平成27年度の全国研修大会実施報告
平成27年度『全国研修大会』を開催 誇りをもって国家に貢献
一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は10月28日(水)午後1時より、東京千代田区の砂防会館において平成27年度「全国研修大会」を開催した。会場には全国から600名の全清連会員らが参集。来賓には地域廃棄物適正処理推進議員連盟会長の石破茂地方創生相をはじめとする31名の国会議員、および関係省幹部が出席し、多くのご祝辞や激励の言葉を頂いた。環境省が廃・リ対策部長名で一般廃棄物処理に関する通知(10.8部長通知)を発出してから1年が経過する今大会、三井会長は冒頭のあいさつで10.8通知をもとにした当該市町村との交渉・協議の必要性をトップに、容器包装リサイクル法の見直しについての考え方、災害廃棄物処理への取組み――といった固形一般廃棄物業界にとって喫緊の課題である3点について述べ、全清連という全国組織としてのあり方を示した。第二部では講演が行われ、環境省の二木豪太郎廃・リ対策部廃棄物対策課基準係長が「一般廃棄物の適正処理に関する諸問題について」説明した。第三部は当面の事業方針の発表、大会決議、スローガン採択等が行われた。
三井会長あいさつ 10.8通知の活用の必要性など3点
研修大会は盛大な拍手に迎えられ全清連の連合会旗入場で幕が開く、大前副会長が力強く開会を宣言し、次いで全員が起立して君が代が斉唱された。
全清連を代表して三井会長が壇上に進みあいさつ。「今日の全国研修大会は、ちょうど昨年、環境省から10.8通知が発出され早いもので1年が経過します」と切り出した三井会長は、3つの要点について述べた。一つ目は16年間をかけて発出を受け止めた10.8通知について。この1年間、全清連として全国各地で問題のある市町村に対して積極果敢に協議を申し入れた結果、相当数が解決の方向に向かっているようだが、まだ十分な理解を得ず、交渉続行中というところも多々あるとの現状を述べた。その上で「問題の市町村とはこれからも誠心誠意をもって交渉を積み重ねることを強く要望します」と全清連会員に訴えた。他方、「私どもは要求することだけでなく、自分たちの正すところは姿勢を正して、BCPの策定、エコアクション21の認証取得、環境法令遵守などの推進を整備し、業務品質を向上させて国家に大きく貢献していかなければならない」とした。
二点目は容器包装リサイクル法の見直し審議について。1年以上審議会が開かれず検討がストップした状態が続いている容リ法制度の見直し議論だが、容リ法も廃掃法同様に「法の目的、趣旨がある。一体この法律は何を求めてつくられたのかということを、(容リに関係する)皆さんが立ち返っていただければ、おのずから回答は出てくるのではないか」と、容リ法の原点に立ち返るべきと強調した。
最後の三点目は災害廃棄物処理に対する業界の取組み。災害発生が多い日本にあって、災害廃棄物処理の推進について環境省から固形一廃の全清連と、同じ一廃の液状の組合にも声がかかった。全清連は東日本大震災にも行き、京都、広島で発生した災害にもその都度出動して懸命に災害廃棄物処理に取り組んできた。いわばこうした場合の現場のプロといえる。こうしたことから会長は「災害時にはわれわれ一廃業者という誇りを持って、国家に寄与してく組織をつくっていきたい」と述べ、「自分のところが災害が起きれば、絆の精神で懸命に、我々ができる仕事はやらなくちゃいかんと思うんです。全清連という全国組織が羽ばたく大きなものが出てきたわけですので、その時には我々は手を携えて頑張りましょう」と結んだ。
石破茂議連会長あいさつ「法の趣旨の再確認を」
議員連盟ならびに関係省から多数のごあいさつ、ご祝辞をいただいた。31名の国会議員を来賓として迎えた議連を代表して石破茂議連会長があいさつを述べる。「この議連は何という名前かというと、地域廃棄物適正処理推進議員連盟という名前です。まさしく名は体を表すであって、それぞれの地域において、いかに適正に処理されるかということを推進するのだ、というのがこの議員連盟の趣旨であります。三井会長のおっしゃった法の趣旨というものを、もう一度確認しようというものであります」と議員連盟の名称が表す根幹を説明。そして、「一般廃棄物は自由競争になじまないのだと。なぜなのか。安ければよいという話にならない。その地域、地域の行政が責任をもって適正に処理されるということでなければならない。だとすれば、それは自由競争に委ねられてはならないという法の趣旨を、今一度徹底しなければならないということであります」と論を展開した。
