全国研修大会
活動報告
activity

平成30年度の全国研修大会実施報告

平成30年度『全国研修大会』開催 
~頻発する災害、心を引き締めて環境保全優先の循環型社会構築を!~
全清連設立20周年記念、総括と展望

一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は10月24日、東京千代田区の砂防会館において平成30年度全国研修大会を開催した。全清連は平成の末年となる本年、設立20周年を迎えた。メモリアルとなる今大会の会場は、メインスローガン「頻発する災害、心を引き締めて環境保全優先の循環型社会構築を!」が掲げられ、全清連会員600名の参加をみて膨らんだ。地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長、斉藤鉄夫幹事長、寺田稔事務局長らをはじめ、関係省幹部ら多数の来賓から設立20周年のお祝辞をいただいた。三井会長は20年前に全清連という組織を立ち上げた経緯を述べるとともに、この20年間を回顧し活動成果などを報告した。また、全清連設立20周年記念として地域活動功労者ならびに中央活動功労者を表彰。山田久専務理事による「全清連20年の総括と展望」が問題提起され、全清連は次の20年に向けて新たなスタートを切った。

研修大会は3部で構成。第1部では全清連を代表して三井会長のあいさつ、来賓の地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長をはじめ出席した先生方、さらに環境省、経済産業省、農林水産省から幹部らの祝辞と続いた。
第2部は全清連設立20周年記念として、地域活動功労者77名と中央活動功労者11名をそれぞれ表彰。
続く第3部では全清連の山田久専務理事が「全清連20年の総括と展望」と題して、20年前から現在までの固形一般廃棄物処理業をとりまく社会変化と全清連の対応、人口減とごみ減が招来する将来の課題について問題提起した。 その後大会は大会決議および大会スローガンの採択へと進んだ。

三井会長あいさつ

今後も生活環境の保全、適正処理推進に全力で取り組む

一般社団法人全国清掃事業連合会は本年、設立20周年を迎えました。これもひとえに会員並びに関係各位のご支援の賜物と、ここに改めて感謝申し上げます。
さて、全清連が設立された平成10年といいますと、私どもの固形一般廃棄物業界は危機的な状況下に置かれていました。7月26日付け日経朝刊に「家庭ごみ処理民営化」、即ち固形一般廃棄物の直営、委託許可を全部廃止し自由業にすべきだとする、いわゆる規制緩和の嵐の中で、規制緩和委員会での検討内容が掲載されたのです。これには私、びっくりしました。そして同志の仲間に呼びかけ急遽上京し、情報を収集する傍ら同委員会や環境省を足繁く訪れ撤回への折衝を行いました。
その過程にあって平成10年8月12日に「全国清掃事業連合会」を設立。8月20日には「規制緩和抗議大会」を、さらに9月21日には全国から1000名を超える業者が結集し「適正処理推進大会」を決行し、私どもの状況を訴え規制緩和の白紙撤回を強く関係方面へ強く要望したのです。とても熾烈な交渉でしたがその結果、委員会では「当面の間、留保する」との結論となり、この最大の難局はひとまず回避することができました。本当に涙が出る思いでした。
20年を顧みますと、私どもの業界はこの規制緩和を発端とする一般廃棄物の定義や区分見直し等、様々な問題が次々と提起されてまいりました。これらの難題にどのように対処すべきかと日夜思いを巡らせておりました。その当時、今は故人になられましたが衆議院議員の武藤嘉文先生にお会いして、たくさんの助言を得て14年12月「地域廃棄物適正処理推進議員連盟」を結成していただきました。関係省庁と全清連が良好な関係の基にその後の折衝を行い得たのも議連の存在、役割が大きいと認識しております。
当時の規制緩和や自由競争至上主義といった逆風の中、私ども全清連は孤軍奮闘し地域環境の保全、適正処理推進の立場から論陣を張り対処してまいりました。
その中で大きな転機が訪れました。設立10年を経た平成20年のことです。その年、環境省から6.19課長通知が発出されました。この課長通知は「環境保全は人類の生存基盤にかかわる極めて重要な課題」とされました。その重要性を力説し、市町村にごみ処理の統括責任がある。経済性優先であるべきではないとしたものです。規制緩和や地方分権論が声高に唱えられていた時期に、また市町村の廃棄物処理への責任意識が希薄化する中で発出された通知でありました。まさに闇の中の光明であり、全清連が環境省や議員連盟と協議を重ねた末にようやくその活動が成果をみた瞬間ではなかったかと思う次第です。
その後、平成26年1月28日には廃掃法に係る最高裁判決が出ました。同じ平成26年10月8日には環境省部長通知も発出されました。最高裁判決は「一般廃棄物処理業は適正処理が重要で、継続的かつ安定的に確保される必要がある」とする判決文でした。この司法の最高機関の判決を踏まえて業の許可の運用にも触れたのが同年10.8の部長通知でした。部長通知であることに大きな意義があります。担当部局はもちろんのこと市町村長、財政部局を含め自治体全体でごみの適正処理を認識し、進めなければならないとしたものです。実に画期的な通知でございました。
市町村長裁量による新規許可あるいは入札導入などで廃業の不安に苦しみ続けてきた業界にとってこれは、輝かしい希望でありました。私ども全清連の活動が成果を見た思いでございました。またこれら通知により、固形一般廃棄物は確固たる理念を共有できるに至ったと理解しております。
全清連はそうした一方で、災害支援でもその団結力と機動力を発揮してまいりました。平成23年の東日本大震災、28年の熊本震災、また西日本の豪雨による災害など日本列島を襲った自然災害に対して大量の廃棄物を撤去するために、全国から多くの人材そして機材を導入し、復旧支援活動を行ってまいりました。被災地の自治体や住民の方々からは感謝の言葉をたくさんいただきました。そうした活動が認められ環境省からは29年1月に、災害廃棄物処理支援ネットワーク「D.Waste-Net」のメンバーに任命されました。 全清連はこれからも多事多難が予想されますが、環境省そして議員連盟のご指導と理解を得る中で、国内の生活環境保全、適正処理の推進に全力で取り組むことをお誓い申し上げ、あいさつといたします。

