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HOME全清連NEWSトップ第99号 令和3年(2021年)3月19日

奇数月発行 全清連NEWS

ニュース 99 令和3年(2021年)3月19日


全国産業資源循環連合会の「振興法律案」を断ずる

全国産業資源循環連合会(以下、全産連)は、本年1月に同会HPに「産業資源の循環的な利用を促進するための産業廃棄物処理産業の振興に関する法律案」「振興法案の構成」「法律提案理由説明」をアップしました。
これは全産連が、廃棄物処理法に定められている一般廃棄物処理業と産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業のうち産業廃棄物処理業と特管産廃処理業の許可を有する業者の「振興(物事を盛んにすること)」に係る法律を、議員立法で制定しようという目論見で作成したものです。

私ども一般社団法人全国清掃事業連合会としては、そもそも全産連の法律案が大きな目的とする「産業廃棄物処理産業を営む者の責務を明らかにする(第一条)」とある点は、既に廃棄物処理法において廃棄物処理業者の責務として明らかであり、追加的に法律を作る必要は全くないと考えるものですが、今回、彼らの「振興法律案」について正面から取り上げるのは、看過できない大きな問題点があるからです。かつ、このことを全産連の地方組織に加入している多くの一廃事業兼業者に正確に理解してもらわなければならないからです。自らの足元を自らの手で破壊するような愚行に対して手を貸すことのないよう、見て見ぬふりを止め、しっかりと声を挙げるべきではないかと考えるものです。

この振興法律案の奇異なところは、廃棄物処理法ではまず一般廃棄物処理業について定め、次に産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業について定めていることから、もし「振興」に係る法律を検討するとすれば、一般廃棄物処理業の許可を有する業者も包括しないと論理的な整合性が破綻してしまいますが、そのようにはなっていないということです。このように考えていかないと、また別に一般廃棄物処理業の許可・委託業者のための「振興」に係る法律はどうかという余地が出てきてしまうわけですから、国会議員の先生方も環境省、法務省の方々も実に煩わしい問題に直面することになるわけです。

もう一つの大きな疑問は、廃棄物の適正な処理を通して生活環境の保全と公衆衛生の向上を図るための廃棄物処理法の外側に「業者の振興」を図る環境省主管の法律を制定することに、国民の支持を得られるのか、ということです。
産業廃棄物に係る廃棄物処理法違反事件は近年減少傾向にありますが、一方、国が進める3R推進・循環型社会構築に係る施策につけ込んだ悪質極まりない適正処理偽装事案も発覚しています。とくに2016年のダイコー事件(廃棄食品の横流し事件)、2019年の熊本清掃社事件(名古屋市にある同社食品廃棄物リサイクル工場から発生した基準値を超える汚水を、名古屋港に不正排出していた事件)は、その典型ともいえる環境犯罪です。現在の廃棄物処理法は昭和51年6月以降、平成29年6月までに規制強化を中心にした12度にわたる法改正が行われてきており、依然として「悪貨が良貨を駆逐する」構造は続いていると見なければなりません。厳格な制度的規制があるからこそ、適正な処理が担保されて、我が国の環境が守られています。環境保全を目的とする法体系の下で、禁止の解除の仕組みにより成立している業種を取り出して「振興」するような法律を作ってしまったならば、業振興を理由とした規制緩和要求、規制解除要求に対して、環境省として毅然とした姿勢で臨むことができなくなります。
これまで廃棄物処理法に基づき、規制とのバランスを取りながら廃棄物の諸制度が整備されてきました。そういった状況において、廃棄物処理業の振興の名の下に、環境保全及び公衆衛生の保全がおろそかにされるのではないか、廃棄物処理業者は自らの都合しか考えていないのではないかと国民から疑念を抱かせ、廃棄物に関わる者はその信頼を国民から失う可能性すらあります。現に、全産連の法律案第16条に「規制緩和措置」と書かれており、そのような疑念、不安が惹起されます。       
(本文1/2程度掲載)

