全国研修大会
活動報告
activity

平成23年度の全国研修大会実施報告

平成23年度「全国研修大会」を開催

一般社団法人全国清掃事業連合会(全清連)は10月26日(水)午後1時より東京千代田区の砂防会館を会場に、平成23年度の「全国研修大会」を開催した。全国から600名を超える会員が参集した本大会は、メインスローガンに「東日本被災地復興の取組みに連携し、地域環境の保全活動に邁進しよう!」を掲げた。被災地復興の現実の一端に触れて、復興支援連帯の今後のあり方について考え、また同時にその中で東日本大震災以降の我が国の社会経済状況下での我々固形一廃事業者の基本的方向を考える。第一部・全清連三井崇裕会長および議員連盟、各省庁のあいさつ、第二部・講演会、第三部・東日本大震災被災地無償活動報告と感謝状授与、当面の事業方針、大会決議、スローガン採択――の三部構成。環境省山本廃対課長および大震災で被災された岩手県大槌町からは(有)城山観光松橋専務による講演が行われた。全清連は環境省の要請に応じて東日本大震災被災地への無償支援活動を展開しており、第一陣ならびに第二陣の代表者が支援活動内容を報告するとともに、三井会長より感謝状が授与された。当面の事業方針は今回の場合、経団連や内閣府の規制・制度分科会がずっと提案している「廃棄物の定義・区分の変更」について、これは「どういうことか」を考える機会を提示するなど有意義な全国研修大会となった。

我々を押し潰そうとする規制緩和に対抗する理論武装を

全清連を代表して三井崇裕会長があいさつ。三井会長は冒頭、東日本大震災被災地への無償支援活動に際して、会員の方々から活動資金を拠出していただいたことへの感謝の言葉を述べた後、「私たちは何の目的でこのような研修大会を開催するでありましょうか」と研修会開催の目的について切り出した。「固形一廃収集運搬事業者である私どもを押し潰そうとする人たちがいる。いわゆる規制緩和です。廃掃法の定義・区分変更を要求する人たちです」「私たちの目的のひとつは、そういう人たちに対して、我々は正々堂々と対抗していかなくてはならない。手をこまねいているわけにはいかない」。こう述べ、そのためには「我々一人ひとりが理論武装しなくてはならない。この理論武装とは何か。後に詳しく触れますが、一緒に学習してきちんと理論武装してもらいたい」と強調した。
地域廃棄物適正処理推進議員連盟からは会長の中川秀直議員、副会長の西野あきら議員、石破茂議員、野田聖子議員ら衆参両議院から多数(16名)の国会議員が出席し祝辞が述べられ、環境省・伊藤哲夫廃・リ部長のほか経産省、農水省の幹部のあいさつが続いた。中川議連会長は東日本大震災に触れ、「大震災から生ずる生活環境の破壊、災害廃棄物に見られるような処理の困難さを思いますときに、あらためて生活環境をしっかり守っていくことの重要性の認識が高まったのではないか。皆さんが長い間、廃掃法の理念に基づいて生活環境の保全活動をされてきたことにあらためて敬意を表したい」と語った。

講演、被災地・岩手県大槌町の現況

第二部の講演は、環境省山本昌宏廃対課長の「環境省の東日本大震災への対応について」と、東日本大震災の被災地から(有)城山観光の松橋明専務による「被災地・岩手県大槌町の現状について」。大震災で津波にのまれながらも九死に一生を得た松橋さんは当時の様子を振り返ると同時に被災者の現状を生々しく語る。大震災で東日本は人的、物的被害を受けた。松橋さんも親戚、友人、多くの仲間を失った。「先の見えない生活、絶望感……。動いていないと気が変になりそうだ。自分は仮設住宅の設置、物資の運搬と忙しく動き始めた。日が経つにつれ、仕事にも疲れを感じ、避難所生活のストレスの毎日」。そんなある日、「業界のバス会社社長から、全清連というボランティア団体が来るので面倒をみてやってくれ」といわれた。「何で俺が? 全清連って何? 復興に忙しい自分に何をしろというのか」。松橋さんの正直な感想だ。全清連到着の日、「トラックと人数にびっくり」。全清連のボランティア活動を見て、松橋さんは日増しに勇気づけられていく(詳しくは全清連ニュースをご参照ください)。

廃棄物の定義・区分の変更とはどういうことか

第三部は「東日本大震災被災地無償支援活動」の模様を第一陣救援隊隊長の片野理事、ならびに第二次救援隊副隊長の三井常任理事がそれぞれ報告。さらに無償支援活動に尽力した147名、ならびに運搬車両を無償提供した26社を代表して、中部、四国・近畿、九州・四国の各ブロックなどに対して三井会長より感謝状の授与が行なわれた。
このあと当面の事業方針を山田専務理事が説明。当面の事業方針は今回の場合、経団連や内閣府の規制・制度分科会がずっと提案している「廃棄物の定義・区分の変更」は、それは「どういうことか」について考える機会を提示した。平成10年、経団連を中心に生活系廃棄物処理の自由化を進めていくというテーマが出された。これに反対するために全清連という組織を立ち上げた。しかし生活系廃棄物処理の自由化の動きは今なお続いている。事業系一般廃棄物を産廃に付け替えようという動きが、内閣府の規制・制度分科会で出され、一廃・産廃の区分の見直しも俎上にあげられようとしている。規制が緩和され、廃棄物の定義・区分の変更が行われたら、固形一廃の業は立ち行かなくなる。倒産する会社が出る。死屍累々となるだろう。とくに東日本大震災という未曾有の災害が起きて、そのどさくさに紛れて復旧・復興をスムーズにするため規制緩和をしないといけないと言い出している。これは5年間続きますから。その間に、災害廃棄物だけでなく、一般廃棄物も見直したほうがいいんじゃないかということを言い出す可能性も十分ある。我々は注意深くその動きを見ていかなくてはならない。こうした一方で、平成20年に環境省から6.19通知が出された。全清連が10年をかけて勝ち得たものだ。しかし、この6.19通知は個々の会員が知識として知っているだけではだめだ。十分理解して、市町村や議員に説明し、相手が納得してくれるよう話すことができなければならない。全清連会員の個々のレベルを上げていかなくてはならない。勉強をして理論武装する必要がある。そうでないと自分たちの仕事は守れない。環境も保全できない。
研修大会はこのあと、大会決議、スローガン採択と続いた。
(研修大会の詳細は全清連ニュースに掲載)。