総会
活動報告
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平成30年度の総会の報告

全清連・第九回定時社員総会開催

~結成20年の成果を糧に今後も適正処理を推進~

一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は、4月25日(水)午後2時より千代田区の如水会館を会場に、オブザーバーを含め総勢223名の出席を得て、第九回定時社員総会を開催した。全清連は結成からこの平成30年度でちょうど20年という節目の年を迎える。冒頭のあいさつで三井会長は結成時から今日に至る20年を振り返り、固形一般廃棄物に生起した様々な問題への対応や議員連盟の結成、環境省の6.19課長通知発出に続く10.8部長通知など、全清連が活動してきた努力の成果を述べ、今後も組織をしっかり固めて適正処理推進のために頑張っていきたいと強調した。また、総会終了後には講演が行われ、その後の懇親会では地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長をはじめとする多数の国会議員、関係省庁幹部らが出席しての祝宴が開かれた。 定刻通りはじまった定時社員総会は、開会に先立ち全清連の「連合会旗」が入場。全員起立し大きな拍手で迎えた。正面に掲げられた国旗ならびに連合会旗に向かって君が代を斉唱して総会は幕を開けた。大前清彦副会長 (大阪府清掃事業連合会)が開会宣言を行い、三井会長が全清連を代表してあいさつを述べる。

三井会長のあいさつ=この20年で大きな地位を勝ち取った=

平成10年に結成された全清連は、通常でいえば19回目の総会を迎え、平成30年度はちょうど結成20周年という節目の年を迎える。三井会長はこの20年間を振り返る。
「平成10年の結成には大きな理由がありました。7月26日の『日経新聞』朝刊のトップページに、固形一般廃棄物の直営委託許可を廃止すべきだと、そして自由業にすべきだという規制緩和委員会の意見が掲載された。これには本当にびっくりしました。同志の方も新聞を読まれていたらしくて、私たちは連絡を取りながら東京へ結集しました」。
全国から同業者約1000人が永田町の「憲政記念館」に集結した。総務庁の建物の中に規制緩和委員会の事務局が置かれていたことを知り、組織がない中で何とか形をつくって交渉に入った。こういう中で、当分留保するという結論を得て、最大の難関は免れることができた。「これはやはり、あの時に集結した約1000人の方の、組織がない中で集結いただいたその力、あるいは熱意が規制緩和委員会に通じたのではないかなと思っています」。全清連の原点だ。
それから急きょ組織をつくりあげていったわけだが、そうした中で現場では固形一廃に関する問題がいろいろ起こってくる。「そのたびに環境省へ行って交渉するのでありますが、なかなか前に進まない」。で、「議連をつくろうではないかということで、当時、岐阜県出身の武藤嘉文先生のところへ相談に行きましたところ、快く引き受けていただいたんです」。自民党に加えて公明党議員も議連に加盟することになり、今日では「衆議院49名、参議院21名、合計70名の先生方が加盟をしていただいています」。    
全清連結成から10年を経た平成20年の6月19日、環境省から「課長通知(6.19通知)」が出された。「この中身については皆さん承知置きの通りと思いますが、これは非常に大きな、我々にとっては一大転換ともいえる課長通知であるんです」。それから6年後の平成26年1月28日には「最高裁判決」が下りた。この流れで同年10月8日に環境省「部長通知(10.8通知)」が発出された。「大げさに言うわけではありませんが、私たち全国の固形一般廃棄物を取り扱う業界にとっては、本当に大きな地位を勝ち取ったというふうに私どもは考えておるんです」。全国1718市町村の中には、新規許可を出したり、委託業務の入札を実施する市町村がまだ相当ある。「私たちはこのもの(6.19通知や最高裁判決、10.8通知)を持ち合わせておりますから、正々堂々と市町村と対峙しながら説明して、入札制度導入をやめていただくとか、どうして新規許可が必要なのかとか、理論武装ができているわけですから、そういうような行動展開をするのが全清連という組織であります」。
いつ、どこからこの業界を規制緩和しようということが起きるかわからない。「自分の身を守るというか、そういうことについてもこの3点セットが現在のところ非常に大きな私たちの武器になるというか、このような大きな仕事を私たちはやってきたということを、自信をもって皆さん方にあいさつできるということは、本当にうれしいわけでございます」。
また市町村の規制権限が及ばないブローカー問題に関しても環境省から昨年の3月21日、6月20日に通知が出されたが、「正直言って私は、まだ我々の立場は弱いと思っています。これもこのままじゃいかんので、環境省と協議しながら進めていかなければと考えています」。 20年間の間、様々な問題が現場で起きる。「そのたびに意見を集約して環境省へもの申すと、そして議連の方へもご相談申し上げるという、そういうかなり激しい活動をやってきました。おかげさまで何とか大きな仕事はやれました。これも皆さんの協力のおかげ、支援の賜物と思っているんです。これからも組織をしっかりと固めて、一歩一歩、我々の役目である適正処理の推進のために頑張っていきたいと思っています」。