コロナ対策奮闘記〜COVID-19感染防止対策の現場から

『コロナ禍で再認識したエッセンシャルカンパニーとしての矜持(後編)』
=富士宮清掃()代表取締役 穂坂勝彦=

非常時でも求められる業務継続
コロナ禍での厳しい環境の中、改めて痛感することは「ごみ収集」というこの仕事の大切さと大変さだった。町があり、そこに人が住み生活をすれば必ずごみは発生する。そのごみを誰かが運ばなければ町の公衆衛生は維持できない。そしてそれは毎日発生し、毎日すべての業務を完遂しなくてはならない。我々が毎日仕事を完遂することができて初めて町の公衆衛生を維持することができる。緊急事態宣言が出され経済活動や外出やイベントが縮小されても、そこに人が暮らしていればごみは発生し、そこに新型コロナウイルス感染の危険があっても、会社を止めることなく仕事を完遂しなければならないという、この仕事の大変さと、なくてはならないとても大切な仕事を担っているということだ。

4月28日の小泉環境大臣の呼びかけ以降、集積場に出されたごみ袋に張り付ける形で感謝の言葉をいただくことが日に日に増えていった。現場の社員たちは大変喜び、その手紙を収集車の運転席と助手席を仕切るビニールシートに次々と張り付けるようになった。時折市民の方から「いつもご苦労様、ありがとう」とのお言葉をいただくことはあったが、感謝の手紙という形でこれほどたくさんのお言葉をいただくことは今までにはなかったことだった。静脈産業ともいわれるこの業界は、平常時にはあまり脚光を浴びることや注目されることも少ないのが現実ではあるが、コロナ禍という非常時の中で我々従事者と市民が存在意義や役割、使命を共有できたことは大変意味があることだった。

環境保全に貢献し続ける企業へ
また、公衆衛生を担うことの責任の重大さもコロナ禍で再認識することができた。これまでも快適で安心安全な市民生活に寄与する仕事であることを経営の根幹に置き、安全運転はもちろんのこと、清掃車を清潔に保ち、臭いや汚損によって市民へ不快な思いをされないようにと心がけてきた。しかし、このコロナ禍でその意味合いが一変した。新型コロナウイルスが付着したごみが、どの家庭から出されてもおかしくない状況になる中で、清掃車が衛生的に保たれずに市内をくまなく収集作業をしてしまったら、万が一我々が新型コロナに感染してしまった状態で仕事に従事してしまったら、町中にコロナウイルスを拡散してしまうことになってしまう。廃掃法に謳われている「生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る」という言葉の重みを、本当の意味で理解することができた。
地域になくてはならない企業(エッセンシャルカンパニー)として、今回のコロナ禍のような急激な社会変化にも果敢に対応すること、そして例えば人口の減少や少子高齢化、世界の環境問題等、刻々と変化していく緩やかに変わっていく環境変化による未来にも対応し続け、地球を守る一員としての矜持をもち、快適で安心安全な市民生活に寄与し、環境の保全に貢献し続ける企業づくりを続けていこうと改めて心に刻むことができた。
(本文9割方掲載)

『新型コロナ禍の1年を振り返って思うこと(後編)
=且O次衛生工業社代表取締役 松浪俊博=

身近でクラスター
3月頃にはじわじわと全国各地で感染例が増加していき、広島県内も徐々に緊張感が高まりつつありました。4月7日、政府が緊急事態宣言を発出して「人との接触7割削減、三密の回避、移動自粛、在宅ワーク」などが求められ、悪い意味での流行語か社会現象的な様相となっていました。
そんな中、4月には地元市内でクラスターが発生しました。まさかこんな田舎町で!? 街中に大きな緊張が走りました。クラスターの発生した事業所は、これ以上の拡大を防止するために勇気をもって公表しましたが、心ない誹謗中傷の落書き、電話等がありました。一方で励ましの応援をする人たちもおり、いろいろな思いが市内で交錯していた気がします。市長も早い行動でコロナ対応の情報発信や、影響を受けた事業者へのケアを市独自で進めるとともに、SNS等を活かして、市長の直接メッセージで「コロナに負けずに頑張ろう」と毎日のように市民に言葉をかけていました。このような緊急災害的な局面においては、行政や首長が強いメッセージと意思を示すことは、市民の心理的安全性の担保のためにも有効だなと感じました。

