関しては環境についての定例会議を設けることができ「原動力になった」という。

    講演会・全清連活動に期待すること

    講師に議員連盟の磯崎仁彦参議院議員を迎えての講演「全清連活動に期待すること」は、自身が航空会社(ANA)企業勤務時代の経験を織り交ぜながら、一般廃棄物処理業の性格ならびCSR(企業の社会的責任)を説明しつつ全清連活動に期待することを語った。一廃処理業とはどういうものなのか、社会の中での位置づけをきちんと整理分析しつつ、求められるものについて言及したこの講演は、傾聴に値するものとなった。
    まず今年7月の米国デトロイト市の財政破綻とナポリのごみ問題をトピックとして取り上げた。財政破綻に陥ったデトロイト市では債務カットなどを通じて必死に再建に取組むが、そんな中でスナイダー知事は「警察や消防、ごみ収集、街灯を例に挙げ、行政サービスの投資は続ける意向を示した」という。「削っていいものは削っていくが、ごみ収集とかは削ることができないと(知事は)主張している。市が財政破綻しても国民の生活に密着していることは守っていく。これは大きな意味がある」(磯崎議員)。
    つまり一廃処理業者の仕事は「生活に密着している。何かあったときにクローズアップされるのではないかと思う」。
    一廃処理業の性格とは、「何か起こらなければ住民にとって自然と流れていく、いってみれば空気のような存在。しかしサービスが停滞すると住民の生活に大きな影響が出る」。ごみの収集は直営と委託があるが、基本として「税により運営されている公共サービス。税が投入されていることから、住民の見る目は厳しいものがある」と自覚を促す。日常の中で「皆様の活動が表に出てくることはない」。しかし社会的貢献は必要になってくる。なぜ必要なのか。磯崎議員はCSRの考え方やコンプライアンスといったことをANA時代の経験などをもとに語った。

    当面の事業方針

    研修会も終盤にさしかかり、全清連・山田専務が当面の事業方針を問題提起という形で発表した。固形一廃業界にとって、いま最も重要な問題は、中央において廃棄物処理法の定義・区分を改悪しようという動きであり、「その動きは弱まっていない。政府の規制改革会議だけでなく、食リ法や容リ法、小電法などにおいてもその傾向が見える。廃掃法がじゃまだという論法です。そのため廃棄物を循環資源とか副産物という言い方をする。だから廃棄物ではないという論理を展開する」と指摘。
    地方に目を向けると、入札の導入、許可乱発の事案に加え、「市町村行政側から行なう一廃・産廃のなし崩し的な区分変更の事案が多く生起しているということです」(山田専務)。市町村行政側から行なう一廃・産廃のなし崩し的な区分変更の事案のひとつの例をあげる。サラリーマンが事務所でポリ袋に入っているパンを食べた。そのポリ袋は産廃になるということを言い出している市町村が出てきた。「市町村は要するに、ごみを減らしのため一廃を産廃に付け替えようとしている。統計上は減量になる。すると一廃業者はたまったもんじゃない」。こうしたことにどう対応していくのか。「廃棄物処理法の解説」(平成24年度版)では、産業廃棄物について、量的又は質的に環境汚染として問題とされる……と書いてある。「サラリーマンが食べたパンのポリ袋は環境汚染になるのか」と述べ、なぜ廃掃法が制定されたのか。その社会的背景はどうなのかといった事柄について、「廃棄物処理法の解説」をしっかり読み込む必要があるとした。また「業務品質の向上を表に出す。自分たちの仕事は掃き清める仕事であるということを外部にアピールしないと、行政に抗議しても受け止められない」と述べた。
    研修大会は最後に大会決議、スローガンを採択して幕となった。
    (研修大会の詳細は、11月下旬発行予定の全清連ニュース第69号に掲載)。