平成30年度の事業計画

このあと議長に大月伸一副会長(新潟県一般廃棄物処理業者協議会)を選出し議案を審議。第一号議案・平成29年度事業報告(案)~第四号議案・平成30年度収支予算(案)を満場一致で承認。
なお、平成30年度の事業計画(案)は山田久専務理事が説明に立ち、基本方針を踏まえたうえでの具体的な各々の事業活動として以下の10項目を示した。

①全清連発足20周年記念事業
②廃棄物・リサイクル制度に関する対策活動
③青ナンバー問題に関する対策
④地方における10.8部長通知等の周知活動
⑤非常災害、大規模災害による生じる災害廃棄物の処理支援活動
⑥地域廃棄物適正処理推進議員連盟との連携強化ならびに支援強化の取組み
⑦組織の充実強化と会員加入促進の取組み
⑧会員の啓発ならびに広報活動、
⑨一般廃棄物(ごみ)実務管理者講習会への取組み
⑩東南アジアをはじめとする発展途上国に清掃業務車両(パッカー車、トラック車など)を寄贈する取組み

記念講演:「社員の働くモチベーションを高め、地域で愛される会社をつくる」

総会後には、福島県福島市に本社を置く古紙リサイクル会社「㈱こんの」の紺野通昭社長による表題の講演が行われた。紺野社長は1967年生まれの3代目。先代からの事業承継、古参の社員との確執などを乗り越え、同社を地元を代表する優良企業に育てた。北海道や宮城県、埼玉、東京にも営業所がある。古紙リサイクルが本業だが、書店とカフェが2店舗あり、最近では今年4月に福島に大戸屋をオープンさせた。2月末決算で初めて年商50億円を超え、社員もグループ全体で205名にまでなった。人手不足が社会問題化している昨今にありながら同社は、「おかげさまで人手不足という経験がない」という。講演会では人手不足をテーマの一つとして、同社がこれまでやってきたことなどが披露された。

「一番大切なのは教育」「幸せと満足の違い」「毎年1日だけ全社員が福島に集結して開催される講演会と社員表彰式。市民や取引先も来ている」「年に何回か行う無記名の社員アンケート」「毎回の給与明細に社長のメッセージを入れて思いを伝える」「月次に上がる決算書、試算表を全社員に公開。すべて社員に情報公開する」「障害者の雇用。賃金は健常者と同じ」「90歳まで働ける職場づくり」……など様々な取り組みが語られた。なかでも「無記名の社員アンケート」の実施を紺野社長は勧める。会社に対するイメージとか、上司はどんな感じとか、社長の評価などが書かれる場合も。「少しでも社員と理解が共有できればいいなあと思います」(紺野社長)。

石破議連会長「業界の性格付けが法的に確立している」

このあと会場を移しての懇親会では全清連の地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長を務める石破茂議員が駆けつけあいさつを述べたほか、竹本直一副会長、寺田稔事務局長ら多数の国会議員や省庁幹部の祝辞・あいさつが続いた。
石破議連会長はあいさつで、「20年になる(全清連の)歴史の中で、法の趣旨をきちんと踏まえましょうね、そして皆様の業界は――これは最高裁でもはっきりしておる話でありまして、業界の性格付けというものが法的にも確立をしておるところであります。が、何となく法を形がい化するような仲介業者の存在でありますとか、あるいは法を形がい化すると言っていいのかどうかわかりませんが、全国には1,718もの市町村がありますので、それぞれに対応が異なるということがあろうかと思います。私ども与党といたしまして、1,718ある市町村、もし仮に皆様方のお仕事の趣旨を取り違えて、あるいは規制緩和すればいいんだと、安ければいいんだというようなことがありますれば、どうぞ私どもにお申しつけをいただきたいというふうに思っているところであります」と全清連を支援していくことを強調した。 乾杯の発声は溝手顕正議員。「乾杯!」の威勢のよい掛け声とともに出席者一同杯を高く上げ、各テーブルを囲んでの祝宴に入った。

総会の詳しい内容については「全清連ニュース88号」をご覧ください。