国内は宣言下、地元はクラスター発生。会社としてさらに対応レベルを引き上げて、外部に対しては来客や訪問営業の自粛、ごみの排出時のお願い、集金等の接触機会を極力なくし振り込みするといった対応を、配布文書やHP、SNSなどで発表・要請し、理解を求めました。内部においても、再度対策強化レベルを引き上げる通知を発出し、マスク・うがい・消毒に加えて、飛沫感染の確率が高いという検証も出ていたので、三密回避策として1m以上の対人距離の確保、正面で話さない、朝礼やミーティングの停止、タイムカード打刻やアルコールチェックも停止、休憩や昼食、喫煙も各自可能な限り会社あるいは自分の車両の中で行なってもらうといった策をとりました(現在も継続中)。
市内クラスター発生の事業所のごみ収集は弊社のお客様でしたが、お客様にもコロナ対応のごみの排出方法の指導やお願いはさせていただきつつも、感染防止策を徹底したうえで収集は従来通り継続しました。いまでこそ明らかな情報も増えて、収集に対する恐れも場所によっては少なくなっていますが、当時、文句ひとつ言わずにいつも通り収集をしてくれた社員には本当に頭が下がる思いでした。同時期の全国他地域では、コロナへの恐れが先行してコロナ発生場所への収集を拒否する事例も聞こえており、恐怖と責任の中で心が揺らぐ模様が見て取れました。
社内も外部の事例も、コロナの恐怖からネガティブな態度や言動が出ることはある程度、仕方ないことであり、決してその人を責めるものではないと思いました。それはある種の正直な感情であるからです。それを責めたらまた次の差別を生むことになる。答えのない負の連鎖となりかねません。「恐れは理解するが、恐れながらも自分たちのやるべきことは見失ってはいけない」ということも全社員共有しました。

不安の中でも見失わずやれる事
の頃、全清連からのマスク追加供給もあり、当初の計画以上のマスクが確保できましたが、相変わらず地域内の小売店ではマスクが手に入りにくい状態が続いていましたので、思い切って社員の同居家族単位で50枚ずつ4000枚配布しました。同時に社員の家族あてに手紙を書き、会社は社員があってこそ、社員は家族のサポートがあってこそ、社員には感染せずに継続する重要な任務があること、これらを踏まえて、小泉大臣の手紙ならぬ、会社代表者からのメッセージとして社員家族へ配りました。この大変な状況下で乗り越えるためには、経営者と社員だけでなく、その家族まで含めた思いの共有が必要だと感じたからです。家族からも反応があり、喜びや感謝、共感の声をいただきました。より結束が高まりました。また同時に、地元の市役所にもマスクを4000枚寄付し、私たちと同じくコロナ禍でも継続しなければならない医療従事者やその他の公務にあたる人たちを中心に配布をお願いしました。
そんな中、小泉進次郎環境大臣から、全国の廃棄物処理従事者へあてたメッセージ文書を頂き、すぐに全社員で共有しました。コロナ禍においても絶対に継続しなければならない、そのため感染してはいけない、という強い責任と緊張感が続き、見えないストレスを全員が感じ始めていた頃だったので、心が浄化されるとともに再度、低下しがちな気持ちを戻すキッカケにもなりました。
現場においても収集ステーションなどで、感謝の手紙や貼り紙、声掛けをしていただく機会がたくさん発生し、社員の士気が上がりました。国や大臣が私たち業界や業者に対して「エッセンシャルワーカーだ、継続が必要な事業だ」と言っても、そのやり取りを他の人(国民)が知っていたわけではありません。国民の皆さんもコロナ禍で、各人が怖れを抱くとともに、他人との接触を避けるように自宅待機する必要性が強く要請されていた時期に、未経験で不測な恐怖を体験する中で、廃棄物が適正かつ安定的に回収処理されていくことが、自らの生活にとっていかに重要であるかを強く感じてもらえたのだと思いました。
改めて全清連を主とした全清連を主とした私たち一般廃棄物事業者が思い、主張する「一般廃棄物処理事業の法的成り立ち、位置づけ、地域社会における役割」というものが、形や方法は違えども、国民に共感・理解されたと思いました。そのような評価に対し、期待に応えることのできる存在であり続けなければならないとも、改めて思いました。
――以下、3月2日時点で市環境局と一般廃棄物業者で集まり、コロナへの臨機応変な対応を主として官民一体で協働して活動する「一般廃棄物定例会議」の設置など省略――