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  • 平成24年度の全国研修大会実施報告

    平成24年度『全国研修大会』を盛大に開催

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連)は10月26日(金)午後1時より東京千代田区の砂防会館を会場に、平成24年度の「全国研修大会」を盛大に開催した。全国から600数十名の会員が参集した本研修大会は、メインスローガンに「東日本被災地復興への苦闘を思いつつ地域環境の保全活動に邁進しよう!」を掲げた。東日本大震災から1年7カ月が過ぎようとしているが、被災地は今この時期においても一部地域を除いて生活再建の目途も、産業復興の目途も厳しいといわれている。ようやく膨大な災害廃棄物の処理処分の目途が立った段階にすぎない被災地の人々の悲痛とも言うべき心情を思いつつ、まさに地域の生活環境の保全と公衆衛生の向上・確保というライフラインの維持そのものに深く携わる当事者として、直面する様々な問題の検討と分析を共有し、その解決に向けた取組みをしていかねばならない。
    全国研修大会は、第一部・全清連三井崇裕会長および地域廃棄物適正処理推進議員連盟、各省庁のあいさつ、第二部・講演会、第三部・地域活動の事例発表、当面の事業方針、大会決議、スローガン採択――の三部構成で進行した。講演は環境省廃・リ対策部リサイクル推進室の眼目(さっか)佳秀室長補佐による「不用品回収業者対策」と「小型家電リサイクル法」。地域活動報告としては岐阜県清掃事業連合会が「岐阜県における不用品回収業者対策と業界の取組み」を、大阪市清掃連合協同組合が「大阪市における新規許可問題」といった、まさに業界が直面している問題についてそれぞれ報告。当面の事業方針は、業界を覆っている問題の根本部分には廃棄物処理法の定義・区分の見直しがあると捉え、さらにそれを深く分析すると例外なき「規制緩和」を推し進めようとする動きに行き着くとし、これまで規制緩和がどのように打ち出されてきたのか、歴史的検証を行ない問題提起とした。

    三井会長、全国2万1000社の同志のためにもこの組織を推進

    演壇の上方部には日本国の国旗と全清連の連合会旗が掲揚されている。全員が起立し君が代を斉唱。参集者の心がひとつになったところで、全清連を代表して三井崇裕会長があいさつ。
    「全清連ができて今回で15回目の大会を迎えます。節目の年といってもいいでしょう」と切り出した三井会長は、この15年間を振り返る。「様々なことが走馬灯のようによぎるのでありますが、年々感じるのはこの大会で皆さんとお会いするたびに、この組織は全国的に強固になってきているということです」と述べ、さらに15年間の中で議員連盟を結成したことをあげ、「(我々の業務は)環境省、経産省あるいは農水省などと関連が深いので、ことあるごとに関連省庁と問題を協議させていただく中で、議連の先生方に逐次ご報告、ご意見を述べさせていただき、その上で指導をしていただくということがずっと続いてきています。いろんな事柄の中で、問題解決をひとつずつやり通して今日まで来ました。この大きい力は本日、全国から集まっていただいた会員の皆様の私ども執行部に対する支持があったからこそでございます。ほんとうにお礼申し上げます」と参集者に感謝の意を表した。さらに、全国に1719の市町村があるが、この中には「私どもの委託あるいは事業系一廃業者が約2万1000社いらっしゃる。私どもは委託、許可という名称ですが、一方では市町村長さんの代行者でもあると思うんです」。つい先般、小型家電リサイクル法が制定されたが、「小型家電の収集運搬は現場のプロである我々全国の2万1000社にお任せいただいてもいいんじゃないかと最近思っております」と新たなリサイクル制度に対して注文をつけた。最後に「これからも年1回の研修大会は続きます。全国2万1000社の同志に対しても頑張ってもらえるよう、我々の組織を推進していかなくてはならないと思っています」と結んだ。

