災害支援活動
活動報告
activity

熊本地震

熊本地震の震災廃棄物

全清連、処理支援に向かう

4月14日に震度7の地震が発生し、その28時間後の16日にも震度7の地震に見舞われた「熊本地震」。現地では発災当初、食料・水・トイレ・住居などの確保難に陥ったが、それと同時に地震によって発生した震災廃棄物の処理に困り果てていた。環境省から全清連に支援準備の要請が入る。熊本市からは支援要請が届いた。これを受けて全清連は急きょ体制を組み、余震が続く熊本市に向かった。

支援要請を受けて動ける
ごみ処理に困っているところには本来、要請があろうがなかろうが支援に駆けつけるのが筋といえる。しかし今回のような震災廃棄物の処理支援になると相手の要請がなければ動けない。というのもこのような場合、現地は混乱を極めており、それを考慮しないで支援に行ったらさらに混乱に輪をかけ、現地の人たちにかえって迷惑をかけることにもなりかねないからだ。
全清連の支援体制は各県連から、支援が可能な車両、人員を出してもらい活動にあたるというもので、熊本県、大分県、福岡県、中・四国協議会(山口県、広島県、鳥取県、高松)の各県連から支援が出た。支援活動期間は各県連の事情によって多少の違いはあるが、ゴールデンウイークの4月30日?5月9日、5月14日、15日の12日間。パッカー車、ダンプ車、アームロール車等、延べにして車両台数347台、作業人員は717名という規模。

復旧支援で被災地に少しでも貢献を
5月3日午前7時。焼却施設である熊本市東部環境工場近くの「ふれあい公園」で、支援活動の人員が集合し激励会が行われた。激励会では三井会長と熊本市の川口環境部長があいさつ。
三井会長は「本日は中四国ブロックから香川県、鳥取県、山口県、広島県、九州ブロックから福岡が参加しております。まず厚く御礼申し上げます。大変な災害です。まだ余震も続いています。どうか十分気を付けて、怪我などないよう、事故のないように一生懸命頑張っていただきたい」
「私たちはちょうど5年前、東日本震災で現地に赴き、このような活動をさせていただいた。まさか同じ時期にこうしたことが起こるとは想像もしていなかったわけですが…。皆さまは、特に現場はスペシャリストであります。東日本大震災でも評価を受けたが、今こそこの復興に対して復旧作業に入るわけですが、被災地に少しでも貢献できるよう尽力したいと思いますので、どうかご協力をよろしくお願いします」と述べた。

応援隊は復興のきっかけ。頑張る気持ちにもなる
熊本市の川口環境部長は「先日の14日に震度7の地震、その2日後に震度7がもう一度あり、それがかなり致命的でした。熊本市東部の方面でもかなりの倒壊家屋が出て、まだ800人程度が避難生活を余儀なくされている。このような中で、またGWの最中に全清連の皆様が熊本に駆けつけていただいて、こんなにたくさんの人と車を出していただいて、ほんとに感謝しています」
「いまの熊本市の状況というのは、1回取っても3日ほどでまた元に戻ってしまう。ごみステーションは全部で2万カ所ありますが、その中で出しやすいところはうずたかくたまっている。取っても取っても取り足りないというところがある。今日皆様に行ってもらうところは、収集がかなり遅れているところや、まだ1回も行っていないところで、役所にも電話が殺到しているところです」
「現場に行くと住民も苦しい状況なので、もしかしたら心ない言葉をかけられたり、これもあれもとお願いされることがあるかもしれません。そこは我慢していただいて、可燃物、不燃物をしっかり分別して仮置き場に収集していただけたらと思います。市民の皆様は自分の近くからごみがなくなるということを、素直に感じられると思いますし、喜ばれると思います。また応援隊が来たということが、復興のひとつのきっかけになって、また頑張ろうという気持ちになると思いますので、今日はよろしくお願いします」と語った。
このあと環境部長から全清連各県連に対して作業地域のエリア分けが説明され、ガススプレー缶を積んでしまうと火災の原因になります。家電4品目も後回しにしようと考えています。といった注意点も示された。

住民の反応。感謝を述べる人たち
普段の熊本市は150台ほどの収集車が動いている。しかし地震発生により震災廃棄物に加えて毎日出る家庭ごみも収集しなくてはならない。余力はない。住民からのクレームは多い。手が回らなくて10日も来ていないということになると苦情に発展する。4回線ある電話が全部ふさがっている状態だとも。内容が少しずつ変わってきて、すぐに取りに来てくれとか、なんで来ないんだとなってくるという。だから「なるべくデカイところから集中して崩していかなくては。今日はそういうところをお願いしようと思う」と川口部長。
収集について行くと、「(ごみを急いで持ってきて)これは出していいの?」と尋ねる人。「(ほうきとチリとりを持ってきて)あとは私のほうできれいにしておきますから。ありがとうございます」とお礼を述べる人。「(作業の様子を眺めながら)本当に助かります。ごみが溜まっちゃって、ブラインドカーブがあちこちに。子供が魅かれないか心配だった」とほっとした表情の人。「市とは別の方々なんですよね? 本当にありがとうございます」と頭を下げる人。住民からいろんな声をかけられる。感謝の言葉をかけられると収集作業の方々の顔が思わずほころぶ。
収集した廃棄物は仮置場に集め、そこから焼却や破砕・埋立てなどの処理に向けられる。

丸川環境大臣が視察。三井会長とあいさつを交わす。

昼から天候が変化し猛烈な雨風になった。収集の現場では水を吸ったごみが重さを増す。こうした中で丸川環境大臣が被災地の視察に訪れた。三井会長とあいさつを交わし、そのまま清掃工場の中に。
1日の作業が終わり夕食の時間となった。近くの食堂の座敷に全員が集合。ビールが出された。乾杯ではなく、「がんばろう」という発声で杯を空ける。
宿泊所は熊本市から東部環境工場の会議室の提供を受けた。旅館などは地震によって少なからず被害を受け、宿泊できるところは限られ、予約できない状態だからだ。各地の自治体から応援部隊が来ているようだ。この宿泊所では岡山市の直営職員の方々とご一緒だった。寝たい人から順次寝る。時折余震を感じるが、収集作業で疲れているため起き出す人はいない。どこからともなく、かすかにいびきが聞こえてくる。