平成25年度の全国研修大会実施報告
平成25年度『全国研修大会』を盛大に開催
一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連・三井崇裕会長)は10月23日(水)午後1時より東京千代田区の砂防会館において全国から630余名の会員が出席し、平成25年度の「全国研修大会」を盛大に開催した。研修大会は第一部・全清連三井崇裕会長ならびに議員連盟、各省庁のあいさつ、第二部・地域活動の事例発表、第三部・記念講演、当面の事業方針、招待団体等紹介、大会決議、スローガン採択――からなる三部構成で進められた。昨年12月の衆院選挙さらに今年7月の参院選挙の結果、自公が大躍進を遂げ磐石な政権与党が誕生したことは改めて言うまでもない。これにより全清連議員連盟へのご加盟も増え、衆参の国会議員49名の先生方で構成されることとなった。三井会長は冒頭のあいさつでこのことに触れ「非常に強烈な議員連盟の形ができました」と、全清連の組織が強固なものになったとの認識を示した。また地域活動の事例発表では熊本県清掃事業協議会の廣田専務理事が、同協議会への会員加入促進策を報告し、さらに講師に磯﨑参議院議員を迎えての講演では、議員になる前の自身の民間企業勤務時代の経験を織り交ぜながら、一般廃棄物処理業の性格ならびに全清連活動に期待することを語った。当面の事業方針では全清連の山田専務が、産業界ばかりでなく最近では「市町村側から一廃・産廃のなし崩し的な区分変更の事案が多く生起している」と指摘し、それへの対応として「廃棄物処理法の解説」をもとに一廃・産廃の区分についてのポイントを示した。研修大会は中身が濃いものとなり、出席者は熱心に聞き入っていた。
強烈な議員連盟が構成され、全清連の組織も強固なものに
研修大会は歌手中島みゆきの「地上の星」のインストルメンタルが会場に流れる中、盛大な拍手に迎えられ全清連の連合会旗入場でスタート、次いで全員が起立して国歌が斉唱された。
全清連を代表して三井会長が壇上に進みあいさつ。今年の7月末から8月初旬にかけてのゲリラ豪雨により山口市では災害が発生し、地元の前田理事長が早速準備して災害除去を展開した。また9月には同様に京都府がゲリラ豪雨に見舞われ、福知山市では山本会長以下、率先して災害支援の準備をし、東海、近畿ブロックからも全清連会員が馳せ参じ災害復旧のために奮闘した。これらはいずれも無償支援活動として行われたもので、この活動に関して三井会長は冒頭、「私どもの行動の展開でした。皆さんにご報告申し上げたいと思います」と述べた。また昨年12月の衆院選と今年7月の参院選の結果、自公による完全制覇が達成されたことについて「全国の会員の皆様にご支援のお願いをしてきたことでありますが、この席をお借りしましてお礼申し上げる次第です」と感謝し、続けて「中川秀直先生が議員を引退しました関係上、新しい議員連盟は会長に自民党の石破茂幹事長に就任をお願いいたしました。副会長には自民党の竹本直一先生と公明党の斉藤鉄夫先生に、そして事務局長には野田聖子先生にお願いいたしました」と地域廃棄物適正処理推進議員連盟の新陣容を報告。加えて「中川先生にはこの4月の総会で特別顧問をお願いしましたところ、快くお引き受けいただきました。また前環境省事務次官の南川秀樹先生にも特別顧問を快諾していただきました」と述べた。
全清連の議連は「現在49名の衆参の先生方で構成されていることをご報告申し上げます。非常に強烈な議員連盟の形ができたわけです」とし、全清連の組織が一段と強固なものになったことを強調した。
規制を緩めればいいというものではない
議員連盟ならびに関係省庁から多数のごあいさつ、ご祝辞をいただいた。議員連盟は代表して会長の自民党石破幹事長が「環境というのは基準を緩めるとあまりいいことはありません。法律はそれなりに良く出来ているのでありますが、それを誰がどのように運用するかで結果は全く異なってまいります」と述べ、小型家電リサイクル法にしても附帯決議が付けられていることを示し「それがきちんと運用されなければこの法律は機能することはございません」と法の運用がいかに大切であるか指摘し、「儲かればいいやという人が入ってくる。技術の低い人が入ってくる。これは規制緩和の名の下に環境がわるくなり、公衆衛生がわるくなる」と警鐘を鳴らす。「私どもとして、何でもかんでも規制を緩めればいいとは思っていません。特定の団体、特定の企業を保護するという考えには基づいていません。どうやって環境を守り、どうやって公衆衛生を守るのか、そのためにはどう法を運用していくか。我々議連としても誤りなきようしたい」と法の運用のもとでの環境優先の考え方を述べた。
議連の竹本副会長、斉藤副会長、野田事務局長らをはじめ衆参30名の先生方からのごあいさつが続いた。環境省、経産省、農水省の幹部からのごあいさつ、中川特別顧問、南川特別顧問からもごあいさつをいただいた。
地域活動の事例報告・熊本県の会員加入促進の取り組み