また容リ法についても、「なぜコストが高い方を優先枠として設けているのだろうか。これまた法の趣旨になるわけでございます。リサイクルをするということと燃料にして燃やしてしまうということは、決して同じ話ではないはずだと。法の趣旨はそういうことではないはずだというのが私は原点であろうというふうに思っておりますが、それは同じであるという不思議な主張があるとすれば、それなりの論拠があっておっしゃっているのだと思います。それはどういう論拠でおっしゃっているのか。我々としてなぜ50%優先枠をこれから先も維持していかなくてはいけないのか。何が法の趣旨なのかということをきちんと確認しながら我々は行動していかねばならないと考えています」と法の趣旨の確認を強調した。
そして最後に、「地域においていかにして循環型社会を維持するか、これまた廃掃法の趣旨でございますが、快適な社会として維持することができるのか。その実現に向けて共に努力をしてまいりたいと考えています」と締めくくった。
講演会・一般廃棄物の適正処理に関する諸問題について
続いて環境省廃・リ対策部廃棄物対策課の二木豪太郎基準係長による講演「一般廃棄物の適正処理に関する諸問題について」が開かれた。二木係長の講演は、①一般廃棄物処理計画の適正な策定及び運用について、②事業系廃棄物の取り扱いについて、③使用済物品等の適正な処理の確保について、④非常災害時の災害廃棄物対策について――それぞれのポイントなどを説明した。
①については平成20年の6.19課長通知から平成26年の10.8部長通知発出までの経緯や背景を、平成26年1月の最高裁判決などを織り交ぜながら述べた。②では、市町村が事業系廃棄物の取り扱いについて、一廃又は産廃とする解釈を変更する場合は、産廃の適正処理に努めることとされている都道府県に相談した上で、排出事業者への周知を徹底する必要がある。また最近、小規模事業所や商店かなどの事業所から排出される少量プラスチック等を産廃として扱う事例が上がっているが、そうなった場合、小規模事業者に対してマニフェスト交付など排出者責任に基づく様々な規制がかかることに留意する必要があるとした。③は違法な不用品回収業者、引っ越し時に発生する廃棄物の処理、遺品整理に伴う廃棄物の取り扱い、水俣条約を踏まえた水銀廃棄物対策などについて解説。遺品整理については、一般家庭で整理した遺品の中で廃棄するものは一般廃棄物になる。なので、一般廃棄物の収集運搬の許可を得ていない遺品整理業者ができる業務は、依頼を受けた家庭内の敷地内で、遺品を整理するところまで、というポイントを述べた。④では非常災害時における廃棄物処理法の特例として、一般廃棄物の処理の再委託の特例が設定されたことが重要ポイントのひとつと説明した。
当面の事業方針
研修会も終盤の第三部に入り、全清連・山田専務理事が当面の事業方針を問題提起という形で発表した。6.19通知と10.8通知がどれほど重みのあるものなのか。しっかりと受け止め勉強する必要がある。10.8通知では最高裁判決(平成26年1月28日)を抜粋してあるが、環境省がこうした抜粋を添付することはかつてなかったことだ。研修大会スローガンにあるように我々は環境省通知に基づき、入札方式導入と新規許可の乱発反対を主張してきた。一部の人間はこれを業界エゴだという。しかしそうではない。環境省通知も最高裁判決もそれを指摘している。国や最高裁の考えとしてそれはある。が、じつはこれは「諸刃の剣」である。最高裁判決にあるように、一廃発生量に応じた需給状況の下における適正な処理が求められている。だから一廃処理業は専ら自由競争に委ねられるべき性格の事業ではない。が、処理量に応じた需給ということでは、許可業者が多ければ削減することも可能になる。我々がそうならないためには勉強して、行政が求めるレベルの一歩、二歩先を行く廃棄物処理、地域住民や議会、行政から信頼され支持される業務品質の向上、達成が必要になってくる。最後に山田専務は「これからの10年。全国津々浦々まで10.8通知を行き渡らせないと我々の未来はない」と締めた。
研修大会はこのあと、大会決議、スローガン採択とつづき、最後は恒例となった「ガンバロー・コール」。こぶしを突き上げガンバローという全員による大きな掛け声が、深まりゆく秋の永田町にこだました。
(研修大会の詳細は、11月下旬発行予定の全清連ニュースに掲載)。