    議員バッジを外しても全清連を応援すると中川議連会長

    議員連盟からは、衆議院議員の中川秀直議連会長、西野あきら議連副会長、石破茂衆議院議員、野田聖子衆議院議員らを含め多数の衆参国会議員が列席。中川議連会長は使用済み小型家電リサイクル法について触れ「これについてはいくつかの懸念がございました。認定事業者が市町村主体でない形で集荷をはじめて、そして皆さんの毎日やっておられる一般廃棄物の処理事業、これとまた別枠の姿で進んでしまうのではないか。それはかえって新たな混乱を引き起こしはしまいかと。この小型家電リサイクル法については本日ご列席の先生方が集まってくれまして、全清連の方々も一同に集まり、そこに行政も加わって議論を致しました。その結果、法律の附帯決議で、市町村が主体となった回収構築のために国は努力しなさい。そして認定事業者、委託業者の指導監督については認定の取消しもある。再委託は認めない。また地域に根づいた回収業者の有効な活用を図ることなどが盛り込まれて、このことについて環境省からもしっかりした見解の表明を我々の会合の中でお示しいただいた」と述べた。また今夏、プラ容器包装のマテリアル再商品化施設である広島リサイクルセンターを視察。環境省、経産省の担当官を交えて議論を行い「3Rの順に取り組んでいくことの原則を確認した」と、容リ法見直しに向けての意見を語った。
    最後に中川議連会長は、「世代交代をする時ということで、次期総選挙には不出馬を決断させていただきました。しかしバッジを外しましてもまた、これからも全清連を応援する形でかかわらせていただきます」と力強い言葉で締めくくった。
    石破茂自民党幹事長は、しばらく前に起きた東北自動車道のバス大事故を例に挙げ「安くてもいいや、どんなもんでもいいやとなると世の中大変なことになる。ましてや廃棄物処理の世界にこうした原理を導入することは極めて誤りであって、どんな世の中にあってもきちんとした業がなされないといけない」と廃棄物処理の世界に、安かろう悪かろうがあってはならないと述べた。
    このあと、環境省、経産省、農水省の各省の幹部によるあいさつが続いた。

    講演、不用品回収業者対策と使用済み小型家電リサイクル法

    第二部の講演は、環境省リサイクル推進室の眼目(さっか)室長補佐による「不用品回収業者対策」及び「使用済み小型家電リサイクル法」について。各自治体でも手を焼いている不用品回収業者対策については、環境省が今年3月19日に都道府県を通じて各市町村に通知した「使用済家電製品の廃棄物該当性の判断」に基づき、積極的にパトロールを行い、立入り検査や指導を実施する自治体が増えつつあるが、その一方で及び腰になっている自治体もあるとし、「不用品回収業者は法令を知らないケースもあるので及び腰にならないで積極的に指導してもらいたい」と要請した。今年9月から10月にかけて、立て続けに7件もの金属スクラップの火災が港や船で起きている。「環境省だけでなく、海上保安庁、警察、税関も非常に深刻な問題として受け止めている」と、この問題の重大性を指摘。環境省の権限としては廃棄物に該当する者については大臣の確認を受けなければならないという廃棄物処理法の規定により、「地方環境事務所にパトロールして指導、取締りを強化していく」と述べた。「市内では市町村が頑張る。水際では環境省が頑張るといった2つの面で取り組んでいきたいと」示した。
    使用済み小型家電リサイクル法については制度の仕組みを説明。現在検討会で政省令を審議中だが、対象になる小型家電は「約280品目ぐらいあると考えている」と品目数について触れた(小型家電リサイクル制度の検討会の様子については全清連のHPに記載。講演の詳細は全清連ニュースをご参照ください)。

    岐阜県と大阪市から地域活動の事例報告を発表

    第三部は地域活動の事例報告。岐阜県と大阪市からそれぞれ発表された。

    岐阜県清掃事業協同組合(岐清協)

    岐阜県清掃事業協同組合(岐清協)は山口常任理事が「岐阜県における不用品回収業者対策と業界の取組みについて」報告。取組みのきっかけとなったのは平成16年ごろ。一般廃棄物の許可をもたない業者が、まちの便利屋と称して、新聞のチラシや無料冊子、ポスティングなどで家庭ごみの処理を代行すると宣伝していた。それが年々拡大していった。「無許可営業で一部は有料で回収するといっていた。これでは不適正処理によって地域の環境が脅かされる。なによりも、このような悪質業者と私ども許可業者が同等に見られる」(山口常任理事)ことに岐清協は強い危機感を抱く。当時の岐清協の対応は、違法と思われる業者の確認、広告の文言等をチェックして個別に市町村を訪問。悪質な業者にごみ処理を依頼しないよう広報等で住民啓発のお願いを要請した。しかし不用回収業者数は増大して、高額な処理費の請求もみられるなど苦情やトラブルも発生していた。
    そうこうしているうちに平成21年にリサイクルショップ併設のまちの便利屋代表者が廃棄物処理法違反で逮捕される。岐清協は市町村に対して立ち入り調査を要請してきたが、平成22年10月に環境省から通知が出され、市町村の立入りの権限が出来た。しかし立ち入り出来てもそれ以上の指導が出来ないという状況だった。そこで岐清協はこの問題を全清連に上げ、全清連議員連盟から環境省に働きかけてもらい今年3月19日に環境省から廃棄物の該当性の判断が発出された。
    岐清協はこれをもって各市町村を訪問。立入り調査、指導を要請する。市町村もこれに応じて取組みを始めた結果、3.19通知前には岐阜県下で162の無料拠点回収があったが、今年9月時点では100拠点に減少した。「無許可不用品回収業者が減ってきたとはいえ、まだ営業している業者もいる。行政と連携して対応していきたい。3.19通知を有効に活用して、各県連にあった形で取り組んでいただけたらと思う。ただこうした持込み回収に対して市民は、いつでも持込めるとか時間に融通がきくといった利便性も感じている。業界としてもいかにサービスを向上させていくか検討する必要がある」と山口常任理事は課題も含めて述べた。