休憩を挟んでの第二部は地域活動の事例発表。今回は熊本県清掃事業協議会の廣田専務理事による「熊本県における会員加入促進の取組みについて」が報告された。
報告者の廣田氏の会社はし尿処理から出発し、ごみ処理に転換して通算50年の歴史がある。廣田氏自身は大学を卒業後、東京でサラリーマンをしていたが、その後家業を継ぐため帰省する。ところが実家の経営状態が破綻に近いことを知る。廣田氏は廃棄物関係の本を読み漁った。「こんなに法律に守られているのに経営が厳しいのはなぜか。委託金額が低かった。委託料が委託業務に遂行するに足りる額であること。法律にはこう書いてあるのに……。この矛盾に悩んでいた」(廣田氏)。
そんなとき、福清連(福岡県清掃事業協同組合連合会)の西山会長(当時)の訪問を受ける。これをきっかけに未組織であった同業者の組織化へと進んでいく。「約2年間にわたり毎月1回行なわれていた福清連の会議にオブザーバーとして出席させてもらった」。ここで廣田氏は様々なことを学び取っていく。組織化については同業者にDM(ダイレクトメール)を送付し、思いを伝えた。また行政に対してはトップや部長にあいさつを恒例化するなど様々な活動を展開する。多くの紆余曲折はあったものの、組織は3年間で28社になり、今後の加入も見込めるようになった。組織ができて情報も集まってくるようになった。また行政に関しては環境についての定例会議を設けることができ「原動力になった」という。
講演会・全清連活動に期待すること
講師に議員連盟の磯崎仁彦参議院議員を迎えての講演「全清連活動に期待すること」は、自身が航空会社(ANA)企業勤務時代の経験を織り交ぜながら、一般廃棄物処理業の性格ならびCSR(企業の社会的責任)を説明しつつ全清連活動に期待することを語った。一廃処理業とはどういうものなのか、社会の中での位置づけをきちんと整理分析しつつ、求められるものについて言及したこの講演は、傾聴に値するものとなった。
まず今年7月の米国デトロイト市の財政破綻とナポリのごみ問題をトピックとして取り上げた。財政破綻に陥ったデトロイト市では債務カットなどを通じて必死に再建に取組むが、そんな中でスナイダー知事は「警察や消防、ごみ収集、街灯を例に挙げ、行政サービスの投資は続ける意向を示した」という。「削っていいものは削っていくが、ごみ収集とかは削ることができないと(知事は)主張している。市が財政破綻しても国民の生活に密着していることは守っていく。これは大きな意味がある」(磯崎議員)。
つまり一廃処理業者の仕事は「生活に密着している。何かあったときにクローズアップされるのではないかと思う」。
一廃処理業の性格とは、「何か起こらなければ住民にとって自然と流れていく、いってみれば空気のような存在。しかしサービスが停滞すると住民の生活に大きな影響が出る」。ごみの収集は直営と委託があるが、基本として「税により運営されている公共サービス。税が投入されていることから、住民の見る目は厳しいものがある」と自覚を促す。日常の中で「皆様の活動が表に出てくることはない」。しかし社会的貢献は必要になってくる。なぜ必要なのか。磯崎議員はCSRの考え方やコンプライアンスといったことをANA時代の経験などをもとに語った。
当面の事業方針
研修会も終盤にさしかかり、全清連・山田専務が当面の事業方針を問題提起という形で発表した。固形一廃業界にとって、いま最も重要な問題は、中央において廃棄物処理法の定義・区分を改悪しようという動きであり、「その動きは弱まっていない。政府の規制改革会議だけでなく、食リ法や容リ法、小電法などにおいてもその傾向が見える。廃掃法がじゃまだという論法です。そのため廃棄物を循環資源とか副産物という言い方をする。だから廃棄物ではないという論理を展開する」と指摘。
地方に目を向けると、入札の導入、許可乱発の事案に加え、「市町村行政側から行なう一廃・産廃のなし崩し的な区分変更の事案が多く生起しているということです」(山田専務)。市町村行政側から行なう一廃・産廃のなし崩し的な区分変更の事案のひとつの例をあげる。サラリーマンが事務所でポリ袋に入っているパンを食べた。そのポリ袋は産廃になるということを言い出している市町村が出てきた。「市町村は要するに、ごみを減らしのため一廃を産廃に付け替えようとしている。統計上は減量になる。すると一廃業者はたまったもんじゃない」。こうしたことにどう対応していくのか。「廃棄物処理法の解説」(平成24年度版)では、産業廃棄物について、量的又は質的に環境汚染として問題とされる……と書いてある。「サラリーマンが食べたパンのポリ袋は環境汚染になるのか」と述べ、なぜ廃掃法が制定されたのか。その社会的背景はどうなのかといった事柄について、「廃棄物処理法の解説」をしっかり読み込む必要があるとした。また「業務品質の向上を表に出す。自分たちの仕事は掃き清める仕事であるということを外部にアピールしないと、行政に抗議しても受け止められない」と述べた。
研修大会は最後に大会決議、スローガンを採択して幕となった。
(研修大会の詳細は、11月下旬発行予定の全清連ニュース第69号に掲載)。