総会
活動報告
activity

平成28年度の総会の報告

全清連・第七回定時社員総会開催
~熊本地震の災害廃棄物処理支援に動く~

一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は4月27日(水)千代田区の如水会館において第七回定時社員総会を開催した。4月14日に発生した熊本地震。現地では震災によるごみ処理が急迫した課題となっており、全清連に熊本市や環境省から支援の要請が届いている。これを受けて本総会では急きょ平成28年度事業計画に災害廃棄物の処理支援活動という「熊本地震に対する支援の取組み」を上程、満場一致で可決承認された。総会終了後には明治大学大学院法学研究科の新美育文教授による環境省廃・リ部長通知と最高裁判決についての記念講演が行われ、また席を移しての懇親会には地域廃棄物適正処理推進議員連盟の石破茂会長らをはじめとする多数の国会議員、関係省幹部らが出席しての祝宴が開かれた。

午後1時半からはじまった定時社員総会は出席者全員、熊本地震の犠牲者に黙とうを捧げたあと、全清連の「連合会旗」が入場。大きな拍手で迎えた。正面には国旗ならびに全清連の連合会旗が掲げられている。これに向かって一同君が代を斉唱して総会は幕を開けた。
「全国の代表総数21名(委任状1通)とオブザーバー217名含めて総勢239名の出席です。これは定款第17条の総会成立要件を満たしております。本総会は廃棄物処理法見直しの年であり、我々の業界にとって重要な事業計画を慎重に審議する場所となります」と野々村会長代行(岐阜県清掃事業協同組合会長)が総会成立を宣言した。

三井会長あいさつ

全清連を代表して三井会長があいさつ。「ただいまの野々村会長代行の開会宣言にありましたように廃掃法の見直しが迫っておりまして今年度から環境省が作業に入ると思います。またいろいろな問題が生起するでありましょうが、しっかりした足取りで対応してまいりたいと思っています」。三井会長は冒頭、廃掃法の見直しについて触れ、続いて本総会に初めて出席する会員もいることから、全清連の発足から今日に至る18年間の足取りをかいつまんで説明した。平成10年に全清連は発足した。「結成のときは経団連が規制改革委員会において、私どもがやっている固形一般廃棄物の直営、委託、許可の業を全部自由業にすべきだということを俎上してきたわけです。当時の事務局は総務庁でした。そこへ我々押しかけて行って、『これはどういうことなんだ』ということから始まりまして……。残念ながらその当時は固形一般廃棄物の全国組織がなかったんですよ。まったくなかった。そこから立ち上げて、皆さんの参加、努力のおかげでようやくこの18年間をクリアしてきたわけです。その問題は本当に心血注いで何とか防ぎました」と振り返った。
このあと、平成20年の6.19課長通知、平成26年の10.8部長通知、また最高裁判決が出された。「このことにおいて私どもの固形一般廃棄物の基礎をつくっていただいた。皆さんが頑張ったからであります」。ただし10.8通知が出たが、「我々は問題解決のために行動を起こさないと絵に描いた餅になる危険性があるわけです」とし、いまだ新規許可を出す市町村の首長がいるなど「10.8通知、最高裁判決からするとあってはならない案件に対して、私どもが首長に対して改善方を要請していく、そういう努力をしていかなくてはならない。それで私どもは地域ごとに全国研修会を毎年開催して、講師を招いてあるいは地元自治体に出席していただいて、廃掃法の制度とはどういうものなのかといったところを説明すると同時に、そうでない市町村に対しては改善していただく。そのことを一生懸命やっている途上であります」と全清連の取組みについて述べた。
最後に熊本地震への支援活動について、「一日も早く来てほしいというのが熊本市の要請でした。環境省からも部長名でぜひ支援してもらいたい旨の文書が届いております。それを受けて私どもは一刻も早く体制を組んで現地に入って支援活動を行っていきたい。一刻も早く廃棄物の除去のお手伝いをしたいと考えております」と強調した。

平成28年度の事業計画

このあと議長に大月伸一副理事長(新潟県一般廃棄物処理業者協議会会長)を選出し、山田専務理事が説明に立って議案を審議。第一号議案・平成27年度事業報告~第五号議案・役員の選任を満場一致で承認したが、平成28年度事業計画については、「熊本地震に対する取組み」を急きょ上程し承認を求めた。支援のスケジュールを山田専務が説明する。4月30日に地震帯から外れている熊本県清掃協議会の天草と山鹿地区のメンバーが7台のパッカー車を出して5月2日まで支援します。そして5月3日からは鳥取、広島、山口、福岡のメンバー車両30台人員60名の体制で入る。今回は緊急ということで、熊本市が用意してくれたクリーンセンター会議室に貸布団を持ってきて泊まります。ただしスペースの関係で40名分しか泊まれない。なので福岡の皆さんには我慢してもらって日帰りで、毎日ピストンでやっていただくことになります。またこれらに係る費用、車両保険や損害保険、食料費用等々に関しては連合会の繰越予算の中から充当します――総会ではこれらの支援活動を承認した。
なお、平成28年度の事業計画活動方針は、基本方針を踏まえた形で具体的には以下の10項目を示した。
①基本方針
②廃棄物・リサイクル制度に関する対策活動
③地方における10.8通知の周知活動を通した地域の生活環境保全、公衆衛生確保向上のための取組み
④全清連の組織充実強化と団体会員拡大のための活動
⑤地域廃棄物適正処理推進議員連盟との連携強化ならびに支援強化のための活動
⑥会員の啓発ならびに広報のための活動
⑦D.Waste-Netへの参画に向けた取り組み
⑧一般廃棄物(ごみ)実務管理者講習会への取組み
⑨東南アジアをはじめとする発展途上国に清掃業務車両(パッカー車、トラック車など)を寄贈する取組み
⑩熊本地震に対する取組み