    大阪市清掃事業連合会

    大阪市清掃事業連合会の木村理事長からは「大阪市における新規許可問題について」という、現在進行している問題が報告された。これについては当連合会のホームページに掲載したように、9月1日に大阪城公園内音楽堂で業界関係者約2500名が参集しての「怒りの決起集会」が挙行されたので参照されたい。大阪市は昨年11月の市長選挙で、維新の会を率いる橋下市長が誕生。議会も維新の議員が過半数を占めるに至った。大阪市の公務員数は約3万9000人。人口割にすると他自治体より多い。これを約半分の1万9000人にすることを橋下市長はマニフェストに掲げて当選を果たした。「当初は水道局、交通局など諸々、人員削減という形で動かれておったのですが、環境局にもメスが入るようになった」(木村理事長)。ここから環境局は、収集運搬部門の「非公務員化」という施策を打ち出す中で許可業者を巻き込み、「新規許可付与」という動きに走る。
    大阪市の許可業者数が多い。業者の経営基盤の強化、民営委託の強化、減量・リサイクルの推進などを進めるため、環境局は業者削減のための許可要件をペーパーで示した。そのなかに、「新規許可付与」という文言が付け足しのように差し込まれていた。
    許可業者が飽和状態なのに新たに新規許可を出す。これでは非常に混乱を招くし、安全・安心な処理が担保できない。こうした環境局の施策に業界は当然納得できない。じつはこの新規許可付与には環境局の裏の理由があるのだが、それはともかくとして業界は様々な活動を展開し、現在、議員連盟を結成して対応している最中。来年4月には新規許可の試験が予定されている。
    この半年間、業界はいろいろ動いてきた。その経験から木村理事長は次のように語る。「もし大阪市に新規許可が出て、全国の自治体に飛び火するようなことになったら、ぜひ皆さんの地元の若い経営者の声に耳を傾けてやってください。今まで数十年この業界に非常に長い間おられた諸先輩方、いろいろ経験されて口では言えないものを身につけています。しかし、ただ時代が違います。その方たちが経験されてきた遠い昔の時代では、ものの考え方、行政側の考え方が非常に変わってきています。諸先輩方の余力があるうちに、若い人たちに経験を積ませてやってください」。

    当面の事業方針、規制緩和の不合理性を十二分に理解すること

    事例発表のあとは当面の事業方針を山田専務理事が説明。「事例報告発表は固形一廃廃棄物処理事業者が直面している事柄の一端に触れたのではないかと考えます」。山田専務はこう語りだし、「やはり根本問題は、廃棄物処理法の定義・区分の見直しにかかる問題であり、これを突き詰めていくと規制緩和の問題ではないかと考えられます」と論を進める。たとえば大阪市の新規許可問題にしても、「その根っ子には、公共サービスとしてのごみ収集運搬業務に果てしないダンピング競争を持ち込んで、そこに働く人たちを追い詰めても良いとする弱肉強食の論理が見えます」と、規制緩和がもたらす劇薬効果を指摘。
    そして、規制緩和の源流とも言うべき平成5年の当時の細川内閣で設置された経済改革研究会で打ち出された「中間報告」を紹介。さらに平成10年の小渕内閣、平成13年の小泉内閣でも規制緩和が推進された。小渕内閣の時代にはオリックスの宮内社長(当時)が委員長を務める「規制緩和委員会」が発足し、平成10年にはこの規制緩和委員会が市町村のごみ処理を民間開放せよ、許可制ではなく届出制で業が出来るようにせよという方針が日経新聞に取り上げられ、これに危機感を強くした一廃業界約1000名が総務省に押しかけ、これは白紙となったが、これを期に現在の全清連が結成される。しかし翌年には事業系一廃を産廃にするという区分の見直しが浮上してくる。その流れは今でも続いている。止まってはいない。
    このように規制緩和推進論者は虎視眈々とこの業界を狙っており、そのためには一廃業者も、廃棄物処理業になぜ規制緩和、市場原理を入れてはいけないのかをきっちり勉強、理解し、理論構築して行政や議員に接する必要があると問題提起した。
    研修大会はこのあと、大会決議、スローガン採択と続いた。
    (研修大会の詳細は、11月下旬発行予定の全清連ニュース第65号に掲載)。