いま、思うこと
ここまでの1年間で前述のようなあらゆる対応をしてきました。そして今も継続中です。
引き続き現在の対応が長期間続くものだと覚悟しなければならないと思っています。ただし、1年も経験したことから何かを学びとらないと費やした時間がもったいないとも思いました。1年経過して思うことは、「今後やってくる未来への予行演習」だと感じています。
全清連においても2年前から繰り返し強調され、方向性として示されていますが、この先、20?40年のスパンで日本の人口減少及び少子高齢化問題を主とした時代の大転換期の到来、地球規模での環境問題や災害、社会保障などあらゆる問題が生起してきて、従来の経験や知識、価値観では到底通用しない時代が来るとされています。その課題を乗り越えるための手段、ヒントとしてSDGsへのチャレンジ、それを私たちの業界に言い換えれば「地域循環共生圏への取組み」となります。
コロナ対応は、今までの知識・経験、価値観で創り上げてきた社会では通用しない変化が求められ混乱しました。しかしこれによって得る教訓や知識・経験、あるいは新たな社会の仕組みづくりは、今後やってくるであろうコロナよりも大きなショック(大転換期)に対して、私たちのやるべきこと、あるべき姿を課題として突き付けたようにも感じています。
(本文1/3程度掲載)

『固形一廃業界の一員として何ができるか』
=褐b那清掃工業代表取締役 別府裕二=

官民連携のBCP策定が必要
昨年の4月に新型感染症に対するBCPを作成しました。BCP等作成後、行政との情報交換も兼ねて恵那市環境課に訪問、環境省のガイドラインや作成したBCP等を持参し、ガイドラインに基づいてBCP作成と新型感染症対策を行っていることを報告し、市の対策や方針があれば聞かせてほしい旨を伝えました。その後恵那市は環境省(県)からの通知「新型コロナウイルス感染症に係る一般廃棄物の安全かつ安定的な適正処理の確保」が出されたことを受け、許可業者に向けて同通知や感染防止対策例、ガイドライン等の情報提供をしていただき、広報5月号にて感染または感染の疑いのある方のごみの捨て方を市民に周知し、我々許可業者の不安を和らげるとともに廃棄物関連におけるコロナ対策BCPの策定も行っていただきました。その後も「困っていることはないか」とたびたびご連絡いただき感謝申し上げます。
この一連の動きには、コロナ禍と闘いながら、止めることができない仕事に真摯に向き合おうとする一許可業者の想いも少なからず影響しているのではないかと考えます。
ただ、このBCPは行政単独のものであり、許可業者との連携がとれたものではありません。多くのハードルはありますが今後、新型感染症のみならず災害対策BCPも許可業者と連携が取れた実効性のあるBCPになるよう働きかけていきたいと考えております。

固形一廃業界の一翼として活動
弊社は従業員3名で許可業のみの小さな小さな会社です。そんな会社の代表者である私がなぜ組合や全清連活動に積極的に参加するようになったのかをお話したいと思います。
もう20年ほど前のことでしょうか。先代のころ、新規許可を狙う者から我が社の落ち度を突かれ、組合(岐清協)に多大な迷惑をおかけしました。ある方に「いつまでお前のところに手間かけさせられるんや」と言われたときの、あの恥ずかしさと悔しさは今も忘れません。自分の代になったら絶対良い会社にしてやる。これが一つのモチベーションです。もう一つはそんな時に優しくサポートしていただいたお二方(現岐清協副理事長)や助けていただいた方々に恩返しがしたいという想いからです。
自分の代になって6年目、まだまだ恩返しには程遠い状況ですが、少しずついろんなことを理解できるようになってきました。それもやはり組合活動や全国研修会への参加を続ける中でのものでした。
全清連とその会員は何と戦っているのか?
それは一廃の産廃化、新規許可、競争入札、あらゆる側面からこの業界に食い込んで利を得ようとする勢力であると考えます。
何を守ろうとしているのか?
それは我々の業であり、会社や社員とその家族であり、地域の環境と公衆衛生であるということ。
守るべきもののために全清連・各県連・会員が向き合っているのは関係省庁、県、市町村、事業者とステージは違うが、どれも最前線であり関連して互いを補完しているということ。どの最前線でも対応を誤れば即ち会員の会社に影響するということ。だからこそ従業員3名だろうが最前線であり、固形一廃業界の一翼を担っているという認識が必要だ。いつまでも守られる側ではいけない。自分の会社は自分で守らなければならない。
――中略――

研鑽を重ね良き会社、業界、社会へ貢献
組合や全清連活動に参加して得たものは知識、情報、そして同じ最前線で戦う仲間でした。仲間たちと共に行った災害廃棄物処理支援活動はかけがえのない経験でした。全清連会員は中小零細企業の集まりです。だからこそ力を合わせて戦わなければなりません。
私はまだまだ知識も経験も足りませんが、今後も良き会社、良き業界、良き地域社会にするために微力ながら活動を続けてまいります。
(本文8割方掲載)

(詳細については全清連ニュース第99号をご覧ください)

 

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