全清連NEWS
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第112号 令和6年(2024年)5月31日

第15回定時社員総会で循環事業への挑戦など計画承認

=地域脱炭素や持続可能性、時代の要請に対応=

(一社)全国清掃事業連合会(三井弘樹会長)は4月24日、東京・一ツ橋の如水会館で第15回定時社員総会を開催した。全4議案を審議・承認し、令和6年度事業計画には気候変動対策、GX、持続可能性等の要請を踏まえ、事業継続性確保に係る取組み、プラスチック資源循環促進法など資源循環事業への挑戦、災害廃棄物処理支援活動など重要4事業と、継続の9事業を盛り込んだ。総会後は懇親会を開き、地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長をはじめ多数の来賓が出席した。
午後2時、連合会旗の入場および国歌斉唱で総会は始まった。永冨政英会長代行が開会を宣言。
次いで三井会長が冒頭のあいさつに立った(別掲)。この後の議案審議では大月伸一副会長を議長に選出し、第1号議案〜第4号議案を審議した結果、満場一致で原案通り承認可決した。
このうち事業計画は、地球の気温上昇が危険水準に近づき、事業環境にまで影響を及ぼしつつある状況と、脱炭素やGXの加速化、こうした中で環境保全を前提とした資源循環を進め、持続可能な地域への貢献、持続可能な社会へ成長していくという観点から提案した。
重要事業には次の4項目を挙げた。①感染症対策を含む非常災害時の事業継続と、許可・委託業者の事業継続を考慮した行政側の業務継続計画構築への取組み。②行政・会員相互・異業種とのパートナーシップ活性化。③市町村との対話・協議を通じた資源循環への挑戦、廃棄物・リサイクル制度の改悪・規制緩和に係る情報収集と対応。④災害廃棄物処理支援活動の継続。また、継続事業には働き方改革と原資確保に関する取組みなど9項目を盛り込んだ。
この後は特別報告として石垣市清掃事業協同組合の伊志嶺吉大理事長が、同組合の「事業環境の抜本的改善に向けた取組み」について報告。午後5時からの懇親会は、来賓に地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長、野田聖子副会長、寺田稔事務局長をはじめとする多数の国会議員、代理秘書、さらに環境省、経済産業省、農林水産省からも多くの幹部が出席した。

三井弘樹会長あいさつ(要旨)

適正処理に地域課題への貢献重ね、持続可能な会社へ成長を

挨拶する三井会長

「このたびの能登半島地震において亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、被災された方々へのお見舞いと、一日も早い復旧と復興をお祈り申し上げます」。三井会長はあいさつの冒頭、能登半島地震で被災にあわれた方々に哀悼の意を捧げた後、1月5日に全清連には環境省から災害対応への支援要請があり、現地での災害ごみ収集運搬支援を行なったことを報告した。「1月22日から2月17日までの約4週間、岐阜県清掃事業協同組合から2台のパッカー車をお借りし、広島、三重、大阪、愛知の方々に現地入りしていただき、また特別会員の㈱富山環境整備様におかれましては4週間の間、現地入りをしていただきました。この場をお借りして社員を派遣された会員企業の皆様、ご協力いただいたすべての方々に感謝を申し上げたいと思います」と述べた後、業界を取り巻く環境とそれへの対応について触れた。
「この3月に『資源循環の促進のための再資源化事業などの高度化に関する法律案』が閣議決定しました。令和7年12月には施行になると言われておりますけれども、GXの実現に向けた動きが加速してまいります。このことにも我々は注視しなければなりませんし、環境省10.8重要通知の再確認、プラスチック資源循環促進法、空き家対策、高齢者のごみ出し支援等、さらにはローカルSDGs、地域カーボンニュートラルへの取組みを進めなければなりません。こうした取組みを通じて行政、議会、市民、地域住民から信頼され、必要とされる存在に成長していく必要があります。
この取組みは私たちの本来の業務である一般廃棄物の適正処理を確実に継続し、地域のライフラインを守ったうえで、GXという時代の要請にも果敢に挑戦するということです。地域と共に私たちの会社と従業員、その家族を持続可能とするために必要なことであり、また担い手不足が深刻な現在、人材を確保し、災害時やパンデミック時においても事業継続が可能な余力を確保する上でも重要です」
また、「後ほど、石垣市清掃事業協同組合の伊志嶺理事長より特別報告がございますが、10月12日に石垣市担当部局の方と協議をいたしました」と、石垣市清掃事協組と石垣市との間で委託料を巡って行われている厳しい協議について触れ、「石清協の皆さまはこれからも石垣市と対話を続けていかなくてはなりません。私自身も広島市において数年間にわたる協議を重ねてまいりましたので、皆様の気持ちはよくわかります。ですが信念と勇気をもって前に進み続けてください。必ずや希望に満ちた朝日が昇るはずです」とエールを贈って締めくくった。