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  • 平成23年度の全国研修大会実施報告

    平成23年度「全国研修大会」を開催

    一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連)は10月26日(水)午後1時より東京千代田区の砂防会館を会場に、平成23年度の「全国研修大会」を開催した。全国から600名を超える会員が参集した本大会は、メインスローガンに「東日本被災地復興の取組みに連携し、地域環境の保全活動に邁進しよう!」を掲げた。被災地復興の現実の一端に触れて、復興支援連帯の今後のあり方について考え、また同時にその中で東日本大震災以降の我が国の社会経済状況下での我々固形一廃事業者の基本的方向を考える。第一部・全清連三井崇裕会長および議員連盟、各省庁のあいさつ、第二部・講演会、第三部・東日本大震災被災地無償活動報告と感謝状授与、当面の事業方針、大会決議、スローガン採択――の三部構成。環境省山本廃対課長および大震災で被災された岩手県大槌町からは(有)城山観光松橋専務による講演が行われた。全清連は環境省の要請に応じて東日本大震災被災地への無償支援活動を展開しており、第一陣ならびに第二陣の代表者が支援活動内容を報告するとともに、三井会長より感謝状が授与された。当面の事業方針は今回の場合、経団連や内閣府の規制・制度分科会がずっと提案している「廃棄物の定義・区分の変更」について、これは「どういうことか」を考える機会を提示するなど有意義な全国研修大会となった。

    我々を押し潰そうとする規制緩和に対抗する理論武装を

    全清連を代表して三井崇裕会長があいさつ。三井会長は冒頭、東日本大震災被災地への無償支援活動に際して、会員の方々から活動資金を拠出していただいたことへの感謝の言葉を述べた後、「私たちは何の目的でこのような研修大会を開催するでありましょうか」と研修会開催の目的について切り出した。「固形一廃収集運搬事業者である私どもを押し潰そうとする人たちがいる。いわゆる規制緩和です。廃掃法の定義・区分変更を要求する人たちです」「私たちの目的のひとつは、そういう人たちに対して、我々は正々堂々と対抗していかなくてはならない。手をこまねいているわけにはいかない」。こう述べ、そのためには「我々一人ひとりが理論武装しなくてはならない。この理論武装とは何か。後に詳しく触れますが、一緒に学習してきちんと理論武装してもらいたい」と強調した。
    地域廃棄物適正処理推進議員連盟からは会長の中川秀直議員、副会長の西野あきら議員、石破茂議員、野田聖子議員ら衆参両議院から多数(16名)の国会議員が出席し祝辞が述べられ、環境省・伊藤哲夫廃・リ部長のほか経産省、農水省の幹部のあいさつが続いた。中川議連会長は東日本大震災に触れ、「大震災から生ずる生活環境の破壊、災害廃棄物に見られるような処理の困難さを思いますときに、あらためて生活環境をしっかり守っていくことの重要性の認識が高まったのではないか。皆さんが長い間、廃掃法の理念に基づいて生活環境の保全活動をされてきたことにあらためて敬意を表したい」と語った。