議員連盟・中央省から祝辞

地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長、石破茂衆議院議員の祝辞(要旨):三井会長のお言葉にありましたように20年前、日本経済新聞に規制緩和委員会から、固形一般廃棄物の処理について、その取り扱いを自由化すべきではないかという記事が出たのが事の発端でした。規制緩和というのは何のためにやるのだろうか。それは経済活動を活発化し、個人の所得を増やすためにやるのであって、価格破壊だけが目的ではありません。むしろ価格破壊のみが目的ならやってはいけないものだと思っています。一般論として人口が減るときに価格を下げてはいけない。給料を下げてはいけない。いかにしてサービスの質を上げるかということが大事なのであって、まさしく皆様方に従事していただいておりますこのお仕事は、このサービスの本質にかかわるものであり、地球全体の環境をどうやって維持するかにかかわるものであります。
全国1718市町村、理解に乏しいところもあります。安ければいいだろうというところもないわけではありません。皆様方の活動の意義がきちんと理解され、そして人々の幸福、福祉の増進に資するべく私ども皆様とともにこれから先も頑張っていきたいと思っている次第です。

環境省環境再生資源循環局・山本昌宏局長の祝辞(要旨):一般廃棄物の処理、これは生活を支える大事なものでありまして、先ほど三井会長から丁寧なご紹介がありましたように、一般廃棄物処理についての重要性、市町村の統括的責任の重さといったことについて類似の通知を出させていただいて周知をしてきたところです。ただ、それをいかに現場に浸透させるかというところは環境省の大事な役割と思っております。それぞれの市町村できちんとした計画をつくり、また皆様方のお力をお借りしてしっかりとした処理が行われるよう引き続き周知に努めてまいりたいと思っております。

全清連設立20周年記念

地方活動功労者表彰 中央活動功労者表彰

全清連20年の総括と展望:山田久専務理事

山田専務理事より「全清連20年の総括と展望」と題して問題提起がされた。本年6月19日に閣議決定された「第四次循環型社会形成推進基本計画」の重要部分を引用しつつ、山田専務は「我々が直面している問題とは何か、方向として何が重要なのかということを提示したい」と切り出した。平成12年に成立した循環型社会形成推進基本法。この法律に基づいて策定された第一次循環基本計画から本年の第四次循環基本計画までの時代背景と廃棄物処理法の関わりなどを解説し、「循環基本計画は政府全体で決定したもの。お客さんなどからこういうことが書いてあるけどどうなの? と聞かれたときに何も言えないようじゃしょうがない。中身を抑えておく必要がある。セールストークができないといけない」と、仕事をしていく上で廃棄物処理法、環境省発出の通知はもちろんのこと、循環基本計画も勉強しておくことは必須であると述べた。 日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに漸減。2018年から30年後の2048年には1億人を切り9913万人と推計されている。当然ごみの量も減る。第四次循環計画もそのことに触れている。こうした数字を示しながら山田専務理事は「30年後に業をやるには深刻な問題。確実に仕事が減っていく時代になる。その時どうするか。ダンピングして仕事を取り合いするのか? そうではなく競争から協調に変わらないといけない。共存共栄という発想にならないと生き残っていけない」「行政を巻き込まないといけない。そのためにはセールストークを磨かなければいけない」と述べ、社会の大きな流れを見据えながら、30代、40代、50代といった若い経営者の感性でもって問題解決へ向けての取組みをしていってもらいたい、とした。
(研修大会の詳細は、全清連ニュース第90号をご参照ください)