来賓あいさつ・能登半島地震被災地での公衆衛生確保に謝意

総会後の懇親会では地域廃棄物適正処理推進議員連盟や環境省、経済産業省。農林水産省から多数の来賓が出席しあいさつをいただいた。
地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長の石破茂衆議院議員は「能登半島の地震におきましては、三井会長に陣頭指揮を執っていただいて、石川県だけではなく、富山も福井もそうですし9府県にわたりましていろいろな被害がありました。皆様は4週間にわたって活動いただき、都合171トン、廃棄物を処理していただいて本当にありがとうございます」と全清連の活動に謝意を表した後、「要するに震災には正月も盆もないのであります。いつ来るか分からない」。このような状況にあって各国はどのように対応しているか、台湾、イタリアを例に挙げ、それぞれの国は発災直後から少なくともある程度の暮らしができるというシステムが確立されており、日本との彼我の差を指摘した。
また、自民党については「自民党は今、あまり評判が良くないので、やはり国民の皆様方がそうだよねって思ってもらえる、そういうことをやらなきゃいけない。賃上げといったって、大企業だけ賃上げしてもしょうがないのであって、第三次産業の賃金が本当に上がりましたかということが確認できないで、賃金上がりましたと言っても、それはいかんのでしょう。もう一回よく考え直そうということだと思っております」と諭した。
そして最後に「本当に皆様のお力のおかげで何とか何とかこの国はもっていますが、自衛隊もそうですし、警官もそうですし、消防もそうですし、廃棄物処理もそうですし、その場で一生懸命やっている人に頼って、すがって、何とかこの国はもっている。でもそれはいつまでも続くものではないので、そこを考え直していくことに知恵と力、また皆様から賜りますよう心からお願いして、ご挨拶を終わります」と締めくくった。

令和6年度事業計画

令和6年度の事業計画は、冒頭で触れたように重要事業には次の4項目を挙げた。①感染症対策を含む非常災害時の事業継続と、許可・委託業者の事業継続を考慮した行政側の業務継続計画構築への取組み。②行政・会員相互・異業種とのパートナーシップ活性化。③市町村との対話・協議を通じた資源循環への挑戦、廃棄物・リサイクル制度の改悪・規制緩和に係る情報収集と対応。④災害廃棄物処理支援活動の継続。また、継続事業として (1)働き方改革と原資確保に関する取組み (2)青ナンバーに関する取組み (3)地方における10.8部長通知、ローカルSDGs等の周知活動――など9項目を盛り込んだ。

第15回定時社員総会特別報告

――石清協の事業環境の抜本的改善に向けての取組み
石垣市清掃事業協同組合 理事長:伊志嶺吉大氏

総会後の特別報告では石垣市清掃事業協同組合の伊志嶺吉大理事長から「石清協の事業環境の抜本的改善に向けての取組み」について報告があった。低廉な委託料金によって厳しい環境下に置かれていた同市の一般廃棄物収集運搬業について、事業の持続性の観点から協議を重ね、一定の成果を得るまでの報告で、幾度にもわたる交渉の内容をこと細かに説明している。

(詳細については全清連ニュース第112号をご覧ください)