    講演、被災地・岩手県大槌町の現況

    第二部の講演は、環境省山本昌宏廃対課長の「環境省の東日本大震災への対応について」と、東日本大震災の被災地から(有)城山観光の松橋明専務による「被災地・岩手県大槌町の現状について」。大震災で津波にのまれながらも九死に一生を得た松橋さんは当時の様子を振り返ると同時に被災者の現状を生々しく語る。大震災で東日本は人的、物的被害を受けた。松橋さんも親戚、友人、多くの仲間を失った。「先の見えない生活、絶望感……。動いていないと気が変になりそうだ。自分は仮設住宅の設置、物資の運搬と忙しく動き始めた。日が経つにつれ、仕事にも疲れを感じ、避難所生活のストレスの毎日」。そんなある日、「業界のバス会社社長から、全清連というボランティア団体が来るので面倒をみてやってくれ」といわれた。「何で俺が? 全清連って何? 復興に忙しい自分に何をしろというのか」。松橋さんの正直な感想だ。全清連到着の日、「トラックと人数にびっくり」。全清連のボランティア活動を見て、松橋さんは日増しに勇気づけられていく(詳しくは全清連ニュースをご参照ください)。

    廃棄物の定義・区分の変更とはどういうことか

    第三部は「東日本大震災被災地無償支援活動」の模様を第一陣救援隊隊長の片野理事、ならびに第二次救援隊副隊長の三井常任理事がそれぞれ報告。さらに無償支援活動に尽力した147名、ならびに運搬車両を無償提供した26社を代表して、中部、四国・近畿、九州・四国の各ブロックなどに対して三井会長より感謝状の授与が行なわれた。
    このあと当面の事業方針を山田専務理事が説明。当面の事業方針は今回の場合、経団連や内閣府の規制・制度分科会がずっと提案している「廃棄物の定義・区分の変更」は、それは「どういうことか」について考える機会を提示した。平成10年、経団連を中心に生活系廃棄物処理の自由化を進めていくというテーマが出された。これに反対するために全清連という組織を立ち上げた。しかし生活系廃棄物処理の自由化の動きは今なお続いている。事業系一般廃棄物を産廃に付け替えようという動きが、内閣府の規制・制度分科会で出され、一廃・産廃の区分の見直しも俎上にあげられようとしている。規制が緩和され、廃棄物の定義・区分の変更が行われたら、固形一廃の業は立ち行かなくなる。倒産する会社が出る。死屍累々となるだろう。とくに東日本大震災という未曾有の災害が起きて、そのどさくさに紛れて復旧・復興をスムーズにするため規制緩和をしないといけないと言い出している。これは5年間続きますから。その間に、災害廃棄物だけでなく、一般廃棄物も見直したほうがいいんじゃないかということを言い出す可能性も十分ある。我々は注意深くその動きを見ていかなくてはならない。こうした一方で、平成20年に環境省から6.19通知が出された。全清連が10年をかけて勝ち得たものだ。しかし、この6.19通知は個々の会員が知識として知っているだけではだめだ。十分理解して、市町村や議員に説明し、相手が納得してくれるよう話すことができなければならない。全清連会員の個々のレベルを上げていかなくてはならない。勉強をして理論武装する必要がある。そうでないと自分たちの仕事は守れない。環境も保全できない。
    研修大会はこのあと、大会決議、スローガン採択と続いた。
    (研修大会の詳細は全清連ニュースに掲載)。

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  • 平成22年度の全国研修大会実施報告

    平成22年度「全国研修大会」を盛大に挙行

    一般社団法人全国清掃事業連合会は10月22日(金)午後1時より東京千代田区の砂防会館を会場に、平成22年度の「全国研修大会」を盛大に挙行した。「環境保全優先、安心・安全の循環型社会を目指そう!」のメインスローガンのもと、全国から600名を超える会員が参集した。(財)日本環境衛生センター・三本木徹特別参与の基調講演ならびに地域活動の事例発表を通じて課題を認識し、問題の共有化を図った。
    廃棄物の区分見直しの問題が依然としてくすぶっている。政府は行政刷新会議(議長・菅直人首相)の規制・制度改革分科会の民間委員トップに住友商事の岡素之会長の起用を内定、10月中に岡氏を含む新委員約15名を選び、本年度末をメドに医療、環境、農業分野などで規制の見直し案を策定するといわれている。区分見直しが論点として答申等に要求項目として記載され、環境省に対して中環審等での検討が求められるに至った場合には、全清連の論点をあらゆる機会を通じてあらゆる関係者(各政党、議連、有識者、環境省等々)に訴求することを事業方針とした。また、入札導入事案や新規許可乱発の増加などが顕在化している地方については、6.19重要事項通知の周知活動をなお一層の熱意と粘り強さをもって取組むことも方針として示した。会員一人ひとりが自らの「業」を守るためには全清連の組織強化を図ることが不可欠であるとの認識に立ち、会員加入促進の活動を展開することも求めた。

