全国研修大会
活動報告
activity

平成22年度の全国研修大会実施報告

平成22年度「全国研修大会」を盛大に挙行

一般社団法人全国清掃事業連合会は10月22日(金)午後1時より東京千代田区の砂防会館を会場に、平成22年度の「全国研修大会」を盛大に挙行した。「環境保全優先、安心・安全の循環型社会を目指そう!」のメインスローガンのもと、全国から600名を超える会員が参集した。(財)日本環境衛生センター・三本木徹特別参与の基調講演ならびに地域活動の事例発表を通じて課題を認識し、問題の共有化を図った。
廃棄物の区分見直しの問題が依然としてくすぶっている。政府は行政刷新会議(議長・菅直人首相)の規制・制度改革分科会の民間委員トップに住友商事の岡素之会長の起用を内定、10月中に岡氏を含む新委員約15名を選び、本年度末をメドに医療、環境、農業分野などで規制の見直し案を策定するといわれている。区分見直しが論点として答申等に要求項目として記載され、環境省に対して中環審等での検討が求められるに至った場合には、全清連の論点をあらゆる機会を通じてあらゆる関係者(各政党、議連、有識者、環境省等々)に訴求することを事業方針とした。また、入札導入事案や新規許可乱発の増加などが顕在化している地方については、6.19重要事項通知の周知活動をなお一層の熱意と粘り強さをもって取組むことも方針として示した。会員一人ひとりが自らの「業」を守るためには全清連の組織強化を図ることが不可欠であるとの認識に立ち、会員加入促進の活動を展開することも求めた。

我々の役割、使命は地域の環境保全の確保

全清連を代表して三井崇裕会長があいさつ。「我々の役割、使命は廃棄物処理法にあるように、地域の環境保全を確保する。これが我々の役割、使命ではないかと思うわけです」と切り出した三井会長は、「課せられた役割、使命のため我々の現場では業務品質向上を日々頑張っているわけですが、それにもかかわらず規模の経済、効率化という表現で廃棄物処理法の定義・区分の見直しが浮上してきている」とし、さらに入札問題や新規許可の乱発増加という現状について述べたあと、「(全国研修大会を通して)全清連会員は何が求められるのか、何をしなくてはならないのかを共有していきたい」と結んだ。
地域廃棄物適正処理推進議員連盟からは会長の中川秀直議員、副会長の西野あきら議員、石破茂議員、野田聖子議員ら衆参両議院から多数の国会議員が出席し祝辞が述べられ、環境省・伊藤哲夫廃・リ部長のほか経産省、農水省の幹部のあいさつが続いた。中川議連会長は環境省が平成20年6月19日に出した通達について触れ、「経済性の確保以上にしっかりした一般廃棄物の処理を市町村が責任をもって確実に行なうというのが重要であるという通達であったわけですが、能力のない人まで(ごみ処理を)やっていいとか、ただ安ければいいとか、そういうことになると本当に大きな問題が生まれてくる」と、市町村が清掃業務に入札などの経済合理性を導入することへの危惧を示した。また石破議員も「市町村は一年に大体どのくらいのごみが発生するのかわかる。ならばそれを超える業者をなぜ認めなければならないのか」と新規許可を出すことに疑問を呈した。

講演、地域活動事例発表を糧に

講演は元厚生省(現・環境省)水道環境部環境整備課長を務め、いまは(財)日本環境衛生センターに籍をおく・三本木徹氏。「私の人生のほとんどが廃棄物処理の仕事に携わってきた」と自己紹介を兼ねてあいさつを述べる三本木氏の講演テーマは「ごみ処理事業の性格と規制緩和の問題点」。サブタイトルに「ごみ関係の規制のあり方を巡る近年の議論と、市町村とごみ処理業との役割に関する考察」という名称がつけられている。
このテーマの通り講演は、廃棄物の定義・区分、一般廃棄物処理業の許可要件の強化と手続きの簡素化・緩和――などについて歴史的経緯から説き起こし廃掃法の解釈ではどう捉えるべきかなど非常に示唆に富む解説だった。要点の一コマを紹介すると「廃棄物処理法という目的は、口をすっぱくして言いたいわけですが、適正な処理を進めるというのが基本であります。法律の目的でそこははっきりしてますね。公衆衛生対策であり環境保全であるというのははっきりしている。そこには経済合理性とか、そういうことは一切出てきません」(三本木氏の講演の詳細は全清連ニュースに掲載)。
「地域活動事例発表」は、「久留米市における一般競争入札の回避と今後の課題」(福岡県清掃事業協同組合連合会)、「三原市における新規許可問題への取組み」(広島県清掃事業協同組合)、「高槻市の入札問題について」(高槻市環境連絡協議会)の3件。事例発表で共通するのは「長年落ち度もなくやってきたのにある日突然に」ということだ。市町村合併を行った久留米市。合併前旧3町のごみ収集業務を約40年間随意契約で行なってきたものを、外部監査報告書により突然一般競争入札にすると市が通知。地元業者・福岡県清連・全清連が団結して市に粘り強く交渉。その結果、市側が入札を断念。また高槻市でも1969年(昭和41年)より随契でごみ処理をしていた業者が包括外部監査報告によって、2011年(平成23年)から競争入札にすると市から通知を受けた。決着はいまだついていない。三原市では突如新規許可が増加する事態に、組織を挙げて日参の交渉――など具体的な事例と対処方法が報告された。 このあと全清連としての当面の事業方針が述べられ、新規加入団体の紹介が行なわれるなど有意義な全国研修大会となった(詳細は全清連ニュースに掲載)。