石破議連会長からも熊本地震への支援要請

総会終了後には明治大学大学院の新美教授による記念講演が行なわれた(別掲)。このあと会場を移しての懇親会では全清連の地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長をつとめる石破茂地方創生担当大臣が駆けつけあいさつを述べたほか、野田聖子副会長、竹本直一副会長、斉藤鉄夫幹事長、寺田稔事務局長ら錚々たる国会議員や省庁幹部の祝辞・あいさつが続いた。石破議連会長は熊本地震に触れて「現地において、ごみの処理をどうしようかと困っておられる。全清連の方のお力をお借りしたい。お願いします」と支援を要請し、地震や津波の災害の歴史を語った。地域創生ということでは「地域地域で頑張っている方々、そこにきちんとしたいい仕事があり、ふさわしい収入があり産業が栄える。そういう意味で皆様方にお世話になることはこれから先、増えることはあっても減ることはないと思っております」と結んだ。
このあと南川秀樹特別顧問の発声により乾杯。和気あいあいの祝宴が繰り広げられた。

全清連第七回定時社員総会 記念講演

明治大学大学院法学研究科・新美育文教授

新美教授の講演テーマは「廃掃法の適正な運用の徹底に係る環境省廃・リ部長通知と最高裁判決」というもの。平成20年の環境省6.19課長通知、平成26年の10.8部長通知、それに平成19年11月30日の東京地裁判決と平成26年1月28日の最高裁判決という一連の流れから、そこに示されている一般廃棄物に関する基本的な考え方を、環境法の研究家の立場から解説した。以下は講演要旨。
平成26年10.8通知の前に平成20年6.19通知がある。「これが本来、一般廃棄物に関する基本的な考え方が示されている」(新美教授)わけで、「そのまま素直に決定されたのならよかったのですが紆余曲折があり、最高裁に諍いが持ち込まれた。そしてその決定を受けて10.8通知になった」。
6.19通知発出には前提があったと新美教授は語る。それは平成19年11月30日の東京地裁の判決が6.19通知のベースになっていると指摘する。東京地裁で判決が出された訴訟とは簡単に言うと、一部の住民が、武蔵村山市が平成16年、平成18年の各年に締結したごみ収集運搬業務委託契約は、地方自治法第234条2項に違反する随意契約であると主張し、住民監査請求を起こし損害賠償金の支払い請求を求めた事案。要するに随契で行ったことは一般競争入札ではないから違法だという主張だ。これについて東京地裁は住民の訴えを退けた。その理由について長々と述べているが要諦としては『価格の低廉性を重要な要素と位置付ける一般競争入札によっては、その趣旨の実現を図ることは困難である』ということ。その趣旨の実現とは、廃棄物処理法による一般廃棄物の適正な処理は、住民が衛生的な環境下において健康で文化的な生活を営むことを指す。
こうした諍いがたびたびあったので、廃掃法の趣旨をより徹底するということから6.19通知が出されたわけだが、それでも「首長さんの中には廃掃法の趣旨が十分理解できていなくて、一般競争入札に流れることもないわけではない。一般競争入札の問題については6.19通知ではっきり出されたが、実はちがう諍いも出てきたわけです。随契でやるというのは、首長が自分の裁量でやっていいのかという問題です。この問題が現れたのが最高裁の平成26年1月28日判決であり、それを踏まえて平成26年10.8部長通知が発せられているわけです」。
最高裁も平成19年の東京地裁の考えを確認している。「一般廃棄物処理業はもっぱら自由競争に委ねられるべき性格の事業とは位置づけられていない。許可要件に関する市町村長の判断にあたっては、区域における一般廃棄物処理業の適正な運営が継続的かつ安定的に確保されるように、地域内の需給の均衡とその変動による既存の許可業者の事業への影響を適切に考慮することが求められる」と最高裁は考え方を述べている。
要するに「首長は処理計画がきちんと行われるように施策を講じていかなければならない。そのための処理業者選定については、経営基盤や技術などいろいろなものを考慮する必要がある。自由裁量ではない。現在の許可業者は他の処理業者に対してなされた許可に対して利害関係を持っている。処理計画にきちんと配慮した、実現するための許可なのか、ということについて訴えあるいは異議を述べることができると最高裁は言っているわけです」。そういったことからも改めて市町村の一般廃棄物処理責任の性格を通知した「10.8部長通知は熟知完読しておく必要がある」。

総会の詳しい内容については「全清連ニュース79号」をご覧ください。