    我々の役割、使命は地域の環境保全の確保

    全清連を代表して三井崇裕会長があいさつ。「我々の役割、使命は廃棄物処理法にあるように、地域の環境保全を確保する。これが我々の役割、使命ではないかと思うわけです」と切り出した三井会長は、「課せられた役割、使命のため我々の現場では業務品質向上を日々頑張っているわけですが、それにもかかわらず規模の経済、効率化という表現で廃棄物処理法の定義・区分の見直しが浮上してきている」とし、さらに入札問題や新規許可の乱発増加という現状について述べたあと、「(全国研修大会を通して)全清連会員は何が求められるのか、何をしなくてはならないのかを共有していきたい」と結んだ。
    地域廃棄物適正処理推進議員連盟からは会長の中川秀直議員、副会長の西野あきら議員、石破茂議員、野田聖子議員ら衆参両議院から多数の国会議員が出席し祝辞が述べられ、環境省・伊藤哲夫廃・リ部長のほか経産省、農水省の幹部のあいさつが続いた。中川議連会長は環境省が平成20年6月19日に出した通達について触れ、「経済性の確保以上にしっかりした一般廃棄物の処理を市町村が責任をもって確実に行なうというのが重要であるという通達であったわけですが、能力のない人まで(ごみ処理を)やっていいとか、ただ安ければいいとか、そういうことになると本当に大きな問題が生まれてくる」と、市町村が清掃業務に入札などの経済合理性を導入することへの危惧を示した。また石破議員も「市町村は一年に大体どのくらいのごみが発生するのかわかる。ならばそれを超える業者をなぜ認めなければならないのか」と新規許可を出すことに疑問を呈した。

    講演、地域活動事例発表を糧に

    講演は元厚生省(現・環境省)水道環境部環境整備課長を務め、いまは(財)日本環境衛生センターに籍をおく・三本木徹氏。「私の人生のほとんどが廃棄物処理の仕事に携わってきた」と自己紹介を兼ねてあいさつを述べる三本木氏の講演テーマは「ごみ処理事業の性格と規制緩和の問題点」。サブタイトルに「ごみ関係の規制のあり方を巡る近年の議論と、市町村とごみ処理業との役割に関する考察」という名称がつけられている。
    このテーマの通り講演は、廃棄物の定義・区分、一般廃棄物処理業の許可要件の強化と手続きの簡素化・緩和――などについて歴史的経緯から説き起こし廃掃法の解釈ではどう捉えるべきかなど非常に示唆に富む解説だった。要点の一コマを紹介すると「廃棄物処理法という目的は、口をすっぱくして言いたいわけですが、適正な処理を進めるというのが基本であります。法律の目的でそこははっきりしてますね。公衆衛生対策であり環境保全であるというのははっきりしている。そこには経済合理性とか、そういうことは一切出てきません」(三本木氏の講演の詳細は全清連ニュースに掲載)。
    「地域活動事例発表」は、「久留米市における一般競争入札の回避と今後の課題」(福岡県清掃事業協同組合連合会)、「三原市における新規許可問題への取組み」(広島県清掃事業協同組合)、「高槻市の入札問題について」(高槻市環境連絡協議会)の3件。事例発表で共通するのは「長年落ち度もなくやってきたのにある日突然に」ということだ。市町村合併を行った久留米市。合併前旧3町のごみ収集業務を約40年間随意契約で行なってきたものを、外部監査報告書により突然一般競争入札にすると市が通知。地元業者・福岡県清連・全清連が団結して市に粘り強く交渉。その結果、市側が入札を断念。また高槻市でも1969年(昭和41年)より随契でごみ処理をしていた業者が包括外部監査報告によって、2011年(平成23年)から競争入札にすると市から通知を受けた。決着はいまだついていない。三原市では突如新規許可が増加する事態に、組織を挙げて日参の交渉――など具体的な事例と対処方法が報告された。 このあと全清連としての当面の事業方針が述べられ、新規加入団体の紹介が行なわれるなど有意義な全国研修大会となった(詳細は全清連ニュースに掲載)。

    続きを読む: 平成22年度の全国研修大会実施報告