第109号 令和5年(2023年)11月30日
=令和5年度全国研修大会開く=
適正処理を遂行し、CN・資源循環事業へ挑戦を!持続可能な地域づくりへ課題提起
(一社)全国清掃事業連合会は10月18日、東京永田町の砂防会館において、令和5年度「全国研修大会」を開催した。一般廃棄物処理事業を取り巻く気候変動問題や脱炭素等の政策を研修し、その後、課題提起を行い適正処理の確保やプラスチック等の脱炭素・資源循環事業への挑戦、災害廃棄物処理支援活動の継続、生活環境ニーズへの対応と信頼確保の取組みを通じた持続可能な地域づくりへ貢献する方針を掲げた。会場には地域廃棄物適正処理推進議員連盟から石破茂会長、斉藤鉄夫幹事長、寺田稔事務局長など多くの国会議員が出席したほか、環境省、経済産業省、農林水産省からも幹部が出席し祝辞を述べた。
研修大会の第一部は午後1時、連合会旗の入場とともに始まった。開会宣言、国歌斉唱のあと、主催者を代表して三井会長があいさつ(別掲)。次いで来賓あいさつと続いた。第2部では国立環境研究所資源循環領域の大迫政浩領域長を講師に「持続可能な廃棄物処理の今後について、今考えるべきこと」について研修した。第3部では五年ぶりの地域活動功労者表彰が行われ、53名の代表者に表彰状が贈られた。その後、全清連・山田久専務理事が課題提起を行い、メインテーマに「持続可能な地域づくりローカルSDGsに参加し貢献しよう」を盛り込む大スローガン、大会決議を満場の拍手で採択した。閉会は橋本拓実常任理事が壇上に立ち、こぶしを突き上げ「がんばろう」のシュプレヒコールを繰り返し幕となった。
三井弘樹全清連会長あいさつ(要旨)
業務品質の向上と付加価値積み重ね、SDGsに貢献
先日、9月の時事通信の報道で、インドにおいて「ニパウイルス」という感染症が流行しているとの記事を目にしました。この感染症は25年前、マレーシアの養豚場で確認されたものが初とのことです。致死率は40〜75%と極めて高く、現状はパンデミックには至っていないものの、パンデミックにつながる可能性もある感染症とのことで、WHOにも登録されているようです。
私がここで何を言いたいかと申しますと、地球温暖化の影響により、従来では考えられなかった感染症がどんどん北上しています。また生態系が変わり、より感染症が強いものに変異するということも考えられます。
こうした感染症が日本に上陸した場合に、私たちの業務はどうあるべきかということを真剣に考えなければならない時代が来たのではないでしょうか。これ以上事態を悪化させないためにも、地球温暖化への取組みは待ったなしの状況です。
今年2月にGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針が閣議決定されました。環境省でも中央環境審議会において「静脈産業の脱炭素型システム構築に関する小委員会」を設置し、私はいま、委員として発言の機会をいただいております。これまでと同様に、廃棄物処理法の規制が資源循環を阻害するとのことで規制緩和を要望する委員の方もいます。
私はこの主張は誤りだと感じております。ここで私が申し上げているのは廃棄物処理法に基づく適正処理の確保がなければ真の安心・安全な循環型社会は構築できないというのがひとつ。そしてもうひとつは、方向性やイメージはまとまりつつあるものの、その実際の仕組みづくりが現場との整合性を伴わないものであったり、特にSDGsウォッシュと言われるような「やったふり」で見過ごされるようなものであってはならない。あるいは私たち中小企業が取組みを進める上で、必要な予算や補助についても検討していただきたいというのをお願い申し上げているところです。
6.19通知、10.8通知に示されているように、私たちも業務品質の向上に努め、そして業界の地位確保、地域カーボンニュートラル、ローカルSDGsの実現に貢献していく必要があると考えています。
石破茂議員連盟会長あいさつ(要旨)
混迷極める世界情勢で全清連活動に期待
石破議連会長はあいさつの冒頭、今しがたまで自民党本部においてパレスチナ問題について日本はどう対応すべきか議論をしていたこと、また日本はG7、国連安全保障理事会の議長国も務めているので日本人さえよければいいのだという話にはならないと思うので、日本としていかなるリスクを負うべきか話を詰めていかなければならないと前置きし、頻発する災害、二酸化炭素の排出、地域を守っていくことについて次のように述べた。
この夏にも大変な災害があちこちで発生しました。私の選挙区の鳥取県においても台風の被害を受けました。あちこちで大勢の方が大変な思いをしたところです。そこにおいても全清連の皆様方には大変お世話になってまいりました。改めて感謝を申し上げたいと思います。
災害は忘れた頃にやってくるどころか、近年は忘れる間もなくやってくるということになりました。これは地球温暖化によるものだろうと考えておりますが、これだけ皆がどんどん自動車を走らせますとさらに二酸化炭素が排出されることになります。急に排出が止まるということはないでしょう。つまり災害は激甚化、頻発化し、当面は続くということであります。
どうやって我々が地域で、それぞれの地域を守っていくか、人口が減少する中にあってどうやって皆様方の業界に働き手が集まっていただけるか、そして安かろう悪かろうのような安易な規制緩和をどうやってはねのけていくか、私ども議連も皆で力をあわせ努力をし、日頃の皆様方のご努力に報いるべく最大限の力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
今日も多くの議員が集まっておりますが、それぞれ全国各地において、自分のところはこうだよ、自分の県はこうだよ、自分の町はこうだよということを教えていただいて、この国が、地域が、次の時代も平和で、快適な環境が維持することができますように、皆様方のご尽力を心からお願いする次第であります。
特別講演・「持続可能な廃棄物処理の今後について、今考えるべきこと」
国立環境研究所資源循環領域・大迫政浩領域長
全国研修会の第2部では、国環研の大迫政浩領域長による講演「持続可能な廃棄物処理の今後について、今考えるべきこと」が行われた。大迫氏は、廃棄物を取り巻く脱炭素化、循環経済、強靭化という分野横断的な近年の重要課題を捉え、市町村固有事務の代行者であり、地域環境保全を担う固形一般廃棄物処理業者においても、時代に合わせて変化する必要があると呼びかけた。
課題提起:持続可能な地域づくり、ローカルSDGs推進に参画し貢献しよう
全清連・山田久専務理事
特別講演を受けた形で山田久専務理事から、全国研修大会のメインテーマ及び4つのスローガンそれぞれに沿った形で課題提起があった。
メインテーマである全清連会員は「持続可能な地域づくりに参画し貢献しよう」について山田専務は、私たちは今や、加速する人口減少、少子高齢化によって生じる行財政規模の縮小、地域経済社会の縮小に直面しており、これに歯止めをかけるための市町村ぐるみ、地域ぐるみのありとあらゆる様々な取り組みに本業側面とボランティア側面の両方から参画して、行政と地域から実際に評価を受けうる貢献をしなければならない段階に来ていると、強調した。
(詳細については全清連ニュース第109号をご覧ください)